2005年1月16日

坂本達さんの恩返しプロジェクト

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは坂本達さんです。
坂本達さん

 4年3カ月、有給休暇をもらって世界を一周した「株式会社ミキハウス」の坂本達さんをお迎えします。坂本さんは去年、またまた有給休暇をもらって、東南アジア青年の船という国際交流事業にナショナル・リーダーとして参加されました。今回はその体験活動のことや、自転車で世界一周をしたときに訪れ、去年の夏に再訪したブータンのこと、そして、ギニアの井戸掘りプロジェクトの近況などうかがいます。

『やった。』を買ってギニアに恩返し

●1年ぶりになりますが、まずは「おめでとうございます」と言いたいと思います。2004年度全国高校英語リーディングの教科書に坂本さんの本『やった。~4年3ヶ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男』が採用決定されたということで、坂本さんからメッセージCDも付いているという・・・(笑)。

「はい。僕の人生で初めてCDが・・・(笑)。今年の4月から全国の高校で採用されるそうです」

●『やった。』の旅がキッカケで色々なことがありました。この番組でも以前出ていただいたときに紹介した、ギニアの村への恩返し、井戸掘りプロジェクトがスタートしていたんですが、今はどの辺まで進んだんですか?

「今回が3回目の渡航で、井戸の着工が始まって3日間だけ立ち会ってきたんですけど、機械を使わずに毎日手掘りで掘っていました。実は1月10日に電話がありまして、『水が出た』というニュースが入ってきたんです」

●どのくらい掘ったんですか?

「15mくらいです。直径が1.4mだったのですごい労力だったと思います。『やった!』という感じでした」

●涙が出るくらいの感動だったでしょう?

「そうですね。準備期間が長かったのと、村人が本腰を入れて積み立てをして、維持管理のお金を貯めていくっていう長いプロセスがありましたので、感慨もひとしおでしたね」

●現地の人達も、実際に水が出たら余計、感激するでしょうね。

「そうです。キレイな水が出るという期待に胸を膨らませて、子供も女性もみんな手伝ってやっていました」

●やはり、今でも水が彼らの生活の中では一番重要ですよね?

「そうですね。川の水だと乾季の時は水が少なくなって、動物とか病気で汚染された水を使わざるをえないので。また、病気になっても病院や薬が不足しているので、なにしろキレイな水というのが重要だと、世界を廻って実感していました」

●1月10日にようやく水が出たということで、実際にみんなが井戸から水を汲んで使えるようになるまで、あとどれくらいかかるんですか?

「1月末くらいには出来ると思います。中にセメントを埋めていると(現地の人が)言っていたので、あと2~3週間ですかね」

●ということは、次に坂本さんが訪れたときには、その井戸から水が出ているんですね。楽しみですね!

「はい。想像しただけでも感激ですね。次は6月に渡航を予定しておりまして、今度はポンプを設置できたらと思っています。それまでは、ヒモとバケツで汲んでいたので、ポンプを設置して戻ってきたいと思っています」

●ギニアの恩返しプロジェクトっていうのは、井戸掘りだけに留まらないと聞いたのですが?

「そうなんです。シェリフという世界一周の時の命の恩人が、お母さんの体調が悪かったりで勤めていた診療所を辞めて、お母さんの近くで個人で診療所を始めたんです」

●シェリフさんはお医者さんなんですよね?

「はい。始めようにも掘っ立て小屋みたいなところでしか始められなくて、彼も人が良いので、病人が来るとタダで薬とかあげちゃったりするんですよ。なので、彼がちゃんと働けて、みんなが来れるような診療所のお手伝いとか、トイレがないので掘ったりとか、そういう続きをやっていきたいと思っているんです」

●シェリフ医師のクリニックがいずれ出来るんですね。これは、坂本さんの『やった。』の収益金を全部充てて行なうということなので、2冊、3冊と買って、ご近所に配っていただきたいと思います(笑)。

「最近、そういうのが流行っているみたいです(笑)」

●(笑)。教科書の一部にもなるくらいですから、オリジナル本を手にして、買うことによって、同時に坂本さんの恩返しプロジェクトをお手伝いできるということで、是非、『やった。』を購入していただきたいと思います。

「やった!(笑)」

学校建設プロジェクトinブータン

坂本達さん

●以前、ギニアに学校を造りたいっておっしゃっていましたが、その後どうなったんですか?

「今のところ学校はギニアでは進んでないですね。もしかしたら、ブータンのほうに学校が出来るかも知れません。『一体、何をしているんだ!?』という・・・(笑)」

●世界を一周するとギニアだけに限らず、色々なところで色々な方にお世話になったので、全員に恩返しをしたくなっちゃうという坂本さんらしいですが(笑)、もう少し詳しく聞かせていただけますか?

