2005年2月20日
アソベンチャー・クラブ日本、かざまりんぺいさんの大冒険術今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストはかざまりんぺいさんです。「アソベンチャー・クラブ日本」の代表「かざまりんぺい」さんをお迎えし、子供向けに作ったアウトドアのサバイバル本「完全図解冒険図鑑~生き残るための!大冒険術」についてお話をうかがいながら、子供と大人に必要な野外遊びについて考えます。 缶がランタンに変身!?●「アソベンチャー・クラブ日本」って最高の名前ですね。 「大きい名前ですよね。遊ぶということと、アドベンチャーをくっつけたんです。2年前くらいに、『本当の遊びが子どもの能力を伸ばす』っていう本を書いたときに、そのスタッフで起ち上げようということになったんですよ。みんなの目標はNPOにすることです」 ●そんなかざまさんの最新刊が、先頃、誠文堂新光社から発売になった「完全図解冒険図鑑~生き残るための!大冒険術」。表紙に書いてあるヒゲを生やしたおじいさんはかざまさんなんですか? 「この絵を描いて下さったえびなみつるさんという、本当に長くお付き合いをさせて頂いているイラストレーター、漫画家の方で本当に上手な方なんですけど、その方とふたりで作りだしたおじいさんかな。頑固者のおじいさんというか」 ●一緒にアウトドアに行きたいと思っちゃうような素敵なおじいさんですよね。この本で使っているグッズというのは、空き缶など現代のものばかり。本には空き缶ふたつを使ってご飯を炊く方法が書いてあったんですが、一番興味を魅かれました。 「空き缶にも注目して欲しいんですけど、新聞の朝刊を燃やして炊くところにも注目して欲しいんですよ」 ●本に書いてあることを読みますね。ご飯を炊く材料、新聞1日分、350mlの空き缶2コ。この缶はお茶の缶がよい。それから、お米1合、缶切り、マッチ、フェルトペン、アルミホイル、カッターナイフ、きり、小石1コ、軍手。これはすべり止めが付いているものだとベスト。さぁ、これを使ってどうやってご飯を炊くんだ?(笑)
「これは35年くらい前に僕がボーイスカウトに関わっていたときに、色々なプログラムの中のひとつに当時、飯ごうでご飯を炊くっていうのがあったんですけど、それを思いだして新聞紙を使って炊けないかなという実験を高校生のシニアの諸君と実験を始めたんですよ。そしたら、朝刊で炊けたんですよ。それも、2合が適正といわれている飯ごうに4合入れて。
●今、缶には「飲み終えたらリサイクルへ」と書いてありますが、自分でリサイクルができちゃうわけですね。 「そうですね。アメリカのボーイスカウトなんかには、サバイバルの時は普通の缶で煮炊きしようというのは出ていたんですね。でも、日本のボーイスカウトはなかなかそういうことはやっていなかったんですよ。今、缶の素材がよくなったのと、逆に言うと怖いなぁと思うのが、薄くなりすぎちゃってる部分があるんですね。でも、カッターナイフなどを使えばすごく加工がしやすくなったとも言えるんですね。それで、子供達にも素材として使うことができるなと思ったんです。で、一緒に作る親御さん達も『こんなもので炊けるんだ!』ってことになるわけですよね」 ●そんな缶を使って、缶とティッシュペーパーとアルミホイルとサラダオイルがあればランタンができちゃうんですよね? ランタンは買うと高いんですよね。 「これも面白いんですけど、こういうのって誰がどこでどういう人が作ったのかっていうのが定かじゃないんですよね。例えば、東京消防庁のあるところでは、今、これを勧めていますよね」 ●今、実際に作ったものが目の前にあります。 「サラダオイルでやるわけですよ。そうすると、例えば緊急な災害時になったときに、家庭にある色々なものを寄せ集めて明かりを作りたい。そういう場合、これは最適ですよね。それからもうひとつは、これは3つくらい集めて鍋を載せますと、インスタント・ラーメンがすぐにできるくらいのお湯がすぐに沸いてしまうんですね。火力も相当強いんです」 ●私がすごくビックリしたのが、これはいわゆるオイルランプなわけじゃないですか。オイルがサラダオイルで燃える部分はティッシュペーパーなんですよね。それでそんな強い火力がでちゃうんですね。想像すると、油がしみ込んだティッシュなんて一気にバーッと燃えて、サラダオイルに火が移って危なくないのかなって思っちゃうんですけど、そんなことはないんですか? 「全然、問題ないんですよ。サラダオイルの温度っていうのは常に発火点までいかないんですよね。ですから、全然問題なく使っていただけます」 ロープが橋に変身!?●先ほど、ご飯も炊ければランタンにもできるっていう缶の話を紹介しましたけど、それ以外にもこの本では「えーっ?」