2004年12月5日エコシップ応援団第3弾! 千葉大学Sun & Co.と再転車今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは福本麻衣さんと津田和俊さんです。当番組のシリーズ「エコシップ応援団」の第3弾! 千葉大学の4年生で環境NPO(※)サークル「Sun & Co.(サン・アンド・コー)」の代表「福本麻衣」さん、千葉大学の大学院2年生で再転車(りてんしゃ)活用委員会の会長「津田和俊」さんをゲストに、学園祭のゴミ減量活動や、校内に放置された自転車を再利用する“再転車”についてうかがいました。(※環境NPOという名前がついていますが、NPO法人を取得している団体ではありません) 『産業と公害』で『Sun & Co.』●環境NPOの「Sun & Co.」は2001年に発足されたということなんですが、どういうきっかけで始まって、どういうサークルなのかを教えていただけますか? 福本さん「2001年に『産業と公害』という授業があったんですね。その授業を受けていたメンバー4人が集まって、中心になったのは私と大宮君という人なんですけど、その2人で『産業と公害』→『産と公』→『Sun & Co.』ということで名付けました。作ったきっかけというのが『産業と公害』という環境問題の授業だったので、授業を受けているだけじゃなくて、このあとは自分たちでも何かアクションを起こしていこうということで起ち上げました」 ●アクションを起こそうという気があっても、なかなかその一歩を踏み出せなかったりするじゃないですか。でも福本さんは仲間がいたから「よし、やるぞ!」という気になったのかしら? 福本さん「いや、最初は人が全然いなくて、やりたいことがあったら1人でもやっていくぞという感じでした」 ●そのサークルを作って一番最初にやったことというのは何だったんですか? 福本さん「大学祭の環境対策で、2002年はプラスチック容器を洗って何度も使い回すっていうシステムをやりました。元々、環境問題に興味があって、私が1年生の時にA SEED JAPANというNGO団体に入って、フェスティバルでゴミを減らすという活動をしたんですね。それで、本当にクリーンなお祭りが出来るんだなぁというのを見て、さらにそれで千葉大学を見て『これは何かやらなきゃ』と思って実現させました」
●A SEED JAPANは以前、番組でご紹介したことがあるんですけど、音楽フェスティバルなどでゴミ対策をやっていて、とても成果を挙げています。そのおかげで、ロック・フェスティバルに参加する人たちの意識が少しずつ変わりつつあるんですよね。昔はフェスティバル後はゴミだらけだったのが、どんどん変わっていってるという状況を作った団体の1つでもあるわけなんですが、そこで勉強し、経験を積んだというわけなんですね。
津田さん「はい。僕が作った言葉です」 ●この活用委員会についても教えていただけますか? 津田さん「自分たちがこの活動を始めたのは2002年で、今は、ただ放置自転車のリサイクルをしているだけと受け取られることが多いんですけど、それは自分たちのプロジェクトの一部です。再転車のコンセプトは、千葉大学というのは総合大学で色々な学部や学科がありまして、色々な専攻で勉強をしている学生がいるんです。それを活かして、例えば再転車の場合ですと、西千葉の自転車の問題の解決策、実践の場として再転車に取り組みながら、さらには持続可能な自転車循環利用システムというところの提案、及び構築をしていきたいと考えております」 ●人が集まるところにゴミがあるのは避けられないというのと同じように、移動で使う自転車というのもゴミと同じくらい集まるものじゃないですか。私も先日テレビで、千葉大学内だけの放置自転車の山を見てビックリしました。 津田さん「数えてみたんですけど、現在でも800台~1000台くらいの放置自転車が駐輪されています」 ●学内に放置自転車があるといわれてもピンと来ない方がいると思うんですけど、通学のためだけに自転車を使っているわけじゃないんですよね? 津田さん「そうですね。自分たちがいるのは西千葉キャンパスなんですけど、すごく広いキャンパスなので、授業の間の移動に自転車を使うという人が多いですね。通学だけじゃなくて構内の移動にも自転車を使うということで、数が増えているんだと思います」 ●ということは、通学には使っていないけど、構内専用自転車ということで置いておいて、卒業したりして使わなくなるとそのまま置いていってしまうんですね。 津田さん「そうですね。放置自転車になる原因の1つが、卒業するときに置いていってしまうというのが大きいと思います」 ●千葉大学という大学の中で、Sun & Co.、再転車活用委員会という環境に関する試みが行われて、それがどんどん広がっているというのが現状なんですね。 再転車活用の仕組みとは?●再転車活用委員会には、福本さんも参加されているということなんですけど、放置自転車の中にはそのまま使えるものもあれば、そのままでは使えないものもあるでしょう? 津田さん「もちろん、たくさんありますね」 ●それはどういうふうにして再利用しているんですか? 津田さん「まず、放置されている自転車に警告札を付けて、時期を見て撤去して一時保管場所に移動します。で、そのあと自分達で防犯登録や車体番号、学部のステッカー、これは学校のステッカー登録なんですけど、それを記録する作業を行ないまして、連絡が取れるものに関しては自分達で分担して、直接持ち主への連絡を行ないます」 ●そこまで全部やるんだ!
