霊山に登れば、人生が変わる!?
〜山伏ガール「たなべみか」さん〜
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、話題のコミック『山伏ガール』の著者・たなべみかさんです。
たなべさんは、高校3年生のときに漫画家デビュー。その後、会社員、漫画アシスタントを経て、専門誌で取材系漫画を連載。現在も青年誌や企業広告漫画など、幅広く活躍中です。そして今年2019年、ご自身の山登り体験をまとめたコミック『山伏ガール』を出されました。絵が可愛くて、内容もとっても面白いんですよ!
山伏とは、日本特有の宗教「修験道(しゅげんどう)」を実践している方たち。時代劇では、よく法螺貝(ほらがい)を吹いているとか、滝に打たれて修行しているイメージがあるかと思います。また、独特の白い衣装も印象的ですよね。
では、たなべさんは、そんな山伏とどこで出会ったのでしょうか。今回は、山伏と一緒に行った山でのエピソードなどをうかがいます。
強烈すぎるきっかけ
※まず、なぜたなべさんは山登り、それも山岳信仰の対象となる山、霊山に登るようになったのかをうかがいました。
「当時、ずっとツイてないことが続いてまして、それで占いに行ったら“富士山に登ったら廃人になる”と、ちょっと怖いことを宣告されたんです。でも納得出来なくて、富士山に実際に登ってみたら、霊山の素晴らしさにハマってしまい、生活も上向きになってきたので、霊山登拝っていいなと思って、それがこの本を出すきっかけになりました」
●コミック『山伏ガール』を読ませていただきました! とっても面白おかしく描かれていましたけど、実際は相当怖かったんじゃないですか?
「そうですね……(登る前は)怖かったですね。でも、意を決して登ってみたら全然怖いこともなく……。富士山ってものすごく登山客が多いんですよ。それもあったし、夜もみんなライトを点けて御来光を目指すので、登ってる間はもう全然怖くなかったです(笑)」
●最初に登った山が富士山ということになるんですか?
「いえ、富士山の前に、富士山に登るための訓練として武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)とか、あと高尾山とかに登って、ちょっとトレーニングというか、そういうことをしました」
●もともと山登りに興味があったというわけではなく?
「登山のテレビ番組とかを見るのは好きだったんですけど、自分が登りたいとかっていうのは全くなかったです」
●道具などの情報はどのように入手されたんですか?
「それはまず、モンベルショップに行って、スタッフの方に富士山に登るための装備を聞きました。あとは、YouTubeで富士山のレンタルショップの方が動画配信されてるので、それを参考にしました!」
●そうなんですね! 強烈なきっかけがあって始まったというこの登山ですけれども、今現在は登る山ってどうやって決めてるんですか?
「今は直感というか……。あとは人とのご縁ですかね。人から“この山いいよ!”とか、あとは雑誌とか見てると“あ、この山、登りたいな”というのが目に飛び込んで来たり……。そういったものが重なっていくと、やっぱり登ってみようかな、というふうに決めてます」
●そうなんですね! 登山仲間というのがいらっしゃるんですか?
「そうですね、あと山伏の方とかとご縁があって、その方から勧められた山とかに登ることも最近は多くなりました」
●このコミックのタイトルも『山伏ガール』ですけれども、その山伏の方のツアーっていうのもあるんですよね?
「ツアーっていうほど大きなものじゃないんですけど、ネットで募集している方とかもいて、トレッキング会として10人から20人ぐらい集まって、それで山伏を先導に霊山に登るっていうものもありますね」
山登りは、いいことずくめ!
※山伏と行く山……そんな登山ツアーはどんな感じなのでしょうか。<
「修験教団(しゅげんきょうだん)の教えの違いもあるんですけど、主催している山伏の性格によっても色々ありますね」
●例えばどんな感じなんですか?
「山歩きとか歴史をメインに話をされる方もいらっしゃいますし……。本当に性格ですね、山伏それぞれの」
●いろいろ違いがあるんですね! いつもどんなことを感じながら山登りされてるんですか?
「最初は富士山も含めて、霊山に登るとあまりよくないっていうふうに止められていたんですけど、まあそんなことは絶対ないっていう否定の部分で、すごくそういう思いで登っていたんですけど、途中からどうでもよくなりましたね。こればかりはちょっと行ってみないと……っていうのがありますね」
●今までどれくらいの山を登られたんですか?
