2010年5月9日
月桃を使った化粧品の、体にもたらす効力とは ~うすき友美さんをゲストに迎えて~
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、うすき友美さんです。
「レセラ有限会社」の代表である「うすき友美」さんは、沖縄などの亜熱帯に自生するショウガ科の植物「月桃(げっとう)」から抽出したオイルを配合した化粧品を開発・販売をされています。今回は「うすき」さんから、月桃という植物に着目した理由などうかがいます。
月桃とは?
●今回のゲストは、「レセラ有限会社」代表・うすき友美さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします。」
●まずは、「月桃(げっとう)」という植物のことをお聞きしたいんですが、これはどんな植物なんですか?
「月に桃と書くので、皆さんモモ科だと思って、甘い香りを想像されるんですけど、月桃はショウガ科なんですね。」
●そうなんですか。
「はい。ショウガって今流行っていますよね。なので、体を温める効果がありますし、肌荒れをしている人に対しては、鎮静の効果もあります。沖縄では、琉球時代から愛されている植物で、月桃で1番有名な伝統行事は、月桃の葉でお餅を包んだものを旧暦の12月8日に食べる“ムーチーカーサー”という行事があるんですね。その行事に使われるのが1番有名で、月桃は抗菌作用がある植物なので、お餅が腐らないと言われています。」
●昔から、薬草として使われていたんですね?
「そうですね。お茶にして飲んだり、実を煎って、薬代わりに飲んだりしたという記述が残っていますね。」
●沖縄では、昔から親しまれていた植物なんですね?
「そうですね。」
●その月桃を見たことがないので、どんな形なのか分からないので、教えていただけますか?
「葉っぱが三日月みたいな形をしていて、すごく大きい笹の葉のような感じですね。」
●細長い、三日月のような葉っぱなんですね。ということは、果実の桃とはかけ離れた形なんですね。
「かなりかけ離れていますね。」
●確かに、元々沖縄という、暑いところで育っていますからね。
「月桃は多年草なんですけど、草なのに、沖縄では茎が1年で2~3メートルぐらいに成長するんですね。」
●1年でですよね!?
「花をつけるんですけど、白い貝みたいなお花で、縁が紅色なんですね。お花の中が蘭のような感じで、ピンクの縁がある、房が大きいスズランのような、独特の形のお花ですね。」
●お花も咲くんですね。
「咲きますね。沖縄では、ちょうど今の時期の、4~6月ぐらいに咲きますね。」
●ということは、ちょうど沖縄で月桃が咲いているかもしれないんですね。
「咲いていると思いますよ。」
●沖縄では、どこにでも生えているんですか?
「実は、どの家の庭にも生えているんですね。先ほど言った、ムーチーカーサーの時に、自分の家の葉っぱをお餅に包んで、自分の家でムーチーを作るのが伝統なんです。それぐらい、たくさん生えている植物なんですけど、エッセンシャル・オイルを作るとなると、月桃の葉1キロから1ミリリットルしか採れないんですね。」
●1キロで1ミリリットルですか!?
「そうなんです。なので、大変貴重なものなので、たくさんあるんだけれど、必要分を確保するのが難しいんですね。だから、月桃のエッセンシャル・オイルは高価なものなんですね。」
月桃の化粧品ができるまでの過程
●月桃から化粧品を作っているということなんですが、なぜ、月桃を使用した化粧品を作ろうと思ったんですか?
「私の父親が、たまたま沖縄から月桃のエッセンシャル・オイルをもらってきたことがきっかけなんです。私の父親が研究好きで、普通のドラッグ・ストアで買ってきたクリームにオイルを混ぜたり、お歳暮にもらってきた石鹸に混ぜたりして、それを母や祖母、近所の方に配ったりしていたんですね。」
●お父さんがちょっと怪しい行動をしているところを、うすきさんが横で見ていて「私もやってみようかな」って思ったんですか?
「そうですね。父が混ぜたグルグルのようなものが、近所で大評判になって『乾燥肌がよくなる』とか『肌のかゆみが取れる』とか『首のしわがのびた』とか『化粧の乗りがよくなった』という意見が多くなって、父に製品開発の依頼が、近所のおば様たちから来たんですね。父はそういうことが大好きなので、私に『月桃のオイルがあるから、化粧品作ってほしい』と頼んできまして、そのとき私は、薬品会社に勤めていたんですけど、会社がつまらなくて辞めたかったんですね(笑)。そこで父が『これを開発するなら、会社を辞めていい』ということで、プロダクト開発とかマーケティングとか全く知らない、腰掛けOLだったんですが、父が混ぜたものが、私の目の前にあったので、大変なこととは全く想像できずに『会社を辞めていいなら、やる』と、2つ返事ぐらいで始めたんですね。」
●でも、実際に製品開発をすることになって、その作る過程ってすごく大変だったと思うんですけど、どうでしたか?
