2006年5月7日
アースデイ東京2006取材レポート今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンはアースデイ東京2006の取材レポートです。 |
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「アースデイ」は、1970年に、アメリカの上院議員「ネルソン」氏が、4月22日を“地球の日”であると宣言したことで誕生。東京では1990年からイベントが始まり、2001年からは本格的な一大イベントとして毎年開催されています。
毎日の判断を正しくしよう!●ここで、アースデイ東京2006実行委員長のC.W.ニコルさんにお話をうかがいたいと思います。御無沙汰してます。 ニコルさん「お久しぶりですね」 ●今年のアースデイ東京のテーマが「緑ツナガル」。 ニコルさん「そうです。我々がニュースを見ていると、しょっちゅう隣の中国と韓国が上の方でお互いの悪口を言ったりして、『仲直りできないのか!?』と思うんですよ。でも美しい緑や、きれいな水、きれいな空気、安心して食べられる食べ物、美しい景色は誰もが欲しいですよね。だから、その事だったら大人らしく、子供らしく話が出来るなと私は去年、みんなに提案を出したんですよ」 ●その結果、今年のテーマが「緑ツナガル」になったんですね。今年のアースデイ東京2006では、「緑ツナガル」という意味でも、イメージ・シンボルとしてアースウォーカーのポール・コールマンさんもお招きしているんですよね? ニコルさん「英国のポール・コールマンさんが世界中を歩いていますけど、万里の長城から韓国を通って、日本まで歩いたんですよ。大変、歓迎されたらしいですね」 ●ニコルさんが実行委員長を務めるのは今年で5回目ですよね。 ニコルさん「5回目です。もう他の人にやってもらいたいけど(笑)、毎年『いやいや、ニコルさんじゃないとダメだ』と言われるので、起こされたクマみたいに山から出てくるんです(笑)」 ●冬眠明けにこの人ごみはちょっとつらいですね(笑)。 ニコルさん「そう(笑)。アースデイは楽しい祭ですよ。色々な人が来て、色々なものが見られるんですよね。大体、誰でも参加できます。何を言いたいとか、何を売りたいというのがあれば、我々はちょっと見るけど、楽しければいいよ」 ●地球の住人として参加するイベントっていう感じですよね。 ニコルさん「そうですね。僕は最近、特に川と森のことを考えているんですけど、約束を守る生き物でいて欲しいですね。例えば、何千年も続けてシャケやイワナが広い海から川に帰って、自分の産卵場所に戻ってくるでしょ。カナダでは背骨がある動物で、そのシャケがいないと困るっていう動物が137種類います。人間だけじゃないんですよ。だから、その川を尊敬して人間の分を頂いて、川を保護するのは自分の先祖からの約束でしょう。それを守れない現在、そして未来はどうなるの。僕は先月カナダへ行って、少数民族とも少し過ごしたんですけど、今、アクションをとらないとダメですよ。『私には何も出来ない』という人がいたら、意識をして下さい。それから、1日にいくつもある判断を正しくして下さい」 ●それが、今年のニコルさんのアースデイ宣言ですね? ニコルさん「そうですね」 ●「だって、私、直接約束してないもん!」っていう人もいるかも知れませんよ(笑)。 ニコルさん「じゃあ、空気吸うな! 水飲むな! 何も食べないで! ウンチもオシッコもしちゃダメ!(笑)」 ●(笑)。生きている限りはその約束をした中の1人ということなんですね。 ニコルさん「そうだね。例えば、バンクーバーという街は今、200万人くらい住む大都会ですけど、シャケが上がってくる川が町の真ん中に4つあるんですよ。シャケはどういう場所で産卵しますか?」 ●砂利がいっぱいある浅瀬ですよね。 ニコルさん「そう、きれいな砂利がないとダメですね。今、建設業界はカナダでもコンクリートを作るために、すでに洗ってある砂利が安いと思って、砂利を採っているんです。それで、シャケを守ろうというグループと、人間のアパートの方が大事だっていうグループと戦っているんですよ。砂利は他でも採れるんですよ。大昔の川の跡があるからね。でも、コンクリートにするためには、それを採って洗わなくちゃいけないんですよ。ほんの微々たるコストだけどね。でも、そのコストを払わなかったら5000万匹のシャケはどうなるのよ。だから、『建設業界も考えろよ、コノヤロウ!』ってカナダに言っているんですけど(笑)、日本はもう遅いよね(笑)」 直感に訴える新しいメディア「触れる地球」
