2012年5月26日
今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、土肥ポン太さんです。
“野菜王子”として人気急上昇中のお笑い芸人・土肥ポン太さんは、野菜の知識が大変豊富で、野菜をこよなく愛している方なんです。今回はそんな土肥さんをお迎えして、野菜ネタ満載でお送りします。
●今回のゲストは、“野菜芸人”の土肥ポン太さんです。よろしくお願いいたします。
「よろしくお願いします!」
●土肥さんは“野菜芸人”ということですが、これはキャッチフレーズなんですか?
「僕は関西で活動しているんですけど、向こうで“野菜といえば土肥ポン太”というぐらいになって、そこから“野菜芸人”と呼ばれるようになりましたね。」
●芸人さんでありながら、普段は野菜の紹介をしているということですか?
「そうですね。ただ単に野菜好きだけというわけではなくて、青果店も経営しています。なので、“野菜芸人”の他に、王子ブームがあったときに“野菜王子”と呼ばれたりもしますね。そのときは、ようモテましたよ(笑)」
●“野菜王子”ですか!(笑) 今でも見た目は王子様のように輝いてますよ!
「よう言いますわ(笑)」
●(笑)。一つ気になったことがあるんですが、ポン太さんは青果店も経営されているということですが、お店を営業されているということですか?
「そうですね。有名な芸人さんでは、たむらけんじさんは焼肉屋を経営してますやんか。そういう感じで、僕は青果店を経営してるんです。」
●ポン太さんは、野菜の知識を、どこで勉強したんですか?
「僕は元々、青果店でアルバイトをしてたんですよ。買い物にくる関西のおばちゃんたちって『きゅうりって、どうやって磨くの?』とか、『どの茄子がええの?』とか、色々聞いてくるんですよ。でも、始めたころは野菜のことを全く知らなかったんで『ちょっと分からへん』って答えたら『なんや!? あんたモグリか!? そんなんでようバイトやってんな!』って、キツく攻めてくるんですよ。それがストレスになってきて、野菜の本をたくさん買って、調べたり、市場のベテランさんに聞いたりして、勉強していきました。」
●そこからはおばちゃんたちから攻められることがなくなったんですか?
「そりゃ、愛されるようになりましたよ(笑)。その青果店のマスコットボーイでしたよ(笑)」
●(笑)。ポン太さんは、元から野菜が好きだったんですか?
「全然ですね。実は、一つも食べなかったんですよ。肉っ子でしたよ(笑)。僕、今41歳なんですけど、30歳ぐらいまで食べられなかったですね。ただ、青果店でバイトしているうちに『兄ぃちゃん、この前の豆、柔らかかったわー』とか、『この前の野菜、甘かったわー』とか言うてくるんですよ。そう言われても『豆が柔らかいって、どういうことやねん? 野菜が甘いって、どういうことやねん?』って思うんですよ。」
●お肉しか食べてこなかったから、感覚が分からなかったんですね。
「イメージが沸かないんですよ。そこで、野菜を家に持ち帰って食べてみたら、うまかったんですよ。それに、旬のものを食べていると体にもいいし、旬のもの独特の柔らかさと甘みがあるということを、そのとき初めて気づいたんですよ。」
●やっぱ、旬の時期に食べると全然違いますか?
「全然違いますね。そういうことを、おばちゃんたちに教えられましたね。みんな“野菜の素晴らしさ”に気づいていないんですよ!」
●その“野菜の素晴らしさ”って、どんなところですか?
「みんな、野菜って一年中あると思っているじゃないですか。人がハウス栽培で作って、人のために作っていると思っているじゃないですか。でも、野菜も僕たち人間に“歩み寄ってきてくれている”んですよ。」
●“人間に歩み寄る”ですか。
「例えば、四季によっても食べる野菜があるんですよ。まずは、これからは夏になっていきますけど、夏の野菜の特徴って分かります?」
●夏野菜だと、トマトとかあるじゃないですか。それらって、体を冷やしてくれる気がするんですよね。
「そうなんです! なので、水分の多い野菜が多いんですよ。夏野菜って、トマト・きゅうり・茄子・ピーマンなどがありますけど、木にぶら下がっていて、水分が多いので体を冷ます効力があるんですよね。なので、『暑いな』と思ったときにそれらを食べるといいんですよね。
秋になってくると、キャベツや白菜、栗といった、巻くような野菜が多いんですよ。冬は栄養価の高い葉物が出てきます。動物はそれで栄養を取って、冬眠に入るんですよね。そして、春になっていくわけですが、春の野菜はどういった特徴がありますか?」
●春の野菜って、たけのことかアスパラ、ウドとかありますよね。“味が苦い”ですか?
「そうなんです! 何で苦いかというと、冬眠した体を覚ますためなんですよ。タンパク質も多いですし、地面から生えてくるものが多いじゃないですか。それが特徴なんですよ。なので、野菜が人間に歩み寄ってくれてるのが分かりませんか?」
●確かにそうですね! 今、目からウロコが落ちてますよ!
