2003年12月28日
ザ・ベスト・オブ・ザ・フリントストーン2003
12月最後の放送は毎年恒例、番組の1年を振り返る「ザ・ベスト・オブ・ザ・フリントストーン」。今年も50名を超えるゲストの方々にご出演いただきました。いつもなら、特に記憶に残るコメントをテーマごとにまとめてお送りしていましたが、今年は初めて季節ごとに振り返りながら、ゲストの方がこの番組に残してくださった貴重なコメントを改めて御紹介します。
★ ★ ★
まず、1月19日に出演頂いた東京大学・生産技術研究所の安井至先生。安井先生は雑誌「日経エコロジー」で、色々なヒット商品をエコの立場で分析するエコミシュランというコーナーを担当されているのですが、そんな安井先生の環境に対する考え方が興味深いものでした。 安井至先生2003.01.19放送「みんな環境、環境とは言いながらね、やはり若干は外からエネルギーを買い、食料を買うだけの経済的能力を日本が持っていないと、日本人って飢え死にしてしまう構造になっているわけですよ。ですからある程度の経済活力というものは必要だなという感じがして、その範囲内でどれだけ環境に配慮するかというのははっきり言って綱引きみたいなもんで、全部右って言えばいいもんじゃないし、そのどのくらいのところでバランスとるのか、まさに天秤のさじ加減、その秤をどのくらいでおさめるのかという問題なんだと思いますね。経済の規模がゼロに近いとき、要するに何もやっていないときは、当然だけど環境はキレイなわけですよ。ところが、だんだん経済の規模が拡大していくと、環境に対する負荷みたいなものがどんどん大きくなって、汚い空気や排水を出してだんだん汚れていくんですね。それが日本の場合では1970年ごろ起きて水俣病なども出ちゃったわけですけど。そして、さらに経済が発展するとだんだん良くなるんですよ。これは環境に配慮するだけの経済的余裕、すなわち心理的余裕が出来て、“やっぱり人間、命を大切にしなければいけない”ということになってくるのもあると思いますが。でも、特に環境の場合では時間が長いじゃないですか。500年先っていうものを本当に考えられるのかっていうと考えられないんですよ。そういう中で、今をいかに生きて、あとせめて500年くらい先のことを考えようよ、というのが今言っている話なんですよね」 続いては桜美林大学名誉教授の三島次郎先生です。自らを「街角のエコロジスト」と呼ぶ先生の環境観を、どうぞ。 三島次郎先生2003.03.16放送「例えばある街でツバメがいなくなったから、ツバメを取り戻そうという方がいらっしゃったとして、どうしたらツバメがこの街に帰って来るのか?と。で、いろんな研究をして巣作りの場所も無い、車が喧しすぎる、その他理由が色々挙げられる中で、餌があるだろうかと。そうなるとツバメの餌は何か?って考えなくても、御承知のように生きた昆虫を食べていると。たくさん蛾が集まったのに、今はいなくなった。“そうだ、この街にツバメの餌がいなくなった”と言ってツバメを呼び戻す会の人達が街角とかに汚物を置いて、ハエが出るように、なるべくツバメが喜ぶように、毛虫がたかるような木を植えたら、呼び戻せるって多くの人が言ったけど、虫を増やせとは誰も言わなかったと。でも、よくよく考えてみるとツバメが生きていくためには虫がいないと生きていけない、これはトンボもカエルも同じですけど、それじゃあツバメが食べる虫がいても共存しようと。1枚の網戸が、昔だったら蚊帳が、自然と虫との共存を上手くやってきた。皆殺しにする必要はないだろうと。そうすると全体が上手くいくと。私達が好きなものだけ大切にするとそれはとても不可能だと」
さて、「ザ・ベスト・オブ・ザ・フリントストーン2003」、92年4月に始まったこの番組が、今年4月に12年目に突入!
