2003年6月1日

山村レイコさんと“レイコ田んぼでの田植え”の巻

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは山村レイコさんです。
山村レイコさん

 国際ラリー・ライダー、そしてエッセイストとして、テレビ、ラジオ、雑誌、イベントなどで幅広い活動をされている山村レイコさんは、お米の自然栽培“アイガモ農法”などにも力を入れてきました。そしていよいよ今年は、田んぼを耕さない自然農法“不耕起農法”で米作りにチャレンジするそうです。
 今週は、そんな静岡県富士宮市にある山村さんの“レイコ田んぼ”を訪ね、実際に番組スタッフが全部手植えによる田植えをお手伝い(?)しながら、山村さんに自然農法のことやお米栽培の楽しさ、難しさなどうかがいました。

レイコ田んぼ・看板

●“レイコ田んぼ”に来ちゃいました!

「いらっしゃいませ。やっと来てくれたわねー。なんとか天気もいいしね」

●ねー。ずっとこの田んぼでやってるんですか?

「ここは3年目。その前の2年は“アイガモ農法の会”というのがあって勉強してました。そこは共同でみんなでやってたんだけど、ここは土地をお借りして“レイコ田んぼ”としてやっています」

●どうですか、この3年間は?

「面白いですよー。もう本当に色んなことがありまして、田んぼを借りるところからドラマは始まっているので。なかなか土地を貸してくれる方っていないんですよね、だから駆けずり回ったんですよ。そんな中、今は師匠と呼ばれている米山さんという方がいて、郵便局の方なんですが、農業もやってて顔が広い。その米山さんも探してくれて、ここの地主さんを見つけてくれて、やっと借りれたんです。
 その後、本当は究極の自然農法を目指しているんですが、勉強だからとにかく全部の方法をやったんですよ。最初は機械と手植えをやって、無農薬でアイガモをやって、去年は機械を限りなく減らして刈るのも手でやって、天日で干すとかね。
 3年目の今年は、ついこの間、カモをやめることになったんですよ。それには2つ理由があるんです。水の中を覗くとあまりにも宇宙が素晴らしいんですよ。もうタニシやオタマジャクシ、ゲンゴロウ、ドジョウとか、小さな微生物がうじゃうじゃいて、コスモって感じだったの。でもカモを入れると全部食べられちゃう(笑)。不耕起農法でこんなにいい宇宙ができたのにもったいないなというのと、もう一つは、自分がアドベンチャーレースに凝っていてトレーニングをしないといけないので、カモをやっていると、毎日カモの事だらけ、カモに何かあったらピクピクっていう感じで(笑)、仲間の意見もあって、やめましたね。そんな感じで毎年動きがありますよ」

田植え中

●ところで、その不耕起農法ってどういうことなんですか?

「最初に自然農をやりたいと思った時に読んだ愛媛の福岡さんの本で、耕さないし、農薬も使わない、雑草もとらないという事で、すごいショックを受けたんです。自分でやるんだったらそういうのをやりたいと思っていて、畑はそれでやっていたんですよ。そしたら大成功だったんですね。
 何も手をかけないほど自然のパワーそのままでいくということが分かったし、田んぼでもどうなのかなと思っていたんだけど、稲を刈って水を張って柔らかい土のままにしておくと、そこで稲の稲藁が枯れながらすべてのものが完璧に100%の状態で保たれるんですね。うちは2ヶ月前くらいに水を入れたんだけど、そこに水があることで微生物も動き出してますね。
 農家にとっては、耕す方が時間とか全てにとって都合がいいんだろうけど、実は不耕起農法でも何も変わらなくて、実は耕さないから眠っているヒエとか雑草の種もかき回されないので、雑草が少ないんですよ。柔らかい土のままで保たれて、稲を残していくという考え方なんですが、楽ですね。今までは農機具、田植え機も耕耘機も借りてたんですが、それもいらないということは買わなくて済むわけだし」

●なるほどねー。今年は何種類くらい植えるんですか?

「6種類かな。普通の短幹コシヒカリともち米の黒米が多いですね。あと、黒米の違う種類、赤米、緑米が2種、タイ米、そして香り米、あっ10種類近くもある(笑)。どっかに旅に行くと、お米をもらうんですよ。でもそれはすごく大変な事なの。例えば私の所の黒米も、師匠の方が一握りの黒米を自分の田んぼで広げて、やっと私とかにあげられるようになったものなんですよ。その、最初みんながもらったのは一握りだったのが、こんなになった、育てるということ、流通がそんなに無いので、自分のところでお米の籾を使って毎年たくましいものにしていくというのが感動的じゃないですか。だから色んな人の真心がこもったものなんですね」

●みんなの愛が広がっていってるという感じなんですね?

