2006年10月29日
作曲家・中村幸代さんの「ロハスなライフスタイル」今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは中村幸代さんです。地球や自然をテーマに音楽を創造する作曲家、中村幸代(なかむら・ゆきよ)さんをゲストに、音楽で伝えたいことや、中村さん流のロハスなライフスタイルについてうかがいます。 地球ってカッコイイ!●中村さんはロハス(LOHAS:Lifestyles Of Health And Sustainabilityの略で、健康で持続可能なライフスタイルという意味)なライフスタイルを実践していらっしゃるそうで、そもそも小学校時代に「地球ってカッコイイ」って思ったのが音楽を作る上での原点にもなっているというのをプロフィールで読んだんですが、「地球ってカッコイイ」っていうのはどこからきた発想なんですか?
「小学校3年生の時に学校の課外授業でプラネタリウムを見に行ったんですね。で、そのときに、ものすごく感動しまして、今まで神奈川県の鎌倉に住んでいたんですけど、満天の星というのはあまり見たことがなくて、その時が初めてだったんですね。『こんなに星があるんだ!』っていう驚きと、その中でなぜ地球にだけ水があったり、空気があったり、もっと言ったらなぜ命があるんだろうって思って、震えるくらい感動したんですね。それで、ただ黙ってたくさんの命を抱え込んでいる地球がすごくカッコイイって思っちゃったんですね(笑)。
●(笑)。そんな中村さんが音楽を作っていると、自然観や地球へのそういう思いが自然と音楽に表れてくるんじゃないですか?
「20歳でデビューをしたんですけど、音楽を通して何を伝えたいのかとか、自分は何を表現していくのかとか、個性とは何かとか、色々な問題が自分の前に突きつけられてきて、一気に何の自信もなくなって、『どうしよう!?』と思ったんですね。何も感じることができなくて、例えば、今まで好きだった音楽を聴いても、何も感動しなくなっちゃったり、空を見ても何も思わなくなっちゃったり、人間関係でもつまずいたりとか、そういうことがすごく続いたんですね。そのときに色々な映画を見たり、あちこちのプラネタリウムに通ったりとかして、何とか自分の原点や、『自分ってなんだったっけ?』っていうのを思い出したいと思って、その時に『ラスト・オブ・モヒカン』っていう映画をたまたま観たんですね。そのときのスクリーンに映った大自然や、人の生きていく姿とかを見たときに、プラネタリウムを見た小学生のときの一連の感動がグワッとよみがえってきて、『そうだった! 自分ってそれが好きだったんだ!』と思い出だしたんです。
●中村さんは海外にもたくさん行かれているそうですが、プラネタリウム以外で印象に残っている星空ってありますか? 「南の島でヤップ島っていうところがあるんですけど、グアムで小さい飛行機へ乗り換えて、ヤップ島からさらに乗り継いで、小さな孤島のウォレアイ島っていうところに行ったんです。そこは女性はトップレスで暮らしているようなところで、自然の中で暮らしている方達の中に入って、何日か生活してきました。そこは、本当に宇宙の中に地球が浮かんでいるんだなぁっていう印象の星空でした。水平線のギリギリまで星が見えて、お風呂がないので海に入るんですけど、男性と女性となんとなく時間が分かれていて、女性は女性でシャワーへ行こうって言って、ヤシの木の間を抜けて、夜、満天の星の中で海に浸かるんですね。そこで、女性達がいわゆる井戸端会議みたいなことをして(笑)、好きな人の話とかをしているんですけど、そこへ混ぜてもらって満天の星空を見ました」 ふところの大きさがロハスを気に入った理由●ロハスっていう言葉を最近よく耳にするようになりましたが、これを日本語に言い換えると、健康で持続可能なライフスタイルということになるんですけど、ロハスとの出会いっていうのは何だったんですか?
