2008年5月25日
モンベル「トライ&キャリー2008」の取材レポート今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンは、モンベル「トライ&キャリー2008」の取材レポートです。 |
今週はアウトドア・ウェア&グッズの総合メーカー「モンベル」が毎年開催している日本最大のカヌー/カヤックの大イベント「トライ&キャリー」の取材レポートをお送りします。
トライして、キャリー・バック・ホーム<辰野勇>
先日、石川県羽咋市で開催されたアウトドア・ウェア&グッズの総合メーカー「モンベル」主催のカヌー/カヤックの大イベント「トライ&キャリー」。今年も美しい海岸「千里浜」でカヌーやカヤックの体験会。メイン会場でカヌーイスト、野田知佑さんによる投網体験会、シェルパ斉藤さんのバックパッキング塾、シーカヤッカー、内田正洋さんによるツーリングの装備説明、サイクリスト、エミコ&スティーヴ・シール夫妻によるサイクリング・ツアー、シンガー・ソングライター、リピート山中さんの野外ライヴほか、フリー・クライミング体験会やダッチオーブン教室、キッズ向けオリエンテーリング、子供カヌー体験会など、プログラムが盛りだくさん。
辰野さん「『トライ&キャリー』っていうのは、トライして、キャリー、バックホームですよ。この羽咋にモンベルの倉庫がございます。この奥に5000坪の倉庫があります。そこにはカヌーがぎっしり詰まっております。で、普段はここから北海道や九州まで発送するわけですね。でも、いっそのこと、こんなに素晴らしい自然が近くにあるので、みなさん方に来ていただいて、乗っていただいて、よかったら買って帰っていただこうという思惑で始めました。カヌーのイベントはもちろんですけど、毎年だんだんイベントの内容も膨らんできて、自転車とか色々な遊び方を皆さんと一緒に共有させていただきたいと思っています」 |
とりあえず、海に出よう<内田正洋>日本の代表するシーカヤックの大御所といえば、お馴染み内田正洋さん。内田さんはトークショーで、『21~22年シーカヤックをやってきて、やっと海の旅の意味がわかってきた』とおっしゃっていたんですが、そのことについて詳しくうかがいました。
内田さん「長年、シーカヤックで旅をしてきて、海の旅の意味っていうのがなんとなく分かってきたんですね。海に歴史ありっていうか、海に道ありだし、俺たちが全然忘れていて、気がついていない、伝えてもらっていないものが見えてきた。日本にはものすごく長い海の歴史があるんだけど、そこにようやく気付いてきたんですね。昔の人と同じように手漕ぎの旅だから、ある意味、昔の人の気持ちとか、例えば、海の道って部分も見えてくる。そうすると、自分たちが何者か、いわゆるアイデンティティーみたいなものが、海の旅によって分かってくるんですね。それが最近、非常に面白いので、みんなに勧めたいですね。
なかなか真面目な内田さんらしいお話でしたが、それでは、シーカヤックを楽しむためにはどうすればいいのか、初心者に向けてアドバイスをいただきました。 内田さん「何はともあれ、海へ出て行く。で、初めての人でもいきなり漕いでいるから、初めてのときは『えっ!?』って感じを味わうと思うんですよ。そこが素直に感じられれば、もっと海を自由に行けるっていう考えにチェンジするからね。だから、そこから訓練をしたりっていう方向になるんだけど、何はともあれ、何も考えずにシーカヤックをやっている人のところやお店に行って、とりあえず、海に出る。そうすると、人生観が変わる人が多いんですよ。だから、何をやればいいのかっていったら、海に出る、それだけ!(笑)」 カヌーに趣味を持ち込もう<野田知佑>川旅の大御所、カヌー/カヤック界の重鎮といえば、カヌーイストの野田知佑さん。野田さんはスライドショーの締めくくりで、参加者にこう呼びかけていました。
野田さん「もっともっと川遊びをする。潜って魚とりをする。そういうカヌーをやると、カヌーも、シーカヤックも、リバーカヤックも面白くなりますね。今はとにかく、カヌーを漕ぐだけの人が多すぎてね。見ていて『退屈するんじゃないか』って僕は心配ですね。だから、趣味を持ち込むと面白いと思います。
|
親切や経験のバトンを次の人に渡してほしい<エミコ・シール>アウトドアの特設ステージで行なわれたトークショー、2日目は辰野勇会長、司会のもと、サイクリストのエミコ・シールさんと、お馴染みバックパッカーのシェルパ斉藤さんが登場。お2人の共通点、“旅”について、こう話してらっしゃいました。