「そう、しかもそれが強い。本当にものすごい生命力。さっきも自然に発生した黒米の葉があったんですよ。すっごい元気なの。3倍くらい太いの。耕さないから株が残っていてそこから生えてくるんだけど、育苗箱で育てたものよりよっぽど素晴らしい。生命力ってすごいですよね」

●田植えとかで田んぼにいると、本当に自然の生命力をいやでも実感させられますね。

「そうですね、何が必要で何が余計かとかね。時間の流れも違うじゃないですか。ここが大好きでしょっちゅう来るんだけど、ボケーッとしながらヒエをとってるだけでもいろんなことを考えるし。でも、考えることの基本が土っていうのがいいよね。そこに触れながら何かを考えると、邪(よこしま)な考えが浮かばないっていうか、普通の正しい考えになるような気がするんだけどね(笑)」

レイコ田んぼ・カブスカウト

●今も、全員こっちにお尻を向けてズラーっと並んでいますけど、かなりの人数ですね?

「カブスカウトの子達も入れると100人近くになっているね。いつも大体100人。不思議ねー。別にお金を払ってやるイベントじゃなくて、『おいでー』っていうノリで、下手に植えてると怒られるっていうのに(笑)」

●手伝いに来たのに怒られる(笑)。今年はどんな感じですか、おいしいお米ができそうですか?

「いいんじゃないかなー。“レイコ田んぼ”って言ってるけど、“レイコの”ってことでもないし、できたお米は“ありが稲(ありがとう)”っていう名前なの。オシャレでしょ(笑)。そういう感じで、みんなが来てくれて、みんなでそれぞれの思いでやってくれるから育つんだと思うんですよ。植物って目をかけると違うじゃないですか。声や愛情をかけるとすくすく育つというのが分かっているので、関わり合うということじゃないかなーと思うんですね」

山村レイコさん
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スタッフも田植え

 さて、フリントストーンのスタッフもお手伝いした“レイコ田んぼ”。広さは水田2反(600坪)程で、きれいに晴れれば目の前に富士山が望める素晴らしいロケーションでした。素足や地下足袋で泥の田んぼに入り、手で丁寧に、丁寧に、一定の間隔(約30センチ)で植えていく地道な作業。慣れない中腰の姿勢は翌朝以降の筋肉を悩ませましたが、意外にも水面を渡る風と泥の感触がヒンヤリ気持ち良く、貴重な経験でした。
 そんな中での田んぼレポート、ここでは“レイコ田んぼ”の師匠である、米山さんのお話を御紹介しましょう。

●師匠、伺わせてください! どうですか、素人さんがやった後って、植え直さなきゃいけないっていうのをよく聞きますけど?

「要するに、地面に根っこがささっていればいいんですよ(笑)。そうすれば自然に根が張るんです。植えるのは補助的なことで、苗が田んぼにあれば自然に根が張るんですよ。見たときにはちょっと心配ですけど、1週間や2週間すると同じになるので。ただ、位置がずれてますけどね、稲の生育にはそんなに心配ないです」

田植え中

●こうやってたくさんの方が参加されて、みんなすごく真剣で、すごく楽しそうですね。

「そうですね、だから自然に慣れ親しんで、いろんな生命力の強さとかを経験できますので、植物も動物も生物にはかわりがないし、いいと思いますね。同じ苦労するなら楽しいほうがいいですからね。なるべく楽しんで、なおかつ収穫も多ければいいんだけど、その点はちょっと難しいんだけどね。楽しんだ分だけ収量が少なくてもいいと思います」

●そんな収穫も楽しみですね。

「楽しみですね。今までもかなりいい線を行ってますし、今までの経験でやってきた、いろんな化学的な稲作りは、日本は世界的に見てもかなり進んでいるんですが、そういう面を追わないという点、ある程度自然の楽しみ方、インパクトを与えるとか、そういうのが大切だと思います。周り近所を見ると確かにきれいに植わっていますよ。収穫も多いと思います。でも手間も、お金も肥料や消毒でかけて、収量がどのくらいあるか。逆に手を抜いて、手を抜いてって言い方悪いか(笑)、楽しんで、収量がどのくらいかというのをプラスマイナスしてどっちがいいかというのは、考え方がいろいろあるけど、楽しみと、自然の環境に優しかったというのについては、よっぽどこっちの方が価値があると思いますね」

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山村レイコさん

●田んぼは1日で終わるわけではなく、年間を通して、これからも作業が続くと思いますが、それ以外に山村さんがハマっているものがあるらしいですね?

