2003年2月23日
高橋克典の“自然は素晴らしい”今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは高橋克典さんです。今週は、俳優・アーティストとして活躍中の、高橋克典さんをゲストとして初めてお迎えしました。2月25日で芸能生活10周年を迎える高橋さんは、去年ユーラシア大陸でテレビ朝日のネイチャリング・スペシャルの長期ロケを行ない、その模様は今年1月5日に放映され、大変反響を呼びました。そんな高橋さんに、ユーラシア大陸をバイクで移動しながらこなした巨大魚・タイメン(イトウ)釣りのことや、バイカル湖に生息する珍しいアザラシのこと、ユーラシアの大自然や生き物たちが高橋さんに一体どんな印象や感動をもたらしたのかなど、ご本人の口からじっくり語っていただきました。 ●実は高橋さん、25日に10周年なんですね。 「そうなんです、はい」 ●おめでとうございます! 「ええ、ありがとうございます。なんか、あんまり振り返ってないんですけど、うん」 ●そんな中で、今年は2003年のスタートと言ってもいいんでしょうか、1月5日にテレビ朝日のネイチャリング・スペシャルで、“ユーラシア疾走1万キロ・巨大ナマズと格闘・高橋克典の感動大陸紀行”、という長いタイトルのネイチャリング・スペシャルにお出になっていました。 「たまたま、去年が10年目だったんですが、自分の中に結構、垢もたまってたんですね、ゴミがね。で、なんだかんだで、少し振り返ったりする時間も欲しいなと思って、旅をしたいなと思っているところに頂いた話だったんですよ」 ●ちょうど去年の夏になりますか、6月から7月にかけての1ヶ月間、ロシアの方に。 「そうですね、40日行きましたね。初めはね、どうしても東京のリズムが自分の中にあって、仕事をしているリズムというと秒単位や分刻みだったりするじゃないですか、どうなるんだろうと思いながら、なかなか自然の中に心を開けないでいたんですけど、自然に同化していくんですね。どれだけ抵抗しても自然の中に同化してしまうものがあって、すごく不思議な体験をしましたね」 ●ハバロフスクからスタートして、ゴールがカザフスタン共和国にある世界最大の湖と言われるカスピ海までの、1万キロ。バイクで行くのは高橋さんの希望だったんですか? 「ええ、本当は自分のバイクを持ち込んでそれで行きたかったんですが、もし着かなかった場合とか、いろいろ問題があると困るんで、向こうで借りるっていうことにして」 ●車とかで移動するよりも、バイクで移動する方が・・・。
「好きですね。車の旅行も好きですけど、やっぱ、あくまでも車は室内だから、そこの空間は守られてて自分の空気があるんですね。バイクの場合は、身体が直接外の空気と触れているから、ただ跨がって必死にバイクにしがみついて風や温度と闘いながらいるというか、外の温度や空気や、あと雨が降ってきたとか、そういうものを直に感じて、どっかの街に着くとか、どっかの景色とか、思いも寄らない所に辿り着くのがすごくリアルで、楽しいんですよ。仕事で行くと良い部分というのは、普段入れない所とか、普段入り込めない一般家庭とかにお邪魔して生活できちゃうということで、それをすごくしたかったんですけどね。
●なるほど。 「それで、すごく癒されながら旅をしていって、バイカル湖にいった時に、久し振りに綺麗な湖の所に泊まると、「いいなー」って。綺麗な水は人間にとってすごくいいんだな、って思っている毎日の中で、一日何にもやることがない日があったんです。その時に、周りはもう砂なんですけど、そこにタッションしたんです、僕。路地の脇のところに(笑)」 ●(笑)。
「で、もう太陽が照っていて、フッと振り返ると牛が普通に歩いていて、遠くまで餌を食いに行って夕方になると帰ってくる牛で、普通におばちゃんがその牛に向かって怒っていたり、ただの家畜なんだけど、対等にいる感じ、共存している感じがすごくいいところで。そういう時間の流れ方をしているところで、昼間タッションをしていたんです。そしたら僕の排泄物がですね、地面に吸い込まれていくわけですよ。タッションというのは大概、アスファルトで、電信柱とか、壁とかにするもので・・・、本当はいけないんですけど(笑)、行き場がなくて流れていくんですよ。それが、吸い込まれていくわけです。
