2005年6月12日
シンガー・ソングライター、イルカさんは親善大使今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストはイルカさんです。去年、国際自然保護連合IUCNの初代親善大使に就任されたシンガー・ソングライターのイルカさんがゲストです。親善大使になったきっかけや、その活動ほか、自然への思いを託した歌のことや、子供の頃の自然体験などうかがいます。また、この夏、河口湖で開催する親善大使就任コンサートの情報もお届けします。 世界を繋ぐ掛け橋に イルカさんが親善大使を務める「IUCN/国際自然保護連合」は、1948年に設立され、世界の国々から政府機関やNGO、科学者や専門家などが、世界規模での協力関係を築いている世界最大の自然保護機関です。
そんなIUCNは、国際条約等の会議の支援を通じて、持続可能な社会を実現し、自然保護および生物多様性に関する国レベルの戦略を考え、実行する手助けを行なっています。また、絶滅が危惧される動植物の情報をまとめた「レッドデータブック」のもとになるレッドリストの作成にも取り組んでいます。 イルカさんは日本を始めとしたアジア地域に、まだあまり認知されていない「IUCN/国際自然保護連合」の活動と自然保護を訴えるために、初の親善大使に任命されました。 ●イルカさんは去年、ソロ・デビューをしてから30年を迎えられたそうですが、2004年は国際自然保護連合IUCNの初代親善大使に就任された年でもあるんですよね。 「はい。日本語でも英語でも覚えにくい名前なんです(笑)。発足したのは1948年なのでずいぶん昔なんですけど、欧米のみなさんにはおなじみというか、浸透しているんですけど、日本を始めとしてアジアの方々にはまだまだ認知されていないということで、私が初代の親善大使という形で任命されたんです」 ●国際自然保護連合の初めての親善大使なんですよね。 「そうです」 ●先ほど御挨拶したときにイルカさんからお名刺を頂戴したんですが・・・。 「生まれて初めて作った名刺です」 ●普通のアーティストの方って名刺を持たれないんですが、IUCN国際自然保護連合の親善大使の名刺です。 「そうなんです。再生紙を使っております(笑)」 ●(笑)。下に「THE BRIDGE BETWEEN WORLDS」と書いてあります。これは、去年発売になったアルバム「私の動物アルバム・・・そして今も」にもサブ・タイトルとして付いていました。 「そういうふうに言ってもらってからは、自分の中にも『掛け橋』っていうのがイメージとしてあるんですね。そういう意味では『WORLD』ではなくて、『S』がついて『WORLDS』という、色々な世界と世界を繋ぐ掛け橋になれたらいいなという私の願いっていうか、思いっていうことで、この言葉を自分のツアーのTシャツに入れたりとかして、自分で色々なものを作っているんです。自分の気持ちのひとつのキャッチ・コピーみたいなメッセージですね」 ●イルカさん御自身は親善大使になられる前は、IUCNという団体のことは御存知だったんですか?