「化粧品って世の中にたくさんあるじゃないですか。また、私は美容マニアではなかったんですね。美容のことに対して、好き・嫌いがなかったし、肌に合う・合わないもなかったので、ほとんど何も知らない状態だったんです。でも、これだけの人が『欲しい』と言っているし、特にアトピー性皮膚炎など、肌が弱い方から『商品化してほしい』という声が届いたんですね。それに対して、素人の私は『世の中にこれだけ化粧品があるのに、なんでまだ欲しがるんだろう』っていうのが率直な感想でした。ただ、肌が弱い女の子がずっとモニタリングをしてくれていたんですけど、その子が『私は今まで何百種類のスキンケア商品を試してきたけど、『これだ!』というものがほとんどなくて、しかも、何年も探し続けてきて『これなら使える』というものがあったにも関わらず、あなたのお父さんが作った、ドラッグ・ストアで売っているようなものに、月桃のエッセンシャル・オイルを混ぜたものが、何十倍もいい。これは、自分にしか分からないことだけど、こういうことって、なかなかない』と言ってくれたんですね。その人の熱い思いに動かされたんですね。でも『そもそも化粧品の開発をしたことはないから、どうやったらいいんだろう』という状態だったんですね。その中で、ただひたすら月桃を色々なものに混ぜたんです。1番難しかったのが、月桃の精油濃度の調整で、最初のクリームを作るのに3年かかってしまったんですね。その間もずっとモニタリングをしていました。何百人したか分からないぐらいです。それだけ、月桃の精油濃度の調整が1番難しかったです。」
●うすきさん自身で使ってみて「これは違う。この植物はすごい」って体感しましたか?
「月桃に出会って11年が経つんですけど、今それをすごく感じています。月桃をずっと使い続けていて、今すっぴんなんですけど、驚かれることが最近多くて、私の年齢がそれなりにきているので、私の場合は今『月桃っていいんだ』って思っています。また、『自然派の化粧品で、こんなにすぐ効果がでるものはない』と言ってくれる方も多いです。」
消費者は消費をすることについて考えてほしい
●月桃を使った化粧品って、いわゆる“オーガニック化粧品”といわれるジャンルだと思うんですけど、私の身の回りでもオーガニックブームで、化粧品だけじゃなく、洋服などにも使う人が増えているように感じているんですね。なぜ私たちが、オーガニックなものを求めてしまうのか、うすきさんなりの考えを教えていただけますか?
「癒しやオーガニックを求めているのは、本能だと思います。それが悲鳴を上げていて、例えば、肌荒れになったり、プチ鬱になったりして、日々『こうしないといけない』とか『こうやって生きなきゃいけない』とか『婚活をしないといけない』とか、色々やらないといけないことが、頭の中にたくさんあって、それがきちんと到達できないと“ダメな人間”だと思っている人ってすごく多いと思うんです。もちろん、色々な事情があると思うんですけど、本来は『何かしなきゃいけない』じゃなくて『何をしたいか』だったり『自分がどういう風な人間になっていきたいか』といった、自分の本能の声を、もっと聞いてあげないと、頭がすごくいいだけに、色々な意味で、自分の本能を抑えこんでいると思うんですね。それが“オーガニック”だったり“癒し”というところで、ガスを抜いていると思うんですね。だから『もっと癒されないと辛いよね』って、私はすごく思っています。」
●本当そうですよね。でも、本能が求めているオーガニックなものが、高価だったりして、手軽に手に入らないというジレンマもあるんですね。「それはどうなのかな?」って思うんですね。
「結局、植物だったり、アロマや食べ物もそうですけど、『なるべく新鮮なもの・なるべく活きたまま届けよう』ということを、追求すれば追及するほど、材料にこだわったり、場所にこだわったりして、作り手にとっては、本当はもっとこだわりたいですよね。だから、今までの“大量生産・大量消費”がずっと続いていて、そのおかげで、みんなは便利に色々なものが、安価で手に入れることができたという流れがあったと思うんですね。でも、本当は人間は動物なので、命があるものを食べたり、命があるものに囲まれていないと、すごくストレスを感じると思うんですね。でも、高度成長期などで『お金を稼がないといけない』といった社会の流れになっていたときに、やっぱり『安くて、こんなにすごいものが手に入るんだよ』ということで『そうなんだ』と思って、その方向に流れていって、流れて流れて流れ着いたけれど、やっぱり、苦しかったり、ストレスが溜まってくるということで、今は、原点回帰・自然回帰じゃないけれど、みんな自然に帰りたいんだと思うんですね。