今年の『アースデイ東京』では、専用のホームページ上に、「64億人のアースデイ宣言」という、世界各地から投稿された「アースデイ宣言」が見られるサイトが用意されたんですが、そんな「64億人のアースデイ宣言」をプロデュースされたのは、「京都造形芸術大学」教授で、「アース・リテラシー・プログラム」の代表、「竹村真一」さん。「竹村」さんは、宇宙時代の地球感覚を養う、新しい地球儀、「触れる地球」を考案した方としても知られています。「竹村」さんは技術者や研究者の力を借りて、実際の地球の1,000分の1のサイズにあたる、およそ、直径1メートルの、地球儀型ディスプレイを制作。このディスプレイはコンピュータと連動していて、入力されたデータによって、地球で起こっている様々な現象が、ヴァーチャルでわかってしまうというものなんです。
竹村さん「地球時代と言われながら、地球を丸ごと実感できるようなメディアって案外ないですよね。テレビでイラクの様子とか時々映像としては映るんですが、テレビ・ゲームとあまり変わらないといいますか(笑)、バーチャルな映像ですよね。自分と関わりのある、同じ地球の上での出来事っていうことが実感できないと、イマイチ心に響かないと思うんです。そこで私は少なくとも10年先ぐらいには、一家に1台生きた地球儀があるようにしたいんです。今までの地球儀っていうのは、動かない地球儀ですけど、台風が近づいていたり、カトリーナみたいなものが近づいていたら、ボーンと地球儀の上に出ていて、テレビのニュースを見るより前に『台風が来ているな』とか、裏側を回すと、『そこにはまたハリケーンがあるな』とか、津波のような事件があったら、津波の様子が地球儀上にも現れているという地球儀を作りたいと思っています。つまり、地球的な一体感、それから地球の裏側に自分と同じ人間が生きていて、そこがリアルタイムで感じられる、あるいは世界中の温暖化の状況もすごくリアルに見ることが出来る。このままいくと50年後はどうなるんだろうか。あるいは、CO2を30%削減することに成功したら、こんなシナリオもあるかも知れない、という未来の地球のいくつかの可能性も実感できるような生きた地球が一家に1台あればということを考えてまして、これだけ話すと空想的に思われるかも知れませんが、実は、2000年からそういう地球を作り始めて、2002年にはプロトタイプが出来て、日本科学未来館に展示して、今あるのはバージョン2といいますか、もっと進化した形なんです。これを東京駅のすぐ前の大手町カフェというところに置いています。
日々、変化していくこの地球儀、皆さんもぜひ大手町に見に行っていただきたいと思います。ここで「竹村真一」さんの「アースデイ宣言」をご紹介しましょう。 竹村さん「もう少し美しく真っ当な文明を作ろうじゃないかっていうことですね。つまり、我々は文明が進みすぎて地球を破壊してるって誤解してますけど、それはとんでもない嘘で、すごく未熟な文明なんですね。幼稚な文明なんです。で、電気だって燃やしている石油エネルギーの99.7%くらいは熱として無駄に逃げていて、ほんの0.何%しか光として使えていないとか、物凄く無駄が多いんですよ。雨だって、東京には毎年25億トン降るんです。それを全然使わないで、同じくらいの量を遠くの利根川辺りから引っ張っている。物凄く無駄なことをしていますね。もっと真っ当でエレガントな文明を、もし、宇宙人が来てくれたとしても恥ずかしくないような文明を作りたいですね。『地球を守れ』ではなくて、『もうちょっとマシな文明を作ろうよ』っていうのが、僕のアースデイ宣言です」 ★ ★ ★
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毎朝、楽しいことからやろう!今年の『アースデイ東京』は、先ほどご紹介したように、4月22日の「アースデイ」に先駆けて、4月15日に大手町ビル1階の「大手町カフェ」で、先ほどご登場いただいた「京都造形芸術大学」教授の「竹村真一」さんや、エレクトリック・トランペットで知られるミュージシャン「近藤等則」さん、「明治学院大学」の教授「辻信一」さん、そして、歌手で、「国連環境計画」の「親善大使」でもいらっしゃる「加藤登紀子」さんを迎えたトーク・イベントなどが行なわれました。 「辻」さんと「加藤」さんを迎えたトーク・コーナーでは、電力やエネルギー、遺伝子組み替えの問題などが提起され、「加藤」さんが、南アメリカの先住民に伝わる物語『ハチドリのひとしずく』を朗読。そして、その素晴らしい歌声で、締めくくられました。 一方、トランペッターの「近藤等則」さんは、93年から大自然の中で即興演奏を行なう、“地球を吹く”という活動で知られていますが、「イスラエル」の「ネゲブ砂漠」や「ペルー」の「アンデス」などで吹いた時の映像をバックに、その時の心境などを語ったあと、エレクトリック・トランペットの即興演奏で、集まった人々に強烈な印象を残しました。 ここで、そんな「近藤」さんの「アースデイ宣言」をご紹介しましょう。 近藤さん「この地球という何百兆トンもある重い物体が、不思議なことにこの宇宙空間にポッカリ浮いて、なおかつ、超高速で飛んでいるわけですよね。毎朝起きたら、そのことをイメージして下さい(笑)。そして、毎朝楽しいことからやりましょう、ハハハ(笑)」 |