辰野さん「2人の共通点は旅じゃないかな。キザな言い方をすると『人生は旅』みたいな」 エミコさん「旅で何をしているかっていったら、どこに行ったとか、何カ国行ったとか、何キロ走ったとか、私たちにとってはそういうものはあまり意味ないんですよ。それよりも、旅先で会った人とか、現地で会った人とか、とにかく他人に対して敵とライバルは作らないっていうのをいつも心がけてきたので、敵とライバルは自分以外にいませんからね。あと、出会う人たちとは友達になりたい、仲間になりたい。出会った人の数だけ、自分たちの人生を豊かにしてくれるので、そういうのをずっと心がけて人と接してきましたね」 シェルパさん「僕がスティーヴとエミコさんを尊敬しようと思ったのは、他人に対して嫉妬心がないからなんですね。要するに、羨む気持ちとかを全く持っていない2人なんですよ。ですから、私たちよりあの人たちのほうがいいなぁとか、恨むっていうのが全くないので、旅人は見習うべきだと思う。人と比べちゃうのは旅人にとってよくないですよ。競技だったらタイムが出たり、どっちのほうが上とか出ちゃうけど、旅人は上も下も何にもないから。で、それは当然、ビギナーがいて、ベテランがいるだろうけど、旅先で会う人間ってみんな同じ旅人なのね。その発想を、普通に初めて聞くと、十何年間も旅をしてきて、世界一周したら、『わぁ、すごい!』ってなるけど、すごいんじゃないんですよ。誰でも旅人にはなれるんですよ」 エミコさん「そう。また、その経験を、旅をしたい人にあげたいんですよ。『こうやったらいいよ』とか、『こうやったらこういう失敗するよ』とか、『その失敗のときはこうしたほうがいいんじゃない?』って感じで、自分たちが痛い思いをしたとか、うまくいった思いを次に伝えていきたいなって思うので、どんどんもらってほしいですね」 シェルパさん「うん。僕らなんかでも旅先で先輩方から色々教えてもらうんですよ。僕が20代の時には年上の方から『こうしたほうがいいよ』って教えてもらったし、今、色々な国を旅したときには、若いやつらに『こうしたらいいんじゃない?』って教えているし、それが繋がっていくんですよね。だから、横の繋がりで世界の繋がりも増えていくし、縦の繋がりも増えていくしっていうので、割と繋がりを大事にしていますね」 エミコさん「そう。バトンみたいですよね。いただいた親切のバトンや経験のバトンを次の人たちに渡してあげたい。それで、もらった人が次の必要な人に渡してほしいなぁって。返してもらわなくていいんですよ。必要な人にどんどん渡していってほしいなぁって思っているんです」 バックパッカーは地球を救う<シェルパ斉藤>エミコさんとともに旅を熱く語っていたシェルパ斉藤さんは最近こんなことを提唱されています。
シェルパさん「最近、ことあるごとに『バックパッカーは地球を救う』って言っているんですよ。自分でも本のタイトルにしようかなって思っているんですけど、どういうことかっていうと、バックパッキングって己を知ることになるわけですよ。車で旅していると、何でも入っちゃうから、色々なものを持っていっちゃうんですね。余計なものでも。だけど、バックパックっていうのはその容量しか入らないわけだから、持って行く荷物も当然、考える。度を越して色々持っていってしまうと、全部、自分に返ってくるんですよね。重いものを持っていってしまったら自分がつらくなる。旅をしていると、余計なものを持っていかなくなるし、逆に言えば僅かな物の中で、いかに楽しむかっていうことを人間は自然に考えるんですね。ですから、旅先で飲む自分で沸かしたコーヒーがやたら美味かったりとか、もっと言ってしまえば1杯の水がやたらと美味いんですよね。で、そういう幸せを味わってしまうと、発想がバックパッカー的な発想になっていくんですね。ですから、例えば、電気を使っていて、電力が足りないからもっと原発を増やして電気を作ろうっていう発想ではなくて、電気がこれしかないなら、この中でどう使うのかっていうのを考える。バックパッキングをしているとそういう発想になるんですね。ですから、例えば日本の全人口のうち、あと倍くらいにバックパッカーが増えたら、色々な方向でうまくいくんじゃないかなって思っています。で、バックパッキングって難しくないですから、要は己を知るっていうことで、はじめは初心者でいいんですよ。それで、自分に合ったのを徐々に選んでいけばいいし、競技でもないから、人よりも負けたくないっていうのは一切ないわけですね。
