2009年9月6日
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、稲本正さんです。日本産アロマ・オイル「結馨(ゆいか)」を開発 |
オークヴィレッジの代表で、作家/木工芸家の稲本正さんをゲストにお迎えし、日本の樹木を原料に開発に成功した、日本産アロマ・オイルについてうかがいます。
●ご無沙汰しております。今日は、オークヴィレッジの東京オフィスにお邪魔をしています。
「初めてだよね?」
●初めてです! 新宿御苑からの心地いい風が吹いてきますね。
「御苑がすっかり庭のように見えるんですよ(笑)」
●本当ですよね!(笑) 私たちが来る前にお庭のほうで休憩させていただいたんですが(笑)、実はこの度、日本の森から生まれたエッセンシャル・オイル、アロマ・オイルと言ったほうが分かりやすいかもしれませんが、そんなアロマ・オイルを稲本さんが開発なさって、販売も開始されたということなんですけど、この日本産アロマ・オイルの名前が「結馨(ゆいか)」。「結ぶ」という字に「馨る」という字で「ゆいか」。
「難しいほうの『馨』を使っているんだよね。」
●「香る」の字の上に「声」がついているほうの字ですね。
「昔、日本人は香りを聞くって言っていたのね。だから字に『声』があるんですよ。古い字には『声』がついているのね。木の香りがなんとかって歌のように聞こえたんでしょ(笑)」
●なるほど(笑)。日本人のわびさびならではって表現ですね。そもそも、どうしてアロマ・オイルの開発に着目されたんですか?
「そもそもは僕、1999年にアマゾンを旅していたのね。で、アマゾンのインパっていって、アマゾン森林研究所っていうのがあるの。そこで研究員に案内されていったときに、ニイロ・ヒグチって日系の研究員で国際的にも優秀な人なんだけど、その人が『ここは原生の森だけど、ひとつだけ困ったことがある。ローズウッドだけがなくなった』って言うわけ。で、『なんで?』って聞いたら、ご存知かもしれないけど、シャネルの5番ってローズウッドが入っているのよ。ヨーロッパ人にとってローズの香りってすごく大切なものなの。で、花からとるとものすごく高くなる。それが、アマゾンのローズウッドって木がバラの香りに似ているんだよ。僕は嗅いだ感じはあまり似ていないと思ったんだけどね。」
●ローズウッドって、バラよりウッディーな森林浴系の香りですもんね。
「そうそう。だけど、あれをうまくブレンドしていくとすごくいい香りになるんですよ。それで、ローズウッドがアマゾンから減っていったんですよ。仏領ギアナってアマゾンの端っこがあるんだけど、ヨーロッパに一番近いところなんだけど、みんなヨーロッパがとっていって完全にほぼ全滅したの。それでも足りずに、ブラジル・アマゾンのマナウス周辺のローズウッドも消え始めたの。そのとき、僕行ったのよ。そこで、初めてアロマのことを知ったのよ。僕、実はそれまでアロマって知らなかったの。」
●男の人はあまりご存知じゃないですよね。
「そう。木のことはいっぱい知っていたんだけど、『えー、なんで?』って聞いたら、『アロマでとっていって、最後は香水になっている』って言うのよ。それで、アマゾンのものすごい奥よ。ランドクルーザーでダーッと入った奥から消えるくらい。『これ、すごく価値のあるものなんだな』と思って、そのとき初めてアロマってものを知らされたわけ。で、それをちょっと忘れていたんだけど、それから日本に帰ってきて、僕は何しろ休みもなく働く人なのよ(笑)」
●そうですよね!(笑)
「働いているのか、遊んでいるのか分からないんだけどさ(笑)。なので1回、アロマテラピーのマッサージがあるっていうからさ、体験してみようかなと思って行って、忘れもしない南原さんっていうすごく優秀なアロマテラピストにやってもらったら、1時間コースでやったのね。で、30分くらいやったら意識がどこかに飛んじゃったの! それで『稲本さん、体の奥まですごく疲れが溜まっていますよね』っていって、30分くらいやって意識が飛んで、目が覚めたら3時間寝ていたのよ。目が覚めたら『ここはどこ? 私は誰?』みたいな感じになってさ(笑)。そこで、単にマッサージと違って、アロマテラピーのマッサージってすごいなぁって実感したのね。そこで、アマゾンのローズウッドのアロマと、実際に自分の体とが結びついたのよ。で、それが5~6年前なんだけど、これはすごいなと思って、『日本産のアロマってとれないの』ちょっと考えたのね。森を歩いていると、色々な木の匂いがするから、日本でもとってみようと思って、実験的にとり始めたの。
で、試作してとってみて、一番最初にとったのが忘れもしない、家の真ん前に、うちの息子達がクリスマス・ツリーのために買ってきたモミの木、家の中に置いておいたやつを植えたんじゃなくて、鉢ごと捨てたのね。捨てたらそこに根付いちゃったモミの木があるのよ。それが今、十数メートルくらい、二階建ての家の高さくらいになっているのよ。その枝の葉っぱからとってみたら意外と最初からとれちゃったのよ。それで調子に乗ったんだけど(笑)、実のところ、色々な枝葉を集めてみて、あとから分かったんだけど、モミの木が一番とれるのよ。」
●まさに稲本さんに「簡単じゃん!」って思わせるためのモミの木だったんですね!(笑)
「そうなのよ(笑)。今、樹枝をやっているのよ。ヒノキはもちろん、スギ、アスナロ、ヒメコマツ、あと、ニオイコブシ、クロモジ、サンショ、ミズメザクラと色々な樹枝をやっているんですよ。」
●自宅前のモミの木から始まって、そのあとも実験的に色々試していったんですか?
