2003年4月20日
清水國明さん リリ禁ネット大熱弁今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは清水國明さんです。
今週は、毎年4月に出演してくださっている芸能界きってのアウトドアズ・マン清水國明さんの定点観測です。丸太小屋を建てたり、ナイフを作ったりと自然暮らしをするための技術や知識、そして知恵を身に付けた清水さんがここ数年のめり込んでいるのがバスフィッシング。
さて、お話に入る前に、清水國明さんが反対し、訴訟を起こすことになった滋賀県の条例とはどんな条例なのか、簡単に、わかりやすくご説明したいと思います。
♪『1925年はるかカリフォルニアからやってきましたブラックバス
●ご無沙汰しています。定点観測の時が、やってまいりました。 「今までの中で1番低い声で入ってるかな(笑)。今まで、こんにちはー!って入ってたのが。いやー、ホントにね、今までもいろんな事を喋らせていただきましたけど、今回ほど「しゃべりたい、伝えたい」というものを持ってきたときはないんじゃないかと思います。で、お話なんですが、裁判ということになったんですよ。それからデュアーーーっと、メールが来たんですよ。ガンバレーっていうのかなってパソコン開いて見たら、バカ、アホ、死ね、ですよ。今まで、自然が好きとか、ナチュラリストとか、達人とか言っていたヤツが、どうして自然を破壊するブラックバスを擁護するんだ?というメールが山ほど来て、カウント数で24万カウント! これはいかんなと思って自分がものすごく誤解されている部分もあるんで、自分の思いというのをメールやインターネットを通じて発表していかなきゃいけないなって思い、自分のそれ専用のホームページを立ち上げたんです」 ●それが、リリ禁ネットですね? 「そう、リリース禁止を考えるネットワーク、リリ禁ネットです」 ●ここでまず確認しておきたいんですが、去年10月16日に滋賀県議会で可決され、今年4月1日から施行された『滋賀県・琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例』の「第18条」によって禁止されたのがブラックバスの再放流ですよね、それに反対しているわけなんですよね。ただ、『滋賀県・琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例』の基本理念に関しては、清水さんは反対しているわけではない、賛成なんですよね。 「全然大丈夫ですよ、自然の中でレジャーをする人達が、自然に対して思いやりどころか、非常に謙虚な気持ちで自然と遊ばなきゃいけない、これはもう言われなくてもずっと昔からやってきたことです。けれども、その流れの中で行なってきたのが、キャッチ&リリースという方法なんです。いかに自然に負荷をかけないように遊ぶか、ということで。捕った魚を殺してしまう、絶滅させてしまうような遊び方はよくない、殺戮ですね、生き物を殺すことがゴールのゲーム、スポーツフィッシング、そういうものをしたくないと今言っているし、そういうふうにやってきたわけです。しかし、この条例で言っていることは、自然を大切にしなさいよっていう雰囲気を作りながら、実は釣り人に生き物を殺しなさいよっていう条例なんですよ。なぜ殺せって言っているのかというと、その生き物が片や、ものすごく増えてたくさん在来魚を食べ尽くしてしまうし、そのブラックバスだらけになってしまうから、殺さなければいけないなという事を言っているわけですね」
♪『ところがいつからかバスはすべての魚食べ尽くす湖のギャング
「僕らは、いろいろ言うずーっと前から年間60日以上、湖とかに出てるんですけど、見てる限りではそんなに悪い魚だとは到底思えないわけです。本当に悪い魚であって、現実に迷惑をおかけしているのであれば、それも仕方ないだろうと。けれども、そうは思えないので一回調べてください、イメージだけで口が大きいからたくさん食べるだろうとか、今までの風評・デマだけで信じてしまわずに、調べて欲しいと。その結果、そういう法律が出来るのであれば甘んじて受けるけれども、ブラックバスは駆除したい人達がいるんじゃないかと。駆除する事が目的で、食べ尽くしているとか、たくさんいるっていう事はあまり明らかにしたくない人がいるんじゃないかっていう見方ができるんです。というのは、ブラックバスが食べ尽くしている、たくさんいる、という科学的データが一度たりとも調べられていないんです、琵琶湖において。
