2003年5月25日
クマ男&写真家・園原徹さん登場 with 坂本昇久さん今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは園原徹さんと坂本昇久さんです。
アラスカの大自然と野生動物に魅了された写真家の園原徹さんは、大型のクマがうじゃうじゃいる場所で平気で写真を撮る人なので、番組では“クマ男”と呼んでいます。そんな園原さんにこの春行なったアラスカ撮影のエピソードをうかがったほか、園原さんと仲が良い、オーロラの写真で知られる坂本昇久さんを迎え、お互いの写真をどう思っているかなどうかがました。自然・野生系の写真家としての、ふたりのバトル・トーク(?)、お楽しみ下さい! ●御無沙汰しております。クマ男と呼ばれる園原さんなんですけど、今年もまたアラスカの方に行かれたということで。 「ええ、厳冬期の撮影で、2月10日から3月終わりまで、行ってきました」 ●1番寒い時期ですよね? 「普通の年だとそうなんですが、今年は異常気象であまり寒くなかったんです。雪が無くてアンカレッジから入るときは土砂降りの雨で、暖かいというか、締まった寒さが無かったんですよ」 ●写真家としては、厳冬期のアラスカを撮りに行ったはずなのに? 「そう、雪はどこ?っていう感じで(笑)、ちょっと寂しい気持ちになってしまったんですけど。雪のイメージの写真が撮りたかったので、その辺は駄目でしたね。雪が無いと水も撮れないんです。雪を溶かして水を作るのですが、それも出来ず、どうしようかな?っていう感じでしたね。気分も盛り上がらないし、テントの中で雪ごいをしていましたよ(笑)」 ●1番寒い時期はもう少し暖かければと思うのに、逆だったんですね。 「逆でしたね。本当に向こうに行って気が抜けましたね」 ●今回の撮影はどういうイメージだったんですか? 「雪の中のオオカミと、リンクスというオオヤマネコを撮りたくて。冬だとまた毛皮がすごい綺麗なんですよ。雪の中にいる動物、これだけは撮って帰ろうって気合いを入れて行ったんですけどね(苦笑)」 ●会うことはできたんですか? 「会うこともできなかったんです。足跡とか糞には出会えたんですけど(笑)、動物そのものには出会えなかったです」 ●そんな散々なアラスカの旅から帰国された園原さんですが、今回で何回目くらいのアラスカなんですか? 「回数ははっきりは分からないですが、ものすごい回数で、通い始めてから今年で15年目なんですね」 ●それでもまだ撮りたい写真や動物が? 「まだまだありますね。場所もありますし撮っていない動物もいっぱいいますので、それを撮るまでは通い続けることになると思いますけど(笑)」 ●残念ながら今回は、毛並みの綺麗なオオカミさんには出会えなかったということでしたが、いつぐらいの季節が動物の写真家としては面白いですか? 「僕は熊が好きなんでよく撮るんですが、熊は冬は冬眠しているので、熊を見るのは春から秋の終わり、冬眠までですね」 ●先日の写真展にもありましたけど、熊の親子の写真、かわいいですねー! でもあれ、相当アップでしたよね? 「アップでしたね、あれは結構近い所、15mから20mとかそれくらいの距離で撮っていたと思います。望遠レンズは使っているんですが、あのくらいの写真だと近づいて撮らないと撮れないですね」 ●でも子供が一緒にいる母親って、普通以上に警戒心が強くなっているじゃないですか。危険とか無かったんですか? 「あの熊の場合は、2週間くらい近くでキャンプをして、ずっとその熊を見ていたんですね。だんだん慣れてきて、それで認識していたんでしょうね、割と近づけたんですね。いきなり会って近づいて撮ろうとすると、大変な事になっちゃうと思うんですけど(笑)、徐々に観察しながら間合いを詰めていきますね」 ●園原さんが撮られる熊の写真って、熊さん達が人間っぽいですよね? 園原さんが熊に魅かれる理由もそういう所にあるんですかね? 「熊って獣だけど、獣じゃない感じで、すごい人間っぽいところを感じますね。僕はでかい動物が好きだったので熊が好きだっていうのもあるんですが、かわいいし、何とも言えない魅力がありますね。おっかない所も好きだし、かわいい所も好きだし」 ●カメラマンの方って、シャッターを押される時って、例えば人間のモデルさんを撮る方は「カワイイよ!綺麗だよ!」って声を掛けながらシャッターを押すじゃないですか。このフリントストーンのゲストの方で野生動物を撮るときにも、「カワイイよ!綺麗だよ!」って言ってシャッターを押されるって方がいらっしゃたんですが、園原さんの場合はどういうことを考えながら撮ってらっしゃるんですか? 「やっぱり、声を掛けるようなときもありますね。でも一応、静かには撮っていますけど、心は声を発していると思います、『素敵ね!かわいいね!!』って(笑)」 ●本当ですかー? でも難しいですよね、相手が動物だと。 