だから、高いかもしれないけれど、それも考え方を変えて、自分で作るということをすれば、材料は少し高いかもしれないけれど、外食をするより安いかもしれないし、例えば、安いかもしれないけれど、普通のスーパーで売っている野菜を心を込めて作ったら、違ったものになるかもしれないし、お金の価値観も『自分にとって、本当に何が大事なんだろう』ということを、見つめていかないと、『安い・高い』ということで色々なことを判断してしまうと、危険だと思います。だから、それがどういった成り立ちでできているのか、どういった人を通じてできたものなのか、どこで作られているのかなどを、消費する人は、1回の消費が社会活動になるので、考えてほしいと思います。」
人間の体も、月の影響を受けている
●うすきさんは、化粧品を作るだけではなくて、その化粧品を有効的に使う、強いていうなら、私たちの肌をよくするためには「自然の流れもすごく大事」というお話をされているとうかがったんですけど、どういうことなのか、教えていただけますか?
「私たちは、宇宙があって、地球があって、その中の日本に住んでいますけど、太陽の影響ですごく受けていますよね。」
●そうですね。日差しを浴びてます。
「太陽がないと生きていけないし、全ての源は太陽だと思うんですけど、それにプラスして、月もすごく影響していると思います。例えば、女性の生理の周期だったり、28日周期で起こる、皮膚のターンオーバーだったりと、28日周期ってあると思うんですね。そういった意味でも、他の惑星の影響も受けていると思うんですけど、私はその辺りのことはよく分からないのですが、月の影響をすごく影響を受けていると思いますよ。」
●ということは、月の満ち欠けによって、私たちの肌が変わっていくということなんですか?
「それはですね、新月から満月にかけてと、満月から新月にかけてと、体の状態が違うみたいなんですね。」
●そうなんですか!
「これは、人間だけじゃなくて、植物もそうなんですね。新月というのは、月が空に見えない状態です。これって意外と知らない人が多いんですけど、満月はまん丸に見えるときですね。新月から満月にというのは、月が痩せていたのが、太っていくということなんですけど、その状態というのは、体も色々なものを溜め込もうとするらしいんですね。逆に満月から新月にかけては、月が痩せていきますよね。そのときは、体もデトックスな状態になると言われているんですね。だから、このときにダイエットをするのに適していたりとか、逆に新月から満月にかけては、どうしても食欲が増してくるときなので、そのときに無理してダイエットをすると、ストレスが溜まるんですけど、逆に、今は新月から満月からすごく食べたいんだと思って、食べるのもいいとおもいます。お肌に関して、新月から満月にかけては、溜め込もうとするので、パックをしてあげたりして、保湿をしてあげたりして、補給をしてあげるようなお手入れをしてあげるといいし、満月から新月にかけては、体がデトックスな状態なので、マッサージをしてあげたり、ディープクレンジングをしてあげたり、お肌の毛穴のお掃除みたいなお手入れをしてあげると、体の調子に合ったお手入れなので、あまり無理がなくできると思います。」
●そうだったんですね。月の影響を受けるのはオオカミだけだと思っていました(笑)。人間も逆らえないというか、自然の流れに身を任せることが、お肌にも体にもいいんですね。
「そう思います。あと、それを踏まえて『今日の月はどっちかな?』って思いながら、帰り道に月を見ながら家に帰ると、すごく癒されると思います。」
●確かに、月をしばらく見たことがないかもしれないです。ちなみに、今日(5月2日)はどんな月なんですか?
「今日は、満月から新月に向かっているので、デトックスですね。」
●では、今日帰ったらデトックスをします(笑)。
「(笑)。マッサージとかクレンジングをしてあげると、より流れると思います。」
●しっかりと悪いものを出してから、寝たいと思います。というわけで、今回のゲストは、月桃という植物から化粧品を作っている、「レセラ有限会社」代表・うすき友美さんでした。ありがとうございました。
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