2006年11月19日
サイクリスト、シール・エミコさんの「笑顔の世界一周」今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストはシール・エミコさんです。ガンを克服して、世界一周の自転車旅を夫婦で続けるサイクリスト、シール・エミコさんをゲストにお迎えし、夢への挑戦についてうかがいます。 地球は丸くない!?●エミコさんはまだお若いですけど、壮大な人生を送っていらっしゃいますね。 「はい。色々ありました(笑)」 ●そもそも、世界一周の旅をするキッカケはなんだったんですか? 「早くに家を出たんですけど、やっぱり生活が大変だったんですよ。食べていかなくちゃいけないので色々なアルバイトもしました。あと、専門学校にも行っていたんですけど、途中でやめちゃって、夢もなくて希望もないし将来も見えないし、おまけに失恋もしちゃって、目の前が見えなくなっちゃったんですよ。それで、絶望したときに『これじゃいけないんじゃないか』って思ったんです。『まだ若いから人生をやり直そう』って思ったんです。一生懸命出来るものを探そうと思ったんですね。それが自転車での世界一周に繋がっていったんです」 ●最初はオートバイで日本を廻られたんですよね? 「はい。ナナハン(750cc)で廻っていました」 ●すごいですね!(笑) オートバイから自転車に切り替わったのにはどういういきさつがあったんですか? 「旅先のオーストラリアで今の主人のスティーブに出会ったからなんです。その彼が自転車に乗っていたからなんです(笑)。本当はオートバイで世界一周しようかなぁって思っていたんですけど、早すぎて空回りしているような気がして、彼を見た途端に『私も自転車に乗りたい!』って思ったんです」 ●オートバイでのスピーディーな旅のスタイルから自転車になると、同じ道を走っていても、見え方も風も全部違ってくるじゃないですか。最初はどうでしたか? 「全く違いましたね。はじめは地球の上を移動しているっていう感じだったんですけど、自転車に乗り換えてからは山あり谷ありで汗をいっぱいかくんですよ。かいた汗の分だけ身になっていくっていうか、『地球って丸くないやん!』みたいな(笑)。『デコボコしてるやん!』みたいな(笑)」 ●「地球って本当に丸かった」じゃないんですね! 「丸くないんですよ!(笑) 常にデコボコしていますね」 ●それを実感できたのも自転車に乗り換えたからなんでしょうか? 「ええ。自分の足でペダルを一歩一歩踏みしめて初めて気づいたことですね」 ●そんなスティーブさんとの出逢いが1989年ですから、実際に籍を入れるまで、かなり長い婚前旅行をしていたんですね(笑)。 「ええ。テスト期間ですね(笑)」 ●相当長いですよね(笑)。世界一周って色々な捉え方があると思うんですね。七大陸を全部廻ることが世界一周なのか、コーストラインをずっと行くことが世界一周なのかとか。そうすると「真ん中行ってないやん!」とかね(笑)。エミコさんの世界一周の廻り方っていうのはどういうところに重点を置いてプランニングされているんですか? 「一応、ルールとして、北米の最北端から南米の最南端の土地までを線で結ぶ。そして、アフリカの最南端から北欧の最北端まで進むっていう感じですね。あとは好きな道を好きなときに行く。時間を関係なくジグザグに走るといった感じですね」 ●例えば、北から南までとか、一番南から一番北までっていうと、季節にもよるでしょうし、風景も文化も全然違うじゃないですか。その旅の途中でのカルチャー・ショックだったり、戸惑いみたいなものってなかったんですか? 「もう、しょっちゅうですよ(笑)。またそれが楽しいのであって、言葉も変われば食べ物も変わるし、宗教も変わる。それが旅の醍醐味っていうんですかね。たくさんの人にも会えるし、いろいろな話をすることによって、お互いが理解し合えて、交流が深まって、そういうのを続けていくと、小さな平和が繋がっていくんじゃないかなって感じました。