2004年1月11日
「夢」月間・第2弾!
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは坂本小百合さんです。 |
2004年1月の「ザ・フリントストーン」は夢をテーマにお送りする「夢」月間。今週はその第2弾です。
千葉県市原市にゾウ9頭を含む、110種約400匹の動物たちが暮らす私設動物園・市原ぞうの国があります。同園の園長・坂本小百合さんは全国の動物園などにいる年老いたゾウを引き取り、彼らのついのすみか「勝浦ぞうの楽園」造りに力を注いでいます。そんな坂本小百合さんを同園に訪ね、ゾウの楽園を造ろうと思ったきっかけや現在飼育しているゾウたちのこと、そして夢についてうかがいました。
●私達は千葉県市原市にある動物園、市原ぞうの国にお邪魔をしているんですが、目の前にはゾウさん達、後ろにはラクダさん達がいて色々な声を出してくれていますけども、こちらの動物園は開園して15年ということなんですけど、今はどれ位の動物達がいるんですか?
「今は大体110種類400匹くらいですね」
●こちらは私設なんですよね?
「ええ、私の動物園です」
●大変じゃないですか?
「もう死にそうですけど(笑)、結構楽しくやっていますよ」
●元々は動物プロダクションとして始められたものが、動物園になったんですね?
「そうですね。動物プロダクションで動物のスターが色々出まして、それを見にいらっしゃる方が増えてきたんですよ。私も20年ほど前にこの土地を求めまして、子供達に動物を触らせてあげたいっていう所からスタートしました。最初は道路もないし檻もないし、その辺に馬がつながれているという状態で始めたんですね。そこからどんどん年々歳々大きくしていきまして、ようやく今このような形でお客様もたくさん来て下さるようになったという感じですね」
●今もワンちゃんの鳴き声が聞こえていましたけど、動物園に犬猫がいるっていうのも珍しいですよね ?(笑)
「でも犬もつないであったりすると結構お客さんが喜んでくれますよ。元々プロダクションの頃は何十頭という犬がいたんですけど、今は12頭位ここにおいてあります」
●こちらの入り口でとても印象的なのは、入場券を買うところに餌が置いてあってそこで餌を買ってきて、動物によってはお腹を壊すので餌をあげないでくださいっていう子達もいますけど、基本的には園を訪れた人が好きにあげられる状態が珍しいなと思いました。
「別に全然管理をしているわけではないのですが、お客様の多い日には売る個数を限定しているんですよ。ゾウはどんなに食べても滅多なことではどうにもならないんですけど(笑)、キリンにはみんなが餌を与えたがりますし、あまり食べ過ぎてしまうと大変なので、キリンの場合は1頭しかいないということもあるのでお休みの時間を作って、キリンを中にしまって30分休憩等をさせる場合もあります。ほかの動物は全部あげられます」
●普通の動物園と比べて凄く人馴れをしていますね。
「それはバケツに秘密があるんです(笑)。バケツを持っている人はいい人、バケツを持っていない人は早く買ってもらいたい人(笑)」
●(笑)。先程ゾウさんのミニスターちゃんの前に行った時に、鼻をグーンと伸ばして匂いをかがれて、「なにも持ってないよ」って言ったら「ペッ」と鼻水をかけられて「早く買ってこい !」ってやられてしまったんですが、そういう事なんですね(笑)。
「そういうことですね(笑)」
●坂本さんの夢の通りに、子供達が自由に生き物達に触れられる場所なんですね?