「だから、そういうことを踏まえて食べていってもらいたいですね。」
※野菜の食べ方についてアドバイスしていただきました。
「関西で、若い人に対して、旬の野菜を使った料理を作るっていう番組のコーナーをやっているんですよ。そのコーナーでやっていると、よく『子供が野菜を食べないから、食べられるようにしてほしい』っていう問い合わせがあるんですよね。子供って、野菜の見た目でダメっていう子が多いんですよ。ピーマンだと、『ピーマンだ』っていうイメージと、臭みでダメだったりするんですよね。でも、ピーマンって、切り方によって、臭いが変わるんですよ。」
●どういう風に切ればいいんですか?
「チンジャオロースーのように縦切りにすると、輪切りよりも成分が拡散されないんですよ。なので、縦切りにすると、子供が『いつものピーマンの臭いがしない』ってなるんですよね。」
●ピーマンを繊維に沿って切ればいいんですか?
「ピーマンの場合はそうですね。僕は、旬のものなら、何でも素焼きにして食べるのが一番好きなんですよ。」
●焼くだけっていうことですか?
「焼くだけですね。また、変わった食べ方だと、ジューサーで細かくして、スポンジケーキの中に入れたりするんですけど、それだと、子供が食べられても、野菜が泣いてる気がするんですよ。」
●確かにそうですよね。
「僕、杯みたいな、すごく大きい椎茸を焼いて、塩とレモンで味付けをしたものをツマミに酒を飲むのが好きなんですよ。でも、子供たちって、食べられないじゃないですか。だから、椎茸を細かく切って、ハンバーグの中に入れたりするんですけど、野菜が泣いてる気がするんですよね。」
●ということは、野菜をそのままの形で食べた方が一番おいしいんですね?
「それが一番おいしいですね。」
●皮や種って、捨ててることが多いじゃないですか。それらを食べることができるものだったり、「実は、この部分がおいしい」っていうところってありますか?
「ええ質問してくれましたね(笑)。実は僕、皮マンなんですよ(笑)。果物でも野菜でも、何でも皮ごと食べるんですよ。何でも、皮と身の間に栄養があるので、大根おろしにしても、皮をむかないでやったら、栄養もあるし、見た目では絶対に分からないんですよ。なので、家族で鍋をやるときとかに大根おろしを作るときは、皮ごとやってください。あと、カレーを作るときも、僕はニンジンの皮はむかないですね。」
●皮をむかない場合、野菜の洗い方って今までと違ってきたりするんですか?
「よう洗った方がいいですね。あと、野菜を洗う用のタワシとか使った方がいいですね。」
●やっぱり、皮ごと食べると、体にもよさそうですね
「絶対にいいですね。それに、ジャガイモも、トロトロに溶けたものが好きっていう人は別ですけど、皮をむかないようにすれば、煮崩れしないんですよ。」
●種はどうしたらいいんですか?
「僕は、種を庭に置いてるプランターの中に入れるんですよ。」
●育てちゃうんですね!?
「育たないですけどね(笑)」
●(笑)。
「関西あるあるなんですけど、青ねぎを買ってきて、下に付いてる根っこの部分を庭などに入れておいたら、生えてくるんですよ。なので、“関西のおばちゃんたちはネギ買わない”と言われてるんですよ。でも、あれはちょっと違うんですよ。本当のネギって、あそこからさらに育てて、“ねぎぼうず”っていう、上の方がイガイガみたいな感じになっているものまで育てて、それが種となって、それを植えたら本当のネギが出てくるんですよ。だから、関西のおばちゃんたちがやってるのは“ネギもどき”なんですよ。」
●実は私、ネギじゃないんですけど、とうみょうをスポンジと一緒に買ってきて、上を切った状態で水を与えたら、出てくるじゃないですか。あれを食べてるんですけど、それももどきなんですか?
「それは関西のおばちゃん並ですね(笑)」
●(笑)。ちなみに、ポン太さんは畑とか持っていないんですか?
「ないんですよ。僕はベランダでの家庭菜園だけですね。でも、僕はよく『トマトとかが食べられない子供がおったら、ベランダ菜園をしたら、絶対に食べられるようになる』って言ってるんですよ。僕も実際に育ててみて、食べたくなったんで、子供もそう思うはずなんですよ。野菜の成長の過程を見ることができますし、『プロの農家の方ってすごいんやな』って、改めて思うわけですよ。」
●そういうことも感じられるんですね。
「感じますね。自分で野菜を育てると、『おいしい野菜をありがとう』っていう感謝の気持ちが芽生えてくるんですよね。」
※私たちが気になる、野菜の買い方について聞いてみました。
「野菜ごとに色々と違ってくるんですよね。例えば、何がありますか?(笑)」
●(笑)。じゃあ、例えば、大根はどうですか?
