2007年4月29日
ホールアース自然学校が25周年~代表の広瀬敏通さんを迎えて~今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは広瀬敏通さんです。日本の自然学校の草分け、今年創立25周年を迎えたホールアース自然学校の代表・広瀬敏通(ひろせ・としみち)さんをお迎えし、自然学校のあり方や、エコツーリズムについてうかがいます。 人々が自然離れをしていた
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●ホールアース自然学校では1987年頃からエコツーリズムとか環境教育に本格的に取り組まれていますけど、この時期に始めたというのは何か理由があったんですか?
「僕が1982年から動物農場と同時に牧場をやり始めたんですよ。で、その牧場は体験型の牧場を作るということで始めて、観光牧場的にすごくヒットしたんですね。で、僕はそういうのを作るつもりはなかったので、自分で日々それに追いまくられる状況で悩んでしまったんですね。で、同時にその頃、観光っていうのが『おかしいな』ってすごく痛感させられたんです。例えば、観光バスや旅行会社の人達とたくさんお付き合いをしますよね。そうすると、必ずリベートを渡す仕組みがあったり、牧場の体験を楽しんでいる人達を追い立てるようにして、次から次にこなしていく仕事のやり方だとか、そういうのが実に嫌だなぁと思って、『これはもしかしたら観光っていうのとは違うんじゃないか』って思い始めたのが牧場をやっていた頃なんですね。で、同じようなことを考えた人たちが全国的に集まって、東京観光人クラブっていうのを作ったんですよ。今はなくなってしまったんですけどね。で、そこに参加してやっていたのがエコツーリズムというものに触れる最初のキッカケだったと思うんです。それが、1985年頃ですね。で、1987年に牧場を放り出して、本格的にもう1つの観光にしっかりと目を向けていこうという気持ちが強くなったんですね」
●25年前から自然学校を作られて、こういう研究をずっと見てこられて、どの辺から人々の意識や全体的な変化を感じるようになりましたか?
「バブルが崩壊したのは、それによって弱者の人をたくさん生み出すことにもなったんだけど、もっと乱暴な広い見方で言ってしまえば、僕はバブルの崩壊ってすごくよかったって思っているんですよ。それまでみんな、ありもしない永遠の繁栄伝説みたいなものに追いまくられていて、本当に自分達の将来についてしっかり考えるっていう意識が少なかったと思うんですが、そこでガツーンと目を開かせてくれた。で、同時にさまざまな環境問題が相当深刻なところまできちゃっているんだっていうことを教えてくれたわけですね。それが、1992年の地球サミットといわれたリオ・サミットとピッタリ重なっていて、あの頃から21世紀は環境の世紀になっていくんだって言われていましたし、我々も20世紀の後半のようなやり方でこれからの社会を作るっていうのは不可能なんだってことに気づきましたよね。で、それが結果的に自然学校が全国に広まっていったベースにもなったし、観光業が一気に頭打ちになっていくのと同時に、エコツーリズムという分野が急速に広がってきたっていうことにもつながっていったと思いますね。やっぱり、社会全体がこれまでの価値観とこれからの価値観がガチャーンと変化する時期が、ちょうどあのあたりをエポックにしていたと思うんですね」
●広瀬さんは日本エコツーリズム協会の理事もされていますが、エコツーリズムの問題点や今後の課題を教えていただけますか?
