2009年1月25日
エコビジネス・ルポ第14弾~エコプロダクツ2008・取材レポート~今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンはエコプロダクツ2008・取材レポートです。
今週は、シリーズ企画「エコビジネス・ルポ」の第14弾。今回は、昨年12月に開催された日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2008」の会場で、THE FLINTSTONEの取材班が見つけた、環境に配慮したユニークなアイデア商品や取り組みをご紹介します。
家畜の糞が肥料と飼料に変身!?<ズーコンポスト>「エコプロダクツ2008」の会場で見つけた、環境に配慮したユニークなアイデア商品や取り組みをご紹介するわけですが、まず、最初にご紹介するのは、家畜のフンを処理する「ズーコンポスト」。どんなシステムなのか、プロジェクト・チームのリーダー、バイオマス・アドバイザーの「山口弘一」さんにうかがいました。
山口さん「ズーコンポストは、今まで処理に困っていたブタの糞とか鳥の糞、いわゆる畜糞の処理が最も短い期間でできます。それから自然の摂理に従って無理なく堆肥、肥料にできるというシステムです。今までは微生物が処理をして3~4カ月かけないと堆肥ができませんでした。しかし、ズーコンポストを使いますと、たった7日間でイエバエの幼虫が処理をします。いわゆるイエバエが持っている抗菌性の酵素というもので処理をしますので、性能のいい肥料ができます。最初の日に畜糞の上に卵を植えつけます。8時間くらいすると卵が幼虫に変わります。幼虫になりますと、糞の分解を始めます。たった7日間で卵は200倍の大きさの幼虫に成長するという、生命力が非常に強いところに注目しています。処理したあと、幼虫は7日目には自然に棚から這い出してきます。ミミズの場合は這い出してきませんけど、ミミズの約20倍の早さで畜糞を処理します。這い出してきますと、特殊なトレイの上に乗っかっていますので、自動的に下に落ちて、糞と幼虫は分離されるということになります。残った糞のほうは有機肥料として非常に優れたものに、下に落ちた幼虫は鳥や魚の養殖の飼料になります。一石三鳥と言っているんですけど、畜糞が処理できて、飼料がとれて、肥料もとれるということで、農家のお役に立てばということで私共はこれを進めています」 イエバエの幼虫を活用したこの技術は、実はロシアの「マーズ計画」の一環として開発されたもので、世代交代を重ねて作った、たくさん卵を産む特殊なイエバエを使っています。
電気のいらない自動ドア「エコプロダクツ2008」の会場でこの番組の取材班が見つけたユニークなアイデア商品、続いてご紹介するのは「電気のいらない自動ドア:オートドアゼロ」です。いったいどんな自動ドアなのか、販売している「(株)有紀(ゆき)」の「石井巧」さんにお電話でお話をうかがいます。
●石井さーん、よろしくお願いします。 石井さん「よろしくお願いします」 ●自動ドアというと、普通は電気やモーターを使ってドアが自動開閉するイメージですが、(株)有紀さんのは違うんですか? 石井さん「はい。電気と同じように自動で開いて、自動で閉まるということなんですが、まるっきり電気は使っておりません。原理といたしましては、てこの応用で踏み台に荷重を加えると開く仕組みになっておりまして、自分の体重で自動的に開くというようになっております」 ●実際にうちのスタッフもエコプロダクツ展のほうで試させていただきました。歩いていくと全く違和感なくスーッとドアが開いて、スーッとドアが閉まるんだよって言っていたんですけど、入り口のところにマットみたいな形で置いてあって、そのマットの下の部分に踏み台があるんですね。 石井さん「そうです。機構部が床から2センチ上がっていまして、それに合わせまして、体重をかけることによって、その2センチが床と同じ高さに下がるようになっています」 ●踏むと若干、沈むという形なんですね。 石井さん「そういうことです」 ●体重の軽いお子さんでも普通に開くんですか? 石井さん「自然の動き、てこの利用なので、基準としましては、20キロ以下のお子さんでは開きません」 ●でも、逆に20キロ以下のお子さんが1人でそういうところにも行けませんからね。 石井さん「お母さん方からもそういう意見を伺いますけど、ただし、引き戸自体が上吊り戸なものですから、小さなお子さんでも片手で簡単に開けることができます」 ●踏み台を踏むことによって、自動ドアでスーッと開くけれども、開かなくても普通の引き戸みたいな感じで手でも開けられるということなんですね。 石井さん「そういうことなんです。で、お子さんでも、いったん開きますと、戻るということをしませんので、踏み板に乗っている間は閉まりませんので、非常に安全性が高いです」 ●てこの原理ということなんですけど、開発する上で一番大変だったことってどんなことが挙げられますか?