「あるんですよ。アドベンチャーレースって御存知ですか? あれって面白いんですよ。最初にニュースとして私の耳に入ってきて、パリ・ダカールのプレスの人達、カメラマンとか、取材に行った人達から聞いたんですが、パリ・ダカールの肉体版ということで、良く知らないのに聞いた途端にやろうと思ったんだけど(笑)。長いし、いろんな競技があるし、それも全部肉体を使ってということで、これは私に絶対に向いているなと思ったんですね。
 1回はちょっと縁があって、アウトドアの木村藤吉さんと組んでボルヴィックトロフィーというフランスのレースに出たんですよ。そしたら、それがハマっちゃった原因なんですけど、もう全部オリンピック選手だったの(笑)。でもそういう人達がいっぱいいる中で、世界7位になっちゃったんですよ。すごいでしょー。
 例えば柔道のデュイエ選手もすごいのに、カヌーで沈んじゃうんですよ(笑)。女子マラソンのオリンピック選手は、乗馬で落馬しちゃうんですよ(笑)。フェンシングのフランスのチャンピオンは自転車の下りのダウンヒルで転がっていっちゃったし、みんな得意不得意があってそれがすごいおかしくて。私は、まんべんなく何かを好きだったというのがあるので、程々に行って、世界第7位というね、『やったー』っていう感じで。
 それからはパリ・ダカールの本当の完走というのがその年にあって、そこから4回5回とラリーが続いて同時には難しかったんだけど、自分の中での自然観が変わってきたときに、車も大好きだしまだやりたいと思うけど、肉体と自然を遊ばせていきたいというのがあるんですね。やるって言ったら徹底的にやるのが私のやり方なので、追い込んでいって、何とかしたいなと思って。今年は外国にも行きたいと思っているけど、まずは日本で1番過酷なものに出ることになって、あーびっくりした(笑)。なので、今年は伊豆アドベンチャーレースと、グアムでもレースがあるので、それだけは選ばれなくても行こうと思ってるんですよ」

●今年の大きな目標は、そのアドベンチャーレースと、田んぼの成功?

「そう、両輪でね。大げさに言うと、私の人生の大きな目的というのがあって、誕生日占いに書いてあったんだけど、当たるんですよ。『あなたに足りないところは、人に任せること』って書いてあったの。それを読んだときにすごくショックで、やり始めた時は任せきれないんだけど、なんとか任せるかって言える時だったんですよ。じゃないと、今まで全部自分でやりたがっちゃって、楽しいからやっちゃうし、人が育たないというのがあったのね。でも今はこうして、ほら、あんなに一生懸命植えてくれる、私はこうして日陰で(笑)。これが前はできなかったわけで、もっと力を抜いても大丈夫なこともいっぱいあるし、死ぬ気で行くときは行くし、そのメリハリが付けられるようになって、これが大人というものなのねっていうのがやっと分かるようになってきました、私も」

●今年はフリントストーンも何度となく山村さんを見守りながら、応援しに伺ったり、こちらにも手伝いに来たりしますね。

「やっぱり稲刈りをして、それを食べて、食べながらっていうのをねー」

●いいですねー。ここでホクホクのおにぎりなんかにしながら。

「悪いけど、世界一うまいっすよ(笑)。本当においしんだってば」

●(笑)。じゃあ、それを楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

■このほかの山村レイコさんのインタビューもご覧ください。
田植えに参加したみなさん

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■国際ラリー・ライダー、エッセイストの山村レイコさん情報

 人生をエンジョイしている山村さんは公私に忙しい! そんな山村さんの最新情報、田んぼ情報などは、山村さんの公式ホームページ『フェアリーテイル』に掲載されています。ぜひ覗いてみて下さいね。
フェアリーテイル:http://www.fairytale.jp/

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. WILD WOMEN DO / NATALIE COLE

M2. GOOD FOR ME / AMY GRANT

M3. YOU'RE NOT ALONE / CHICAGO

M4. LITTLE DARLING ( I NEED YOU ) / DOOBIE BROTHERS

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M5. NATURALLY / HUEY LEWIS & THE NEWS

M6. HAVE A NICE DAY / STEREOPHONICS

M7. YOU CAN GET IT IF YOU REALLY WANT / JIMMY CLIFF

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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