2007年9月16日
ハワイについて詳しく学べる本「アロハ検定」
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは近藤純夫さんです。 |
ハワイのことなら何でも知っている、エッセイストで翻訳家の近藤純夫さんをお迎えし、ハワイ全般の知識を深めるアロハ検定のことなどうかがいます。
●この番組と近藤さんとは、ケイビングのスペシャリストということで初めてお会いしたんですが、現在はそれ以上にハワイのスペシャリストというイメージが強くなりましたよね。
「そうなりましたね」
●ハワイのケイビングに限らず、ハワイ全般のスペシャリストになった近藤さんですが、これまでも様々なご本を出されて、この番組でも紹介させていただいたんですけど、先日、ソニー・マガジンズから「アロハ検定 公式テキストブック」という新刊を出されました。ついに、ここまでいっちゃいましたね!(笑)
「すごいですよねー。って、他人事のように言っていますけど(笑)。これは共著なので色々な方が執筆しているんですけど、僕は個人的に2度ほど断ったんですよ。一番大きな理由は、ハワイは文字のない世界なので、正しい文献っていうのが決められないじゃないですか。それをテストするっていうのは無理があるって言ったんですよね。でも、何度かお願いがあって引き受けたんですけど、条件をいくつか出したんですね。1つは、ほとんどの人がそうだと思うことに関しては、問題にしてもOKだけど、それ以外のものは、たくさんある説のうちの1つだよっていうことを明記することを条件に引き受けたんですね。で、確認を取るためにその筋の先生達を全部並べて、チェックをしてもらいました。ということで、見た目は柔らかいんですが、中身は硬い本になっています」
●「アロハ検定 公式テキストブック」ということは、アロハ検定っていう検定があるということなんですか?
「そうなんです」
●残念ながら最初の試験は8月に終わってしまったんですけど、9月23日と30日に試験があるんですよね。
「ええ、あとちょっとで試験があるんですね」
●申し込みはすでに終了しているそうですが、アロハ検定っていうのはどういうものなんですか?
「これは、簡単に言えばハワイの自然とか文化とか現在の色々な事柄、つまりハワイの全てを教養として覚えていただこうと。で、知識を橋渡しにハワイと日本の交流が深まればいいかなというのが名目です」
●実は、今年のフリントストーンの第1回目がホクレア号航海プロジェクトで始まり、ちょっと前にもナイノア・トンプソンさんにも出演していただいて、ハワイと日本の繋がりっていうのを、再確認したんですね。今までハワイについてよく知らなかった人も、学ぶにはいい年になったのかなと思っていた矢先に登場したのが、「アロハ検定」だったんです。ハワイのことを知ることによって、もしかしたら日本の歴史の一部も垣間見ることになるんだなって改めて思いました。
「そうですね。色々な検定書が日本にもあるんですけど、それは単にそこの知識を覚えるんじゃなくて、その知識を基にしてもっと深い交流をしてもらうっていうのが目的なんですね。その交流を下地にして他のところにもっと広げていくということがあって欲しいし、日本語で書かれたハワイの検定書ですから、アロハ検定もそれを下地にして、日本とハワイの交流を深めたいというのが大きいですよね」
●検定自体が1級、2級、3級とあるんですよね。
「そうです。4級まであるんですけど、4級は簡単にいつでも受けられるんですが、3級、2級は試験があるんですね。で、パソコンで時間が限られた中で受験しなくちゃいけないんですけど、2級の場合は今回、出した『アロハ検定 公式テキストブック』の中から7割くらい出題されます。3級は『アロハ検定 公式テキストブック』から8割くらい問題が出まして、一定の点数を取ると合格。1級というのは2級を合格していないと受けられない。なので、今年はないんですね」
●あ、そっか。今年、2級、3級のテストがあって、それに受かると来年1級にチャレンジできるんですね。
「そうなんです。受かると来年9月の試験を受ける資格がもらえるんですね」
●各級がありますけど、合格するとどういった特典があるんですか?