★ ★ ★
そんな春のザ・フリントストーンの中で今回再度ご紹介したいのは、女優・市毛良枝さんです。市毛さんは山に行っているうちに自然観が変わってきたと、こんなお話をして下さいました。 市毛良枝さん2003.04.27放送「所詮、人間も動物なんだっていう気がするんです。動物というよりか地球の一部、自然の一部、宇宙の一部で、そのサイクルの中の一つでしかないということを、山に行ったりすると素直にそう思えるんですね。まさにそのサイクルの一つなんだ、と思うと「虫が嫌い」って言っても“同じじゃないの、私とあなたは一緒ね”っていう感じなんですね。すごい極論すると、人間って細かくしていけば分子だ、原子だの世界でみんな同じもので構成されているわけじゃないですか。だから突き詰めて考えて、みんな同じだと考えると、もう動物でも“ヘビやカエルが嫌いだ”と言っても、同じものを嫌ってもしょうがないという感じなんですね。そう思うと人間も“あの人嫌い、苦手だな”と思っていたのも、あまり関係なくなってきて、全部一緒、所詮地球の一部ねっていう感じになっちゃったからなのかなと思うんです。自然も、風や嵐も同じだなって思うんです。もちろん、自然は怖いですけどね」 さて、5月には(当時)林野庁長官の加藤鐵夫さんにご出演いただき、行政から見た森の価値についてうかがいました。 加藤鐵夫さん2003.05.18放送「日本学術会議において森が持っている多様な役割を検討してもらい、経済的な価値で見直していこうという議論を出したのですが、実は森の多様な価値というのは我々が考えている以上にいっぱいあるのではないか、すべてあげるのは容易ではない、もう一つの経済的な価値で考えても森をすべて把握できるわけではないし、把握できない価値の方がずっと大きくてそちらの方が大事なので、やはり森で触れて感じていただいた中で考えていただくのが必要だと思うんです。そういうことを含めて森の多様な価値について理解をしていただきながら、森が本当にかけがえのないものだということを我々ももっと考えていかなきゃいけないし、国民の方々も感じていただいて行政にもぶつけていただければありがたいと思います」 森の価値といえば、オークヴィレッジの代表で木工芸家、作家の稲本正さんのお話で実感することが出来ます。稲本さんはアマゾンの奥地で森を再生するプロジェクトを推進中です。 稲本正さん2003.04.13放送「地元の人達のやる気はもちろんあるので、僕は少しずつ関わっていきたいですし、日本人がアマゾンの奥地を手伝うのは向いていると思いますね。ヨーロッパとかアメリカの人達は超近代的な発想だけど、日本人は里山という発想を持っているから、自給自足しながら少し里山的に木を植えたり作物を作ったり、その木で家を造ったりというのは向いているんじゃないかなと思ったね。アマパでね、最後に僕は講演したのよ、それで講演の締め括りに、締めの一言って言われて何て言おうのかなって思ったんだけど、日本語訳で“どんな大きな木も、一粒のドングリから”という言葉があるんだけど、それを言ったの。そしたらみんなスタンディングで拍手をしてくれて良かったんだけど、『あなたね、種を植えたんだから、大木になるまで面倒を見て下さいね』って言われてさ、絶対に最低1年に1回は来て下さいって言われて(笑)」
今年前半のエポック・メイキングな出来事としては、まず、快適生活研究家の田中ケンさんがプロデュースするオートキャンプ場、オープンエア!フィールド軽井沢高原に番組専用のキャンプ・サイトをゲットしたこと。
★ ★ ★
その年、最も関心のあった環境ニュースについてのアンケートを集計した環境ニュース2003が、今年も財団法人・日本生態系協会から発表されました。
★ ★ ★
今年は天候の不順で夏らしい夏がなかったんですが、それでも学校ビオトーブの取材を行なった稲毛第2小学校の子供達は元気でした。元気といえば、7月にお台場で開催された地球元気村。風間深志さんと宇崎竜童さんのライヴはほのぼぼした雰囲気を醸し出していましたね。また、親子同時エベレスト登頂成功という偉業を成し遂げた、三浦豪太さんをお迎えしたのも7月でした。
★ ★ ★