「23歳のときに先ほど聞いていただいたような壁にぶつかって、新たに自分の音楽のテーマを自然の中に見つけて出発したんですけど、そうすると、やはり今、地球が抱えている問題っていうのをより意識するようになって、すごく深刻だなぁと思っていたんですね。自分も音楽でそれを言おうとすると、日本だからなのか、偽善者だとか、名前を売るために言っているんじゃないかとか、とても残念な反響を感じたんです。で、ふとそれで自分の生活を見ても、やっぱりスタジオに入って音楽を作るにはものすごく電気を使いますし、譜面を書くのに紙だってどんどん消費していきますし、『一体どうしたらいいんだろう?』ってなって、思うことと実際の自分の生活とギャップがあるような、後ろめたいものをずっと感じながら音楽を作っていたように思うんです。
●中村さんはお子さんができてからも、色々と考え方やライフスタイルが変わられたとうかがったんですが、どのように変わられたんですか? 「1つは肉体的な健康面で母親として責任を感じて、食べ物には気をつけるようにしていて、なるべく『これって何なんだろう?』って思うようなカタカナがたくさん書いてあるものは与えないようにしようとか(笑)。それも、絶対にではなく、なるべくっていうようにゆるくしつつやっています。一番心配なのは心の問題で、最近もいじめの問題とかをニュースでもやっていますよね。子ども自身もすごく生きづらくなっているような、人と人との心の関係っていうのがすごく気になっていますね。きっと大人になる過程で全く嫌な思いをしないでとか、全くいじめに遭わないでっていうのは有り得ないと思いますし、逆にそれがないと、人の痛みが分からない子供になってしまうと思うんですけど、いじめ自体の内容も変わってきてしまっているような気がするんですね。私も子供の頃に経験しているんですけど、そこから出てくる結果が全然違ってきちゃっているような気がするんですよね。そこが今、子供を見ていて一番気になるところですね」 野菜不足解消“一発逆転スープ”とは!?●食育っていう言葉もロハスとともに最近よく聞くようになってきていますよね。以前テレビでやっていたのが、小学生達に添加物が入ったフリーズドライのお味噌汁と、天然の素材で作ったオーガニックなお味噌汁を両方食べてもらって、「どっちの方がおいしい?」って質問したら、天然の方がおいしくなかったらしいんです。それくらいケミカルなものに舌も慣れすぎてしまっているっていう結果が出たらしいんですよ。それで、中村さんの記事を読ませていただいたんですけど、「2歳のお子さんがオーガニックな野菜は喜んで食べるけど、コンビニ弁当の付け合わせの野菜は口にしない」って書いてあって、かなり舌が肥えたお子さんだなって思いました(笑)。 「子供ってなんでしょうね(笑)、食べないときがあるんですよ。私は全然分からなくて食べちゃうんですけど、2歳の子に感覚があるんですかね(笑)」 ●まだ人間というよりは動物的な何かが・・・(笑)。 「そういう嗅覚があるのかもしれませんね。意外と小学生になったら食べているかもしれないですけど(笑)」 ●(笑)。でも、普段からオーガニックなもの、おいしいものっていうのが体で分かってくると、体が反応するのかもしれませんよね。よく女性なんかでも、普段、あまり間食しない人が急にチョコレートを食べたりすると吹き出物が出たりするじゃないですか。それと似ている感じなのかもしれませんね。中村さんも普段、レコーディングや何かでスタジオにこもって不規則な生活をしていると、野菜ジュースを飲んだくらいでは体調をキープできないそうですね。 「そうなんですよ。絶対に風邪をひくんですよ。時間がなくてコンビニでお惣菜とかサンドイッチとかを買って、野菜ジュースを飲んでフォローしようって思うんですけど、風邪をひいちゃうんですよ。やっぱり食べ物って大事なんですね」 ●そんなときの「野菜不足解消“一発逆転スープ”」っていうのがあるそうですね(笑)。このネーミングがかなり気に入りました(笑)。これはどういうスープなんですか? 「ダシはササミを使うんですけど、何でもいいから野菜を刻んで入れちゃうっていうスープで、ただ煮ただけのものなんです。ポイントはお鍋にお水とササミを入れて、お湯が沸いてからササミを入れるんじゃなくて、水から炊くといいダシが出て、ササミもふっくら柔らかくなるんですよ。野菜もタマネギやニンジンやサツマイモなど何でも入れちゃっていいんです。離乳食にもピッタリで、大人はそれをスープにしたり、それにご飯を入れてリゾットにしたりもできるんです。ダシはササミのいいダシが出ているので、そこに塩とコショウを入れるだけで全然OKなんです。