●現状は、今はその段階で? 「うん、まだお互いが好き勝手言ってますね。でも今まで言われてたような「食べ尽くしているんです」とか「琵琶湖の漁師さんが困っているんです」というようないい加減なことは言えないです、法廷では。だってね、30%とか40%ブラックバスがいるって言うようなことを平気で公文書みたいな公の広報で言っているわけでしょ? そんなウジャウジャいるわけねーだろ、と。5年間の漁師さんの漁獲高というのが県の資料で出るんですけど、それでブラックバスってすごく高いんで、みなさん一生懸命捕ろうとしてるんですけど、鮎とかモロコとか鮒とか鯉とかの全体の漁獲高の1.24%しかブラックバスは捕れていないんですよ。それくらいの魚がそんな他の魚を食べ尽くすはずがないし、生態系に影響を与えるとは僕らは思っていないんです。その辺も公の機関で客観的な事を言える人に判断してもらいましょう、というのが裁判なわけですね。これがなかなか世間の人はそうは思っていないところがあって、四面楚歌とはこういうことなのかと思いましたね」 ●私もそんなに釣りの経験者でもないし、釣りが楽しいというところまで到底いけていないし、今後、どこまでその釣りの魅力にはまるのかどうかっていうのはまだ全然わからないスタンスの人間として、やっぱりブラックバスって周りから聞いていたイメージや話では悪者的、ギャング的。サメがプレデターっていうようなイメージがあるじゃないですか。でも、そのサメも激減しているという話があるくらいですけど、一概に信じてしまっている人達にとっては、そんなブラックバスはやっぱりいなくなったほうがいいのでは?って思っちゃうのかな? 「けどね、確かに刷り込みみたいなのがあって、テレビも新聞もラジオも大衆のみんなが思っているところに、そのスタンスをもって物を言う、me tooっていうかな、横に並んでやっちゃう傾向があるんですが、真実だから報道されるんじゃなくて、たくさん報道されたからそれが真実になっちゃったってことがあると思うんですね。非常に稀なことで、事実と違うことが一般化してしまったと、俺は思ってるわけ。それを覆すというか、本当のことを知ってもらう作業をいかに粘り強くこれからやっていくかという事だと思うんですね。ブラックバスがこんなに悪いイメージになってしまったのはどうしてなのかな?とも思うんだけどね」
♪『バスを殺せ(日本から)バスを殺せ(徹底的に)
「法律的にややこしいんだけど、漁業資源じゃないでしょ? 駆除するってことは。ということは野生生物なわけです。熱帯魚と同じように野生生物として飼う生き物だから、めったやたらに殺してはいけないっていう、動物愛護の法律があるんだよね。カラスとかハト、あれ人間にメチャクチャ迷惑な生物ですよね。でも駆除って事にはならないじゃない、あれだけいるのに。けど、それは何故かというと生き物だから、生き物をむやみやたらに殺しちゃ駄目だっていう法律があるんですね、そうやって野生生物と付き合ってきたわけ。
♪『だけど本当はバスは決して食べ尽くさないみんな生きている
●私は子供はいないですけど、この番組でいろいろな所にも行き、釣りを楽しむ親子の姿も見てます。で、もしも私に子供がいて、このリリース禁止っていう法律ができてしまうんであれば、私は子供には釣りを絶対に教えたくないな。特に、稚魚、ブラックバスの子供だったら、子供でも殺しなさいってなるわけじゃないですか。誤解されたくないですね。だったら釣りを一切教えたくないなって、ふと考えてしまいますね。