「2級、3級についてはちょっとしたグッズとか、ディスカウントとか、そういった程度かもしれませんけど、1級の場合は、まだ確定ではなくて交渉中なんですが、ガイドに準ずる仕事ができるとか、色々な形でちょっとした権限を差し上げて、それで積極的にハワイの中に入っていただく、また、日本でハワイのメッセンジャーになっていただこうと思っています。それを手助けできるような環境を整える準備をしています」
●確かに「アロハ検定 公式テキストブック」を拝見すると、歴史や神話、自然、伝統、文化、音楽、観光、スポーツ、アートという色々なジャンルがあって、多岐にわたっているので、これを全部マスターするのも大変だけど、これをマスターして1級をとった日には、もしかしたらハワイに住んでいる人たちよりも、ハワイについて詳しくなっちゃうんじゃないですか?(笑)
「ただ、ミソがあって、最も大事なことっていうのは、自分がたくさん知っているということを目標にするのではなくて、その知識を現地の人たちと共有しないとうまくいかないと思います。例えば、エコツーリストとかあって、インタープリターとかいて、一生懸命話して詳しいことは分かっているんだけど、現地の人がそれについていけないっていう場合も多々あるじゃないですか。そうすると、現地の人たちとそういう人たちの間に距離が生まれちゃいますよね。それだと本当の現地を共有しているとは言いにくいじゃないですか。だから、それは気をつけたいなと思っています」
●そんなことを考えながら検定試験にチャレンジしていただきたいですね。
「そうですね。深い満足感がなければやってもあまり意味がないので、そこを一番気をつけています」
●先日、ソニー・マガジンズから出版されたご本「アロハ検定 公式テキストブック」は、アロハ検定という試験を受ける際に、この本を中心に問題が出題されるということで、これを是非読んでいただきたいのですが、どんなことが書かれているのかを簡単に説明したいと思います。まず、帯に「蚊はいつごろからハワイにいたか?」と書かれています。私なんかは「えっ!? ハワイに蚊っていなかったの?」って疑問に思ってしまいました!(笑)
「これ、すごく面白いエピソードがあって、言っていいのかどうか分からないんですけど(笑)、これを作ったコピーライターの方がいらっしゃって、作ったんだけど、答えを用意していなかったんです(笑)。あとで僕が聞かれて、この本を書き上げたあと、一番最後におまけのように答えが書いてあるんですよ。本文の中に答えは書いていないんです」
●そうなんですよ! 私、一生懸命本文の中を探したんですけど、答えが見つからなかったんです(笑)。
「そういうわけなんですよ(笑)。答えを知りたいですか?」
●知りたいです!
「18世紀の終わりごろにキャプテン・クックがハワイに来ましたよね。で、そのときかどうかは分からないんですけど、そのときを皮切りにハワイにたくさん船が来航するようになりました。当時の帆船というのは衛生状態があまりよくなかったんですね。地下の倉の中に水が溜まっていたりすると、そこに蚊が潜んでいて、ボウフラが湧いてということはあっただろうと。だから、おそらく蚊の発生は18世紀の終わりだろうといわれています」
●その前っていうのはハワイに蚊はいなかったんですか?
「いません。虫で多いのはショウジョウバエですね。これは、世界の3分の2も種類がいるんですけど、それ以外には虫の種類があまりなかったんですよ」
●ハワイって植物がすごく豊かで、西洋文化が入ってくるまでっていうのは、固有種がほとんどで非常に多かったそうですね。で、ハワイの固有種のほとんどが絶命したため、半分に近いくらいの種類が絶滅したといわれていますよね。
「そうですね。植物はまだそこまでいかないんですけど、鳥だとか動物はものすごく死んでいます。でも、南国で固有種っていうと、イメージとしてきれいな花があって、フルーツがいっぱいあってというふうに思うじゃないですか。実は今ある果樹の99パーセントはハワイにないものなんです」
●あ! 私、それもあって蚊がいないのは変だなって思っていたんですよ!
「もちろん植物ですから、中には樹液が豊富な植物もありましたけどね。今、ハワイに果物は200種類以上あると思うんですが、その99パーセントがハワイにないものなんですよ」
●ちょっと意外ですね!
「絶対とは言えないんですけど、ココヤシの木でさえ、なかったといわれているんです。ポリネシアの人が1000年以上前にハワイに来たときに、少し持ってきているんですよね。今、我々が食べる対象となる果物としてはそれが最初ですね」
●非常にお勉強になります! そんなハワイというと、私達はアロハシャツのイメージが強くて、夏になると普段着のように着ていますけど、このアロハシャツの原型になったものっていうのはなんだったんですか?
