2007年7月29日
「オーガニックとは?」
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは岡村貴子さんです。 |
環境に優しい食や生活を提案する、オーガニック・コンシェルジュの岡村貴子さんをお迎えし、オーガニックの本質的な意味や、心や体、そして環境にも優しいライフスタイルについてうかがいます。
●早速なんですが、オーガニック・コンシェルジュとはどういうことをする人のことを指すんですか?
「エイミーさん、オーガニックってどんなものか大体でイメージつきますか?」
●私の中でのオーガニックっていうと、食べ物とかオーガニック・コットンをはじめとする衣料品だったり、あと音楽関係で「オーガニックなレコーディングをして・・・」とかって、アコースティックでナチュラルなレコーディングをするものって感じで、耳にはよくする言葉ですよね。
「実際はなんとなくで、あやふやじゃないですか?」
●そうですね。
「今、まさにエイミーさんがおっしゃったみたいに、オーガニックってなんとなく健康によさそうな食べ物じゃないかなとか、オーガニック・コットンって肌によさそうじゃないかなっていうイメージはあったとしても、『こういうものですよ』っていうきちっとした定義とか、クリアーな理解が少ないので、コンシェルジュというのは案内人のことなんですけど、オーガニック・コンシェルジュとして、オーガニックを案内する案内役として活動するのがオーガニック・コンシェルジュなんですね」
●実際にオーガニック・コンシェルジュ協会を2004年に設立されていますが、この団体自体はオーガニック・コンシェルジュの方達を育てるための団体なんですか?
「そうですね。NPO法人のオーガニック・コンシェルジュ協会というものがあるんですけど、日本ではオーガニックというと、意外と食を指すことが多いんですね。農薬や化学肥料を抑えて栽培された食べ物、よく有機栽培農産物っていうのをスーパーでご覧になると思うんですけど、そういった有機栽培農産物に関わる栽培方法の規定や基準っていうのが、法律で決められているんですね。有機JASという法律があるんですけど、オーガニック・コンシェルジュ協会ではそういったオーガニックの最低限のルール、法律を基準として、オーガニックではないものと何が違うのかとか、オーガニックというものを作るためにはどういった歴史があって、どういったことが必要なのかという基本的な知識を学んでいただくのが、オーガニック・コンシェルジュ協会の1つの役目なんです」
●今、お話にあったように、オーガニックってすごくふんわりとしている言葉で、イメージ的にいいものっぽい、いわゆるエコと同じで、言葉として「これがついているとよさそうかな」っていうくらいの知識の方が多いと思うんですけど、オーガニックなものとそうじゃないものの違いってどういったところなんですか?
「例えば、食べ物にしてみれば、『オーガニック』とか、『有機農産物』というふうにパッケージに表示して売るには、農薬や化学肥料を最低でも2年、もしくは3年以上使っていない畑で栽培しなければいけないっていうのがルールの1つなんですね。で、そのほかにも例えば、お米を作るとしたら普通のお米と、そうでないお米とは農薬や化学肥料のこともそうですけど、精米機とか、それを運搬する運送の流通の部分も他のものが混入しないように、例えばせっかく農薬や化学肥料を使わずに育てたものでも、運搬したときに他の化学物質が混入しないような環境できちんと運ばれているかとか、そういった管理の下で守られている食べ物になるんですね。
もともと、オーガニックの発祥というのは、環境になるべく負荷をかけない、自然と一緒に共存していくためには、どういうふうに物を作ったらいいのかなという発想から始まったんですね。オーガニックという言葉を辞書で調べると分かるとおり、自然に即したとか、本来の、根本的なっていう意味があるんですけど、私達が食べる食べ物を安全に作ろうという目的ではなくて、農薬や化学肥料は最終的に土を汚したり、たくさんの虫やたくさんの動物を殺しながら、薬を撒いていくわけですから、自然環境汚染もそうですけど、動物の絶滅危惧種の数をどんどん増やしてしまうし、無意味に大量に殺してしまうわけですよね。色々な問題があって、農薬を使い出してから私達人間や子供達も原因不明な病気にかかったりとか、色々な被害があいまって、それを排除した作り方にしようよってことでオーガニックが始まったので、まず、海外の人に『オーガニックっていうのはどんな食べ物ですか?』って聞くと、『環境に負荷をかけないで育てられた食べ物でしょ』っていう答えが返ってくるそうなんですね。特にドイツとかはそういう教育の仕方でオーガニックっていうのを理解していただいているみたいなので、私達みたいに、『健康によさそうな』ってだけではない、きちんとした裏付けがある中で栽培が行なわれているんですね」
●私なんかは、オーガニックって聞くと、食べ物や衣料系だったり、音楽のレコーディングの方法だったりってことくらいしか思い浮かばないんですけど、他に今、実際に私達が目にしているであろうものでオーガニックなものってあるんですか?