「今、そういう現象が起きているんですよ。子供達が生き物に触れ合うチャンスとして釣りっていうのはすごく最適だから、僕はアウトドアの究極には釣りがあると思うんですね。何のためにやっているかというと、ハンティングとか狩猟本能とかっていうことで、釣りをできないアウトドアというのは、なんか味気ないんだよね。しかし子供達に釣りを教えないどころか、釣った魚を殺しなさいと言う。琵琶湖では、学校や先生が教えて、親もそういうふうにして下さい、と。駆除釣り大会というので、知事さんがたすきをかけて、釣ったらみんな殺してねー!って言っているというのはおかしいなと。そして、護岸に並んで釣った魚を「この魚は在来魚を食べ尽くしてしまうんだよ、在来魚減ったでしょ? この魚のせいだから、殺しなさい」って言っているんだけど、減った最大の原因は、その護岸工事とかをして在来魚が産卵する場所が無くなってしまったんで、本当は釣った場所、地面が真犯人なわけですよ。その、えん罪というかな、濡れ衣を着せられた魚をブチブチ殺して、罪の無い子供達が、罪の無い魚達を殺している。それを教育と称しているっているのはいけないと思うんですね。
♪『護岸工事 家庭排水 水質汚染 乱獲のスケープゴート』 「僕らもちろん、釣った魚を全部逃がせと言っているわけではなくて、食べる魚は食べる。食べない魚は元通りに逃がすし、それを持って帰って飼ってもいいし、売ってもいいしって、それは釣り人に任されている自由の範疇であるということを手放したらいけないなと。ある有名なテレビキャスターも、これは釣ったら食べれば解決すると言うんですね。でも僕らは食べない。それは犬や猫と同じペットだから食べるという気持ちにはなれないということ。あと現実問題、あれだけ在来魚が減ってしまったくらい水質がすごく汚染してしまっているんです。そして魚を釣っていると分かるんだけど、非常に背骨が曲がってしまったり、内蔵がパンパンだったり、そういうような状況があるわけです。水辺の番人と呼ばれている我々が、魚や水辺、植物に触れて感じているもの、そういうものは食べれば解決するっていうことを安易にポンって言うかっていったら、僕らは食べません。そんな恐ろしい事はしません。食べる魚は、魚屋さんにあるじゃないですか(笑)。けれども、事情を分かっていない人、琵琶湖の匂いとかを知らない人達が安易にそういうものを提案し始めたんですけど、危険だな、あんたそれで死人出たらどうするの?みたいに僕らは思いますけどね。こういうことでは解決していかないんだと思いますね」
♪『バスを殺すな(おれたちの)バスを殺すな(かけがえのない)
★ ★ ★
●前回、あのねのねの『ブラックバス』という曲で、清水さんがおっしゃっていたのは、ブラックバスという歌を作ってはいるけど、この歌が自然や魚の事、いろいろなことを考えてもらうキッカケになるといいなって思っているんだよね、っておっしゃっていたんですよ。 「定点観測って、怖いねえー(笑)。昔言った事が残っているもんね」 ●まさに、その状況になっているのかなっていう。今回の、この問題もブラックバスっていうことでそれが中心、主人公的になっているけれど、実は行政と街の人達だったりとかだと思うんですよ。 「そうなんだわ、実はこれやってみて本当に国とか行政とかいい加減やなと思いましたね。こんなことで公共事業、新規事業開拓やから、その自治体が国から公共事業を欲しいが為に駆除事業を無理矢理に作り出したから、こんなことになったんですよ、現実は。そこまでして国の税金を使いたいのかい!っていうことを思うんですよ。だからいろいろ調べてみると、今日本は不況だっていうけれど、ほとんどの民間企業は頑張って黒字なんですよ。ところが日本の国としてはどんどん赤字を生み出している。この半分、赤字を生み出しているのは国なんですよ。行政が、税金をとんでもない使い方をしているから、どんどん日本は破綻国家になって、7年もしないうちにアルゼンチンになるぞって言われている。こういう国の無茶なこと、経営方針をあぶり出すための一つのキッカケとして、このブラックバス問題があるんじゃないかな。公共事業のやり方だとか、民間の一般の1番弱い人達を犠牲にしてまでお金儲けをしようとする構図がここから見えてくるんで、この問題は決して、趣味とか、釣りだけではなくて、その奥にはとんでもない、現実の日本の置かれている立場、僕らが本当は怒らなければいけない問題が山積みしていたということが見えてきた窓口だという気がこの頃はするんです」 ●清水さんご自身としては、どうあるといいと考えていますか?
