2011年5月7日
今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、ユウサミイさんです。
人と人、そして人と自然のつながりを歌に託す、オーストラリア・ゴールドコースト在住のシンガー・ソングライター、ユウサミイさんは現在、日本でのプロモーションに力を入れていて、その最中に今回の震災を体験されました。今回、その大震災を体験され、感じたことがあるそうです。
そのお話をうかがう他、オーストラリアの大好きな癒しスポットのお話などうかいます。
※ニュー・アルバムのリリースを控え、日本での活動を本格化させようとしていた矢先に、大震災に見舞われたユウサミイさんは、今回の震災でこんなことを感じたそうです。
「実は僕、阪神大震災の翌年に、永住するためにオーストラリアに行ったんですよ。それから、『今年一年、日本で頑張ろう!』と思って帰ってきた矢先に、東日本大震災が起きたんですね。まず、色々考える前に、頭の中が真っ白になってしまいました。『どうしたらいいだろう。こんなに大変なことになって、自分のプロモーションをどうするかって言っている場合じゃないぞ』と思いましたね。そのときの気持ちは話し様のない、ただ真っ白になっちゃいましたね。」
●そうですよね。今まで経験をしたことがないような出来事だったので、私も最初は何も考えられない状態でした。
「僕は阪神大震災のときに、京都に住んでいたので、何度もボランティアに行ったんですけど、あの状況の何十倍の被害があると思ったら、あまりにも大きすぎて、何を考えていいか分からなかったですね。」
●私は、この震災で大変なことばかりではなく、厳しい中でも、日本人が頑張ろうとしている力を、改めて実感したんですけど、ユウサミイさんはどう感じていますか?
「僕もそれは実感しました。本当にすごいなって思ったことがあったんですけど、それは、いつも仙台から東京でやる僕のライブに来てくれるファンがいるんですね。今回の地震で、長い間連絡が取れなくて、すごく心配していたら、やっと連絡がついたんですね。その方の最初の一言が『そちらは大丈夫でしたか?』なんですよ。」
●あんな状況で、普通は言えないですよね
「向こうも『情報が入ってこないし、ユウサミイさんがどこにいるのか分からないから、すごく心配しました。インターネットが使えるようになったことで、元気なのは分かったけれど、実際はどうなのかなってすごく心配しました』って言ったんですね。『あの状況で僕を心配しているのか』と思ったら、日本ってすごいなと思いましたね。」
●そういった日本人の気質って、オーストラリアの人たちから評価されていたりするんですか?
「ものすごく評価されていますね。日本人の気質かもしれないですが、みんながやりたくないことを、自分が率先して、みんなのためにやるという和を重んじる心を、僕は地震が起きる前から言い続けてきたことなんですね。
差別的なことを言うつもりはありませんが、海外の人たちって、自分が一番いいところを取っていきたいと思うんですよね。それに対して日本人は、みんなのために、自分が面倒なところをやるという気持ちを持っているんですよ。この精神は、どの国の会社に行っても、日本人の一番評価される点の一つなんですね。『日本人は、こういう素晴らしいところがあるんだよ』っていうことを伝えたい気持ちを持っていたんですけど、僕がわざわざ伝えるまでもなく、決して嬉しいことではないですが、今回の震災の中で少しでも光となるところがあったら、それをみんなが自然と感じてくれたというのが、せめてもの救いかなと思いますね。」
●これから、ミュージシャンだからこそ、できることってあると思うんですけど、今後、どういった活動をしようと思っていますか?
