2005年2月6日
エコビジネス・ルポ・第12弾、ハイブリッドカーのエコタクシー今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは中村秀樹さんです。エコビジネス・ルポ・シリーズの第12弾。ハイブリッド車だけで営業する「エコタクシー」会社「ニュートランスシステム」をクローズアップ! 社長の「中村秀樹(ひでき)」さんに環境問題への思い、エコタクシーをベースにした大きな目標などうかがいます。
※「ニュートランスシステム」は「エコシステム株式会社」に社名を変更されました。 エコタクシーは環境と、ドライヴァーにやさしい
●私達は今、新木場駅前に来ています。今日は「エコタクシー」の取材ということで、これからハイブリッド車だけで営業する「エコタクシー」の会社「ニュートランスシステム」に行くところなんですが、ここまで迎えに来てくださるというので、「エコタクシー」を待っているところです。
男性運転手「こんばんは。よろしくお願いいたします」 ●というわけで、私たちは新木場駅前でタクシーに乗せていただいて、今、「ニュートランスシステム」の会社のほうにお邪魔しています。これから、社長の中村秀樹さんにお話をうかがっていきたいと思います。早速なんですが、エコタクシーで会社を興そうと思ったキッカケはなんだったんですか? 中村さん「キッカケは地球の温暖化とか、環境がどんどん壊れていっていますから、そのことに対してなんとかしたいっていう思いですね」 ●中村さんはもともと小学校の先生をやってらっしゃったんですよね? 中村さん「はい。小学校の教員をやっていました」 ●そこからなぜ、タクシー会社の設立へと至ったんですか? 中村さん「小学校の教員時代から環境に親しむという意味で、色々な取り組みをやってきたんですね。自然と親しむクラブなどを作ってみたりとか、私たちの小学校というのは千葉県の手賀沼というところの近くにありまして、手賀沼という沼は日本で1、2番に汚れていた沼だったんですね。その沼を汚さないためにはどうすればいいのかということで、環境問題にも取り組みまして、自然環境を守っていかなければならないということは、教員時代を通じてずっとやってきたんです」 ●中村さんは教員時代からエコタクシーを起ち上げるまでに、NGO「共生舎」というのも設立なさっています。その時代に石鹸を作ったりとか、環境保護の活動をなさっていたんですか? 中村さん「共生舎っていうのは、共に生きて学んでいくという意味で付けられた名前なんですけど、そこには学校に行かない人達、当時、不登校といわれていた人達とか、ちょっと変わったところでは、会社に行かなくなった大人の人とかのたまり場を用意してきたんです。私たちはエコロジストですから、自然環境問題に取り組んでいきますし、そこに集まってくる人達の悩みなんかを色々と聞いているうちに、自然環境問題などに取り組んでいく人々のサークル作り、輪作り、ネットワーク作りを進めていかなければいけないんだなということを強く感じていたんです。その共生舎を母体として、今回のようなエコタクシー作りも企画されていったんです」 ●大きな輪の一部にこのエコタクシーがあったんですね。 中村さん「そうですね。共生舎自身の名簿、ネットワークは2500~3000人くらいなんですけど、今回エコタクシーを発足させるにあたって、色々力を貸してくれた人達、現実的に小さなカンパを寄せて下さった人達を合わせれば300名を超えているんですね。で、そういう人達の結集でこのエコタクシーができています」 ●「ニュートランスシステム」自体の営業開始は去年の9月からなんですよね? 中村さん「はい。正確に申し上げますと、去年の9月21日に最初の1台目が街に向けて走り出していったんですね」 ●その1台目は中村さんが運転なさっていたんですか? 中村さん「いえ、私は見送ったほうです(笑)。でも、そのボディーには『エコタクシー』と我が社の商標も書いてありましたけども、それと同時に『減らそうCO2』ということで、色々な方々が目にされて『あ、こういうタクシーが走る時代になったんだな』と感じ取っていただけたと思うんですよね。だから、私としてはこれから本当に広い世界が開けていくような思いで、エコタクシーを見送ったんですね」 ●最初は何台から始まって、今は何台のエコタクシーがあるんですか? 中村さん「最初は10台です。そして、今は21台になりました」 ●1年で11台も増えたんですね。 中村さん「はい。最初はドライヴァーもお休みの人もいましたので9人。そして今、ドライヴァーは47人います」 ●9人から一気に47人に増えたのはどうしてなんですか? また、ドライヴァーの方の中には環境問題に興味のある方々もいらっしゃったのでしょうか? 中村さん「多分3分の2くらいの人は、エコタクシーだからということで来ていただけたと思うんです。それから残りの3分の1の方は、たまたま我が社の労働条件がどこのタクシー会社さんより群を抜いて良いんですね」 ●環境にやさしいだけではなく、ドライヴァーにもやさしいんですね(笑)。