「そうですね。ゾウにこれだけ親近感をもって接することが出来る動物園は、日本ではウチだけだと思っています。ほかの動物園でもゾウの餌やり体験とかをやるようになってきているので、ほかの動物園に住んでいるゾウもちょっとでも『人間』との関わりをもっと親密に出来るようになったら、ゾウ達も退屈しなくていいんじゃないかなと思います」
●本来は目にすることも出来ないゾウさんを身近で見るだけではなく触れるわけですからね。
「ゾウをペットにしたらもうほかの動物はペットにならないんですよ(笑)」
●(笑)。これだけ近くで対面できて接していられるというのは、子供達にとっては楽しいですよね。
「ゾウさんショーの広場までこのゾウ達が全員で歩いていくんですね。もう少しでショーが始まりますので、歩いているところもご覧になれると思うんですけど、歩いていって自分達と同じ地面の高さにゾウがいるんですよ。例えば子供達の身長が80センチくらいだとしたら、目の高さは70センチくらいじゃないですか。そうするとゾウ達の膝くらいの高さなのね。もう見上げたら小山が歩いているという感じだと思うんです。だけど、最初は怖がった子供達がゾウさんショーを見て、ショーが終わるとバケツをもってバナナをあげたい、ニンジンをあげたいとお母さん達にねだる子や、もう一個バケツを買って全部のゾウにニンジンをあげたいって言う子もたくさんいて、結構楽しいものがありますね(笑)」
●一風変わった動物園というよりも、触れ合いの王国という感じですね?
「『どうぞ私の庭に遊びに来て』みたいな(笑)。ウチはおかしくてキリンもゾウもラクダも仲間なんですね。ゾウとラクダが一緒にパレードをしてもゾウも何もしないし、ラクダも何もしないんですよ。牛が一緒でも大丈夫、馬が一緒でも大丈夫。全員でパレードが出来るので、凄く仲間意識が強くて、家族意識が強いんですよ。例えば新しく犬を飼ったとしたら、その犬にとっては大変な環境ですよね。色々な匂いはするし凄く大変なんだけど、犬はほかの犬からちゃんと犬語で『ここはこういう動物がいて、平日の何時と何時にここをゾウが何頭通るけど、そんなものは気にしなくていいんだよ』っていうことを半日でマスターさせてしまうんですよ。例えばどこかの新しいラクダが来るとするでしょ。するとその新しいラクダに、もともと住んでいるラクダが話をして、ロバと馬は話が出来て、ラクダとロバも話が出来るけど、ロバとゾウは話が出来ないけど、ゾウとラクダは話が出来るなんて私は勝手に思っているんですけど(笑)」
●(笑)。見ているとどこか通じるものがありますか?
「ありますね。共通語があると思うんですよ。だから決して敵同士ではないのね。ライオンも下のゾウさんショーの広場で、ライオンも毎日のゾウさんショーを楽しみにしてちゃんと伸び上がって見ているんですね(笑)。ウチのライオンはウチのゾウを襲おうとは全然思っていないはずです」
●『あー、また始まったぞ』という感じで見ているんですね。ゾウさんとは長く接している坂本さんですが、長く接しているうちにお互いの気持ちも通じ合うでしょうし、ゾウって凄く人間に近い感性を持っているように感じるのですが。
「人間以上かもしれない。ゾウを見ていてとても思うのですが、ウチでもゾウが死んだりするんですね。その時にゾウ達がどういう反応をするのかっていうと、ほとんど人間と同じなんですよね。病気になって3、4日具合が悪くて亡くなっていくのがいるんですけど、その病気になったときにそばにいるゾウは身体を触ったりとか色々しているんですよ。普段でもこうやってゴソゴソしているんですけど、その表情が『本当にあなた大丈夫 ? 大丈夫 ? 』っていいながらも元気になる子もいるんです。もう死んでいくっていうのは多分3、4日前から確実に分かっているような接し方をして、一番痛烈なのはその子の瞳孔が開いて亡くなってしまったときで、そういう時は全員で『ウーッ』っていう声を出すんですよね。そしてその声が一段落してしまうとその後は本当に何事もなかったんです。人間って亡くなってしまったあと、私も息子を亡くしたときにもう何ヶ月も何年も時々思い出して、毎日のように泣いてみたりとか色々あるんですけど、ゾウってそうではなくて、死んでしまったって分かったときから、別世界のものになってしまうみたい。バツンときれるみたいですね」
●それはやはり野生のものなんですか。