「アロハシャツというのは、いわゆる一般名詞ではないんですね。実はブランド名なんです。厳密にはハワイアンシャツというべきなんですよ。これは昔々なんですけど、日系人がやっていたお店でムサシ屋というのが最初にアロハシャツという名前のものを作ったんです。それを中国系のハワイの方が登録商標したんですけど、昔はおっとりした時代ですから、それがどうこうっていうのもなくて、登録商標したものもムサシ屋さんは作っていたんですね。で、それがアロハシャツの始まりなんですよ」
●一般的にはハワイアンシャツと言うべきなんですね。
「そうなんです。で、そのハワイアンシャツの原型になったものは何かというと、これも日系人に関わるといわれているんですが、サトウキビ農園で働いていた移民の方たちがいますよね。この人たちが作業をするのに、ビシッとした服では湿気もあって暑いということで、自分達が持っていた浴衣を改良したり、色々なことをしていたんですが、特に農園では丈夫じゃないとすぐに切れてしまうので、パカラという名前の分厚い生地のシャツを作ったんですね。で、それまで、ハワイの人たちはズボンとかシャツとかないわけですから、着ていないし、西洋の人たちはベルトの下にシャツを入れていたわけですよね。だから、農園の人たちが動きやすくて汗も出やすいということで、初めてシャツを外に出して着たんですね。なので、ファッション的にもデザイン的にもその農園の移民の人たちが最初だといわれているんです」
●ハワイアンシャツっていうのは私達の歴史にもちょっと関係してくるんですね。
「そうですね。そういうものがとても多いです」
●この「アロハ検定 公式テキストブック」には、古い伝統音楽から今どきの音楽まで記されているんですけど、ハワイ音楽で一番売れたシングル曲っていうのはなんなんですか?
「実は、今も売れ続けているんですよ。女性3人組でNA LEO(ナレオ)というのがいまして、『LOCAL BOYS』という曲があるんですけど、これがダントツで1位です。で、ハワイ語でNA LEOの意味を考えると面白いんですよ。NAっていうのはTHEみたいなものなんですが、LEOっていうのは声っていう意味なんです」
●英語でTHE VOICEっていう意味なんですね。
「そうそう。だから、ハワイの声。だから一番売れて当然(笑)。ちょっと強引ですけど(笑)」
●ハワイの声がハワイの男の子達を歌った歌なんですね。
●「アロハ検定 公式テキストブック」を読むと、ハワイ全般について詳しく分かるようになっているんですけど、そんな中からいくつかお話をうかがっています。次は、食文化についてうかがいたいのですが、ハワイの卒業パーティーに欠かせない食べ物があるそうですね。
「卒業パーティーに限らないんですけど、ずっと昔から今に至るまで食べ続けられているハワイ人の主食があるんですよ。それは、タロイモを蒸してから擦って作ったポイという、プリンのような外観をした食べ物なんですけど、これは必ず決まったセレモニーなんかでは出されます。これは、栄養配分のバランスがとってもよくて、赤ちゃんが離乳食として摂るときにも食べられるし、みんなが集まるパーティーなんかにも欠かせないものなんですね」
●お祝い事もなんでもなんですね。これは、ずっと昔から出されてきたんですか?
「そうです。日本のお米と同じようなものですから、例えば、コシヒカリがいいとか、ササニシキがいいとか色々とブランド毎に性格があるじゃないですか。ポイもそうで、昔から何百種類って品種があるんですよ。で、ここのポイはどうだとか、あっちのポイは甘いとか、そういうのもあるんです。あと食べ方もいろいろあって、ポイっていうのは作ってすぐのときは、かすかに甘くてクセがなく、あっさりした味で誰でも食べられるんですが、時間が経つと発酵してだんだん酸味が増すんですね。で、酸味が増すと日本人を含む外国人は1回食べたらもういいかなって感じになるんですが、ハワイの人はこの酸味の増したものが好きなんですよ。だから、ある程度発酵して、すっぱいかなっていうくらいになったものを食べるんですね。あと、作り方によって太っ腹とケチっていうのもあって、ポイは昔、指ですくって手で食べたんです。で、1本の指でもすくえるほどコシがあるものはワン・フィンガーっていって食べたんですね。で、水っぽくて、とても1本じゃとれないものは3本くらい指を使って、スプーン代わりにして食べたんです。つまり、水気が多くてポイが少ないということで、これはケチだなぁということでスリー・フィンガーと呼ばれたんですね。真ん中はツー・フィンガーということで」
●では、ワン・フィンガーで食べられるポイが一番よしとされていたんですね。
「いや、味の問題とはちょっと違うので、あっさり系がよければスリー・フィンガーがいいですし、今はスプーンで食べますので気にしなくていいんですが、昔はそういわれていました」
●なんか、ウィスキーをショットで飲むみたいですね。「じゃ、ポイをツー・フィンガーで」みたいな(笑)。
「(笑)。なぜそんなにシビアかというと、ポイというのは大体家の前で食べるんですよ。すると、人が歩いてきますよね。歩いてきた人は相手に何の確認もせずに勝手に指を入れて食べていいんです。ただし、男女は別なんですね。昔は、男が食べているところに女性が入って食べることはできなかった。だから、今から見ると面白い約束事が色々あって、食べ方もそうだし、ポイって結構奥が深いんですよ」
●ハワイに行って色々なポイを食べ比べしたいですね! 私達、日本人というのはハワイと密接な関係を持っていて、ハワイのことは結構知っていて何度も行かれている方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、本当のハワイの姿というか、生活に入っていったところの姿っていうのは、まだまだ知らないんだなぁって感じました。
「そうですね。今、お話ししたのは、現代の一面と伝統的な一面と両方お話ししましたけど、伝統的な部分っていうのは、やっぱり勉強して学習していくっていう形のものなんだけど、今、どう食べているかっていうのはハワイに行けば体験できることなので、是非、食べ比べをしてみてください」
●すでに、次のご本が仮のタイトルで「ハワイ学」とつけられて、執筆している最中だそうですね。
「ええ。今、翻訳を山のように抱えていまして、同時にやりきれなくて、怒られているところなんですが(笑)、この『ハワイ学』は8割ほど仕上げておりまして止まっています(笑)。で、尻を叩かれている翻訳の方が間近に迫ってきているので、今、それをやっているところです」
●その翻訳のご本っていうのはどういったものなんですか?