色々な地球の発見をできるのが自転車の旅<シール・エミコ>
さて、世界一周の旅を続けるサイクリストのエミコさんとだんな様のスティーヴさんに、自転車の楽しみ方についてアドバイスをいただきました。 エミコさん「自転車っていっても色々な使い方がありますからね。私たちみたいに旅に使うとか、本当は自転車っていっても道具なんですね。だから、歩きだと遠すぎるけど、車やオートバイを使ってだと味気なくなっちゃうかなっていう距離のところに自転車を使うと、風も感じられるし、太陽や、雨が降ったら雨も感じられるし、草木の匂いとかお花とか、色々な地球の発見が出来るんですね。大体、時速15キロくらいのゆっくりとしたペースなんですよ。そういうスピードで走ることによって、色々な発見が出来るので、ちょこっと行く旅には適しているんじゃないかなって思いますね。
スティーヴさん「ENJOY CYCLING, ENJOY LIFE!」 |
一番楽しんでいるのは自分かもしれない(笑)<辰野勇>最後は再び辰野会長にご登場いただきます。今年で6回目を迎えた「トライ&キャリー」の最終日、辰野会長はこんな話をしてくださいました。 辰野さん「今年はこれで無事、6回目を大勢の人に楽しんでもらって、笑顔を見て『よかったなぁ』って思っていますけど、おそらく来年もやることになると思います。毎回来てくれているお客さんがいて、昨日、僕はちょっと驚いたんですけど、いつも声をかけてくれる8歳の男の子がいてね。で、『君、何回くらい来た?』って聞いたら、『最初から来ています!』って言うわけ(笑)。で、『最初から来ているということは、6回来ているっていうことか!?』と(笑)。8歳の子供が6回来ているということは、2歳のときから来ているということで、彼も意識しているんですよね。で、あの子の人生っていうのは『トライ&キャリー』と共に育っていくみたいなね。そういうふうに期待してくれているっていう部分はありがたいし、その期待に応えていけるように我々もモチベーションを上げて、やっていきたいと思いますね。人間ですから疲れることもありますけど、このイベントに来たときに、今日つくづく思ったけど、自分の元気っていうのはお客様からいただいているなぁって実感しましたね。喜んでいただいている顔とか、笑顔を見ると、自分も元気になっていくっていうか、今回非常に実感として感じましたね。
|
|
| ||||
|
|
このほかのトライ&キャリー・レポートもご覧ください。
|
AMY'S MONOLOGUE~エイミーのひと言~
今回「トライ&キャリー」に参加した取材班が言っていたことで、以前、私も参加させていただいたときに感じたことは、「トライ&キャリー」はお客さんも講師も、ボランティアで朝から晩まで働いている「モンベル」の社員も、そして会長も、みんなが楽しそうで、一度参加すると次も行きたくなる、そんな不思議なイベントだということ。まだ参加されたことのない方は、ぜひ来年お出かけ下さいね。
|
今回ご登場いただいたゲストの近況内田正洋さん
野田知佑さん
シェルパ斉藤さん
エミコ&スティーヴ・シールご夫妻
「モンベル」
|
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. MAKE IT MINE / JASON MRAZ
M2. GOOD DAY SUNSHINE / THE BEATLES
M3. I'LL SAIL THIS SHIP ALONE / THE BEAUTIFUL SOUTH
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. YOUR SMILING FACE / JAMES TAYLOR
M5. IN A BIG COUNTRY / BIG COUNTRY
M6. LET'S RIDE / ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS
M7. 至福の海 (LIVE) / 宗次郎
油井昌由樹ライフスタイル・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M8. THE 59TH STREET BRIDGE SONG (FEELIN' GROOVY) / SIMON & GARFUNKEL
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
|