「これまでの観光は、観光地を台無しにしてしまうとか、大量に送客して、感動もへったくれもないような旅をどんどん作ってきちゃったとか、そういう諸々の課題をエコツーリズムによって解決できると思っていたんですよ。ところが、実際にエコツーリズムを全国、様々な地域がやり始めていったら、同じような問題がたくさん起きてきたんですね。つまり、エコツーリズムでも解決できない問題がたくさんあるんだってことに気がついてきたんです。で、ある意味、これは当たり前なんですよね。我々の社会っていうのは色々な要素が繋がっているので、言葉を変えただけで変化するような単純なことは有り得ないですよね。だから、我々の暮らしそのものを変えていかない限り、エコツーリズムというものを、環境と観光が両立するような仕組みとして成り立たせるっていうのは、なかなかなりにくい状況なんですよ。でも、だからできないのではなくて、エコツーリズムの分野も、様々な環境教育の分野もみんな同じなんだけど、今の社会ではもう成り立たない。で。それに代わる新しいシステムを作るとか、暮らし方を変えていくっていうことをしなければならない。そのアクションとして、例えば食べ物について色々考えて、なるべく地産地消のものを使うとか、農薬を減らしたものを使うとか、あるいはゴミを出さないような暮らしをするということと同じように、エコツーリズムという形で我々の地域社会の作り方や、観光のあり方をみんな変えていこうと。だから、完成型ではなくて発展型の言葉なんですよね」
●広瀬さんは、エコツーリズムには欠かせないガイドの育成にも力を入れていらっしゃるそうですね。
「はい。諸外国ではかなり一般的に国家登録や国家認定があって、ガイドの品質が保証されているんですが、日本のエコツーリズムの世界は諸外国のようにガイドの認定制度がないんですね。日本では『今日からエコツアー・ガイドになります』って言って看板立てればできちゃうんですね。だから、ガイドの品質を少しでも保証していこうということで、僕たちは全国各地でガイドの養成に力を入れているんです。それで、できれば今年中には日本エコツーリズム協会として、ガイドの認定制度を作っていこうという話し合いに入っているところです。やはり、ガイドが決定的な役割を果たすっていうエコツーリズムの分野が、特に外国の方からはすごく関心を持たれているので、英語やスペイン語や中国語、韓国語でガイドできるガイドさんを作っていかなきゃいけないんですね。そういう意味で今、ホールアース自然学校でも国際室っていうのを置いて、英語、スペイン語などでガイドできるシステムを作ってきているんです。そこに色々国々の人達が頻繁に訪れてエコツアーを楽しんでいくんですが、彼らは日本でいわゆる観光バスのパック・ツアーにしか参加できないと思っていたのが、こういうツアーに参加できて直に地域の文化に触れたり、日本独特の自然に触れたりすることができるっていうことに感激して帰っていくんですね。で、それをもっともっと日本全体でやれるようにしていかないといけないと思うんですね。日本政府は今、ビジット・ジャパン・キャンペーンというのをやっていますよね。日本に訪れる外国人(訪日外国人)を増やそうというキャンペーンなんですが、どういうふうにもてなすのか、どういうことを求めに日本に来てもらうのかっていうところについての戦略はまだ弱いんですよ。巨額な予算でやっているけど、ちょっとずれているんじゃないかなっていう気がしています」
●ホールアース自然学校が創立25周年を迎え、この先のホールアース自然学校の野望(笑)、目標はなんですか?
「(笑)。自然学校というのが前例がない世界でしたよね。だから、変な言い方なんですけど、僕らはなんでもできちゃったんですよ。ですから、色々なことに手出し口出しをして、世界を広げてきているんですね。で、極端な言い方をすると、日本という社会は全てが自然をベースに成り立ってきた社会なので、日本の中での活動は、どういうことでも自然学校のフィールドとしてはおよそできてしまうんです。例えば、災害救援だとか、地域を元気にする活動だとか、企業をもっと環境経営に熱心になってもらうような取り組みだとか、色々な分野で今、自然学校が取り組み始めているんですね。で、そういうことからすると、かつての25年前からは想像がつかなかった分野まで手出しをしていて、これからは今ここでは想像つかないようなことがきっと起きるんじゃないかって思っています」
●では、今後もどうなっていくかチェックしつつ、私達もしばらくホールアース自然学校にはお邪魔をしていないので、また是非うかがいたいなと思います。
「ええ、そうですね。ホールアースの本校は富士山にあるんですが、どんどん進化していますから、是非、見に来てください」
●是非、うかがわせていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
■ホールアース自然学校情報広瀬敏通さんが代表を務めるホールアース自然学校は現在、日本におよそ2000校ある自然学校の草分け。今年創立25周年を迎えた、そんなホールアース自然学校では、質の高いインタープリター(スタッフ)のもと、内容の濃いユニークなプログラムがたくさんあります。そのいくつかをご紹介しましょう。
・「いきもの自然紀行」
・「洞窟アドベンチャー~富士樹海ケイビング」
・「田んぼガッツ村」
・「富士川カヌーキャンプ」
このほかにも年間を通した自然体験プログラムや、指導者養成のプログラムなど充実した内容となっています。詳しくはホームページをご覧下さい。 ・ホールアース自然学校のHP:http://www.wens.gr.jp/ |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. GET UP AND GO / PILOT
M2. BUILDIN' A HEAVEN ON EARTH
/ MISS ABRAMS & THE STRAWBERRY POINT 4TH GRADE CLASS M3. COWBOY DREAMS / PREFAB SPROUT
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. CHEER DOWN / GEORGE HARRISON
M5. PLANETS / TEENAGE FANCLUB
M6. YOU'RE JUST A COUNTRY BOY / ALISON KRAUSS
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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