「これは、JICA国際協力機構と今、ピース・トーク・マラソンというイベントで、全都道府県を廻るというシンポジウムをやらせていただいて、そこで僕がブータンという国に思い入れがあって、『行きたいなぁ』みたいな話をしたときに(笑)、たまたまそういう仕事がありまして、派遣していただいたというのがいきさつです」

●実際にブータンの学校プロジェクトは進んでいるんですか?

「いえ、何も進んでいません(笑)。ブムタンという谷なんですけど、幼稚園がひとつもなくて、需要はあるんですが、幼稚園自体がないので、4歳、5歳から無理矢理小学校に入れているという現状なんです。で、モデル校みたいなものを造りたいという地元の人達の意向がありまして、教育省などの認可も必要ですので、すぐにはできないんですけど、彼らが運営などを全てやっていけるのであれば、建物とかグラウンドとかトイレという施設を恩返しのひとつとして、ご協力できるのではないかという話だけですね。今、ブータンとメールが出来るようになりまして、ちょくちょく進行状況を聞いたりしているところなんです。まだ、具体的なことは時間がかかりますね」

●ブータンにはすごく久しぶりに行かれたんですよね?

「6年ぶりに行きました」

●変わった点はありましたか?

「首都だけ新しい建物が出来たりとか、携帯電話がありました。あと、インターネットもありました。田舎は何も変わっていないですね。何十年、もしくは何百年とずっと同じ生活なんじゃないかという感じでした」

●他人事だからなのかもしれないですけど、そういう地域には我々が忘れている素朴さとか、人の温かさっていうのがあって、変わらないでほしいなっていう思いがあるんですけど、実際に現地を訪れてみてどうですか?

「僕も同じですね。僕達も新しい携帯がほしいとか、インターネットをもっと高速にしたいというのと同じなので、現実としてそういう部分はありますね。でも、日本にも当てはまるんですけど、そういう物に使われるのではなくて、使うというか道具、手段でしかないので、一番大事なものを私達含め、ブータンのような国でも見失わないようにしてほしいなと思いますね。そういうのを伝えていくのが我々の役目でもあると思っているので、伝えるのはなかなか難しいんですけど、一番大切なのは何なのかというのを見失わないようにメッセージを伝えていかなければならないと思います」

●じゃあ、2005年はギニアの井戸掘りプロジェクトに加えて、ブータンの学校建設プロジェクトっていうのも課題ですね。

「そうですね。ブータンに関しては、いくらこっちで頑張って進めても、現場の進み具合とか事情もたくさんあると思いますので、気持ち的には役に立てればという思いはありますけど、どうなるかはまだちょっと分からないですね」

平和や友情、家族を大事にする気持ちは世界共通

●坂本さんは去年、「東南アジア青年の船」という船に乗り込んで、またまた旅をしてきたそうですが、これはどういうものなんですか?

「これは、内閣府が毎年行なっている事業で、ASEANの人達と日本の青年と全員で行なう国際交流、相互理解のための事業なんです。で、日本丸という船に乗って、約2カ月間共同生活をしながら各国でホーム・ステイをしたり、ボランティア活動をしたり、文化紹介やディスカッションをしたりというような、青少年のための事業です」

●坂本さんはどういうキッカケでこのプロジェクトに参加されたんですか?

「実は、大学の時に団員としてこの船に乗っていまして、世界一周以降、活動している学校とか、青少年活動をしているのをたまたま聞きつけていただいて、今度はリーダーとして『日本の代表になってならないか?』というふうに声をかけていただいて、また会社に『どうしようかな』と(笑)。実は、1年前から打診していただいていたので、色々と話をして、最後は『若い人達にそういう体験を伝えられるんだったら』ということで、会社も『行ってこい!』と(笑)」

●また有給休暇をもらって?(笑)

「はい(笑)」

●坂本さんのホームページに載っている写真を見ると、見るからに楽しそうな感じがします。

「とりあえず、楽しかったり、いいところばかり紹介しているんですけど(笑)、現実は2カ月共同生活で、言葉も違いますし、宗教も非常に大きく違います。しかも、ひとつのキャビンに国籍の違う人が3人、男女別で生活をしなければならなくて、シャワーの使い方、トイレの使い方ひとつにしてもみんな違っているんですね。それが毎日となるとやはり相手を認めていくっていうことはすごく大変でストレスにもなりますので、ディスカッションをして文化紹介のようなことをしたりします。ですから、お互いに理解できるようなトピックスを持ったり、アイス・ブレイキングのためにスポーツをやったりします。あとは、事業で一番印象的なのは、ホーム・ステイが各国でありまして、各家庭に入って同じように生活をさせていただけるというのが、この船にとって大きなプログラムのひとつですね」

●坂本さんご自身としては、ひとりでやった世界一周と今回のプロジェクトとでは、どういう点が違って、どういう点が一緒でしたか?