って思うようなアイディアのものがたくさん載っているんですけど、フリントストーンは火打ち石という意味なんですが、火打ち石も載っているんですよね。 「はい。載っています」 ●火の起こしかたも載っています。 「火の起こしかたっていっぱい知恵があるといいじゃないですか。この本にも書いてあって、本当は今やって欲しいんですけど、アジサイの木の真っ直ぐなものを今の冬の時期に刈り取って欲しいんですよ。夏になって木で火を起こす時にこれが使えるんですよ。今の冬の時期のアジサイじゃなきゃダメなんですよ」 ●別の時期に用意が必要なんですね。ロープも色々な使い道があるんですよね。 「ロープ1本あれば橋もできるし・・・」 ●それが「えーっ?」なんですよね(笑)。橋ですよ?(笑) 「橋なんです。簡単にいうと、例えば洗濯物を干したいと思うじゃないですか。ピンと伸ばしたロープを張りたい。その張るのにも実はコツがあるんですよね。その延長線上でピンと張ったものがもっとピンと張って、人間がぶら下がっても落ちなくなればこれは橋にもなりますよね」 ●なるほどね。(と、いまいち納得できない様子のエイミー) 「洗濯物をぶら下げてピンと張れるようなロープの張り方の延長線上のようなものなんですよ」 ●サーカスでもロープの上を橋として渡るかたもいらっしゃいますから、それくらいできるということなんですね。あと、これは私もやったことがあるんですけど、ズボンで作るデイパック。 「これはエイミーさんが体験されたガールスカウトとも関係があると思うんですけど、これをよくやったのはアメリカのボーイスカウトの子供達なんです。これは、僕も昔やっていたころにアメリカの雑誌を読んで『あ、ズボンが色々な方法でデイパックになるんだ』って知ったんです」 ●実は、ズボンは水の中ではライフ・ジャケットにもなるんですよね。この本を読んでいると「自分の周りにもこんなに色々な冒険グッズがあったんだ」って目からウロコなんですけど、基本的には缶は幅広く使えますよね。あと、いくつかリストアップしていただくとしたらどういったものがありますか? 「例えば料理にカテゴリーすると、アルミホイルは王様かもしれない。例えば、股みたいな木の上にアルミホイルを何重にも巻けば、それだけでフライパンになってしまうんですよ」 ●簡単にサバイバルということで考えたら、「これは持っておくといいぞ」というものはありますか? 「まず、火を起こせなくちゃなりません。これは、マタギの人に習ったんですけど、マッチが一番便利なんですよね。マタギの人なんかも二重、三重にビニール袋に入れてるんですよ。必ずその中には小さく切った新聞紙とか、シラカバの木の皮とかが入っているんですね」 ●燃えやすいものですね。 「はい。そういうものはビニール袋を二重、三重にするんです。それがコツだと思います。マタギの人達も濡れてしまうことが一番よくないので、防水をするためにそういうことをしています。他のもので火がつけられればいいのかもしれないですけど、とにかくマッチが必要です。次にロープかな。ロープは今いったように、ピンと張って橋もできるけども、ロープワークをうまくやれば家だって建てることができるわけですよ。それから、人を救助するためにも縄が1本あれば助けることができるわけです。大体それだけでも十分かもしれませんよ」 ●それらをどう使いこなすかというのは、この「完全図解冒険図鑑~生き残るための!大冒険術」を読んでいただきたいと思います。 「この本にも書いたんですけど、これは決して僕らが新たに学ばなきゃいけない事でもなんでもないんですね。僕らの先祖達はそのことで生きてきたんですよね。だから、僕らのDNAにはそういうことをやってきたDNAが絶対あるわけだから、みなさん自信を持ってやっていただいたら絶対できるわけですよ。全然、心配しないでいいと思いますよ。時間じゃないです」 作って遊べ!●今の子供達って物が溢れてるじゃないですか。知恵を使って「この空き缶で何が作れるだろう」って考える前に、その作りたいものが100円ショップの台頭などもあって安価で手に入りますからね。
「そうですね。僕が育っていった年代というのが、1950年代の後半~1960年代なんですが、その頃、僕は先輩から色々な遊びを習ったんです。例えば、ベーゴマも色々な遊び方を教わりました。僕が下の世代に教えようと思ったときに、一代か二代は教えたはずなんです。ところが、その先の世代が途切れているんですね。罪の意識を持っているわけじゃないんだけども(笑)、もしかしたら僕らが伝えきれなかったんじゃないかなという責任感じゃないけども、そういう意識は僕の中にありますね。
●けっこう、芸術家が多いんですね。