「私もあまりよく知らなかったの(笑)。だから、すごく恥ずかしいの(笑)。ただ、今加盟しているみなさんは日本で言えば外務省、環境省というところから、NGOのみなさんまでたくさん加盟しているんですけど、世界中の環境問題を扱っているNGOのみなさんもたくさん加盟して、全員ボランティアの方々ですけど学者さんも加盟しているんです。それで、みなさんが御存じのところだとパンダのマークのWWF、日本ではWWFJですね。それから野鳥の会とか。そういうみなさんとは、私も会に入らせていただいていたりとか、一緒にコンサートをやらせていただいていたりとか、という繋がりが前からずっとあったものですから、そういう人達が一緒にやっていることならば、間違いがないだろうというふうに逆に私も安心したりして(笑)、今も私はまだまだ色々なことを勉強中なんです。
●IUCN国際自然保護連合には日本委員会もあるんですよね? 「そうなんです。ただ、今まではお互いに情報交換をしあうような機関でしかなかったんです。一部の人達が連絡しあうことは大事なことですが、去年、せっかく私任命されたものですから、ただの連絡しあう機関ではなくて、環境は大人も子供もみんな、自分のことだから、もっとみんなに自分のこととして感じてもらえるようになったほうがいいんじゃないかと思って、『パンフレットを作りましょう』とか言うと、みなさんが『そうですね!』っておっしゃって下さったんですけど、1銭もお金がなかったものですから(笑)、どうしようかっていうところから1歩ずつ始まっているんです。今、みなさんに会うと『カンパ箱とか作りますので、よろしくお願いします』とか言うので、パンフレットの写真選びをしたり、そんな時点から全部一緒にやっています」 ●フリントストーンも弱小ながらホームページでリンクという形で協力させていただきたいと思います。 「強い味方です。よろしくお願いします。言ってみれば、どこにも属さずにみんなが国境を越えて、いる人達が地球のことを考えていこうということなので、そういう意味ではどなたに会っても『よろしくお願いします!』って胸を張って言えるんですね」 ●世界中がみんなの庭という意識が芽生えると嬉しいですね。 「そうですね。みんながそういう気持ちになったら精神的にもみんなが近くなるし、精神的に近くなったら環境問題ももっとよくなるし、未来の子供達ももっと幸せにこの地球上で暮らしていけるんじゃないかなぁと思うと、孫のいる私としては大きく望みますね」 動植物から育てられました●イルカさん御自身は子供の頃から自然や動植物との触れ合いは盛んにやっていたんですか?
「盛んにやっていました(笑)。私は兄弟がいない一人っ子なんですよ。人間の友達ももちろんいたんですけど、ひとり遊びが全然苦にならないタイプで、そういう時に何をしているかというと、だいたい絵を描いてお話を勝手に作って遊んでいるとか、あとは外に出てアリンコと遊んだりとか、葉っぱと話をしたりとか、石ころと話をしたりというのをごく当たり前のようにしていたんです。ですから大人になったら、漠然としてですけど、生き物たちと関わりのある仕事をしたいと思っていたんです。ですから小学生の時には獣医さんになりたいとか、化石とかが好きだったのでそういうのを発掘したりとか、野性生物の数を調べたりとか、密林の奥地に入っていったりとか(笑)、そういう仕事を絶対にすると思っていたんです。ですから私の心の中ではいつも、歌のメロディー、言葉、絵を描くとき、色々な世界が自分の中で表現する手段としてあると思うんですけど、そういう時に湧き出てくる心を教えてくれたのは、そういう小さな私の身の周りにいる小さな生き物だったり、害虫といわれるギンバエだったりゴキブリだったり、そういう生き物たちが私の先生で、もしかすると崇高な、私にとっての神様のような素晴らしい存在かなぁって、今新たに思っています。
●私の幼いころは周りに空き地があったりとか、自然が残っていたのでそこで遊べたし、虫を掴んだりできたんですけど、最近はそういう場所すらなかったりして、子供達が自然と触れ合う機会っていうのが身の回りになくなってきていますよね。
「年々そうなんですよね。それに、今の子供達の親の世代、それからその上の世代もそうだと思うんですよ。ですから、日本でいえば戦後からずいぶんと文化が、人々の心がものすごく激変してしまったような気がしているんですね。でも、そういうことで私たちは『もっともっと!』、『発展! 発展!』っていって一生懸命働いてきた部分ってあると思うんですけど、でも21世紀に入ってからそれだけでいいのかなって、少し振り返る人々が増えた気がするんですね。急に『心の時代』とか言われていますけど、単なるブームではなくて、文明とか物質的なものっていうのは、きりなく欲というものを人間に刺激していくものだと思うんですね。でも、それだけじゃ本当の幸せは得られないんだなぁっていうことを感じ始めて、『じゃあ、どうしたらいいんだろう』と思ったときに、もう一度私たちは原点に戻るべきだと思うんです。