「まず、みんなで集まって楽しいことをするというのは、今でも大切だと思うんですね。そういうときに『僕たちも行けるところにはどんどん行きますから、ミュージシャンを使ってください』と言っているので、少し人が集まってもらって、そこで僕らが歌を歌って、楽しんでもらった分を義援金として集めさせてもらって、寄付をしたりしています。僕たちミュージシャンって、そういうことぐらいしかできないんですよね。ミュージシャンって、歌を歌うとか、楽器を弾くとか、そういう能力ぐらいしかないので、最低限、自分ができることをして、世の中の役に立ちたいと思いますよね。」
※ユウサミイさんは、日本とオーストラリアの生活スタイルでこんなところにも違いを感じることがあるとおっしゃっています。
「電気の使い方って、日本とオーストラリアでは全然違うんですよね。オーストラリアの人たちはみんな“夜は暗くて当たり前”という考え方をしているので、部屋中の照明をつけている家はまずいないですし、リビングは暗いです。なぜそうしているのかというと、『人間も動物なのだから、“夜は暗い”ということを忘れてはいけない』という哲学があるので、食事のときは多少明るいところで食べたとしても、その後みんなでゆっくりと過ごすときには、少し暗いところで過ごすという考え方をみんなが持っているんですね。日本では、夜は暗いと色々と危険なことなどがあるから、難しいかもしれないですけど、夜は暗いもので、夏は暑いもの。そういう考え方があっていいと思うし、これからはそういう風になっていくと思います。」
●ユウサミイさんは、森林保全活動をされているそうですが、元々、日本も森が多い国ですけど、これから森を再生する上で、提案やアドバイスってありますか?
「どうしても、森林保護活動のことを話すときに『森が大事だから、紙を無駄にしちゃいけないよ。木製品を無駄にしちゃいけないよ』という風に、上目線で教えてしまうことが多いじゃないですか。そうじゃなくて、森に行ってもらうのが一番いいと思うんですね。普段、森であまり遊んだことがないような子供を森に連れていくと、『森ってすごい』と感じることがたくさんあると思うんですね。
僕は、オーストラリアに戻って、まず最初にすることは、スプリングブルック国立公園という熱帯雨林の場所があるんですけど、そこにお弁当を持って行くんです。そこで滝の上でお弁当を食べる。それをするだけで、これからの活動への活力をすごくもらえるんです。だから、森の中で一度遊んでみたら、森の素晴らしさが分かるようになるので、そこで、“森って大切にしないといけない”と思うようになると思うんですね。
それに対する啓蒙活動ってすごく大事だと思いますね。単純に『もったいないから大切にしよう』というのではなくて、『森ってすごくいいものだから、大切にしよう』というような、自発的に思うようにしていくことが大事だと思いますね。」
●先ほどユウサミイさんがお話していた、スプリングブルック国立公園って、どのようなところなんですか?
「ゴールドコーストって、ものすごく昔に、火山だったところが噴火したことによって、できたところなんですね。海から見える森のことを“ヒンターランド”というんですけど、その噴火した近辺一帯のほとんどが国立公園になっているんです。その中で、僕の家から一番近いのが、スプリングブルック国立公園なんです。車で45分ぐらいかけて、山の中を上がっていくんですけど、段々ジャングルになっていくんですね。」
●そこにある植物は亜熱帯の植物たちなんですね。
「そうなんです。そこにはものすごく大きなトカゲとかいて、野生の七面鳥がいて、見たことのないようなヘビがいるといったところなので、苦手な方は苦手かもしれないですね。でも、“キャニオン・ルックアウト”といわれている場所がありまして、そこから景色を眺めると、噴火した後にできあがった岩の壁のようなものと、そこを流れる滝、下にはブロッコリーの畑のように見える亜熱帯雨林。そこから遠くの方に小さく見えるのが、ゴールドコーストの街なんです。
その公園にはトレッキングロードがあるので、お弁当を持って、トレッキングロードを3キロぐらい歩いたところに、僕のお気に入りの滝があるんですけど、その滝の上に、4畳半ぐらいのスペースがあるところがあるんですよ。そこにビニールシートを敷いて、そこでお弁当を食べるんです。」
●そこにいると、気持ちが安らぐんですか?
「僕は全然詳しくないんですけど、俗にいう“パワースポット”というものなのでしょうか。変なことを言うかもしれないですけど、病気が治るような気がするんですよ! 体調があまりよくないときに、そこに行ってリラックスして帰ってくると、治ったりしますね。」
●そこにいることが、曲作りに影響したっていうことってありますか?