中村さん「そうですね(笑)。ドライヴァーには本当にやさしい会社だと思います。そういう好条件ということで、やって来られたドライヴァーの方というのが3分の1の方なんですね。でも、この車に乗られるとお客様から『いい車に乗っているね』って言われたり、『どうしてエコタクシーっていうの?』って聞かれるので、『環境問題で・・・』と話をするとお客様が『そうだったの。頑張ってね』と言われるんです。そういうことでお客様の力をもらって、市民の人達の環境に対する気持ちも彼らに伝わって、彼らの労働意欲を作りだしているんだと思います。
収益の一部はコスタリカに寄付●エコタクシーのボディーのところに「エコロジストの作ったエコタクシー」と書いてあったんですが、車庫に戻って他の車を見てみると「増やそう熱帯雨林」と書いてある車もありました。このメッセージについてもう少し詳しく聞かせていただけますか?
中村さん「『増やそう熱帯雨林』というヴァージョンが、最近使っていっているヴァージョンでして、それとともに先ほどお話したエコルカちゃんの口からふきだしを作りまして、『厚くしようオゾン層』っていうのが新しいヴァージョンで加わるんですね。
●現在、初乗り500円ということなんですが、収益の一部をコスタリカの熱帯雨林保護活動に寄付するという話をうかがいました。
中村さん「ええ。コスタリカに収益の一部を寄付させていただきます。で、コスタリカだけではなくて他の熱帯雨林の保護や、あるいは他の動植物の環境を守るための取り組みにも寄付させていただきたいと思っているんですね。
●私なんかからすると、初乗り500円で安いし、ドライヴァーの待遇もいいし、しかも寄付までしちゃって「ビジネス的に大丈夫なの?」って思っちゃうんですけど(笑)、それだけエコタクシーはやりがいがあり、中村さんを含めた働いている方の環境に対する関心も高いということなんですか?
中村さん「今、初乗り500円です。しかもなおかつ、ドライヴァーの方達に対する待遇も日本一いいです。そうなると、正直言って、私共の利益というのはそんなに多くないです。
●寄付するのも大変なんですね! それもちょっと変な話ですね。 中村さん「この矛盾は、ラジオを聴いている方々はすぐにおかしいなと気付かれると思うんですね。だけども、これは今まで日本の株式会社というものが、利益の一部を環境保護なりなんなりで、社会的な奉仕目的のために直接利用しようというアクションを起こしてこなかったからだと思うんですね。私たちがアクションを起こしたら、実はそういう問題があったというのが噴出してきたんです」 ●じゃあ、もしかしたら「ニュートランスシステム」さんがそういったシステムを始めることによって、変わるかもしれないですね。 中村さん「ええ。きっとこのことを知られたら、色々な方も『おかしい』と思われますでしょうし、政治家の方もそう思われるでしょうから、きっと制度は変わっていくと思います」 エコタクシーのエコは「エコノミー&エコロジー」
●ここで、「ニュートランスシステム」で働いていらっしゃるドライヴァーの方にもお話をうかがってみたいと思います。
男性ドライヴァー「去年の10月5日からですので、4カ月になります」 ●それまではタクシーの運転手はされていたんですか? 男性ドライヴァー「10年くらいやっていました」 ●この「エコタクシー」はどうですか? 男性ドライヴァー「車もいいし、禁煙で運転もしやすいですし、お客さんにも結構喜んでいただいています」 ●ボディーには色々書かれていますので、エコについてとか質問されることも多いんじゃないですか? 男性ドライヴァー「ハイブリッドカーのプリウスを使っていますので、お客様がよく知らなくて『エンジンが止まるんだけど、なんですかこの車は?』とか言うんですよ(笑)。ストップしたときなんかはバッテリーに変わりますので、エンジンが止まりますからね。それで、説明すると『初めて乗りました』って喜んで下さいます」 ●これからも、エコタクシーに乗り続けますか? 男性ドライヴァー「はい。乗り続けるつもりです」
●これからも頑張って下さいね。どうもありがとうございました。