それをつぶせば離乳食になりますし、残ったらトマトの缶詰を入れればトマトのリゾットになるとか、シチューになるとか、カレー粉を入れればカレーになるとか、簡単に色々な料理に変身できちゃうんですよ」 ●便利ですね! それを飲むと体調が戻ったりするんですか? 「そうですね。やさしい味なので、自己満足かもしれませんけど、実感で胃袋が喜んでいるかもしれないって思ったりしています(笑)」 ●それが中村流「体調復活“一発逆転スープ”」なんですね(笑)。今、都会で忙しく働いてらっしゃる方って、ほっとする瞬間って少ないと思うんですよ。みなさんそういうのを求めていますよね。それが体にもよくて心もほっとさせて、それが地球にもいいとなると、すごく素敵じゃないですか。そういうのをもっと実践すればいいのかなと思いつつも、どこからどう始めていいのか分からない方もいらっしゃると思うんですね。そういう方へのアドバイスはありますか? 「香りを快適だと思う方もいらっしゃるでしょうし、味覚を快適と思われる方もいらっしゃるでしょうし、あるいは着るものは綿素材が気持ちいいとか、色々あると思うんですけど、きっとこういう快適さというところから、少し地球にやさしい、自分にやさしいみたいなものをチョイスするっていうことが、続くし、ストイックにならなくて難しくないのかなぁって私は思いますね」 光と水は地球そのもの、命そのもの●今年の8月にリリースされたニュー・アルバム、『光と水の旋律』のジャケットは淡い色合いで、水面に漂う光がイメージできる感じになっていて、音楽もそんな感じなんですが、やはり光と水というのは中村さんにとって永遠のテーマなんですか? 「そうですね。光と水というのはまさに地球そのもの、命そのものだと思っているんですが、あまりにもスケールが大きいので、自分の一生をかけて作曲のテーマにしようと思っているんです。光にしても水にしても、惜しみなく恵みを小さな命から大きな命まで全てに与えている潔さっていうか、それがカッコイイなと思いますし(笑)、素敵だなぁって思うので、光と水はずっとテーマにして曲を作っていきたいなと思っています」 ●まさに光と水は地球を象徴するような二大要素でもありますから、そういう意味では地球をカッコイイと思った小学生が大きくなって、光と水をカッコイイと思いつつそういう音楽を作っていくっていうのは、子供の頃からずっと繋がっているものなんだなって非常に感じました。中村さんご自身は今後もずっと光と水をテーマにしつつ音楽を作られる中で、今、気になっている題材とか、描きたいもの、作りたい曲のテーマっていうのはあるんですか? 「今回はゆったりとした世界だったので、今度は前作の『Soleil』というアルバムに続くような曲を書いていきたいと思っています」 ●それはいつ頃、私達は耳にすることができそうですか? 「まだ具体的ではなくて、自分の中で決まっているといった感じなんです」 ●では、完成しましたら是非、私達もご紹介させていただきますし、改めてお話をうかがえればと思います。 「ありがとうございます」 ●今日はどうもありがとうございました。 |
■作曲家「中村幸代」さん情報
最新アルバム『光と水の旋律』
LOHASなライフスタイルを実践されている「中村幸代」さんの公式ホームページには最新情報やディスコグラフィーのほか、日記のページもあり、中村さんが日々どんなことを考えながらすごしているのかなどもわかる。 ・中村幸代さんのHP:http://www.yukiyonakamura.com/ |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. LISTEN TO THE MUSIC / THE DOOBIE BROTHERS
M2. STAR / EARTH, WIND & FIRE
M3. WALKING WITH THE KID / HUEY LEWIS & THE NEWS
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. AND YOUR BIRD CAN SING / MATTHEW SWEET & SUZANNA HOFFS
M5. SKYWARD / 中村幸代
M6. THE SLOW LIFE / CHRIS PIERCE
M7. INTO THE LIGHT / 中村幸代
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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