2011年9月3日
今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、マイケル・ガントンさんです。
今週のゲストは、9月1日に全国公開された話題の映画「ライフ~いのちをつなぐ物語~」の監督、マイケル・ガントンさんです。この映画はBBC(英国放送協会)制作のネイチャー・ドキュメンタリーで、制作日数3,000日、総制作費35億円という規模もさることながら、今まで見たこともないような“動物たちと同じ目線”の映像など、ビックリする映像の連続です。
そんな映画「ライフ」の監督のマイケル・ガントンさんが先日、来日した際にインタビューすることが出来ました。その模様をお届けします。
※映画「ライフ~いのちをつなぐ物語~」の監督ガントンさんに、今までのネイチャー・ドキュメンタリーとの違いについて話していただきました。
「本質的な部分が違うと思います。ネイチャー・ドキュメンタリー作品は、少し引いて、観察的な視点から捉えたものが多く、傍観しているような感じがします。しかし今回は、動物達の生活や多くのイメージをたくさん使用し、想像をかき立てて、見ている人が前のめりになるように作っています。また、今までより、動物達の生活や彼らの織りなすドラマを見て、人間の生活との繋がりを感じ、興味を惹くように心がけました。映画を見終わった観客が、少しでも動物達のチャレンジや経験をシェアし、彼らとのつながりを持ってほしいと思っています。
それから、撮影やアプリケーションの技術が、映画を制作する上で作用しているともいえます。例えば、私たちが動物を撮影する時は、遠くから撮影することよりも、なるべく動物達に近寄って、撮影するように心がけました。色々なタイプのカメラを使うことで、全ての動物の目線で撮影することができるんです。象やアリなど、どんなサイズの動物でもやり方は同じなんです。象の目線から見た世界が感じられる一方、とても小さなカメラを使えば、アリの目線で世界を見ることができます。まるで、アリになったような気分も味わえます。」
※こういったネイチャー映画を撮影する際、生き物の生態を知っていなければ、狙った映像は撮れないかと思いますが、生き物の生態を学んだのか、お聞きしました。
「色々な動物の特性をフィーチャーしたかったので、最初の1年は、とにかく調査をしました。本やインターネットで調べてもなかなか理解できませんでした。理解しているのは、その分野で働いている人達だけですよ。知られていなかったようなことや、普通ではあり得ないようなことを観察できる機会がありますからね。私たちは科学コミュニティなど、その分野で動物を観察されている方々をとても信頼しています。
また、カメラマン自身、撮影していないときでも、動物を観察していたので、撮影がより深くなったと思います。私もプロデューサーもディレクターも、みんなが最高のナチュラリストなので、動物の特有の行動や珍しい動きを理解することができるんです。脚本を書いて動物達に渡して、そのまま演技してくれたらいいんですが、そんなことはあり得ませんからね。」
※私たちは生き物に学ぶことがたくさんあると思いますが、ガントン監督はどう思っているのでしょうか?
「それはありますね。面白いことに、この映画を見た人たちがみんな『私たちの習慣や他人の扱い方を学んだよ』って言ってくれるんです。そして『この惑星を大切にしよう』ということもね。この映画の一番のメッセージは、ハートに響くようなメッセージは入れなかったんですが、“私たち人間はこの惑星の中に生きる一つの種族である”というメッセージを込めました。
この惑星にどれだけの種がいるのかなんてわかりません。きっと3,000万種くらいはいるでしょう。すべての種がこの惑星をシェアし、同じようなチャレンジをしながら、同じ経験をシェアしているんです。そして私たちが繋がることができたら、シェアしているもの同士として、この惑星を育み、お互いを尊重するようになると思っています。」
※最後にガントン監督に、この映画でどんなことを一番伝えたいのか、話していただきました。
「たくさんありますが、まずは、動物もそれぞれ違うということ。どの動物も私たち人間と同じようにそれぞれ個性があり、多くのチャレンジをし、それぞれが選択をしているんです。どの選択にも重要な意味があります。なので、自然界に対して、少しだけ違った見方をしてもらいたいですね。どの動物も教科書に書いてあるような生き物ではないのです。どの動物たちにも多くの違いがあるので、そこにとても惹きつけられますし、よりドラマティックで、見ていて楽しくなると思います。
そして、彼らを観察すること。彼らの生活を見ることで、より深く考えてもらえたらと思います。私は彼らと同じ挑戦をしてきたので、動物達に何が起こっているのか理解できます。動物たちと繋がることができれば、人々はより自然を取り込みたいと思うでしょうし、自然がより愛おしくなると思います。多くの人々が都会に暮らすようになり、自然との関わりを失っていると思うのです。自然界で起きている事を知らずにいることは、本当に恥ずかしいことだと思います。なぜなら、私は自然界とのつながりを持つことは、すべての人々にとって大切なことだと思っているからです。」
ガントン監督がおっしゃっていた「人間は地球という惑星を、他の生き物とシェアしている。」という言葉が印象的でした。地球上には、私たちと同じように、一生懸命生きている仲間がたくさんいるという事を、決して忘れてはいけないですよね。この映画は、特に動物達と同じ目線での映像を見る事が出来るので、その事を改めて感じさせてくれると思います。
ちなみに、私が一番驚いた映像はハキリアリの"巣"です。ハキリアリは巣の中であるものを育てているんですが…。とにかくビックリするので、ぜひ劇場で確認して下さい!
現在TOHOシネマズ日劇ほか、全国でロードショー公開中のネイチャー・ドキュメンタリー「ライフ~いのちをつなぐ物語~」は、アフリカゾウやザトウクジラなどの大きな生き物から、カエルやアリなどの小さな生き物までの生態を生き物の目線映像で捉えたドキュメンタリー映画です。世界18カ国24カ所で撮った映像の中には、初めて撮影された奇跡の映像が多く含まれています。
◎詳しい情報:「ライフ~いのちをつなぐ物語~」の公式サイト