「これは、昔、スコット・スミスっていう人の『シンプル・プラン』っていう本が出たんですが、14年後に第2作が出るという極めてのんびりした人なんですね。で、ものすごく売れた本なので、第2作に対する関心が出版社も書店関係もすごく高くて、余計に早く出せという指令が出ているんです(笑)」
●その本がもうじき出るんですね。
「あまり深くは言えないんですが(笑)、頑張っています」
●第1弾を読んでいらっしゃらない方は今のうちに読んでいただいて、ちょうどいい頃に第2弾がポンと出るというのが美しいですもんね(笑)。
「そうですね(笑)。『シンプル・プラン』を訳して10年が経ちますが、いまだに増刷されていますので、それだけスタンダードな本だと思います。読んで損はないと思いますね」
●第2弾も楽しみにしたいと思います。『ハワイ学』も楽しみにしています。
「これは、ネットで連載していたものをまとめたものなんですが、あえて『アロハ検定 公式テキストブック』と比較して言いますと、カラーの写真をいっぱい使ったビジュアルな本で、地図とかも入って、すぐその場で使えるように敷居も少し下げて、文章表現もやさしいものにしてありますので、最初からお勉強っていうのはイヤかなぁっていう人に向いているかもしれません」
●是非「アロハ学」を持って、冬休みにでもハワイに行って、実際に現地を見て、現地で「アロハ検定 公式テキストブック」を読むなんてできちゃうといいなぁ!(笑) それまでに出るかなぁ(笑)。頑張ってもらいたいなぁ(笑)。
「(笑)。多分、『ハワイ学』の本は遅くても11月くらいまでには出します」
●では、間に合いますね。そうなると当分、洞窟探検はできなさそうですね。
「実は先月、洞窟探検してきたんです」
●行っているんですね!
「そうなんですよ。久しぶりに子供達を連れて、結構深いところまで入ってきました」
●フリントストーンも随分昔にご一緒していただいて、ケイビングをやった経験があるので、また是非!
「今度はハワイで! 一石二鳥じゃないですか!(笑)」
●また、ハワイ・スペシャル第2弾をいつの日かやりたいな!(笑)
「1人で洞窟の奥に到達できたら1級レベルが上がるとか(笑)」
●いいなぁ!(笑) その日を夢見て頑張っていきたいと思います(笑)。
「よろしくお願いします」
●今日はどうもありがとうございました。
■エッセイスト/翻訳家、近藤純夫さん情報
新刊「アロハ検定公式テキストブック」
・アロハ検定のHP:http://www.alohakentei.com |
「近藤」さんのご好意によって「アロハ検定 公式テキストブック」を抽選で3名の方にプレゼントできるようになりました! ご希望の方はあなたの住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記の上、「テキストブック希望」と書いて、Eメールか、ファクスでご応募ください。 Eメールのアドレス:flint@bayfm.co.jp ファクス・ナンバー:043-351-8011 いずれも「ザ・フリントストーン・プレゼント」係と書いて送って下さい。 締め切りは、今度の木曜日、9月20日到着分まで。 皆さんからのたくさんのご応募、お待ちしています。 ※受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. HOW LONG / EAGLES
M2. NIGHTBIRD / KALAPANA
M3. LOCAL BOYS / NA LEO
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. MAUNALEO / KEALI'I REICHEL
M5. FREE / DONAVON FRANKENREITER feat. JACK JOHNSON
油井昌由樹ライフスタイル・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M6. HAPPY BIRTHDAY / STEVIE WONDER
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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