津田さん「はい。それをまず最初にやりまして、それが盗まれたものであったら返却したり、それが不要ということでしたら委任状をいただいて、自分たちの委員会に譲っていただくという作業をします。また、ステッカーを貼っていないものに関しましては、防犯登録でしか所有者にたどり着くことが出来ないので、警察の方に照会を行なって、その上で盗難届の出ているものは引き渡しを行ないます。そうでないものは保管をしまして、その次に選別ということで使える自転車と使えない自転車に分けます。使えない自転車の中でも使える部品というのはありますので、その部品を別々にして管理をしまして、使える自転車用の修理に使っています。
●今、再転車を利用している学生さんというのはどれくらいいるんですか? 津田さん「今は60台くらいの貸し出しを行なっております。今は自分たちが保管している自転車が700台くらいありますので、その中で手続きが終わったものに関しては随時選別をして、貸し出しを行なっていきたいと考えております」 分別ナビゲーターとは!?
●本来であれば、自治体や大学側がやらなければいけないのではないかと思ってしまう、放置自転車対策ですが、津田さん達の再転車活用委員会のおかげで、大学側は今まで一台500円かかっていた放置自転車の処理費用がタダになり、学生側は自転車を買わずに半年1000円プラス・アルファで借りられるということで、双方のメリットがちゃんとある素晴らしいシステムだと思います。
福本さん「ゴミの減量というのも効果があったんですけど、去年は1万3000枚リサイクル容器を売って、それをリサイクルするので返ってこないといけないんですけど、それが7500枚返ってきたので、もちろんその分の使い捨て皿というのは削減できたのでゴミの減量ができました。今年はさらにアップして1万6000枚売って、1万1000枚返ってきまして、リサイクル率もアップしたので、さらにゴミ減量になったんじゃないかなと思います」 ●それは学園祭に参加している人達の意識も高まっているということなのかしら? 福本さん「ごみ箱の前に分別ナビゲーターっていうのを置くんですね。スタッフが立って、ゴミを捨てるときに『それはこっちです』という風にリサイクルを誘導するんですよ。その活動がうまくいったということだと思います」 ●それじゃ、各ごみ箱にスタッフが立って、ゴミの捨て方を指導してくれるんですね? 福本さん「そうです。それが、分別ナビゲーターっていう役割です」 ●初めてゴミを捨てに行った人はビックリしそうですね? 福本さん「そうですね。私達がやってしまえば一番早いんですけど、私達はそういうことを訴えているんじゃなくて、お客さんや出店者が自ら分別を体験したり、自らやることで、それを学園祭からライフ・スタイルに戻してもらって、リサイクルをやってもらうというのが狙いなので、そこを主にやりました」 ●今年、ゴミの減量、リサイクルがアップしました。来年に向けて、今年の反省点や気付いた点などありますか? 福本さん「他の大学でもこういう環境対策っていうのは進んでいて、後輩が東大や慶応大学に行って見学して色々話を聞いて、千葉大でももっと取り入れられるところとか、もっと勉強しなければいけないところがあったので、他の大学を倣って新たな環境対策を、これから来年に向けてみんなで練っていくところです」 循環システムに目を向けよう!●環境問題に取り組んでいるときって地道な作業だし、みんなから応援してくれる声はあると思うんですけど、福本さんはSun & Co.の活動を通して自分が得たもの、またご自身で変わったところを教えていただけますか? 福本さん「最初は『自分1人でやれるものはやっちゃえ』って感じだったんですけど、大きくなるにつれメンバーも増えて、やることがどんどん広がるんですよね。そういうときに自分1人だけでは出来なかったことが、Sun & Co.になったところから無限に可能性が広がっていくっていうのを感じました」 ●それが一番大きいですよね。津田さんは再転車活用委員会の会長さんですけど、自分が育ててきた委員会が次の代になって、それがどんどん広がっていくというのを見て嬉しいでしょうし、達成感みたいなものも感じますか? 津田さん「これからだと思っているので、正直ワクワクしていますね」 ●これから、津田さんとしてはどういう風に広げていきたいと思っていますか? 津田さん「現在は学内の放置自転車のリサイクルや、卒業するときにいらなくなった自転車を譲っていただいて、新入生に引き継ぐっていうリユースを中心に検討しています。それ以外に放置自転車の問題っていうのが、自転車だけの問題ではなくて駐輪場が不足しているというのが大きな問題なんです。