2004年2月22日
山村レイコさんを朝霧高原の自宅に訪ねて今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは山村レイコさんです。富士山麓の朝霧高原に暮らす国際ラリー・ライダー/エッセイストの山村レイコさんをご自宅に訪ね、お話をうかがいました。山村さんは仲間達と自宅の敷地内にログハウスを建築中。そこを自宅兼事務所+みんなが安らげる場所にしようと目論んでいます。今回はスペシャル・ゲストとして夕陽評論家の油井昌由樹さんにもご登場いただきました。 レイコさんと油井さんの“なれそめ”●去年、山村さんのご自宅にうかがったときに、レイコ・ランドや新しくログハウスを造るとうかがったので、我々も「手伝いに来ますね」と言いながら今日まで来なかったんですが(笑)、ログハウスが建ち始めていますね。 レイコさん「そうなんです。今まさに真っ最中。良い時に来てくれたわぁ」 ●今回はスペシャル・ゲストをお迎えしております。いつもザ・フリントストーンではコラムで「こんばんは」と入ってくる、この方です。 油井さん「どうも、夕陽評論家の油井昌由樹です。お邪魔しています」 レイコさん「イェーイ!」 ●イェーイ!パチパチ。油井さんは夕陽評論家なので太陽の下でお会いするのは久し振りですよね? 油井さん「いやいや、夕陽ももちろん太陽ですから(笑)」 ●(笑)。油井さんとレイコさんって古くからの知り合いなんですよね? レイコさん「そう、前世からのっていう感じがあるくらい古くからの知り合いです(笑)」 油井さん「前々世くらいね(笑)」 レイコさん「(笑)。何年くらいのつき合いかなぁ。15年くらい?」 油井さん「いやぁ、そろそろ20年くらいになるんじゃないの」 レイコさん「最初はラジオからだったのかな。油井さんの番組に私がゲストで来てっていう」 油井さん「もうその時すでに20年来くらいの感じだったよね」 レイコさん「そうそう。油井さんの紹介で『学校2』の映画にも出てみたりとかですね。一緒に遊んでもらっている感じですね」 油井さん「折に触れて会うことが多いですね」 レイコさん「なぜか、油井さんが海外に行くと私が帰ってくるみたいなことがすごく多いんですよ」 ●すれ違いですか? レイコさん「うん。すれ違いですね」 油井さん「一緒には海外に行ってないねぇ」 ●でもこの丸太小屋を造るにあたり、油井さんにも「是非手伝って」と声をかけていたんですよね? 油井さん「そうそうそう」 レイコさん「実は、お風呂場を自分達で廃材を利用して造った時に、油井さんが最後の一枚の板を打ちつけるということがあったんですよ」 油井さん「タイルを貼っているときにやったよな」 ●富士山が真正面に見えるお風呂場ですよね? レイコさん「たまたま最後の本当に小さな木なんだけど、いらっしゃったときに『じゃあ、俺も手伝うよ』と言われたので、『もうこれしかないんですけど(笑)』という感じで細い化粧板みたいな木をチョンチョンとやってくださったというのがあったので、是非今回もどこかに名前を刻んでいただきたいなということで声をかけました」 油井さん「その時に『なるほど、良い方法だな』と思ったのが、最後の最後だから一番外側の見えるところでしょ。だから使うたびに『あっ、これ』って目立つわけじゃん。だからこのログハウスも最後の最後になにかやろうかな(笑)。このログキャビンはどこまで出来たところなんだ?」 レイコさん「1階の部分は11段の壁が出来ていて、30cmくらいある12インチの丸ログを11段積みました。空も見えていますし、窓も入っていないですし、床も貼られていないし、全行程の10分の1以下だと思います」 油井さん「まだそんなもん?」 レイコさん「うん。まだ棟上げまであと1週間という感じで、そこからの作業が長いし、ログハウスは沈んできたりとか手入れがあったり、途中の家具も自分で作っていこうと思っているので何年もかかる作業のまだ触りの部分なんですよ」 ●今、手伝っても消えちゃいますね? 油井さん「いやいや(笑)。それはそれでいいんだけど、この時期に我々は訪れているわけだから、折に触れて途中でもいいところで来ないとダメだよね」 レイコさん「そうよそうよ」 ●そうか。いいところで刻んでいかなきゃいけないんだ。 油井さん「壁という壁は11段全部立ち上がったっていう感じなんだ?」 レイコさん「そうですね」 ヒノキが「オギャー!」って泣いた?!●このログハウスは木にもこだわっているんですよね?