そんな中で、我がザ・フリントストーンにとっては魂の師匠といってもいい、地球交響曲/ガイアシンフォニーの龍村仁監督には、日本人の根幹にかかわるお話をうかがいました。 龍村仁さん2003.08.17放送「人間は、聖地だと思った場所にお社(やしろ)を建てて御本尊を敬っていくけど、そうではないんです。岩があれば、その岩も神様が宿る場所と言う考え方で、いわば日本の神道と同じ考え方なんです。神道にもお社があったりしますけど、本体は自然そのもので岩や山や木なんです。そういう数千年前からついこの間まで、我々の中にあった考え方、モノと人の関わりの中で生み出される、聖なるものということです。それがどんどん無くなっていっているということは、逆を言えば見る側、そこに関わる側の人間の魂が衰弱しているということで、それを思い出させようという動きでもあるんです」 日本民族を含めて、先住民族の教えの中には、我々現代人が忘れてしまった、自然とのつきあい方が多く含まれています。写真家の高砂淳二さんはハワイ先住民族の語り部、カイポさんから色々な教えを受けたといっていました。 高砂淳二さん2003.08.03放送「例えば、月の癒しとか言いますけど、それはどういうことかって聞いたら、満月の夜にビーチに行って裸足になってみろと。そうすると砂がいつもよりシットリしている。それは月の引力で水分が地面から吸い上げられて地面がシットリしていると。そこに裸足で立っていると、水分や地中のミネラルがそこから入ってくるから癒しの一つになると。ハワイアンは、そういうミネラルを大事にしていて、いろんな石をなめたりもしています。僕もハワイに通いだして、ハワイの昔からの自然観に触れるようになってから、今の人は自然とのバランス感をすっかり失ってしまっていて、全部に命があるって敬って生きる感覚を少しでも思い出せば、もう少しこの世の中が破壊されずに済んでるかなという感じはしますね」 今年は9月1日の防災の日を前に、大噴火による壊滅的被害を描いた小説『死都日本』の作者、石黒耀さんにお話をうかがいました。 石黒耀さん2003.08.31放送「小手先の表面だけを取り繕うっていうのは、もう誰が考えても限界ですよね。なのに、東海地震のプレートの上に原発ができて、さらに新しく造るという話まである。この国の科学教育はどうなっているんだっていう(笑)。何かがおかしいと思いますね。特にこの本の中でも、原発の被害だけはなんとか食い止めなければいけないということで苦労したんですけど(笑)、そういう事が起こってしまうと1万年間は汚染され続けるわけですから、そのやり直しが効かなくなってしまう。リセットどころか、ゲームオーヴァーになってしまう。特に原発、エネルギー政策など、そういうものに関しては、2年以内くらいに考えて方向を転換しないと、本当にゲームオーヴァーになってしまう可能性がありますね」
さて、今年、10月12日で無事600回放送を迎えることが出来ました。そこで自分達へのご褒美も兼ねて八ケ岳山麓に出掛けて行き、久々にシェルパ斉藤さんや森住みのものかき・加藤則芳さんのお宅にお邪魔してお話をうかがいました。
風間深志さん
●風間さーん!
●(笑)。日本に戻られたら、横で見ていた浅井さんからの冷静な分析でレースを振り返りたいと思いますので、その時はまたよろしくお願いします。風間さんも本当に気を付けてくださいね。
通称パリダカ、正式には「テレフォニカ・ダカール2004」に出場する風間深志さんにフランス・マルセイユからお話をうかがいました。 |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. HOPE, PRAYER & TIME / JULIA FORDHAM
M2. PLANXTY MAGGIE BROWNE / 亀工房
M3. SEVEN SEAS OF RHYE / QUEEN
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M4. WASTING TIME / JACK JOHNSON
M5. ACCIDENTS WILL HAPPEN / ELVIS COSTELLO
M6. UNDER AFRICAN SKIES / PAUL SIMON
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
|