2001年12月9日
日本自然保護協会50周年。森本言也さんが語る日本の自然保護今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは(財)日本自然保護協会の森本言也(モリモト・コトヤ)さんです。●日本自然保護協会が50周年ということは、日本における自然保護運動の歴史も50年。そもそもの発端は尾瀬だったんですよね。 「戦後の復興期に電力を得るために(尾瀬が)ダムの底に沈むという計画があったんです。それを聞いた登山家や研究者や、官僚までも含めて、「尾瀬は残すべきではないか」という運動が起こって、それがどんどん広がって協会という形に発展したんです。官僚が反対するということは珍しいんですが、やはりどこの役所も関係なく、日本には自然があったほうがいいのだということだったんでしょうね」 ●まぁ、その時代ですと、自然を保護しようという雰囲気はなかったのかもしれませんね。 「僕も尾瀬の頃は生まれていませんが、ウチの古い役員とか関係者に聞いてみると、戦後の復興というのは大命題ですから、これを否定する気はないんです。でも、どう復興するのかということで議論が分かれたんだということです。電力は確かに重要だったから、あちこちにダムや発電所が出来ました。それが70年代になると、列島改造論も含めて高度経済成長で、もっともっと豊かな暮らしを、ということで動いていたんでしょうね。その頃は自然を大切にといっても、どうしても少数派だったんでしょうね。『自然でメシが食えるか』なんて言葉もあったようですよ。自然というのはそこそこの手の付け方をして程度を越えなければ、充分再生してきますから、程度をわきまえた適度なつきあいであればあまり問題はなかったんですよね。それが急激に大規模な開発が進んでから一気に変わってきた、と思います」 ●ある時から「リゾート開発」という言葉をやたら耳にするようになりましたよね。その頃から軒並み一気に広がったと思うんですが。 「多分高度成長からリゾートという形になって継続的に一気に無くなっていったんでしょうね。で、バブルがはじけたころから『こんなので良かったんだろうか、ほんとの豊かな暮らしって何だろう』という問い掛けがたくさん出てきて、あの頃から自然のことでも見直されてくるようになったんじゃないかと思います。豊かさの基準って人によって違うと思うんです。確かに便利さがすべてという人もいるでしょう。でも、ヨーロッパの人たちと話すと、究極のリゾートは文明がなく、電話も鳴らない、自分の好きなように時間を使えるところだといいますが、だったら豊かさって何だろうと考えてしまいます。日本のことで考えてみても、豊かな自然があるからいいものっていっぱいあるじゃないですか。特に食べ物なんかそうですよね。いい森があるからいい水があって、野菜もおいしいし川の魚もたくさん取れ、お酒もおいしい。ということは自然が豊かにあり続ければ、いつまでもいいもの、それも旬のものが味わえる。これって豊かってことなんじゃないかなぁと思うんです。でもそれがすべてじゃない。自動車だって必要なときに使えばいいし、TPOでいいと思います。そういうことにみんなが気づき始めたのがバブルがはじけてからじゃないですか?」 ●財団法人日本自然保護協会という、この漢字づくめの名前が、なんか敷居が高いというか、凄い堅い協会というイメージがありますが。 「まぁ、設立の頃はなるべく発言力を持たせたい、権威を持たせたいというのがあって組織を固めていくということをやっていました。それはそれで作戦は正しかったと思います。その後、議論で保護問題を解決していくようになると、今度は科学的な裏付けのある発言で説得するということになります。我々はデモ行進とか座り込みとかいったものはやりません。それが悪いということではなくて、科学的な裏付けで説得していくことが効果的だと思っているんです。そういうときはイメージが堅いか柔らかいかということは関係なくて、こちらの理論がどれだけ正論であるかにかかってますから、しばらくそういうやり方でやって来ました。でも最近は、議論して終わりということではなくて、その議論をどれだけ分かりやすく外に出していくか、世論をどれだけ味方にするか、世論にどのように納得してもらうかということが、重要になってきたと思うんです。で、今こそ分かりやすい言葉で堅苦しくなく伝えていくことだと思うんです。それで、最近“関心”といっても、いろんな人がいろんな関心を持っているんだなぁと思うようになりました。個人的に7つに分類してみたんです。