最初、旅に出たときは、そういうことに気がつかなかったんですけど、徐々に出会った人の数だけどんどん自分が変わっていくんですよ」 ●ご自分でどういう風に変わられたと思いますか? 「ハードな環境を乗り越えるたびに、『こんなに小さな自分でもできたやん』って自信に繋がって、次のステップに繋がるんですね。そういうのをどんどん繰り返すことによって、ハードな世界を知ると、自然に対しても、人に対しても、やさしくなれるんですよ。自分自身が好きになっていくっていうか。自分が好きになれると、人のことも心から好きになれて、そして初めて人が私を好きになってくれて。愛の方程式みたいな、すごくいい流れが出来たような気がしています」 1日は1日なので笑って過ごそうと思った●自転車ってバイクと比べるとなおさらスピードがゆっくりじゃないですか。そうすると、よくあるケースっていうのが、子供たちが自転車の周りを一緒になって走ることだってよく聞くんですが、実際はどうでしたか? 「よく追いつかれちゃいますね(笑)。『重たいな』と思ってふっと振り向くと、後ろに乗っている子もいるしね(笑)」 ●(笑)。人との交流も自転車だから広がるっていう部分もあるのかなって思ったんですね。 「ありますね。自転車に乗って、たくさんの笑顔を見せてもらえたんじゃないかなって思いますね」 ●エミコさんは旅の途中に子宮ガンで余命が半年って通告をされたそうですが、笑顔パワーで克服されたんですよね。 「最初はショックでしたけどね。言葉もないし、笑顔も泣きながら笑っていましたね。泣いていいのか笑っていいのかよく分からないくらいでした。でも、泣いていても1日は1日なので、笑って1日を過ごそうって心を切り替えましたね。っていうのは、人間は生まれたからにはいつかは死ぬし、それはみんなに与えられた運命であって、早いか遅いかなんですね。そうなると、やっぱり長さじゃなく、深さで生きていこうって思ったんです。私が泣いていたら、悲しい顔をしていたら、周りにも伝わっちゃうし、悲しませちゃうので、最後、死ぬまで笑っていようと思ったんです。主人もオヤジ・ギャグを連発するので(笑)」 ●(笑)。私がすごく感じたのは、本当にいいお医者さんに出会われたなっていうことなんです。 「そうですね。患者に『こうですよ。ああですよ』って言うんじゃなくて、患者の話を聞いてくれるお医者さんでした。治って本当によかったです」 ●聞いたところによると、そのお医者さんご自身も若い頃に自転車での世界一周を夢見ていらっしゃったということで、もしかしたらエミコさんの旅を誰よりも応援していてくれたのは先生だったかもしれませんね(笑)。先生とも旅や自転車の話はされたんですか? 「はい、よくします。実は、ベッドの横では病気の話よりも旅の話のほうが多かったですよ(笑)」 ●(笑)。そうしながらどんどん回復に向かわれて、今年、ついに5年経って再発の可能性がなくなったということで、完全復活おめでとうございます! 実際、病に倒れてから旅の再開までにはちょっと時間がかかりましたよね。その間、気持ちは焦るものですか? 「複雑でしたね。『ガンですよ!』って言われたときに、『次の冒険が始まったか!』っていう感じだったんですよ。この冒険は、ある意味では自転車の世界一周よりも大きな冒険だったし、死と背中合わせですから、どういうルートで行くのか、そしてゴールが迎えられるのか分からない状態だったので、とにかく手探り状態で、真っ暗なトンネルに突き落とされたっていう感じでしたね」 ●でも、そこから見事、光を見出して、前進されたじゃないですか。 「『焦っちゃいけない』って自分に言い聞かせていたんですよ。あと、ガンに勝とうとは思わなかったんですね。ただ、負けないように共存しながら、一日でも多く生きていこうって思ったんですね。それがよかったのかもしれないですね」 自分で自分の人生を変えられる●今、いじめを苦にして自殺をしてしまう子供たちが増えていますが、そんな今の子供たちに何かアドバイスはありますか?