●なるほど。 「東京にいると、メディアの中では環境問題、フロンが駄目だ、エコロジーだって言っていて、もう地球ももうすぐ駄目なんじゃないかっていう気さえしちゃう、油もそんなに採っちゃって本当に退廃的なイメージしかない。でも、あるんですよ、あそこには圧倒的な人間には手の届かない、どうしようもないくらいの自然がまだまだ。でもそこで暮らしている人達は、その大事さというのは分かっていないから、フィルター付きの煙草をバンバン吸っているんですよ。それを見て言ったんですよ、もう真っ黒になってしまった海を目の前に生きてる俺達から言わしてもらうと、そのこと自体が犯罪だって。『この湖を見て東京に帰って、東京湾とか、横浜港とかの海を見ると、これって人間の為したことだって思うんだ、だからそれは止めてくれ!』って。そしたら分ってくれたんだけど、なんかその時間の中にいると、完全に客観的に東京の生活が見れて、今でも圧倒的に自分の身体の中に、あの自然があるんですよ」 ●もう、半年以上経ってますよね? 「経ってます。経ってますけど、あるんですよ。本当に母体みたいに。母なる大地ってそういうことだなーって。ものすごい短時間で入ってきた感じ・・・」 ●その高橋克典の感動大陸紀行、というネイチャリング・スペシャルの中では釣りやスキューバも初体験されたんですよね。まず、釣りはどうでした? 「ええ、ルアーフィッシングだったんで、結構ゲーム性が高くて面白かったですね。ただ、番組の中では言ってなかったですけど、どうしても抵抗ありますね。またやるかもしれませんけど、人間のエゴをすごい感じましたね、こんなもん見つけちゃって、って。だから途中、食うために捕るっていう意識だったら、釣りを肯定できたんですよ。でも、デカイ魚、幻の魚を釣ったって言ったって、人間が行かないところにはデカイ魚がいるんですよ。魚がいつまででも大きくなれるんですよ、飯を食って。途中で人間がチョッカイを出すから、いなくなるんですよ。あと、リリースって言ったって、傷付けてるんですよ。人間だったら、どこか切れたら病院や包帯をして治しますよね、でもヤツらはそのまま水の中に帰るんですよ、穴があいたまま。絶対に長生きできるはずがないと思うんですよ。どっかで死んでると思う。やっぱ、なんかねー、あんま好きになれないですよね」 ●スキューバはどうでした? 「スキューバは楽しかったですね」 ●あれは、バイカルアザラシに会うために、初めて? 「そうそう、あのね(笑)、一緒に昼寝したいなと思って・・・」 ●アザラシちゃんと? 「それもね、アザラシってすごい水が綺麗なところにしかいないんですって。バイカル湖ってメチャクチャ綺麗な湖なんですけど、それでも人間の村から遠いところにいるんですよ。で、アザラシが昼寝してるの、気持ち良さそうじゃないですか(笑)。結構、どう猛そうだけど、カワイイ。それで何気なーく一緒に昼寝できたらなー、みたいな(笑)」 ●(笑)。 「動物の中に入って、同じようなビートの中で日光浴できたら気持ちいいかなー、みたいな」 ●じゃあ、バイカルアザラシとは、昼寝はできたんですか?
「えっ、いや、だから(笑)、動物、それに野性だから絶対逃げると思うけど、友達にはなれるような気がするんですよ。ただ、もっと時間はいるだろうなと思ったんですけど。僕らの場合、3日とかしかいなかったんで、ありえない。だって、野良猫ともなかなか仲良くなれないのに。だから1ヶ月くらいあったらなんとかなるかなと思ったんですよ。
●そして、実は高橋さん、去年、屋久島にも行ってらっしゃるんですよね? 「ええ、そのロシア旅行の前ね」 ●それはプライベートで? 「ええ、プライベートで」 ●実は私達も、ザ・フリントストーンで屋久島へ行ったことがあるんですけど、漫画やアニメの、木に目が付いてて歩いている子供達をじーっと見ている感じってあるじゃないですか、あんな感じしませんでした? 「うん、したした」 ●あれ、あの中にいた時に、すごーい自分が小さく感じた・・・。 「そう、ディズニーとか、宮崎駿さんのとかのもね、ものすごくよく分かるよね。宮崎駿さんの“もののけ姫”、あれでさ、白いのがカラカラカラっていうの、あれ、いるよね(笑)」 ●(笑)。いますよねー。で、あの中に入ると「シーン」っていう静かな音、聞こえますよね。 「聞こえる、聞こえる。すごくイイよね。実際、雨降ってて、視界が1メートルないくらいのところを上がっていって、登山口から2時間くらいかな、あれでも疲れるよね。僕、登山とかあまりしないんで、子供の時小学校で連れていかれて以来で、初心者だったんです。でも初心者にはちょうどいいコースじゃないですか、『えー、これ? もっとハードなの想像してたのにー』みたいな感じで。でも途中で、野良鹿は出てくるし、帰りに野良猿は出てきたし、どんどん自然が深くなってくるでしょ、『おーっ、なんか変わってきたぞ』っていうポイントがいくつかあるでしょ? で、途中で晴れたんですよ。『あー、きれいだ・・・』って。晴れ始めてちょっとした時に、ウィルソン株に着いたんですよ。その時、『これ、夢か?』っていうような、映画でスピルバークが創るような世界ですよね」 ●そう、E.T.の、ちょっとモヤがかかっているような感じのね。 「あれですよ、あれ。