「それはありますね。あそこに行けば、パワーがチャージされるんですよね。あの中にいれば、森のパワーが入ってくるんですよ。行けば分かるとしか言い様がないです。友達とか連れていくと、みんな同じこと言いますね。」
※5月25日にリリースするニュー・アルバムにはこんな思いが込められています。
「タイトルは『yusammy -wish you were here-』です。」
●このタイトルには、どういった思いが込められているんですか?
「この“wish you were here”には、スタッフ一人一人、そして僕、それぞれの思いがあるんですね。僕個人の思いでは、この言葉を日本語訳すると『ここにあなたがいてくれたら』となるんですけど、ぶっちゃけて話してしまうと、“ライブに来てほしい”という思いを込めているんです(笑)。“僕が演奏しているところに、あなたにいてほしい”ということが、僕としては一番の思いですね。もちろん“人と人がもっと繋がっていってほしい”という思いもあります。」
●今回のアルバムの代表曲でもある『FLY』という曲を聴かせていただいたんですけど、すごく元気がでて、前向きになれるような曲だと思ったんですけど、どういったことを伝えたいと思って、作った曲なんですか?
「この曲は、HISさんのマラソンツアーのオフィシャル・テーマソングになっている曲なんですけど、元々は、ゴールドコーストマラソンに来てくれる方々のために作った歌だったんです。
僕が永住権を取りに、初めてオーストラリアに行ったとき、みんなから『そんなことは無理だ! 不可能だ!』とかなり言われたんですけど、子供のときって、何でもできたような気がしませんでしたか? 何か工夫をしたら、空を飛べるんじゃないかとか、ビルの上から傘をさして飛び降りたら、パラシュートみたいに、ゆっくり降りてこられるんじゃないかって、大人になってから考えると、絶対に無理と思うようなことが、できるんじゃないかって思いませんでしたか?」
●確かに、子供のころって、自分でリミットを決めなかったですね。
「もちろん、無理なことは無理なんだろうけど、それとは違って、本当はできるけれど、大人になっていくうちに、色々な経験とか、記憶、常識などにとらわれて、できなくなってしまうことってたくさんあると思うんです。なのでもう一度、子供のときの自由は発想と、それに加えて、大人の分別と経験を一緒にしたら、不可能なことって、それほどないんじゃないかって思うんですね。
“そういう子供の大らかさをもう一度取り戻しましょう。今それを持っている人は、そのまま持ち続けましょう。子供のころに見た太陽を忘れないようにしよう”という思いを伝えたい歌なんです。」
(このほかのユウサミイさんのインタビューもご覧ください。)
今まで私は、オーストラリアといえば、エアーズロックのような荒涼とした大地や、グレートバリアリーフのような美しい海のイメージが強かったので、熱帯雨林の森があるとは、驚きでした!
こんな風に、世界中には私の知らない自然がまだまだたくさんあって、ユウサミイさんもおしゃっていたように、そんな自然を体感する事で、地球の素晴らしさをもっともっと知る事が出来るんですね。
R-TRICK JAPAN / DQC-694 /定価:2,000円
オーストラリア・ゴールドコースト在住のシンガー・ソングライター、ユウサミイさんの5月25日にリリースされる待望のニュー・アルバム。代表曲である「幸せでありますように」や、ハリウッド映画の特殊VFXチームが手がけたプロモーションビデオが話題の「FLY」ほか、全部で8曲収録されています。
現時点で決まっている、ユウサミイさんのライブは
5月15日(日)
◎会場:東京・白金台のプラネタリウムBAR
◎時間:午後2時から5時まで
◎料金:4000円(フリードリンク)
*売り上げは全額、義援金及び救援物資の費用に充てられます
(アコースティックライブと、プラネタリウムショーが行なわれます)
5月16日(月)
◎会場:BAR AMRTA(東京・西麻布)
(30分程度のライブを行ないます)
ユウサミイさんのブログ『ユウサミイ』は、ライブの模様やユウサミイさんの日常などを書いていらっしゃいます。ライブ情報も掲載しているので、気になる方は是非ご覧ください。
また、公式ホームページでは、話題の「FLY」のPVを見ることができるほか、5月10日まで、「FLY」を無料でダウンロード出来ます。