「例えば最近、雑誌なんかでもよく特集されているのがワインですよね。英語でオーガニックっていうのは、日本では有機栽培農産物のことなんですね。オーガニックっていう言葉自体が英語なので、例えば、ワインとかだと、ビオっていう言い方をするんですね。それはどうしてかというと、ドイツ語とかフランス語とかイタリア語では、ビオロジックとか、ビオっていうのがオーガニックの意味として扱っているので、BIOですね。ビオ=オーガニックなんだなって思って欲しいんですけど、ビオワインというものが日本食料理屋さんとか、フレンチ、イタリアンの旬の素材を新鮮に出すっていうポリシーを持っているところは、素材が純粋でピュアなものだったらオーガニックのワインを使おうよっていうことで、ビオワインを出しているところが増えているんですね。あと、先ほどオーガニック・コットンのお話がありましたけど、着るものとしてはオーガニック・ウールなんかもあるんですね」
●ウールもあるんですか?
「はい、あります。食べ物以外で植物のオ-ガニックって想像がつきにくいと思うんですけど、オーガニックの羊毛なわけですよね。羊毛を作っているのはヒツジなんですね。で、ヒツジ自体をオーガニックに育てることから始めるんです。化学物質が充満していないような牧草地で放牧されていて、食べるものがある程度の基準を満たしているものだったり、色々なものが混ざっていない純粋なものを食べていて、ストレスのないところで放牧をされたヒツジの毛を使うんですね。それで、できた羊毛を糸にするときに、漂白剤とか、脂をとるための強い薬とかがたくさん使われるんですけど、それも一定の基準に抑えたものを使って、ヒツジは寄生虫がつきにくいように、薬が浸かっている水のプールを通らされるというプロセスがあるらしいんですね。私達も小学校とかでプールに入る前に、塩素が入った腰までくらいのプールに浸かってから泳いでたじゃないですか。あんな感じで薬の強くなったプールをヒツジが通らなきゃいけないというかわいそうな過程を経て、羊毛が作られていたり、抗生物質を打たなきゃいけないとか、色々な問題があるんですね。そういうのではなくて、食べ物と同じくらい大切に自然に近いような状態でつくろうよってことで、それをウールに発想を転換したのがオーガニック・ウールなんですね。だから、見た目とか触り心地や質感っていうのは、もしかしたらうまく加工してあるもののほうがいいかもしれないんですね。でも、オーガニック・ウールにしろ、オーガニック・コットンにしろ、作られる目的だったり、作られる過程っていうのに目を向けて、是非、手にとって欲しいと思いますね」
●衣、食とお話をうかがいましたけど、住、いわゆる住まいに関してもオーガニックってあるんですか?