1.自然保護というジャンルを社会問題としてとらえる。 この7つに分類できる気がするんです。だとすると、協会が出していくメッセージもいろんな人に向けていかないとコミュニケーションとるのは難しいな、と思うようになりました。誰と話すときもこの人はどれに当てはまるかと考えていると、共通の話題も見つかりますし。世論をどういうふうにゲットするかを考えるとき、これって大きく関わってきますよね。こちらの言いたいことだけ言って伝わるわけはないし、相手の言葉で話さないと伝わらない。だから相手によってアレンジして伝えていかないといけないと思うんです」 ●この先、日本自然保護協会が我々一般市民に求めることってなんですか? 求めることっていうと、また堅くなってしまうかもしれませんが。 「そうですね。個人がやれることって実はいっぱいあると思うんです。このあいだ協会のホーム・ページの中で“あなたにできることリスト”というものを表にしてみたんです。やる頻度とか、場所で分けたり、とにかくやれそうなことを出してみたんですが、そうしたらそれぞれたくさんあるんです。で、どれが一番大事かというと、一番なんて無くてどれも大事。ただ、自分が全体の中でどこにいるのかがわかっていれば、その重要性が見えてくると思うんです。だからやれることから入ってもらえばいいと。重要なことは全体の構造を把握すること、全体として何が必要そうなのか、考えてもらいたい。もう一つ重要なことは、口に出して欲しいということです。自分一人じゃなくて、友達と話すとか、同じ興味を持っている人と話すとか、興味を持っていない人に問いかけるとか、気持ちや仲間を広げていくことが重要だと思います。まず、知るということ。そして人とコミュニケーションをとって伝えるということ。これがすごく重要だと思います」 ●是非、今度の「シゼンホゴフェス」に参加して欲しいですね。 「このフェス、キーワード的にはあといくつかあって、ポスターでは“自然を守るってダサイ?カッコイイ?”って問い掛けてます。どっちに思ってくれてもいいんですけど、今までこんなことを問い掛けたことはなかったと思うんです。それから“自然保護ということを普通のことにしたいのだ”ということと、もうひとつ“自然保護ってこういうことからでよかったんだ”と、思って欲しい。何をやらなきゃいけないということじゃなくて、まずはみんなが興味を持つことからでよかったんだ、と思って欲しい。だから今回フェスの中で来場者にお伝えしたい気持ちっていうのは“自然ってあったほうがいいと思わない?”っていうことなんです。守るべきとかじゃなくて、あったほうがいいと思わない?という呼びかけ。自然があったほうがおいしいとか、楽しいとか、気持ちいいとかということを感じて欲しい。で、それがなんでなの?とか、どうしたらいいの?ということは2歩目のことなんですよね」 ●日本自然保護協会50周年ということで、これからもしばらくはヒマになりそうもないようですが。 「そうですね。まだまだせっぱ詰まった話がたくさんありますから、ヒマになることはないですね。でも、本当は協会がヒマになって本当に自然保護が普通のことになったら、やっとお役ごめんということになるとは思いますが、当分そうはならないでしょうね」 ●私たち一般市民に出来ることもたくさんあるし、私たちが考えられることもたくさんありますが、これからも日本自然保護協会には頑張っていただかないといけないようです。それにいろいろな出来事を私たちにわかるように伝えていただくということも期待したいと思います。 ■このほかの(財)日本自然保護協会(NACS-J)のインタビューもご覧ください。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. THIS GIFT / 98°
M2. WHEN TOMORROW COMES / EURYTHMICS
M3. CAN WE TALK / TEVIN CAMPBELL
M4. EVERYBODY HAVE FUN TONIGHT / WANG CHUNG
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M5. PART OF ME , PART OF YOU / GLENN FREY
M6. EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT / SWEETBOX
M7. IS THIS THE WORLD WE CREATED / QUEEN
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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