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毎日がアースデイ
さて、『アースデイ東京2006』の一番の話題は、今年のテーマ「緑ツナガル」に相応しい、“木を植える男”、アースウォーカーの「ポール・コールマン」さんの参加。
ポールさん「中国ではより多くの一般市民に、環境問題の深刻さや、保護活動の大切さを訴えなければいけないという意識が強くて、今回の植樹ウォークをたくさんのメディアが取り上げたし、政府やNGOからもたくさんの応援を得られたんだ。そうやって中国全土に渡ってメッセージを広められたことはとても喜ばしいことだったよ」 実は、「ポール」さんが中国を訪れた時はあまりの寒さで地面が凍ってしまっていたため、実際の植林活動はできなかったそうで、「アースデイ東京」の会場で「ポール」さんが植樹をした同じ4月22日に、2008年北京オリンピックの委員会のメンバーが北京で植樹をしたそうです。 ポールさん「それから韓国でも、マスコミを始めたくさんの人が出迎えてくれて、毎日がイベント続きだったんだ。それに僕が植樹をしていると大勢の人が集まってきて、問題を抱えている地域に案内してくれて、韓国の良い環境、良くない環境の両面を見せてくれたんだ」 今回の『アースデイ・フレンドシップ・ウォーク』では約400人もの人が一緒に歩き、およそ460本の木を植えた「ポール・コールマン」さんですが、なぜ木を植えるのか、素朴な質問をしてみました。 ポールさん「木は命の贈り物なんだ。僕が植えた木が何百年も何千年もの間、生き続けるんだよ。それって素晴らしいと思わないかい? 一度植えた木は何年先に訪れようと、その場にしっかりと根を張っている。まさに自然のシンボルさ。例えば15年前に僕はメキシコで子供たちと一緒に木を植えたんだけど、その子たちは今では大人になってその木を眺めている。そしていずれ年をとって孫たちに『この木はおじいちゃんが植えたんだよ』って話してあげられるんだよ。最高だろ?」 そんな「ポール・コールマン」さんの「アースデイ宣言」、そして日本の人たちへのメッセージをいただきました。
ポールさん「僕からのアースデイ・メッセージは“WE CAN(我々には出来る)”ということ。つまり我々は森を守ることも出来るし、川や空気をきれいにすることも出来る。また地球上の生きものたちの命を守ることも出来る。要は行動すればいいだけなんだ。そして行動するのは我々一人ひとりなんだよ。誰もが地球をもっといい場所に出来る。毎日がアースデイであり、我々が地球のために行なうひとつひとつの小さな行動が、この惑星のプラスになるんだ。
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今年は使用済みのてんぷら油を回収する試みがあったり、てんぷら油をリサイクルした燃料「VDF」で走るバスが渋谷の街に登場しました。また、ステージで使う電力も「VDF」で発電するといった徹底ぶりで、『アースデイ東京』のイベントは年々、規模も内容もどんどん大きくなっていっているように感じました。
■このほかのアースデイ東京・取材レポートもご覧ください。
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■「アースデイ東京2006取材レポート」関連HP情報・アースデイ東京2006の公式HP:http://www.earthday-tokyo.org/
・「京都造形芸術大学・教授」の「竹村真一」さんが代表を務める
・アースウォーカー「ポール・コールマン」さんの |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. EARTH DAY EVERY DAY (CELEBRATE) / JOHN DENVER
M2. EARTH ANTHEM / DAN FOGELBERG
M3. MOTHER EARTH / NITTY GRITTY DIRT BAND
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M4. ひとつしかない地球~THE ONE AND ONLY EARTH~ / 宮沢和史
M5. SAVE OUR PLANET EARTH / JIMMY CLIFF
M6. PEACE ON EARTH / U2
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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