石井さん「先ほど、踏み台のところが2センチ高くなっているって言いましたよね?」 ●はい。 石井さん「それが年々改良してきたんですが、当初、5センチとか3センチっていう高さがあって、どうしても3センチですと、10人中9人が違和感を感じるんですね」 ●乗るときに沈みますもんね。 石井さん「ええ。そこが一番改良で苦労したところなんですが、3センチから2センチにして、1センチ低くしたことによって、10人中9人が違和感を感じないという結果が出たんですね。そこの1センチの部分を下げるというのが非常に苦労した点です」 ●聴いている方によっては「たかが1センチじゃないの?」って思うかもしれませんけど、ドアの高さとか幅を考えて、てこの原理ということも踏まえると、こっちでより大きな力をかければ、より大きく開きやすくなるわけですから、2センチで80センチくらいのドアを開けるっていうのはすごく大変ですよね。 石井さん「そうですね」 ●これは色々なところに設置できますけど、大体で結構なんですが、お値段はおいくらくらいなんでしょうか? 石井さん「登録施工店制にしているので、誰でも設置できるというわけではないのですが、施工調整、組立調整込みで60万円という形で皆さんにお話させていただいています」 ●いったん設置すれば、電気と違ってモーターの設置費用もかからないし、電気代もかからないわけですもんね。 石井さん「そういうことですね」 ●長く使うという意味では非常にお得ですよね。バリアフリーのお家とか、トイレのドアとか色々な形で使えますし、これからも注目していきたいと思います。 石井さん「これから普及していくのではないかなと私共では思っております」 ●きっとそうなると思います! 石井さんも頑張ってくださいね。 石井さん「はい。ありがとうございます」 ●今日はどうもありがとうございました。 「電気のいらない自動ドア:オートドアゼロ」、ぜひうちのお店や会社などにも設置したいと思われた方は「(株)有紀:0242-39-2308」にお問い合わせください。会社は福島県会津若松市にあります。 カーボン・フットプリント制度の実現に向けて 次に取り上げるのは、昨年から話題になっていた「カーボン・フットプリント」。
石原さん「政府のほうで低炭素社会づくり行動計画の中でも消費者への“見える化”ということで、カーボン・フットプリント制度等の構築ということは記載させていただいておりますが、消費者への“見える化”と共に事業者自体が生産活動を行なっていく段階で、どこでCO2を出しているかっていうのを、事業者自身も“見える化”していく中で事業者・消費者双方が気付いて、より低炭素な生産活動、消費活動を行なっていただくという趣旨で考えております」 ちなみに「エコプロダクツ2008」では、30社40種類54品目「カーボン・フットプリント」のサンプル品が展示されましたが、今回の取り組みについて「みずほ情報総研株式会社・環境資源エネルギー部」の「加地靖」さんはこう話してらっしゃいます。 加地さん「まだ始まったばかりでなんとも言えないんですけど、そのあたりは今回、実際にカーボン・フットプリントがついた商品が出たので、それを一度市場に出して調査をして、そこで消費者がどう受け止めるのか、我々が意図したことをきちっと理解して、正しい選択をしていただけるのかどうかっていうのはこれから調査をしていこうという感じです。あと、カーボン・フットプリントの数字の意味ですね。100グラムというのはどういう意味を持つのかとか、今皆さんが日常されている生活がどれくらいCO2を出しているのかとか、本当に低炭素を目指す数字はいくつなのか、その数字とのギャップなどをきちっとみなさんが理解できたときに、各商品についている数字の意味が生きてくると思いますので、そういう意味で一歩踏み出したというのが今の現状です」 そんな「カーボン・フットプリント」の今後の展望について、「経済産業省」の「石原慎太郎」さんにうかがいました。 石原さん「今、計算にかかる指針を策定しておりまして、その対象はあらゆる商品、サービスということで規定させていただいているんですが、やはり、取り組みやすいもの、取り組みにくいものっていうのが商品毎に性質が異なっておりますので、望むことではより多くの商材に対してこういったカーボン・フットプリントがつけばいいなと思っていますが、取り組み自体はできるところからやっていただくということで考えております」 この「カーボン・フットプリント制度」、現在は各社がそれぞれ行なっているCO2の排出量の計算方法などをどうするのかなど、まだまだ課題も多いようですが、近い将来、商品を買うとき、値段とともに「カーボン・フットプリント」も重要な判断材料になるのではないでしょうか。今後もぜひ注目したいですね。 環境プロデューサー・伊藤吉幸さんが語る「エコビジネスの展望」最後はこの番組と協力関係にある「GREENSTYLE」をご紹介しましょう。「事務局」の代表で、環境プロデューサーの「伊藤吉幸」さんに「グリーンスタイル」の活動についてうかがいました。