なので、それに対して学内だけではなくて学外の、例えば西千葉駅周辺の鉄道事業者の方や市の方、また、大学内でいいますと教職員の方を巻き込んで駐輪場の検討や、あるいは、自転車をどのように管理していくのかというシステム作りの検討を行なっていきたいと考えております」 ●おふたりは今学生さんですけど、卒業しちゃうとどうなるんですか? もう参加できない? 福本さん「多分、出来ると思うんですけど、私は私で社会に出て企業を変えないといけないので忙しいと思います」 ●失礼いたしました(笑)。津田さんはどうなんですか? 津田さん「もう大学院生ですので、卒業したようなもんです(笑)」 ●後は学生達に任せて(笑)。 津田さん「はい(笑)。何かあったら僕が出てっていう」 ●あとは社会に出て、そういう活動をされるんですね。おふたりから普段誰にでも出来ることで、こういうことをやると良いんじゃないかなということはありますか? 福本さん「どうですか、津田さん!(笑)」 ●先輩に振りましたね!(笑) 津田さん「(笑)。僕、今専攻が資源循環システムというところなんですけど、資源といいましてもエネルギーだったり、物質だったり、水だったり、食料だったり、情報だったりするわけですけど、自分の中に入ってきて出ていってという流れがあると思うんです。今はその流れが入ってくるときだけ、出ていくときだけ、その瞬間だけで損得勘定をしているような状況っていうのが、良くないんじゃないかなという気がしています。自分自身もそうなんですけど、出ていったものが巡って戻ってくる。社会が複雑になればなるほど、そういった繋がりというのが見えにくくなると思うんですよ。なので、その繋がりを感じられるような仕組み作りっていうのが、自分がやるべきことかなと思っております」 ●期待しています。その繋がりが見えたら意識がずいぶん変わると思います。見えないから意識が持てないことってすごくあるじゃないですか。その循環システムが見えれば変わると思うんですよ。 津田さん「そうですね。見えて、意識が変わるだけじゃなくて、体で感じられるという風になればいいと思います」 ●期待しています。福本さんは? 福本さん「私はたまたま環境問題っていうのに興味があって、こうやって実行してアクションを起こしてという風にやって来たんですけど、みんなそれぞれ興味が色々なところにあるじゃないですか。それを自分のことだけじゃなくて、周りのこととか循環しているシステムとかを大きく見て、小さいところでみんなが動いているのが大きく繋がってみたいな感じで、自分の小さな行動が大きくなるっていうのを、みんなが思っていれば変わると思います」 ●そうですよね。みんなそれぞれ興味を持っているのが一点でも、点と点が少しずつずれていれば線になり、それが丸く繋がって循環すれば大きな輪が出来るわけですからね。今後もおふたりはまだまだやることがいっぱいありますからね。1人ずつでも頑張っていただきたいなと思います。今日はどうもありがとうございました。 このほかの「エコシップ応援団」シリーズもご覧ください。
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■千葉大学の環境サークル「Sun & Co.」情報 学園祭のゴミ減量などの環境対策ほか、畑のプロジェクト、雨水利用のプロジェクト、ロック・イベント“サマーソニック”でのボランティア活動、エコビジネス勉強会、去年はアースポリシー研究所の所長「レスター・ブラウン」さんを迎えた講演会も主催するなど、いろいろ活動を行なっています。
■千葉大学「再転車活用委員会」情報 千葉大学西千葉キャンパス内の放置自転車を撤去→整理→修理→デザインして、再転車(りてんしゃ)としてよみがえらせ、希望者に年度区切りの契約で貸し出すという活動をしているこの委員会。貸し出した再転車は無料でメンテナンスを行い、長寿命化を図ってます。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. THE INNOCENT AGE / DAN FOGELBERG
M2. SOWING THE SEEDS OF LOVE / TEARS FOR FEARS
M3. WHEN TOMORROW COMES / EURYTHMICS
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M4. HANDLE WITH CARE / TRAVELING WILBURYS
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M5. HIGH FLYING BIRD / ELTON JOHN
M6. GAIA / VALENSIA
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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