「多分そうだと思います。運び出されて埋められたりするんですけど、その時は何事もなかったようにしていました。この間の11月27日に残念ながら日本で一番年齢の高かったキクコが亡くなったんですけど、その時は丁度木曜日の休園日の朝、ミニスターがアキコにずーっとついていました。もう亡くなったゾウをケアするのではなくて、残されて長いこと一緒に暮らしてきたアキコに対してミニスターが『私達がいるよー ! 』みたいな感じでずーっとついていましたね。それはそれは本当に凄くて、キクコは生きてその地は踏めなかったんですけど、楽園の墓地を予定していた場所に第1号として埋めたんですね。マミーという5歳のゾウがいるんですけど、お別れの式をしたときに小さいから簡単なのでヒョイと連れていって、お坊さんが拝んでくれたりするときに一緒にいたんです。その後は自然の中で鎖を外して遊ばせたんですけど、もう土をかぶり、木を折り、好き勝手放題ではしゃぎ回って遊んでいましたね。こんな姿をお客さんに見てもらうチャンスを作れたら、それだけでゾウ好きが満足するんじゃないかなって思いますね。コンクリートの中に閉じ込めたくないっていうのが、私の一つの大きな目的なので、勝浦ではそういう所に入れないで、お客さんが歩いていると茂みの中からゾウがポコポコって出て来ちゃうとかね(笑)」
●それが今すでに作っている「勝浦のぞうの楽園」なんですね。
「そう、完璧なゾウの楽園。私の楽園でもあります(笑)」
●そこはこちらのぞうの国みたいな感じでお客さんもいれて・・・。
「お客さんもある程度は入れたいと思っています。それとゾウさんと一緒に山の上の展望台までゾウの背中に乗って20分~30分の行程で登って、山の上でビールを飲んだりティー・タイムをしたりとか、ランチ・ボックスとかあったりという感じで、帰りは階段で下りてもいいし、ゾウ・タクシーで帰ってきてもいいしっていうピクニックをしたいんですね。ただ、たくさんの人が一気に訪れるのではなくて、予約みたいな形にしたいなと思っています。夜もゾウと一緒にいてゾウはどうやって寝るんだろうということを学んでもらったり、ハンモックでゾウの上に乗って落ちちゃったりして(笑)」
●(笑)。ゾウに寝返りなんかうたれた日にはペッチャンコになったりしてね(笑)。でもそうなると勝浦では、アフリカやアジアの本来ゾウが住んでいる場所に私達がお邪魔するような感じなんですね。
「全くその通りですし、もっとそれを再現したいですね。うちのテリーがあと2年もすれば立派な交配が出来るゾウになると思うので、色々な動物園からかけあわせに連れてきたり、オスのゾウを隔離するセクションも作る予定でいて、2年後くらいには出来ると思うのですが、そこにテリーを置いといて、メスにもそのシーズンが来たらそこに2週間でも3週間でも2人きりの世界で置いておく。人工繁殖はとてもいいことなんですけど、やっぱり自然じゃないじゃないですか。だから是非ともそういう形をとりたいなと。
なおかつ日本で暮らすほかの動物園の象が遊びに来られるという目的も持っています。1頭で暮らしているとゾウ語やゾウ同士のコミュニケーションを忘れてしまうんですね。それを死ぬ前に取り戻させてあげられたら素晴らしいなっていう事も考えているんですよ。
ただ、ゾウ自体は各地方公共団体の所有物であるから私がいくら『もう歳をとったからこっちへ来させて下さい』って言っても、なかなか簡単には来られるものではないんですけど、例えばゾウ舎を建て替えることになったとか、もう大きなゾウを飼いきれないから子ゾウに替えたいから、このゾウさんが余生を暮らさせるのにどうでしょう、という感じで色々な所からゾウが集まってくるようになったらいいなあって思っているんです」
これからゾウさん達の演奏会が行なわれます。すでに楽器を吹いていますね。ゾウさんショーがスタートした先程から、後ろのルースター君(ニワトリ?)が元気なんですよね。またゾウのステージの向こう側にはライオンさんも伸び上がって確かに見ています。先程のサッカーをやっていたときにはボールが飛んでくるのでベンガルトラは嫌がっていました(笑)。凄いです。
ゾウさん達は首を振り振り、片足でリズムを取りながら、あっ、踊りながら演奏しているわけですね。ハモニカは野田知佑さんより上手いかも?!(笑)。今ステージの方にお客さんの小さなお子さん達も一緒に加わって、身近に接することが出来て楽しそうに楽器を鳴らしています。イェーイ!