「大根は、髭みたいなものが生えているのって分かります? それが少ない方がいいですね。髭ボーボーで、おっさんの足みたいなものはダメですよ。それに、水気がいっぱいある方がおいしいので、持ってみて重たいやつがいいんですよ。そして、春先には、大根も子孫を残そうとするので、大根の葉の部分から花を咲かせようと、太い芯ができてくるんですよ。そういうものは、冬の大根の残りみたいなものなので、絶対に買わないでほしいです。春は、また別の大根があるので、上から見て、芯がないものを買っていただきたいですね。あと、補足ですけど、大根は葉の方に栄養があるんで、捨てないで、ゴマ油でジャコと一緒に炒めてください。」
●じゃあ、大根は全部食べられるんですね。
「捨てるところがない野菜なので、全部食べられます。あと、じゃがいもだと、緑色のものがあるんですけど、それは買わないでください。もちろん、芽が出てるのはダメですし、丸みを帯びた、ボコボコしていないものがいいですね。」
●青果店やスーパーに行って、野菜を手に持って、確認して買っていいんでしょうか?
「いいと思いますよ。スーパーに置いてある野菜って、大抵、袋に入ってるじゃないですか。でも、しめじやエノキって、実はまだ生きてるんですよ。もし、僕らがビニールを被ったら、息をする度に湿気が出てきて、水気が出てくるじゃないですか。ああいった感じで、水分が出てくるんですよ。なので、しめじやエノキのように、トレイに入った袋に梱包されている野菜は、下を見てほしいんですよ。水が溜まっているようなものは古いので、注意してください。」
●では、お店の人の目は気にせずに、確認しちゃっていいんですね。
「でも、たまに、イチゴが入った袋を鷲掴みにして、見ようとするおばちゃんとかいますけど、ああいうのは止めていただきたいですね(笑)。見るときは、袋の端を持って、自分の頭を下げて、底の部分を見てほしいですね。」
●今回、野菜の素晴らしさをいくつか紹介していただきましたが、まだ伝えていない野菜の素晴らしさがあれば、是非教えてください。
「実は野菜って、非常に合理的に生きているんですよ。例えば、オクラって僕らは赤ちゃんを食べているんですよ。大人の姿って、どんなのか分かります?」
●分からないですね。
「大きさは、最大で30センチぐらいあって、それは食べられないんですけど、成長しきったら、子孫を残すために、バカっと体を開いて、中にある小さい種を鳥に運んでもらうんですね。」
●運んでもらうまで、開けて待っているんですね。
「きゅうりも同じで、僕らが食べているのは赤ちゃんで、中に白い点があると思うんですが、あれが種なんですね。あれが成長したら大きくなって、体がバカっと開いて、鳥に運んでもらうんですよ。これも、“もっと色々な人に食べてもらいたい”ということで、野菜が人間に歩みよってきているのが分かりませんか?」
●ありがたいですね! 本当に感謝だなと思いますね。
「ですよね。農家さんも、僕らが食べやすいように、工夫してくれているんですよ。本当なら、臭いがキツかったり、苦味が強かったりするんですけど、農家さんがもっと食べやすいようにしてくれて、僕らがおいしく食べられているんですよ。なので、農家さんにも感謝ですよね。だから、もっと野菜の素晴らしさを、みんなに分かってもらいたいんですよ! 僕は全国の野菜を見てきたんで、どんどんオススメしていきたいなと思っています。」
●今回、お話をうかがっただけでも、旬のものを食べた方がいいということも分かりました。
「逆に、旬じゃないもので、体によくないものもあるんですよ。灰汁が出る野菜って、毒素が入っているんですよね。あれは、ちゃんと灰汁を落としてから食べた方がいいんですよ。だから、レンジでチンするのは、灰汁を閉じ込めてしまう場合があるんで、気をつけてください。」
●簡単なんで、チンしちゃうんですよね。
「だから、旬のものを分かってないと、えらい目にあうよという、ポン太からの警告でした。」
●野菜って、すごく身近ですけど、知らないことがまだまだたくさんあるんだなと感じました。
「だから、さっき言ったように、立って出てくる野菜は春、ぶら下がっているのは夏、巻いてるのは秋、緑の葉物は冬。これは定番なんで、押さえといてください。」
●今回、リスナーのみなさんには、ポン太からのお知らせとして、それを覚えておいていただけたらと思います。今回のゲストは、“野菜芸人”の土肥ポン太さんでした。
最近では、スーパーマーケットに行くと季節を問わず色々なお野菜が並んでいますよね。でも、ポン太さん曰く、季節の変化に合わせて、私たちが美味しくいただけるように「野菜が私たちに歩みよってくれている」ということなので、これからは、ぜひ意識的にぞれぞれの時期に旬のモノを、感謝の気持ちを忘れずに、味わっていきたいと思います。
土肥さんの近況などは「野菜王子・土肥ポン太のデジブログ」をチェックしてください。芸人としてのお仕事のお話から日常のことなど、土肥さんの素顔が垣間見ることができます。
土肥さんは大阪市生野区で青果店『ポン太青果2』を営んでいます。野菜にこだわっている土肥さんの青果店に、一度足を運んでみてください。