「そうそう。5年間やっていて、発表まで時間がかかったのは、経済産業省からの支援を得て地域資源活性化委託研究事業っていう事業に認定されて、東京農大と組んで研究したのよ。香りの成分を分析しなくちゃいけないのと、万が一、売り出したときに肌に害を出しちゃいけないからパッチテスト、それから気分が悪くなっちゃいけないから、そういうのを東京農大の学生の子をいっぱい集めて実験したんだよ。そういうことをやって安全性を確かめる。それから、抗菌効果があるかどうかっていうのは、ゼリー状のものを置いておいて、ある菌を入れるんだけど、クロモジとか、サンショみたいな抗菌効果の強いものを入れると、菌を跳ね除けるのよ。そういう実験をいっぱいやって、それから今度は材を安定供給してもらわないとダメでしょ? で、他人の山に勝手にとりに行っちゃダメだから、今、どうなっているかっていうと、高山森林組合っていうところと組んで、さらに新たに農商工連携っていうのに認められたの。飛騨高山の森林組合って東京都と同じくらいの土地を管理しているのよ。すごいんだよ! その東京都と同じ面積の中から森林組合さんから正プラスって『結馨』の会社は材料を提供してもらうって提携を結んだの。で、連携してやっているんですよ。だから、材料が手に入るわけ。」
●それは、その森林組合にとっても、オークヴィレッジの地元、飛騨高山にとってもプラスになるってことなんですもんね?
「そう! なぜかっていうと、枝葉だけでできるわけだから。それから、間伐材でもいいわけ。要するに切った木の皮。むしろ、間伐材のほうがいいわけ。太い木より細い木のほうが体積上、皮の割合が多いじゃない? だから、間伐材と枝葉。枝は昔、枝打ちをして捨てられていたわけ。あと、クロモジなんかは林床に生えて、下草刈りで刈られていたの。それらを集めてきてやる。」
●「結馨」のアロマ・オイルは間伐材とか、本当だったら捨てられてしまうような木々の葉や枝を使うわけですから、リサイクル・オイルとも呼べますよね?
「リサイクルっていうか、山を手入れしてより豊かにしていく過程でできるの。ニオイコブシなんか少しくらい切ったくらいでは、より上に伸びるからいいんだよね。そういうふうにして集めてきているの。」
●日本人が昔から自然と一緒に生活をしていく上で、自然の恵みをいただきながら暮らしてきたのと同じように、自然が豊かになる上で出てしまったものをいただいて、香りで元気にさせてもらっているわけですもんね。
「うん。例えば、クロモジってお茶のつまようじに使っていたのね。千利休とかよく考えたよね。考えたのか、勘がよかったのか。さっきも言ったように、クロモジには抗菌効果がすごくあるのよ。サルモネラ菌とか、大腸菌とか、カビ菌を全部跳ね除けるの。それでいて、香りがいいのよ。そして、ローズウッドはすごく香りがいいって話をしたけど、クロモジの香りがローズウッドとほとんど同じ香りなのよ。」
●ああいう香りなんですね!
「そう! で、今、ローズウッドは絶滅危惧種だからワシントン条約で入らなくなってきたの。それで、日本アロマ環境協会もアロマコーディネーター協会も『ローズウッドを使うのはやめましょう』と。みなさんがどんどん使うと、密輸される可能性がある。で、『使うのをやめましょう』って言って、代替を一生懸命探しているんだけど、クロモジが十分代替になりそうってことが分かってきたの。それを科学的に実証するために、東京農大とかデータ会社で調べてもらったら、ローズウッドとクロモジはほとんど同じ波形をしているのよ。」
●ということは、いずれシャネルの香水に日本の木が使われるかもしれないってことですね!