レイコさん「そうですね。私もこだわりの人生なので田んぼもアイガモ農法やるぞとか、不耕起農法やるぞとか、自分らしさを出したいなと思っているんだけど、ログハウスって考えたときに木を持たせたいと思ったんです。ここは湿気も高いし標高も高いし、雪も降るし厳しい自然なんですよ。そんな色々な条件の中でちゃんと生き延びてくれるのはなんだろうと思ったときに、新月に木を切ると200年持つぞという本を読んだんです。新月といっても毎月色々な日があるけれども、冬の12月や1月だとすごくいいみたいで、その時に切ると木が水を吸い上げていない時期なので、木がストンと切れてくれて、暴れないし割れないし、塗装しなくてもそのまま風化していくというのを本で読んだんです。私は前の自分の母屋を改築したときもとことんエコロジーにこだわったので、今回は何をこだわろうかなと思ったときに、とりあえず新月に木を切ってもらおうと思ったんです。相変わらずエコ配線にしてみたり、今回も出来る限りのことは自分でやるんですが、木に関しては色々なことを学びましたね。
油井さん「すごいよね。単純に12インチとか30cmって言うけど、ここにいるとひとつひとつがもっと太く見えるね。力強いもんだね」 レイコさん「実際、根っこの方はこの何倍もあって、50~70年くらい、長いものは100年くらいあるんじゃないかっていう木なのね。私はその1本1本を120本、カナダからいただいてきたんですよ。私は自分の庭の木を1本も切らないで移植するというのを続けてきて、必ず生命を大事にすると思いつつも自分が生きるために120本も切ってしまったんですが(笑)、木は切ってそこで使うことでまた第二の人生を、野菜やお米と同じように生きていくわけですが、あまりにも木は人間に近いというか、私、木に話しかけて過ごすということもやっているので、この木達と何を語り合おうかという毎日なんです(笑)」 油井さん「ホントだよな。だって例えば1本100年で単純に100本としたって10000年の命だぜ(笑)。すごいよな」 ●感覚として見ていると家に大黒柱ってあるじゃないですか。もう大黒柱だらけですね(笑)。家の主を大黒柱というけれど、その主ばかりに囲まれて語り合っているわけですが、本当に守られている力強さを感じますね。 レイコさん「私、最初に出した本に『東京の森の中にバイク屋さんを造りたい』って書いたのね。いつも“森”っていうのがキーワードであって、この場所も林とか色々あるんだけれど、山に住みたいって思っていたの。木がブワーってコンテナで運ばれてきて、扉が開いたときの匂いとか感覚的なものは『あーっ、ここに森が出来るんだ』って感じましたね。カナダの木だけどここに来て朝霧の大地と溶け合って、ひとつの森が出来るんだなって思ったら、すごく嬉しくて嬉しくてこの木を生かしていこうと思うと、私物の“私”というのはいらないなと思っちゃった(笑)」 油井さん「じゃあそれは公共物なの?(笑)」 レイコさん「そう(笑)。自分の命も大地も全部そうやって見ればひとつの大きなものの中の一部であるし、そういうことを意識させられたっていうのもあるかなぁ。だから建てられたのかなって思うよね」 ●このログハウスを造ったり色々な木を切る中で、チラッと小耳に挟んだのが、色々な木を切っているんですよね?
レイコさん「はい。玄関を開けて一番メインになる木は、カナダのレッドシダーだけじゃなくて、ここから標高1000mくらい上がったところにある2000mの毛無山の麓にある木を使わないと、礼儀というか許されないものがあったんじゃないかと思うのね。足を運んで木を全部見て、天然のケヤキと植林されたヒノキを1本ずつ、愛される場所に置くために切らせていただいたんですよ。
“レイコ・ランド”の構想●こちらに私達が初めてお邪魔したときに山村さんから、富士山がどこにいても見られるところで、朝起きて富士山から本当にたくさんのパワーをいただけるとうかがっていて、私達も本当にパワーを感じたんです。そんな富士山の見守るもとにログハウスというレイコさんの新たなる森があるので、新たなパワーを得たという感じがするんですよね。 レイコさん「そうねぇ、大地に足がついている感じかな。例えばラリーだと距離を移動し、飛び跳ねながらスキーをするように、移動しながら何かを得ていくという感じだけど、今このログハウスというのは自分も出来る限り、造ることをお手伝いさせていただいていて、ボランティアの人達も入れるような感じで作業を続けているんだけど、1本の木をサンダー(木を磨く機械)かけたり、削ったり、断熱材を入れたりとか色々な作業を延々とやっていると、ピ-リング(木の皮を剥くこと)ハイみたいになるんです(笑)。今まで移動しなければ出来なかったのに、彫りながら彫師のようになっていく自分がいて、人って時代が色々あって、今は止まっていても自分の中で旅が出来るような時代に入ったのかなっていう気がするの。躍動感は昔以上にあるんだけど、動きとしてはこの大地に2本の足を着けて何かを生み出している自分がいて、またこれがすごく面白いんだなぁ(笑)。私もこういう面があったのねっていう感じで(笑)」 ●(笑)。このログハウスの出来上がりをどういう風にイメージをしていますか? 