赤い雪

 パリではなんと、赤い雪が降るということを皆さんはご存じですか? この赤く色づいた雪は、実はアフリカのサハラ砂漠と深い関わりがあるんです。
 約1万平方キロメ-トルの広さを誇る世界最大の砂漠、サハラ砂漠の中央部は、赤土に覆われた乾燥地帯。年間を通してほとんど雨が降らない上、最高気温は摂氏50度以上、最低気温は氷点下以下という気象条件のため、地表の風化がとても厳しいわけですが、そんな風化の進んだ砂漠の砂は風によって更に細かい赤土状の粒子となり、やがて大気中を舞う砂塵となります。
 そしてこの砂塵が気流に乗って地中海を渡って、フランスの上空で雪の結晶の核となり、パリにほんのり赤い雪を降らすというわけなんです。
 日本でも時々、中国やモンゴルの砂漠地帯から飛んでくる黄砂が見られますが、サハラ砂漠の砂塵の粒子は、ゴビ砂漠などのそれより遥かに細かくて軽く、実際には地中海どころか、大西洋をへだてた南米大陸にも飛来しているんだとか。
 そして、砂塵に豊富に含まれるミネラルを補給して、土の肥よく化にも一役買っているということなんですが、全く生命を寄せ付けない苛酷な砂漠の砂が、遠く離れた土地を潤しているというのも驚きですよね。
 でも、“恋人の街”パリに降る、ほんのり赤く色づいた雪も、恋人たちの愛を育むためのム-ド作りに一役かっているのかもしれませんね。

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