「そうなんです。実は凄い。大人はつい『子供って雑に作っちゃうじゃないの』って思いがちなんです。もちろん雑な子もいるんですよ。でも、その子の飛行機がとてつもなく飛んだりするんですね。お父さんよりも物凄く飛ぶってこともあります。そういう、ただ捨ててしまうものじゃなくて、宝物で自分の中にとっておけるもの、そのくらいまで作れたらいいなっていう思いで紹介していることが多いですね。
着実に土台を持った生き方をしよう●この本を読んでいると、子供達のためでもありますけど、それ以上に大人たちのための『大冒険術』なのかなって感じました。
「そうですね。冒険って色々な考え方があると思うんですよね。例えば、今、大人も子供も生きにくい時代ですよね。僕らが育ってきたときには、社会全体が貧しさを知っていましたよね。変な言い方だけど、豊かに育った子でも貧しいものを見たり、貧しいことを知っていますよ。で、社会全体がなんとなく豊かになりたいなぁっていう大きな目標があったんですね。
●かざまさんがやっているアウトドア・イベントとかって、一般の方も参加できるんですか? 「インターネットで僕のホームページはないんですね。『本当の遊びが子供を育てる』という本を書いたときに、『テレビ・ゲームを捨ててしまいなさい』っていう風に書いたんです(笑)。そのために制約も受けたんですけど(笑)、この本を読んでくれたり、一緒にやっていただいているえびなさんのところにとか、出版社とか色々なところに問い合わせがあるんですね。その問い合わせの中で『こういうイベントをやって下さい』という要望があって、ちょこちょこやっているんです。なるべく、お互いに負担にならないような形でやれるイベントをやっています。今、小さなところではちょこちょこあるんですけど、大きなところでいうと、7月くらいに大船の方でそういう計画がひとつあるみたいです。それには参加しようと思っています」 ●かざまさんは「完全図解冒険図鑑~生き残るための!大冒険術」以外にもたくさんの本を出されていて、子供に向けての本もあるんですが、お父さんに向けてエールを送るっていうのも目に付くんですよね。男の料理だったり、40にして厨房に立つとか(笑)。 「そうですね(笑)。僕が今までやってきたのは、親子、子供っていうのと、自分の世代のお父さんお母さん頑張れよということで、ひとつは料理だったり、本当はお酒だったり、特に日本酒なんですけどね。蔵巡りをずいぶんしているんです(笑)。例えば、料理なんかでもかつお節を使わなくなっちゃってるじゃないですか。そうすると、もしかしたら日本からかつお節が消えちゃいますよね」 ●これから、楽しいおもちゃや遊びを一緒に考えていければいいなと思います。 「そうですね。自分の力がどこまで行くか分からないですけど、フリントストーンと是非、一緒に何かやらせていただきたいなと思います」 ●こちらこそよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。 ■このほかのかざまりんぺいさんのインタビューもご覧ください。
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■「アソベンチャー・クラブ日本」代表「かざま りんぺい」さんの本の紹介
『完全図解冒険図鑑~生き残るための!大冒険術』
『完全図解工作図鑑~手が脳を鍛える!作って遊べ!』
『本当の遊びが子どもの能力を伸ばす 暮らしを楽しくする本』
『できる男は料理も上手い!』
『完全図解/初めてのアウトドア~子どもと楽しむ152の方法』 |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. GRAND ADVENTURE / SUSANNA HOFFS
M2. SEE THE LIGHTS / SIMPLE MINDS
M3. YOU CAN DO MAGIC / AMERICA
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. ANIMAL INSTINCT / THE CRANBERRIES
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M5. SNOW DAY / LISA LOEB & NINE STORIES
M6. FATHER TO SON / PHIL COLLINS
M7. WHAT A WONDERFUL WORLD / LOUIS ARMSTRONG
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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