「可能性は十分あるね。」
●私の記憶が正しければ、アロマテラピーで使われているアロマ・オイルっていうのは、香りを楽しむのに好きに選べるんですが、やはりその中でもぜんそくの人は使わないほうがいいオイルとか、匂いの質とか効能ってありますよね。この「結馨」のこれらのオイルっていうのはそういう意味での安全性とか、使うときの注意事項ってあるんですか?
「東京農大とか、医療関係の人と全部実験をやっているんですよ。で、匂いを嗅いだりパッチ・テストをやったり、一般でもいわれている通り、妊婦さんとか体が特殊な状況にあると、使っちゃいけないものもある。それは、『結馨』の商品案内の紙にも書いてあります。逆に言うと、是非使ったほうがいいものもある。というのは、『結馨』に使っている色々な材、例えばヒノキは昔からお風呂とかに使われていたでしょ? それから、スギはお酒の樽とかに使っていたわけでしょ。それから、先ほど言ったようにクロモジはお茶に使っていた。それから、ニオイコブシっていうのは漢方に使っているんですよ。これは、ぜんそくに効くのよ。漢方ではニオイコブシがぜんそくの薬なわけ。それから、ミズメザクラってあるんだけど、これはサルチルサンメチルって物を含んでいるわけ。だから、あまり大量につけちゃいけないんだけど、これはなんのことはない、サロンパスとか、サロメチルとかっていうのと全く同じ成分を含んでいるのよ。しかも、これは天然でできた製品で、昔、きこりが木を切っていて疲れたら、ミズメザクラの皮を貼っていたのよ。そういうヒントから、僕はそれを覚えていて、30年位前にその話を聞いていたわけ。今は亡くなっちゃったけど、知り合いのきこりの方がいたのね。『稲本さんね、疲れたときにこの木の皮を貼ると治っちゃうんだよ』とか言っていたわけよ。それを思い出して、アロマをとってみたら、マッサージにメチャメチャ効くのよ。」
●これをベース・オイルと混ぜてマッサージをしても、どれも安全に使えるんですね。
「もちろんテストもしているしね。もちろん、キャリア・オイルに一滴くらいとか希釈しないとダメだけどね。」
●それは外国産のアロマ・オイルと同じですもんね。
「全く一緒。」
●でもやっぱり、日本人にとっては馴染みのある国産の樹木からとった香りって一番落ち着くし、安心できますよね。
「モニター・テストをやったんですよ。色々な年代の人にやってもらったんだけど、アロマを経験した事がある人がほとんどだったのね。その人たちが外国産のものと比べて落ち着くって言っています。それから、出どころも飛騨の山の中からとれたって分かっているから安心できる。それから、香りではブレンドも出しているんですよ。ニオイコブシとヒノキを混ぜて、そこにサンショをほんのちょっぴり入れたすごくいいブレンドがあるんだ。これがすごく人気。やっぱり、ヒノキは森林浴したときの香りと似ているから安心できるんだよね。」
●馴染みがあるし、田舎のほうに行って窓を明けると、自然と香ってくる香りを都会にいながら楽しめるわけですもんね。今、私の前にもそんなオイルがあって、その横に『森のアロマ』の入浴剤があるんですけど、これがニオイコブシとヒノキの香り。
「これも色々実験してみてね、まず、入浴剤としてブレンドしてみて、うちには優秀なブレンダーがいるんですよ。それで、このブレンドを先ほどのモニターの方に試してもらったら、ほとんどの方が好きで、それを今、入浴剤にして色々実験しているんだけど、使ってみれば分かりますけど、肌にいいし、湯の花のエキスが入っているから肌がツルッとするのよ。」
●別府温泉の湯の花エキスですね。
「そう。売る前にいっぱい実験していて、僕も実際に試したんだけど、自宅にいて森林浴しながら温泉に入っているって気になれるのよ。」
●別府温泉の湯の花エキスということは、別府温泉で露天風呂に入っているような感じなんですね。
「そうそう! それで周りが森になっている感じなのよ。」
●今後は世界に向けても発売を予定しているということで、いち早くC.W.ニコルさんが「結馨」を持ってイギリスに行かれたそうですね。
「そうなのよ! この前、ニコルさんと一緒に記者会見をやったんだけど、そもそもニコルさんのところにチャールズ皇太子が来られたのね。そのお礼に、チャールズ皇太子が農園を持っているので、何かいいお土産ないかなぁっていったときに、このアロマの匂いをニコルさんが嗅いで『これだよ! 日本の香り! できたばっかりなんだし。持っていたら絶対喜ぶよ』って言って、持って行って渡したらものすごい喜ばれたんだって。発売される前に持っていって、しかも漆塗りのものすごくいい木目のボックスに入れて持っていったのよ。」
●外国の友達へのプレゼントなんかにもいいですね! でも、まずはご自身で楽しんでいただきたいですよね。
「そうだね。外国に行っている日本人、うちの息子も含めて、息子の奥さんたちに送るとすごく喜んでくれるの。」
●香りを通して、ふるさとの声が聞こえてくるんでしょうね。
「そうだろうね。寿司バーに行って、時々日本を味わったりしているんだけど、やっぱり香りまでは無理だからすごく喜んでいますよ。
それと、ニコルさんところで、眼の見えない子供たちの環境教育ってやっているのね。で、アファンの森のCDを渡したりしているの。で、CDだけじゃなくて香りも一緒に渡しちゃおうと。そうすると、アファンの森を訪ねたときの記憶が蘇ってくるでしょ。目の見えない人って香りと音が最大の情報じゃない? それを聞くと、すごく元気になるんだって。それをを今、本気でやっていこうかなって思っています。」
●では、飛騨高山の香りに次いでは、アファンの森の香りが?