「結構登ってはいるんですけどね。あと、気に入ると同じ山を何度も登るので、近場だと高尾山とかは割と回数重ねてますね」
●特にお気に入りの山っていうと、他に何かありますか?
「(四国の最高峰)石鎚山(いしづちさん)はよかったですね」
●どんなところがよかったですか?
「鎖場とか、ちょっと怖いところもあるんですけど、そうじゃないルートもあったりして、自分でいろいろ選択できるんですよ。すごく達成感みたいなものもありますしね」
●山登りを始めてご自身が一番変わったな、って思うところはどんなところですかね?
「クヨクヨすることが減ったのと、山に登る以前は、何かあると割とマイナスに考えちゃうところがあったんですけど、それがかなり減りましたね。あと、よく頭痛がしてたんですけど、それがなくなり、あと体力がつきましたね!」
●いいことずくめですね!
「そうですね(笑)」
●山登りをしていて、どんな時が一番楽しいですか?
「前準備も楽しいですし、あとは登ってる時の山それぞれの空気感というか、それがすごくいいですね。いろいろ山によっても違うので……。そればかりは行ってみないと分からないので」
<山岳信仰・霊山・山伏>
日本では、古来から「山には神が宿る」とされ、山が神聖な場所として崇拝の対象とされてきました。それが「山岳信仰」で、霊山(れいざん)や霊峰(れいほう)と呼ばれて特に信仰を集める山もあり、富士山と、富山県の立山(たてやま)、そして石川県と岐阜県にまたがる白山(はくさん)が「日本三霊山」とされています。
多くの霊山には神社が建てられていて、現在も山伏が修行を行なっています。山伏は、霊山にこもって厳しい修行をすることで悟りをひらくという、山岳信仰と仏教が結びついた日本独特の宗教「修験道(しゅげんどう)」を実践している人たちで、独特の装束(しょうぞく)を身にまとっています。
私たちがその姿や修行の様子を目にすることはなかなかありませんが、実は、修験道を体験できるお寺は日本各地にあって、山伏の方に会うこともできます。
半日体験から1週間ほどの本格的な体験までいろいろあるので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。
例えば、大阪府高槻市の神峯山寺(かぶさんじ)では、毎月第2日曜日の午前中に体験修験(しゅげん)を行なっています。東京の高尾山でも夏と秋の年2回、1泊2日で修行会を開催していて、滝修行など、かなり本格的な修行が体験できます。さらに、山全体が世界遺産に登録されている奈良県・吉野山(よしのやま)の金峯山寺(きんぷせんじ)では、断崖絶壁から命綱ひとつで逆さづりとなる「西の覗き」という修行が体験できるんだとか!?
ホームページで詳細をお知らせしているお寺も多いので、興味のある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
不思議と前向き!?
※最後に、霊山にはどんな魅力があるのかをうかがいました。
「なんかその……登るじゃないですか。登って、手を合わせて、それで普通の生活に戻っていくんですけど、生活が何故かうまくいくというか……。気分の問題だと思うんですが、何とも言えないんですけど、日常のいろんなことが不思議とどんどん解決していくというか……」
●気持ちも前向きになれそうですよね。
「そうですね、それが一番だと思います。多分、山に登ると、ちょっと非日常だし、身体を動かすと気分がいいので、筋肉痛とかもあるんですけど(笑)、それでいざ日常に戻ってみると、ちょっと世界が変わってみえるというか……。ちょっと何か嫌なことがあっても“まあいっか!”って、なんかそんなふうに(笑)。妙に前向きになれるというか」
●たなべさんの今後の夢とか目標っていうのはありますか?
「そうですね……。やっぱり、自分にできる方法で霊山の良さを伝えていきたいので、その霊山にまつわる動画を作ったり、WEBで漫画を連載できたらいいなと思っています!」
INFORMATION
コミック『登拝開運祈願 山伏ガール』
朝日新聞出版 / 税込価格1,100円
初めての富士登山、そして山伏と出会った山などなど、たなべさんの霊山体験がとても面白く描かれています! 絵もとっても可愛くて、特に女性はハマっちゃうのではないでしょうか!? 詳しくは朝日新聞出版のホームページをご覧ください。
また、たなべさんの近況はオフィシャルブログをご覧ください。
- たなべさんのブログ:https://ameblo.jp/mikasyanmikasyan/