「基本的には世界一周も、この船もほとんど変わらないですね。まず、相手が大事にしているものをこっちも大事にするということで、自分が大事にされますし、自分のことを理解してもらえます。相手に興味を持つことで、興味を持ってもらう。これは、本当に全く同じだったと思いますね。
 僕は、世界一周を通じて感謝の気持ちをすごく持たせていただいたんですけど、そういうのを船で話すことで、色々問題があったときでも、まず『ありがとう』という気持ちから入っていければ、色々な物事を解決できるのではないかと思うんです。これはアジアという文化圏独特なのかもしれないですけど、船の中で各国の青年に下手な英語でプレゼンテーションをさせていただいたんですけど、よく共感してもらって、国境も宗教も越えて、あいさつとか『ありがとう』という気持ちとか、自分の持っている個性を発揮しようというのは共通だったなと思いますので、なんら大きな違いはなかったですね。最後は、人間と人間の付き合いであって、みんなやはり、平和とかフレンドシップとか、ファミリーを大事にしているのは同じなんですよね」

夢を叶える3つの法則とは?

●毎年、色々なプロジェクトや旅に、有給休暇を使って行っている坂本さんなんですけど(笑)、2005年も井戸掘り、学校、病院と色々なプロジェクトがあります。それで、さらに有給休暇を使うと思うんですけど(笑)、坂本さんは講演会もやってらっしゃいます。その講演会で、「夢を叶える3つの法則」についても話していると聞いたのですが、詳しく聞かせていただけますか?

「これは誰でもすぐに出来るシンプルなことなんですけど、まずひとつがあいさつをしようということで、人間はひとりで生きているわけでは決してないので、周りの人に生かされているという思いからですよね。お世話になっているという意味を込めてあいさつをする。本当に全ての始まりであると思います。
 ふたつめが、『ありがとう』という感謝の気持ちを持とうということで、世界一周後は強く思っているんですけど、やはり水にしても空気にしても、色々な体験をしているうちに、過去のご先祖様を含めて生かされているということですよね。
 3つめが、自分の個性、持っているものを最大限に活かそうと。せっかく生かされているんだから、持っているものを活かして、感謝されるような人になれれば、その3つをやっているうちに、自分の持っている夢というのが、いつの間にか叶っていたような感じなんですよね」

●去年、色々な旅をしたことによって、新たにやってみたくなったこととかありましたか?

「今年はひとつずつキッチリ仕上げていきたいということで、6月にポンプ設置をキッチリやって、そのあと維持管理が出来るようにと、作って終わりではなくて、ギニアに関しても一生付き合っていきたいと思っているので、村人達が自主的に修理とか、部品の購入とかも出来るような、自立ということも含めてですね。
 あとは、5月7日なんですけど、愛知万博に呼んでいただいて、一日市民プロジェクトということで、プレゼンテーションをさせていただくことになったりとか、あとは4月から高校の教科書に使っていただくので、採用していただいた学校に直接訪問してみたいなと思っています。
 一緒にギニアのシェリフ医師がすごくがんばって、村人をやる気にさせてくれているので、いずれ彼を日本に呼ぶことが出来たら、彼とふたりで日本縦断したりとかしたいなって思っていて、子供達に『肌の色が違っても同じ人間だし、彼のおかげで僕の命がここにあるわけだし、仲間外れとか、偏見があるのが事実なので、自分が出来ることってなんだろう』って考えさせながらやっていきたいなって思っています」

●私達はいつも坂本さんを応援していますので、これからも頑張って下さい。今日はどうもありがとうございました。

■このほかの坂本 達さんのインタビューもご覧ください。

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■株式会社ミキハウス「坂本達」さん情報

坂本達さんの本『やった。』

やった。~4年3カ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男
ミキハウス/税込1785円
 「坂本達」さんの本はロングセラー中です。みなさんもこの本を買って、坂本さんの恩返しプロジェクトをお手伝いしてみてはいかがでしょうか?
 

・坂本さんのホームページです。ピース・トーク・マラソンの開催情報や、ギニアプロジェクトの情報が随時更新されているので、ぜひチェックしてみて下さい。
 (http://www.mikihouse.co.jp/tatsu

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. ALL OVER THE WORLD / E.L.O.

M2. THANK U / ALANIS MORISSETTE

M3. I DO / LISA LOEB

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M4. COUPLE DAYS OFF / HUEY LEWIS & THE NEWS

M5. ONE / BEE GEES

M6. WHEN YOU DREAM / DIANA ROSS

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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