油井さん「これ、何年たっても出来上がらないんじゃないか(笑)。サグラダファミリアみたいに」 レイコさん「うん、それもある(笑)。変な話、前の時もそうだったんだけど、執着がないっていったじゃないですか。みんなで造ったらあまりにも面白くて、明日亡くなっても全然後悔ないやっていうくらいの潔さを身に付けたんです。だから今回も造れたっていうのもあると思うんだけど、造っているうちにこの間とは違って、本当は平の板でも命を感じないといけないんだけど、平の板を使っているとき以上に、丸になるとやたらリアルじゃないですか」 油井さん「存在感が違うよな」 レイコさん「この子達は大自然の森の中でものすごい風雪を耐えていたんですよ。100年間一切木を切られていない森の中で1本1本120本選ばれた木だったんですって。そういうものが海の上をどんぶらこっこと運ばれてきて、そんな重みを使うためにはみんなで使ってもらうしかないなと思っちゃったのね(笑)。やればやるほどその思いは強くなっていって、私は使われていないものって大嫌いなのね。どんなに大きな家でも、どんなに素晴らしいものでも人が見ていないとダメになっていくし、どんなに小さくて粗野なものでも、愛されているものは輝いて大きく見えるじゃないですか。そういうものにしたいから人の愛情を受ける形ものになっていけばいいなと思っています」 ●この他にも小さいログハウスもあったりして、以前は「“レイコ・ランド”をつくる」とおっしゃっていましたよね?
レイコさん「小さいログハウスは面白がって建てたものなんです。“レイコ・ランド”の構想は消えていないどころか、バンバン構想が具体化してきていますよ。ひとつこうやってログハウスが出来つつあると、同時進行でこうなればいいなと思っているのが、家造りがあまりに楽しくて、去年、北側の土地に何か造ろうと思っていたんですよ。それが喫茶店なのか、工房なのか茫洋としていたんだけど、とにかく自分達で建てようと決めたんです。ログハウス教室みたいなものをやって、って言った途端に『チェーンソーを習いたい』という人がドワーッと何十人も来て、『あ、みんな造りたかったんだ』ということが分かったのでみんなで造って、大きいものを造ると私は固定資産税で死んでしまいますから(笑)、小さいものを私が材料費を出すからみんなで建てようぜってことで始めたんです。
●(笑)。じゃあ、フリントストーンもここで油井さんの生油井コラムを交えながら、ここから中継とか・・・? 油井さん「ハハハ(笑)」 レイコさん「ここにスタジオを造ってくださいよ」 ●造るのは私達?(笑)。 レイコさん「私が造るから(笑)。ちょっと待てよ、これも自分達でやるのが大事だからね」 ●あ、そっか。今後もこのログハウスを見に、声をかけに来たいと思います。 レイコさん「今日、とりあえず作業あるからやっていってね(笑)」 ●はい、分かりました(笑)。このあとは私達も作業に移りたいと思います。今日はどうもありがとうございました。 ■このほかの山村レイコさんのインタビューもご覧ください。
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■国際ラリー・ライダー/エッセイスト・山村レイコさん情報
現在、富士山麓の朝霧高原にみんなが集えるログハウスを建設中の山村レイコさん。オフィシャル・ホームページ「フェアリーテール」にはその奮闘振りが写真入りで詳しく載っているほか、山村さんが出演するメディア情報なども紹介されているなど、今、山村さんがどんなことに関心を持ち、何をしているのかよ~くわかります。皆さんもぜひアクセスしてみてください。
■夕陽評論家・油井昌由樹さん情報
今回スペシャル・ゲストとして富士山麓の朝霧高原にある山村レイコさん宅に、一緒に来てくださった油井昌由樹さん。ザ・フリントストーンでは「アウトドアライフ・コラム」で毎週素敵なお話を聴かせてくださっている油井さんのホームページでは素敵な夕陽が楽しめるほか、油井さんのショップ『スポーツトレイン』のサイト、そして油井さんプロデュースの『ポレポレ・アイランド』などにもアクセスできるようになっています。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. GO WEST / PET SHOP BOYS
M2. IF I WERE A CARPENTER / LEON RUSSELL
M3. HOUSE IN THE WOODS / TOM PETTY
M4. HOUSE OF LOVE / AMY GRANT
M5. HOME SWEET HOME / MOTLEY CRUE
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M6. SPECIAL LADY / RAY, GOODMAN & BROWN
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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