「そうですね、話しかけても言葉が通じないし、ポーズもとってくれないし」 ●だからこそ、良いシャッターチャンスで、良い写真が撮れたときの達成感というのがすごいのでしょうね? 「もう、たまんないですね。早く現像してみたいなって。『撮れたぞ!』っていうときは大体分かるんですね。そういうときはカメラの裏ぶたを開けてフィルムを見たくなっちゃうんですけど(笑)」 ●(笑)。それやったら駄目ですよね。今まで撮った中で「これだー!この1枚は絶対に誰にも負けないぞ!」て思える写真って、どういうのがありますか? 「僕がすごく好きなのは、ムースっていう、へら鹿がいるんですけど、それの交尾の写真ですね。何年もかかったんですけど、それを撮ったときは『これは撮れた!』って思いましたね。帰ってきて現像したら本当にイメージ通りの写真で撮れていたので、『やったー!』って。その後よく、雑誌とかで使っていますけど、なにしろ交尾の写真だもんですから・・・(笑)」 ●でもそういう写真って、なかなか撮れないですよね? 「その瞬間っていうのは、なかなか難しいですね」 ●この先、まだ撮れていない、これは絶対に撮りたい写真って何ですか? 「熊の交尾の写真も撮りたいですね(笑)」 ●(笑)。交尾にこだわっていらっしゃるんですか? 「いや、そうではないんですけど(笑)、生命が誕生する大切な瞬間なんで、撮りたいなって思っちゃいますけど。次はそれを撮りに行こうかな、と」 そして、今回は園原さんと御一緒に、仲良しのオーロラ写真家、坂本昇久さんも遊びに来て下さったんです。後半は坂本さんもお迎えし、自然・野生系の写真家として活動してらっしゃるのお二人のトークに花が咲きました。 ●こんにちは! 坂本「どうもー、また来てしまいました」 ●お二人はとても仲良しなんですね? 園原&坂本「そんなことないですよね」 ●(笑)。実は園原さんのことを御紹介してくださったのは、坂本さんなんですよね。アラスカで写真を撮っているお二人なんですが、イメージとしては、坂本さんはオーロラ、そして園原さんは“空”ではなく“地”で動物っていうイメージなんですが、お互いの領域が少し違うから仲良しでいられるんですかね? 坂本「そうですね」 園原「そうですかね?」 坂本「あれっ? そ、そうだと思います。だから彼にはオーロラは狙って欲しくないって思うし、僕も動物を撮るんですけど、彼の写真を見ると『参りました』っていう感じで、注がれているエネルギーが明らかに違いますし、一目瞭然、動物の写真は並べて置きたくないですね」 ●でも私、坂本さんが撮られた動物の写真も結構好きですよ。園原さんはどう思いますか? 園原「ああ、見ると安心するんですよ」 ●あ、安心するんですか(笑)? 園原「そんなことないですよ、とってもいい写真で(笑)」 ●逆に園原さんは、オーロラの写真は? 園原「撮っていますけど、まだまだ、かなわないなって」 坂本「結構ね、鼻で笑われちゃったりするんです(笑)。お互いに鼻で笑って、がんばれよ!っていう感じですね」 ●園原さんはアラスカに行かれると、シンプルに雪を溶かして水を採って小さいストーブを使っているのに、坂本さんは最近ではプロパンヒーターなんですよね? 坂本「もう快適なんですよねー」 ●どうなんですか、そういうのって? 園原「良くないんじゃないですかねー(笑)。ノリちゃんもだんだん歳をとってきまして、寒いのが辛くなるとヒーターを持ち込んだり、アフリカに行っちゃったりするんですね(笑)」 ●アフリカも行かれたんですよねー。シャッターを押す指がすごく動くって喜んでらっしゃいましたもんね。 坂本「Tシャツで写真を撮れる機会ってあまりないのでね。カナダやアラスカも夏は蚊がすごいし」 園原「僕は夏もTシャツで写真撮っていますよ(笑)」 ●その辺が“クマ男”と園原さんが呼ばれる理由? 坂本「そう、僕の方が繊細なのかなって(笑)」 園原「そうですかねー」 ●2人ともアラスカで写真を撮っていらして、一緒に飲んでいて花が咲くアラスカ話って、どういう話なんですか? 坂本「結構、その状況、成果によって浮き沈みがあるんですね。今回は自分の自由な時間が少なかったんだよね?」 園原「ちょっと仕事がありつつ撮影をしていたので、そういう部分もあったかもしれないですね。それと、雪の無さね」 坂本「あと、一つのことに集中しないとそれなりのものにしかならないですね、僕もそうですし。あれも、これもってなると、それが作品に表れるんですね。見るとすぐバレちゃう。慌てて撮ったなーとか」 園原「よく、そういう話を、フィルムを見ながら酒飲みながらしていますね」 坂本「そしてすぐにバレますね」 園原「バレちゃうし、正直に何でもストレートに言えるから、逆に勉強になりますね。良いことも言ってくれないし」 坂本「そういうのを気付かせてくれる人間も、そう多くはないですからね。