「着地地点は、僕は10年スパンでずーっと真剣に取り組むことが出てきていて、今、ブラックバス釣りというのが50代に出てきたことなんで、これでドップリいきたいんだけど、これがshutされちゃったんで、なんとかそれを開いて、3~4年後にウチの子供達とか、闘って苦しんでいる、そして涙流している釣り人と、琵琶湖に浮かんで魚釣って「いやー、釣れたねー、このブラックバス。この釣り、この魚は僕らが守ったんだどおー」って言いながら、堂々とジャポンって「もう1回釣れてくれよ!」って言いながらリリースするのが夢なんですよ。
●なるほど。 「そのためには実は、僕は昔、歌も歌っていまして、“チャゲ&飛鳥”としてやってたんですけど、違いますねえ(笑)、すいませんコネタ挟みました。あのー、“あのねのね”というのでやってたんですけど、その、あのねのねの、歌を唄って世間に伝えるという、その何を伝えたいかというのが今まで見付からなくて、ずっと休止状態だったんですが、今これをやっぱり歌にのせてやろうと。それからお芝居とか、ミュージカルみたいな。ミュージカルをやります、俺が」 ●今日、清水さんもう、喉がかれてますもんね。 「そう、ミュージカルで歌唄って、踊って、足上げてるんですよ。これビックリこきますよ、すごいですわ。でも、それは何でかって言うと、自分の持てる術のすべてを出して知らない人に伝えたいっていうのがあるんですよ。だったら照れてる場合じゃなくてそういった方法すべてを使って、体全部で人生賭けてガムシャラに訴えて行こうということで始めたんです、ミュージカル・バトル。バトルしながらの、『ブラックバス』というミュージカルです。そのまんまやないかい(笑)」 ●(笑)。実は明日、それが行なわれるんですね。でも本当に誤解されているもの、誤解っていうものを解いた、ニュートラルに戻すっていう、そこが1番大変だと思うんですね。ミュージカルを通じてとか、いろいろな形でわかりやすく、みんな誰もが「あっ、なるほどね」と思えるような伝え方がいいですよね。 「ミュージカルさー、さーって、タメ口ですけど(笑)、見に来てくれます? ずーっとね、週1ペースでやろうって話なんだけど」 ●あのねのね30周年記念ライブとかもやるんですよね? 「うん、そこでもね、あのねのねを見に来た人達にも『ブラックバス』の歌を聴かせちゃおうという(笑)。それはいいです、って言われるかも知れないけど」 ●楽しみながら、ブラックバスのこととか、現状を知ることもできますよね。 「そうそう、笑う中にも、ちょっと考えることもありつつ。それがこの1年、欠けてたなーと思うんで、ここで愉快に笑いながら、訴え、伝えたいなと思うんで、是非お越しいただきたいと思います」 ●これ私、もちろん伺います。そして、この先も頑張ってください。 「ありがとうございます。いやー、すっきりした(笑)。また報告に伺います」 ●是非! 今日はどうもありがとうございました。 ■このほかの清水國明さんのインタビューもご覧ください。
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■芸能界きってのアウトドアズ・マン「清水國明」さん情報
『釣戦記(ちょうせんき)~ブラックバス琵琶湖リリース禁止裁判』
リリ禁ネット
自然暮らしの会
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. SOMETHING TO TALK ABOUT / BONNIE RAITT
(挿入曲) ブラックバス / あのねのね
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M2. SPRING SONG / SUSAN OSBORN
M3. HOLD ON / WILSON PHILLIPS
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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