「実は私が旅に出たキッカケっていうのが、小さいときに家が引越しを繰り返していて、その時に経験したいじめなんですね。学校に行くのも面白くないし、友達もできないし、成績も悪くなっていくし、本当に悪い循環がどんどん続いていったんです。こういう公共の場で言うのは恥ずかしいですし、長い間、罪を感じながら生きてきたんですけど、私も自殺を試みたことがあるんですよ。だから、すごく気持ちが分かるんです。
人生は楽しむのがモットー●実は今、私の前においしそうなお野菜が置いてあります。これはエミコさんがご自宅の菜園から持ってきてくださったんですが、これはもぎたてですか? 「はい。今朝採ってきましたー!(笑)」 ●(笑)。すごくおいしそうなんですけど、お家は築100年以上の古民家なんですよね? 「はい。わらぶき屋根で『まんが日本昔ばなし』に出てきそうなお家です(笑)」 ●お写真もちょっと拝見したんですけど、「ふーっ、ふーっ!」ってやってご飯を炊いて・・・。 「はい。かまどで炊きます」 ●お庭では何種類くらいお野菜を育てていらっしゃるんですか? 「時季によって違うんですけど、今は全部で80種類以上のお野菜やハーブを育てています」 ●これは何かキッカケがあったんですか? 「自らガンにかかって食事療法を始めたんですよ。そのときに、同じ食べる野菜でも、無農薬がいい。それプラス、自分の愛情をかけて育てたお野菜を食べたいと思って作り始めたんですけど、やはり毒を食べると体も悪くなっちゃうんですね。ところが、いいものを食べると体もどんどんよくなっていくので、そういう意味で無農薬で自然農法であまり手をかけずに放任主義で育てています(笑)」 ●(笑)。でも放任主義にすると、招かざる客人もお野菜に寄ってくるんじゃないですか?(笑) 「来ます来ます(笑)。大体6割くらい食べられたらいいかなって考えています。虫とか動物っていうのも自然のバランスがありますし、私達も自然の一部なので、みんな仲良く助け合いながら、分け合いながら生きています(笑)」 ●(笑)。シールさんご夫妻は、旅の途中でも何かいただいたら、まずおすそ分けっていう方々なので、お野菜が出来たらまずおすそ分けをするんですね。 「はい。虫と動物に(笑)」 ●わぁ、気前いい!(笑) 現在、旅の状況としては残すところ7000キロ。地球一周のゴール日本まで7000キロ。このゴール達成は予定としては2007年になるんですか? 「小分けにすると、あと2年くらいかかっちゃいますね。やっぱり無理できないので、7000キロの旅を半分ずつ、6カ月ずつに分けてやっていこうかなって予定を立てています」 ●別にいつまでにやらなきゃいけないわけじゃないですからね(笑)。 「これだけ時間がかかったので、急ぐ旅でもないですからね(笑)」 ●切りよく20年かけてっていうのがいいかもしれませんね(笑)。 「そうですね(笑)。頑張ります!」 ●今年の初めにインドの旅を終えて、インドからネパールの旅も終えられました。次の旅はいつごろ出発の予定なんですか? 「来年の4月から行ってきます」 ●今描いているその先のルートはどんな感じですか? 「今度のルートは結構大変なんですよ」 ●また大変?(笑) 「また大変なんですよ(笑)。もっと大変なんです。まず、標高5200メートルの峠を越えなくちゃいけないし、どうなることやらって感じです。地図を見ながら、2人で眉間にしわを寄せて、あれこれ練りながら行こうと思います」 ●気をつけて旅をしてくださいね。でも、2人だから、楽しみながらたくさんの友人を作りつつ・・・。 「寄り道をいっぱいしながら・・・(笑)」 ●(笑)。では、来年の今くらいにはまた番組でお話をうかがえればと思います。次回は大好きなダーリンもご一緒にラブラブなお土産話を聞かせていただきたいと思います(笑)。無理をなさらないで、マイペースで楽しんできてくださいね。 「はい。人生は楽しむのがモットーですからね」 ●今日はどうもありがとうございました。 ■このほかのシール・エミコさんのインタビューもご覧ください。
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■サイクリスト「シール・エミコ」さん情報
本『ガンを越え、めざせ地平線!!』
ポストカード販売!
・エミコ&スティーブの地球大冒険:http://www.yaesu-net.co.jp/emiko2/ |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. 激しい雨 / 忌野清志郎
M2. LOVE LOVE LOVE / TRISTAN PRETTYMAN
M3. OUT OF THE BLUE / DELTA GOODREM
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. HOLE IN THE WORLD / EAGLES
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M5. MOTHER NATURE'S SON / SHERYL CROW
M6. LIFE IS WONDERFUL / JASON MRAZ
M7. 希望の轍 / SOUTHERN ALL STARS
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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