「例えば、このスタジオ1つ手に取ると、この空気ってどういう風に作られているのかというと、天井とか床とか壁に囲まれているので、空気を作っているものが建築資材ならば、こういったものから害のないものを集めようと。建築資材としてなるべく自然素材を用いること。例えば、珪藻土もそうですけど、木材も色々ありますよね。で、その中でもただの自然素材ではなくて、きちんとした規定のもと、安全の保障がされているもの、例えばただの土の中に化学物質を混ぜて、色々な樹脂で泥っぽくしているものとかではなくて、本当に天然由来のもので作られたものを建築資材として用いるとか、床材もそうですよね。薬漬けになった木を使うのではなくて、国産材みたいに近いところだったら木も腐らないので、そういう純粋無垢なものを利用するとか、ある程度一定のレベルに達した自然素材で作られた空気、空間をオーガニックというふうに定義しようということで、最近はリフォーム会社さんとか、マンションを建てられる企業さんもそういうオーガニックな空間作りというのに注目されているんですね。産業としては住宅関係の人たちが、新しいコンセプトとして打ち出すには、耐震とか耐火とか構造上の、ハード面のコンセプトはどこも確立されていて、同じようなコンセプトでプロモーションしていますけど、じゃあ新しいマンションとか住まいの価値ってなんだろうってなったときに、オーガニック空間のような、当たり前に食べ物と同じようなクオリティーを空気に求めようと。
今、シックハウス症候群とか色々ありますけど、目に見えないものに対してもきちんと配慮していこうという動きが、産業としてちょっとずつ注目されつつあるので、まず空気の分野でオーガニックというものがあることを知らない人たちがほとんどなんですけど(笑)、例えばオーガニック・コットンのお布団とかシーツにしても、家具やベッドの素材から、悪い空気が出てこないような信頼のおける素材で作っていきましょうと。で、接着剤なんかもホルムアルデヒドっていう化学物質が出たり、色々ありますけど、そういう心配のない、安心して使える接着剤を使用しようとか、色々な工夫を凝らしたオーガニック家具だったり、そういった理念系が出てきて、初めて全体的にオーガニック空間というのができますよねと。そういったものをコーディネートしたり、色々アドバイスをさせていただいたりっていうお仕事も最近増えています。どちらかというと、食よりもそっちの比重の方が大きいかもしれないですね」
●オーガニック・コンシェルジュ自体の検定制度もあるそうですね。
「はい。詳しくはホームページをご覧いただきたいんですけど、認定講座なんですね。で、きちんとした教室で一対一でお伝えできれば一番いいんですけど、地方でも都会でも世界のどこからでもアクセスできるようにということで、あえてインターネットで学べる仕組みを作ったんですね。なので、約5週間にわたって、毎週金曜日に問題が5~6問送られてきます。で、例えばその中に『有機栽培農産物、特別栽培農産物とありますけど、違いはなんですか?』というような問題が来るんですね。それを自分自身で、調べてレポート形式で出すんですね。最終的にはその問題の答えを書くんですけど、それまでのプロセスとして、農水省のホームページを見たり、色々な文献や資料を読まなければいけない仕組みになっているんですね。なので、答えを探すその過程がとっても大事で、1つは情報収集スキルがつくんですよ。例えば、日本の食のこういうことだったらここのサイトに載っているとか、そのサイトもあやふやなものではなくて、きちんと国が発信している情報だったり、きちんとした数字とか統計の元に書かれているといった、信頼の置けるものはこういうところに書いてあるんだということで、まず解決の糸口を自分で捜すっていうところにポイントを置いているんですね。なので、5週間オーガニックやオーガニック以外についてのレポートを書くうちに最終的には有機JASというオーガニックの仕組みも分かるし、日本の食の原状が分かるような設定になっているんですね。今、食の問題ってたくさんニュースで取り上げられていますけど、そういった問題もあって会社さんがあえて受けてくださっているのは、オーガニックというものが言いっ放しではなくて、法律とかきちんとした基準の下に作られているという信頼があるからだと思うんですね。なので、一般の方でもいいですし、お仕事をされている方でもいいですし、フード・コーディネーターとか食べ物のお仕事をされている方は、プラスアルファで名刺なんかに『料理研究科(オーガニック・コンシェルジュ)』って書けますので(笑)、自分自身の知識としても受けてくださる方も多いですけどね」