楽器演奏やダンスの他にも、サッカーやバスケット・ボール、お絵書きにお買い物など、なかなかの芸達者ぶりを見せてくれたんですが、ゾウ遣いがゾウさんたちに指示する時の合図は、登山用のピッケルのような道具の柄の方を使って、ゾウのツボを刺激することと言葉なんだそうです。
ちなみに、盛りだくさんで楽しいショーの後には、ゾウさんの鼻で身体を持ち上げられたり、背中に乗って会場を一回りしたり。まさに“触れ合いの王国”といった感じでした。
そんな市原ぞうの国のゾウさんたちはコマーシャルにも引っ張りだこ。例えば、鼻で私を持ち上げてくれたランディという名前のゾウさんは、風邪薬のコマーシャルで藤原紀香さんと共演。他のゾウさんたちも洗剤や、紙おむつ、郵便貯金のコマーシャルなどに出演する売れっ子スターなんです。
●勝浦の方の楽園なんですけど、オープンの予定は?
「はい。今年の5月に私どもの友の会の方達を中心に、2週間ほどシミュレーション・オープンしようと思っているんです」
●もうすぐですね。
「すぐなんですよ。友の会の人だったらウチの経営の仕方とか、私のコンセプトとか色々分かって下さっているはずなので、子供の手をしっかり引っ張って細い道を歩いてくれるだろうし、色々やってくれると思うんですね。ゾウさんに乗るのも慣れているし、ゾウに乗って上の方まで行って、階段が少々危なくてもきっと下りてくれると思うんですけど、一般公開してしまうとそれだけで『危ない』『ああでもない、こうでもない』となってしまって大変だと思うので、とりあえず友の会の人達と作っていって、限定でやっていきたいなと思っているんです。だから今からでも遅くないので、友の会に入って頂ければそういう風にお知らせがいって、やっていけると思います」
●是非番組でも友の会の入会方法とかをお知らせしたいと思うんですけど、でもまずは勝浦の広いところに、このゾウさんたちをパッと放してあげたときの一瞬を見たいですね。
「そうですね。是非、休園日の木曜日に前日に何匹かずつ向こうへ運んでいって、なるべくだったら運べる全員を運んでいって、向こうで一気に放したいというのが私の夢なんです(笑)」
●どれだけ走り回ることか(笑)。
「しょうがないので5匹だけ帰ってきて、3匹だけ向こうに残して5匹は次の日、金曜日のこちらの営業あるので仕方ないんですけど、最初の頃はアキコとサンディを向こうに常駐するスタッフにしたいので、そうすると必然的に乗せて歩けるゾウは一頭になるので、多分ミッキーかヨウコかランディが残って、その子がゾウ・タクシーをやると思います」
●どんどん夢は広がりそうですけど、改めてうかがいます。坂本さんにとっての夢は?
「夢は見るものではなく実現するものでありますと思って、一生懸命実現しちゃいます(笑)。だって夢って続くんですよね。『一つ一つ実現させて着実にやっていってるんですか?』なんて訊かれるんですけど、全然そうじゃないんですよ。結構行き当たりばったりでやれちゃうんですよ」
●じゃあ、とりあえず夢は見るものではなくて、実現させていくものなんですね?
「はい。実現させていくものにして、みなさんも頑張っていただきたいと思います」
●まずは私は広い勝浦でゾウさんと一緒に追いかけっこが出来るように(笑)。
「取材もたくさんしていただかないといけないので、是非またその日にはみなさんで来て下さいね」
●そうですね。次はその楽園の方からレポートをさせて頂きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
■「市原ぞうの国」園長「坂本小百合」さん情報
市原ぞうの国
友の会 会員募集
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. ANIMAL SONG / SAVAGE GARDEN
M2. HOME SWEET HOME / BAHA MEN
M3. PARADISE / SADE
M4. DREAM A LITTLE DREAM OF ME / CHICAGO
M5. AND YOUR DREAMS COME TRUE / THE BEACH BOYS
M6. THE WIND / THE BRAIDS
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M7. MAN ON THE MOON / R.E.M.
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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