伊藤さん「私は『GREENSTYLE』という、いわゆる環境活動を支援する団体、ムーブメント、活動をしていて、それをマネージメントしている立場の人間です。『GREENSTYLE』っていう言葉がなんとなく感じさせるように、クールでポップっていう、つまりかっこよくて楽しいっていうようなイメージなんですけど、環境問題っていうのは“問題”ってついているくらい、みんなからすると貧乏たらしかったり、我慢しなきゃいけないとか、つらいとか、嫌なことを我慢しなきゃいけないとか、ついついそんなふうに受け取られてしまうじゃないですか。でも、そうじゃなくて、価値観っていうのは、いつの間にか世の中が勝手に決めていることだったりするので、もっと個人として自分って本当は何が大事なのかなぁっていうことを1回考えてみると、意外とエコ的なライフスタイルっていうのは、楽しかったり、スッキリしていたり、生きるっていうときにとっても楽なことかもしれないんだよね。そういうことを分かりやすい言葉で楽しく、音楽を通してでもいいですし、映画とかエンタテインメントの世界を通してでもいいと思うんですけど、そういうものとして少しでも、頑張っている人たちが、生活をしている人にわかりやすくメッセージが送れるようなコミュニケーション手段を支援する、助けるという活動をしていこうということで、5年前に起ち上げて、今でもやっているということです。それが『GREENSTYLE』です」 具体的には、エコカルチャーマガジン『グリーンスタイル・ブック』とウェブによる情報発信ほか、企業やNPO、NGO、行政などとのネットワーク作り。また、「グリーンスタイル基金」を設け、色々な環境保全活動を支援するプログラムを提供しています。
伊藤さん「エコをビジネスにするってことは、『僕らがエコビジネスを始めるんだ』って企業の中であるプロジェクトとして立ち上げたのが最初だったんですけど、社内でもエコっていう真面目なことを商売の道具にするのかっていう反対がごく一部から上がったのは確かで、やっている自分たちも、人の善意を利用しているようなイメージが自分でも嫌だなと思っていたわけです。ただ、どう違うのかっていうのはその時点ではなかなか言えませんでしたけど、とあるNPOの方から言われたのは、企業は企業としてこの世の中を動かしていくときに、ビジネスとして持続性、継続性っていうものがないと、結局、本当の力にはならないと。やっぱり、意志だけでは経済っていうのはまわらないわけですから、それを支えるためには企業としての持続性が成立するようなビジネスのスタイルを持っていないと、結局、環境は改善されていかないんだと。だから、企業は企業として頑張って欲しい。活動としては、その代わりNPO、NGOががんばるという話を聞かされて、なるほどと思ったわけですね。やっぱり、企業は企業としての役割があるんだなぁと。なので、ビジネスっていうのはむしろ、きちっとした考え方のもとにビジネスとして成立することっていうのが、企業系にとっては一番大切なことっていうのが、2年くらい経って、ようやく自分も腑に落ち、周りにも自信を持って『僕はいいことをしているんです』と言えるようになったんですね。ただ、ただ、ビジネスとしての成功レベルはまだまだ低いので、本当は頑張りが足りないなぁと思っています。でも、そういうことが分かってきたし、周りにもそういう人たちがとっても増えてきているんですね。つまり、企業でビジネスをやる人たちの中に、クールにビジネスというスタンスで環境を捉えている人が非常に増えてきているので、我々が起ち上げたときに、なかなかなかった空気っていうのが十分出てきてくれていると思うから、ビジネスとしてどんどん成立させていくべきだと思うし、それを当然だと受け入れてくれる世の中に向かっていると感じています」 この不況の時代だからこそ、ポジティヴに考えれば、成功するビジネス・チャンスは充分にあるとも「伊藤」さんはおっしゃっていました。 このほかのエコビジネス・ルポもご覧ください。
このほかのエコプロダクツ取材レポートもご覧ください。
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株式会社BBBの「ズーコンポスト」イエバエの幼虫を使って、家畜の糞を素早く、匂いなく、良質な肥料と飼料にしてくれる「ズーコンポスト」。 株式会社BBBのホームページ:http://www.bbb-japan.com/ (株)有紀の「オートドアゼロ」てこの原理を利用してできた、電気を使わない自動ドアが「オートドアゼロ」。価格は、施工調整、組立調整込みで60万円。維持費や電気代などがかからないので、長い視点で見ればリーズナブル。 (株)有紀のHP内「オートドアゼロ」のページ:http://yuki-s.jp/product2/adzero/index.html 「カーボン・フットプリント制度」「カーボン・フットプリント制度」に関するみずほ情報総研株式会社のページ みずほ情報総研株式会社HP内「カーボン・フットプリント制度」のページ:http://www.mizuho-ir.co.jp/column/kankyo081202.html 環境プロデューサー・伊藤吉幸さんが代表を務める「GREENSTYLE」ザ・フリントストーンとも協力関係にある、ソニー・ミュージックコミュニケーションズが運営するサイト。エコカルチャーマガジン「GREENSTYLE」も発行。さらに、「グリーンスタイル基金」を設け、色々な環境保全活動を支援するプログラムを提供している。 GREENSTYLEのホームページ:http://e-greenstyle.net/ 「エコプロダクツ2008」の会場で見つけた、
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. WORKING ON A DREAM / BRUCE SPRINGSTEEN
M2. WISEMEN / JAMES BLUNT
M3. THE WEIGHT / THE BAND
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. 森は知っている / COCOON
M5. WAY OF THE WORLD / CHEAP TRICK
M6. TAKE A CHANCE ON ME / ABBA
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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