●岡村さんのお話を聞いて、オーガニックをもっと詳しく知りたいなという方は、まず最初に岡村さんの「オーガニック入門~心も体もうれしい毎日」という本を読んでいただいて、「こんなに色々あるんだ」ってチャレンジしてみたくなったら、オーガニック・コンシェルジュの講座を受けられるとあなたもエキスパートになれます! 最終的には自分のためになるお勉強ですからね。物事って気の持ち方で変わりますけど、オーガニックなものをいただいて、オーガニック製品を身に着けて、オーガニックなライフスタイルを送れると、気持ちも豊かになれますよね。
「それが理想ですけどね。豊かな理想の前に単純に食べ物だったら『おいしいな』とか、着るものだったら『着心地いいな』とか、メイクとかボディケアだったら『いつもと全然違うな。感じがいいな』って五感で最初に感動して欲しいですね。で、それでも使っているうちに、『こんなにシンプルなことでもハッピーになれるんだなぁ』って次の段階で満足していただければ、豊かな気持ちになれるんじゃないかなと思いますね」
●まずは手に取ってみて、食してみて、五感でオーガニックを体験することから始めるのがいいんですね。
「そうですね。1から100までオーガニックってもちろん難しいですよね。私の生活の中でも難しい面はかなりあって、自分の中で一番大事にしている食事で1回くらいはなるべくオーガニックっぽいものは欲しいなって思ってほしいし、私は同世代の女性だったり、自分より下の世代に伝えていきたいことがたくさんあって、最近、女性の中では食べ物よりもオーガニックのボディケアに注目が集まっていまして、例えばちょっと高いオーガニックな化粧水を買うとするじゃないですか。それを真っ白に漂白された化学繊維のパフで顔をパタパタしたって意味がないんですよね(笑)。『本当はそれが一番よくないんじゃないの!?』みたいな(笑)。だから、どうせオーガニックなものを摂ったり、ちょっと気を使おうと思うんだったら、そういう一番身近なところをまず見つめなおすのがいいんじゃないですか。オーガニックな化粧水を使うのはいいけど、使っているパフから見つめなおしていったほうがいいんじゃないかなみたいな(笑)」
●(笑)。盲点だったりしますからね。
「そうなんですよ。だから、よく友達とも話しているんですけど、今回は『オーガニック入門』という本を出しましたけど、『こんなオーガニックはダメなんじゃない!?』っていう逆説本を出そうと思っているんです(笑)。本当は健康になろうと思って摂っているのに、実は間違った使い方をしちゃっているみたいな(笑)」
●それ、多いと思います!(笑)
「きっとそうですよね。多分、そういう(逆説の)ほうが普段の生活を見直しやすいんじゃないかなと思ったんですよね」
●それはあり得ますよね。気がつかないでやっていることってたくさんあるでしょうからね。気は使っているんだけど、見過ごしてしまっていることっていうのを・・・。
「HOW TO本で見直さなきゃいけませんね(笑)」
●次回は逆説本をこの番組でもご紹介したいと思いますので、早く書いて発表していただければと思います(笑)。今日はどうもありがとうございました。
■オーガニック・コンシェルジュ、岡村貴子さん情報
『オーガニック入門~心も体もうれしい毎日』
オーガニック・コンシェルジュ認定講座
・NPO法人オーガニック・コンシェルジュ協会のHP:http://www.oca.gr.jp/ |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. STEER / MISSY HIGGINS
M2. HOUSE OF GOLD / KENNY RANKIN
M3. OUR HOUSE / MADNESS
油井昌由樹ライフスタイル・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M4. PHOTOGRAPH / RINGO STARR
M5. AFTER YOU / BEVERLEY KNIGHT
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M6. CHILDREN IN THE SUMMER / 矢野顕子
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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