2004年1月18日

エコプロダクツ2003 取材レポート・パート3

 2003年12月に東京ビッグサイトで開催された「地球と私のためのエコスタイルフェア“エコプロダクツ2003”」。今週は取材レポートのパート3、環境文化NGO「ナマケモノ倶楽部」をご紹介します。

ナマケモノ倶楽部のブース

 この「ナマケモノ倶楽部」は明治学院大学・国際学部の教授・辻信一(つじ・しんいち)さんほかが中心となって1999年に設立された市民団体です。
 「ナマケモノ倶楽部」というそのユニークなネーミングに魅かれた取材班は事務局長の馬場直子(ばば・なおこ)さんにお話をうかがったんですが、まずはどんな活動を行なっているのか、聞いてみました。

馬場さん「環境運動と文化運動とエコビジネスの3つを柱にしてやっているんですが、環境運動というのは、エクアドルでこのクラブが始まったので、エクアドルの地域とのフェア・トレードを通じた森林の保全といったものをやっています。文化運動というのは自分達の生活の価値観をもっとスローにサスティナブルなものにしていこうということで、スローライフ・ムーヴメントを日本で展開しています。エコ・ビジネスというのはフェア・トレードのことを指しているんですが、やはり生活していくにはお金が必要なので、じゃあそのお金をどのようにエコに使っていくかということで、環境にやさしい仕事や地域通貨で円を使わないような、ローカル・マネーの運用というのもやっています」

 「ナマケモノ倶楽部」のブースで取材班はスロー・ビジネスという言葉を目にし、ビジネスがスローでいいのかという疑問を持ち、説明を求めました。

馬場さん「このスロー・ビジネスという言葉は私達が作った造語なので、まだ認知度はないと思うんですね。ビジネス(business)というのはビジー(busy)とネス(ness)でビジー(busy)が語源なので、スロー・ビジネス(slow business)というのは矛盾するような言葉なんですけど、私達の中ではエコ・ビジネスをもう少し幅を拡げたものと考えていて、エコ・ビジネスだと、例えば素材がエコであるとか、生産されて廃棄されていく過程がエコであるということが注目されると思うんですけど、スロー・ビジネスというのは働いている人が活き活きと働いているかとか、海外との取引の場合、生産者もハッピーで、買う消費者の人もハッピーかどうかといったことに焦点を当てているんです」

この「スロー・ビジネス」には5つのキーワードがあるんです。

 「フェア/つまり公平、公正であること」
 「シェア/これは分かちあうことですね」
 「ピース/安らぎがあること」
 「オルタナティヴ/否定するのではなく、こういうのがありますよという代替案を示すこと」
 「ハッピー、エンジョイ/働いている人が楽しいかどうか」

 最後に「ナマケモノ倶楽部」の今年の活動予定を聞きました。

ナマケモノ倶楽部の馬場直子さん

馬場さん「2003年が私たちの中ではスロー・ビジネスをテーマにした初めの年で、環境運動をやっていても環境と経済をどう繋げていくかっていうことを、日本に住んでいる私達はもっと考えていくべきじゃないかということで、日本を縦断するような形でシンポジウムをしまして、とても反応が良かったんですね。みんなに『あ、そうか。自分達の買い物が、実は商品を選んでいることなんだ』ということが伝わりまして、市民とか会社は消費行動をせずに暮らすことは不可能なので、じゃあどういう消費生活をしていくのが最もエコロジカルで、地球全体にとっても良いんだろうかということを今年もキャンペーンとして展開していきたいと思っています」

 「ナマケモノ倶楽部」について、詳しく知りたいかたはホームページをご覧ください。
http://www.sloth.gr.jp/


 「エコプロダクツ2003 取材レポート」、来週はコケによる屋上緑化システムを開発した「国際環境デザイン協会」をご紹介します。お楽しみに。

エコプロダクツのホームページ:http://www.eco-pro.com/

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