普通の方に写真を見せると『きれい!すごい!』で終わっちゃうんですけど、良い意味であら探しをしてくれるんで、光やピントの感じとか、言われて次につなげられる、気を付けられる、そういうステップを踏められるのでね」 園原「酒を飲まないでそういう話ができると、もっと良い(笑)」 坂本「(笑)。このクマ男はね、酒持参で来ますからね。鮭じゃなくて(笑)」 ●エー(笑)? そしてお二人の今後の目標を、それぞれお伺いしたいんですが。 園原「これからカリブーっていうトナカイの大群を今年は撮ろうかなと思っていて、北極海沿岸まで出掛けます。数十万頭の群れに出会えればいいなっていうのが、今年の1番のメインの目標ですかね」 坂本「僕は、オーロラも含めてなんですけど、今回は雪が降ってお手上げの時があったんですけど、そこで雪の結晶を撮り始めて雪の日にもやることが出てきたというか、それがすごい世界になるんですね。オーロラの国でこんなに綺麗でそれが白い世界を作っているというのを、全体的に見渡せるような作品作りをしていきたいなと思っています」 ●2人とも、まだまだこれからもアラスカ通いは続くと思うんですけど。でも坂本さんはあまり動物は撮らないんですよね? 坂本「もう、彼を超える熊を撮りますよ!」 園原「おっ!?」 ●言っちゃいましたよ! 園原「言っちゃいましたねー」 坂本「でもねー、彼の撮り方をしていたら僕は命が無くなると思うな。やっぱり間合いとか分からないですし、2週間かけて熊との距離を縮めるって、僕はそこまでエネルギーを注げないだろうなって思うから、ある意味彼の写真で満足させてもらっているというか」 園原「僕はオーロラを撮り続けますよ(笑)」 ●お互いに、これはもしかして良い線いっているかも的なのがありましたら、2人で飲んで批評しあう前にこのフリントストーンに持ってきていただいて、そこで初めて2人で見せ合いっこしたり、番組のホームページに載せて皆さんの御意見を聞くとか、批評していただくとか、そういうのもやれたら楽しいかなって思うんですけど。 坂本「お互い批評しあうんですね、番組を通じて」 園原「怖いですねー(笑)」 ●私もそこで証人にならさせていただきたいなって。 坂本「じゃあ、これは!っていう自信作があったら、ぜひ持ってきたいですね」 ●園原さんは、また近々アラスカの方に行かれるということですが、今度こそ、思い通りの写真を撮って来てくださいね。 園原「そうですね、今度こそ決めてきたいと思います」 ●また番組のほうにも来ていただいて、お二人の楽しい話をたくさん聞かせて欲しいと思います。今日はありがとうございました。 |
■動物写真家・園原 徹さん情報園原さんがアラスカで撮影した写真は、カメラ専門誌『日本カメラ』の7月号に、「アラスカ・ワイルド」というタイトルで掲載されるそうです。どんな野生の姿が写し出されているか、楽しみですね。 また、園原さんは、8月には、八王子の「夕焼けこやけ ふれあいの里」で写真展を開催します。詳しい日程などは、近づいてから改めてご案内しますので、こちらもお楽しみに。 ■オーロラ写真家・坂本昇久さん情報坂本さんの方は、以前にもご紹介しましたが、オーロラの写真集『天の衣・夜の破片(かけら)』、そして『オーロラ夜想曲(やそうきょく)』の2冊がいずれも「大和書房」から発売されています。2冊そろえて完結するオーロラ写真集の決定版、皆さんもぜひライブラリーに加えて下さいね。 ・坂本昇久さんのホームページ:http://web.me.com/auroraphoto/Aurora_Photo_Gallery/Home.html |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. PHOTOGRAPH / DEF LEPPARD
M2. I STILL HAVEN'T FOUND WHAT I'M LOOKING FOR / U2
M3. CAMERA / CROSBY, STILLS & NASH
M4. HAVE YOU EVER SEEN THE RAIN / CREEDENCE CLEARWATER RIVIVAL
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M5. THINK FOR YOURSELF / THE BEATLES
M6. YOU'RE A FRIEND OF MINE / CLARENCE CLEMONS with JACKSON BROWNE
M7. LIFE IN A NORTHERN TOWN / DREAM ACADEMY
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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