「うん。今、坂本龍一さんとか色々な人と組んで、色々な森の香りをやろうとしているのよ。」
●じゃあ、「結馨」はこれからどんどん香りの種類が増えていきますね。
「増えるのよ。ただ、エッセンシャル・オイルの困るところは、10キロから10ミリリットルくらいしかとれないものなの。だから、量を集めるのが大変なの。で今、おじいちゃん、おばあちゃんたちが、四国でモミジの葉っぱを集めてきて、京都の料亭に売っているでしょ? あの世界を今作りつつあるのよ。だって、裏山に行って、山をちょっと手入れしてきて、おじいさんが芝刈りに行ったついでにアロマの枝葉を集めてきて、『結馨』の会社に持ってくるっていう習慣ができつつあるの。」
●おじいちゃんおばあちゃんたちもやりがいがあるし、お孫さんに「なんで葉っぱを集めているの?」って聞かれて、「これアロマに使うんだよ」って答えたらちょっとハイカラですもんね!(笑)
「カッコいいでしょ?(笑)」
●はい(笑)。森だけではなく、人にも新しい元気がもらえますもんね。
「しかも、アロマをとったあとの木の葉っぱの屑が出ちゃうでしょ? これをもう1回、燃料にすることができるの。それから、たい肥にすることも、ペレットにすることもできるわけ。それもプロジェクトで取り掛かっています。」
●完全にまわっているんですね。
「全く無駄がないのよ。」
●でも、流行りすぎて、とりすぎて、アマゾンのローズウッドのようにはならないですよね?
「これがならないんだなぁ。アマゾンでいけなかったのは、ローズウッドばかりとったのがいけなかった。僕は森林生態系全体を分かっているから、針葉樹もとるし、広葉樹もとるし、バランスをとりながらやっていこうと思っているしね。それから、ドングリの会を通じて僕らはずっと植えているから大丈夫ですよ。」
●この先、新たな商品が出てくるのも楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。
AMY'S MONOLOGUE~エイミーのひと言~
森林資源を有効活用しながら私たちも森の香りを楽しむことができる。また、製品を作ったあとも無駄なく利用できるってすごくいいですよね~。本来なら枝葉集めをお手伝いしたところなのですが、種類によっては見分けるのがとても難しいそうなんです。ですから私は「結馨」の製品を購入することで森の健康維持に貢献したいと思います。 そして私エイミー、ひと足先に入浴剤も試させていただいたので、ここでご報告します。 |
日本産アロマ・ブランド「結馨(ゆいか)」 オークヴィレッジの代表、そして木工芸家、作家の稲本正さんが開発した日本の樹木を原料にしたエッセンシャル・オイル(アロマ・オイル)のブランド。 尚、「結馨」製品については、稲本さんの新しい会社「正プラス株式会社」のホームページをご覧下さい。また、製品のご購入は「正プラス株式会社」のホームページ、オークヴィレッジWEBショップ、オークヴィレッジyahoo!店ほか、オークヴィレッジ東京(紀伊国屋書店 新宿本店8F)で実際に香りを嗅いで購入することもできます。
|
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. HAPPY ANNIVERSARY / LITTLE RIVER BAND
M2. I'VE GOTTA GET A MESSAGE TO YOU / BEEGEES
M3. IN A TREE / PRISCILLA AHN
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
M4. HERE, THERE AND EVERYWHERE / THE BEATLES
M5. (YOU MAKE ME FEEL LIKE)A NATURAL WOMAN / CAROLE KING
M6. TAKE ME THERE / RASCAL FLATTS
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
|