女性ドライヴァー「紅二点です」 ●紅二点のうちの一点なんですね。 女性ドライヴァー「はい。2分の1です」 ●こちらでドライヴァーをやることになったキッカケはなんだったんですか? 女性ドライヴァー「ハイブリッドの車ですので、お客様にすごく好評なんです。エコタクシーのエコはエコロジー&エコノミーのエコですので、エコロジーのほうはハイブリッドの車を使っていますので、排気ガスとか少ないですし、さらにエコノミーは初乗り2km500円で、そのあと50円ずつ上がりますので、乗っていただいた方みなさんに喜んでいただいております」 ●運転手さん自身はプリウスを運転していてどうですか? 女性ドライヴァー「すごく楽です。大気中にもよいですし、低速で走ったときにバッテリーで走りますので、すごく振動が少ないんですね。長時間乗りますので、その点では運転手にもやさしいと思います」 ●女性の場合、腰にくるとつらいですもんね。これからもエコタクシーの運転手さんとして頑張って下さいね。どうもありがとうございました。 女性ドライヴァー「頑張ります。ありがとうございました」 フランス進出が目標です!●ここからは再び中村社長にお話をうかがいたいと思います。「ニュートランスシステム」さんでは、会社の最終目標としてやりたいことがまだまだたくさんあるそうですね?
中村さん「当面は一生懸命、熱帯雨林とか植物や動物の保護運動に取り組んでいかなければいけないと思っているんです。けれども、私たちはすぐ環境保護という言葉を使ってしまうんですけど、実は環境保護ではなくて、もうすでに環境を再生させなければならない時代に来ていると思うんです。
●おぉーっ! 3年後ですか! 中村さん「はい。で、そういう話を聞いていただいて、フランスに世界通信社の本部があるのがAFPだと思うんですけど、AFP通信が世界に向けてもう発信してくれたんですね。だからそういう意味では、まだまだ私たちのやりたいことっていっぱいあるんですけど、でも一歩ずつ現実味の帯びた明日が見える状況には来ているかなって気はします」 ●私は、都内でエコタクシーを見かけて左手を挙げて乗るという機会が増えたらなと思います。これから中村さんは、フランス展開へ向けてエコタクシーを増やすという大切な使命がありますから、ぜひ、頑張っていただきたいと思います。また、お客さんもエコタクシーに乗ったら応援の声もそうですし、色々質問もしていただければと思います。今日はどうもありがとうございました。 中村さん「こちらこそありがとうございました。今後ともエコタクシーをよろしくお願いします」 |
■エコタクシー会社「エコシステム株式会社」※「ニュートランスシステム」は「エコシステム株式会社」に社名を変更されました。(2006年5月12日更新) ・初乗り500円と安く、しかも利用することによって、熱帯雨林の保護活動にも協力できてしまうという「エコシステム株式会社」のエコタクシー。中村社長は「現在、21台のハイブリッド車を、年内には100台にしたい」とおっしゃっていたので、今後は乗れるチャンスも増えそうです。会社は新木場ですが、エコタクシーの多くは新宿近辺にいることが多いそうです。ぜひ探してみて下さい。 ・また、「エコシステム株式会社」ではドライバーも募集中です。社長の「中村」さんは「エコタクシーに興味がある人。環境問題に関心がある人」にぜひ来て欲しいとおっしゃっていました。待遇は業界随一です。
・エコタクシーに関するお問い合わせ、また、「エコタクシー」をぜひ利用したいという方やドライヴァーになりたいという方は、
・「エコシステム株式会社」(旧社名:ニュートランスシステム)のHP:http://www17.ocn.ne.jp/~all_eco/ ■このほかのエコビジネス・ルポもご覧ください。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. BIG YELLOW TAXI / COUNTING CROWS
M2. DOLPHINS / EDDI READER
M3. DEAR EARTH / HENRY LEE SUMMER
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. THIS WAY TO HAPPINESS / GLENN FREY
M5. DRIVE / THE CARS
M6. HOPE, PRAYER & TIME / JULIA FORDHAM
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M7. SPIRIT OF AMERICA / THE BEACH BOYS
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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