全ての生き物は繋がっている●イルカさんは御自身でデザインされたエコ・バッグをコンサート会場などで販売されていますけど、これもイルカさんの昔からの思いや願いの表れのひとつとして出来たものなんですか? 「そうですね。Tシャツとかタオルとか色々なものを作るのが好きで作っていたんですけど、やはり自分が欲しいものを作りたいんですよ。そうすると私は働く主婦で母ですから、いつも仕事や旅先からの帰りにお買い物をしたりするので、大きなカゴとかを持って歩けないんですね。そうすると、ペラペラでどこにでもすぐ入って、広げれば大きくなり、洗って何回も使えるという袋があったらいいなぁ、それも肩からかけられたら便利だなぁとか、自分が欲しいものとして『みんなも一緒に使おうよ』っていう感じで作ったら、結構みなさん使って下さっている方が多いので、とても嬉しいですね」 ●そういう意識の高いイルカさんはファンの方とも、自然や環境の話をされることもあるんですか? 「そうですね。ただ私は、難しい形で自然とか環境をうまく語ることの出来ない人間だから(笑)、自分ではいいと思っているんです。いつもの身近な日常生活の中で感じたことを歌にして聴いてもらったり、絵本にしたりとかしているので、現実的に語るっていうことをコンサートなんかでも敢えてしないんですけど、あくまで今回の親善大使も歌を通じてみなさんがどう感じて下さるだろうかだと思うんですね。それが、何かのちょっとしたキッカケになったら、そこからみなさんがそれぞれ色々な立場で自分らしく環境問題というものを捉えて、何か感じて下さったらいいなぁと思っているんです」 ●その一環ともいえるのか分かりませんが、イルカwith friendsというコンサートを行なうそうですが、これはどういったコンサートなんですか? 「これは、IUCN国際自然保護連合をみなさんに知っていただくためのコンサートなんです。一対一でお話をすることも大切なんですけど、多くのみなさんに楽しく知っていただくためには、やはりコンサートがいいだろうということで、色々な世代の人達が集まってもらえたらいいなと思ったので、夏休みの7月30日の土曜日に、富士山の麓の河口湖のステラシアターで開くことになりました」 ●IUCNの親善大使としてイルカさんがwith friendsという形で行なうこのコンサート。それ以外に今後も親善大使としてたくさん活動があると思うんですけど、今、既に予定されているものってありますか? 「まずはステラシアターと大阪の2カ所をやるものですから、それを成功させたいなと思っています。で、私だけじゃなくて賛同して下さるミュージシャンの方達にも手書きでお手紙を書いてお願いしたりとか、NGOのみなさんにも協力していただいたりして、一緒にやっていきたいなと思っているので、草の根的に1歩1歩やっていこうと思っているんです。ですから、これがうまくいったらまた他の地区でもとか、色々な形で展開できるかなと思っているので、最初からあまり欲張らずにまずは足下から種を蒔いてね(笑)」 ●パンフレットも作らなきゃいけないですしね。 「パンフレットを作るのも、みなさんに見てもらって読んでもらえる美しいものを作りいたいなと思って、欲張っていいものを作りたいと思っているんです」 ●そんなイルカさんが去年リリースした「私の動物アルバム・・・そして今も」というアルバムのタイトルにもなっている、新曲の「・・・そして今も」の最後のところに「私達は、皆この地球という大きな生き物に住む、細胞同士である」という言葉が書かれていたのがすごく印象的でした。 「地球っていうのは宇宙の中で生きているひとつの生き物だというふうに思うと、私達は1人1人だけど細胞のようにみんな繋がっているから、1人が心や体を病んだらみんなも同じように痛みを感じるものだと思っているので、そうすると人間だけじゃなくて動物や植物や、鉱物といって生きていないと思われている石も生きているんだって思うと、誰が欠けてもダメなんだというふうに思うんですね。今、地球はCO2の問題とか色々あって、この広い宇宙の中で不健康になってしまっている部分もあるんですけど(笑)、もしかしたらとても心細く思っているかもしれないなっていう気持ちが、自分の中で同化してしまうんですね」 ●今日はどうもありがとうございました。 |
■IUCN/国際自然保護連合の親善大使、シンガー・ソングライター
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. 風にのせて / イルカ
M2. 私の庭から / イルカ
M3. 祈り / イルカ
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M4. THIS NIGHT / BILLY JOEL
M5. STANDING AT THE EDGE OF THE EARTH / BLESSID UNION OF SOULS
M6. ・・・そして今も / イルカ
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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