モヤがかかってて、雨上がりで晴れてて、でも晴れても光が遠くから入ってきて全部の濡れた葉っぱとかに反射しながら入ってきて、でも全体的にハレーションを起こしていて、ポワーンってなっていて、本当に綺麗なんですね。『これ、冗談かよー』って思って。黒沢明さんのきつねとか、何かが通りかかってフッてこっち見てもおかしくない・・・」 ●うん、うん、不思議じゃない、全然。 「あー、こんなところあるんだー!って思って、これは神に近いところだなーっていうのをすごい感じましたね。ロシアもいろんなところがありましたけど、神々しい感じがしましたね」 ●しかも同じ日本ですもんね。国内にそういうところがあるっていうのが凄いですよね。 「そう、単純に僕もそう思ったんですよ。日本にもこういうところがあるのが嬉しかった。でもその次に、“日本にも”って線を引くことがおかしいな、と思ったんですよ。誰が決めたんだよって。冗談じゃない、結局、戦争とか、そういうことで決めて、アホか!って思いながら。すごいその頃から気になって、ロシアに行っても、河1本、橋1本通って、ここヨーロッパ、ここはアジア。『プーッ』みたいな『ケケッ・・・だって』(笑)みたいな感じで」 ●(笑)。それ、分かる気がする・・・。
「で、1人で登ろうと思ったんですよ。はじめユースホステルに予約をしていて、そしたら若い子ばっかりなんですよ。結局そいつらと会っちゃって一緒に登り始めたんですが、だんだん無条件に連帯感が出てきて。そこには、おじいさん、おばあさんの80人の団体もいたんですよ。で、彼らより先に行こうって言い出して、『どうする? あれ、うっとうしいよ』っていう話になって、追い越そう!と。彼らがスタートしたときから前に行こうと思ったわけ。でも僕らはみんな初めてで、登山のルールも知らないんですよ。初め内側から追い越そうとして、おばあさん達に『外側から抜かすの!』って怒られたりして。『あー、すいません』とか言って(笑)。でも、80歳くらいの人達って俺達の世代より、足腰が強いんですよ、やっぱり。だから人生、倍以上生きてきた強さを見せ付けられた感じでした。速いんだもん。俺達、抜かすのもフーフー言ってるんですよ。それで休むじゃない? そうするとファーって抜かされるわけ。『あっ、抜かされた!』とか言いながら。
●どうでしょうか、ある時、ザ・フリントストーンと一緒に登山というのは? 「いいっすよ。絶対に迷惑掛けると思いますけど」 ●大丈夫ですよ、私達は楽しい登山をやろうと。だから大体登る前に近くの温泉をチェックし、ワインを冷やしたのを持ち、パーコにコーヒーを持って、上でコーヒーやワインを飲みながら、フーッて昼寝をして帰ってくる。 「いいですねー!」 ●これ、絶対ですよ。 「いやいや、ホントいいっすよ。それは」 ●またどこか行かれたり、思ったことがあったら、フリントストーンに出てお話聞かせて下さいますか? 「いや、ぜひぜひ」 ●どこか行ってみたいところってありますか、この先? 「バイクの旅は、いろいろしたいなと思っています。日本国内だけでなく、プライベートであろうと、番組であろうと、やりたいなと思っています。常に台本のないロードムービーみたいなドキュメンタリーはやりたいって思ってます。アフリカとかね、パリダカじゃないですけど、行ってみたいなと思うし、日本もプライベートでいつでもフラフラしたいと思っていますし、ヨーロッパにも行ってみたいですね」 ●じゃあ、フラフラ旅でいい経験したら、ぜひ番組でも聞かせて下さい。 「ええ、ぜひ、すいません」 ●その時をお待ちしています。今日はありがとうございました。 「ありがとうございました」 ■このほかの高橋克典さんのインタビューもご覧ください。
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■俳優・アーティスト「高橋克典」さん情報
ドラマ『年下の男』
シングル「TSUKIKAGE」
映画『新・仁義なき戦い/謀殺』
BAY-FM「LAOX LOVE TALKIN'」
オフィシャル・ホームページ「WEB ARROW」
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. TONIGHT TONIGHT / 高橋克典
M2. EARTH MOVING / MIKE OLDFIELD
M3. MY WAY / BUTCH WALKER
M4. SEVEN SEAS OF RHYE / QUEEN
M5. DIAMOND TEARS / 高橋克典
M6. TWO OF US / 高橋克典
M7. TSUKIKAGE / 高橋克典
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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