2012年7月28日
今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、森沢明夫さんです。
作家の森沢明夫さんは、日本の渚を一本の線でつなぐ旅を雑誌に連載されているときに、“渚の旅人”としてこの番組にご出演いただきました。森沢さんはアウトドア派で、日本全国の川で遊んだ経験も豊富。さらに、千葉県内の自然スポットにも精通されています。ちなみに、森沢さんの最新刊が加筆修正して出された「あおぞらビール」の文庫本。青春時代の貧乏旅で起こった珍事件が満載です。今回はそんな森沢さんに、若い頃の旅の面白エピソードや千葉県内のお勧めスポットのお話などうかがいます。
※まずは、日本全国の川を巡ったときのお話をうかがいました。
「かなりの数の川を見たと思いますね。中でも、飛び込んで泳げるような川は片っ端から入りましたね。」
●川の遊び方って、飛び込んで泳いだり、太陽の日差しを浴びたりするんですか?
「そうですね。あとは魚を捕まえたり、そこにいる地元の子供たちと遊んだりしてますね。」
●地元の子供たちとですか?
「すごくいい川があると、たまにその川で遊んでる子供たちがいるんですよね。そういう子たちを見ると嬉しくなって、魚の捕り方を教えたりして、一緒になって遊んでますね。すると、川沿いに僕がテントを張っていると、子供たちが毎日遊びにきますし、そこから徐々に子供たちの親とも仲良くなっていったりしましたね。」
●川が繋いだ縁ですね! 森沢さんは日本全国の川に行ったそうですが、印象に残った川ってありますか?
「川は西日本の方が面白いですね。西日本の川は水温が高いので、川の中にどっぷりと入ることができるんですよね。逆に、北は寒いんですよね。」
●それは季節に関係なくですか?
「そうですね。夏でもウェットスーツを着ないと寒いですね。なので、ビールを飲みながら、川原でダラダラしたり、川で泳いで遊んだりするとなると、西日本の川がいいですね。特に、四国や和歌山には、まだすごくいい川が残ってますね。」
●どんな川なんですか?
「和歌山だったら、日置川や古座川といった川がいいですね。なぜなら、透明度が高くて、水温も高くて、魚もいっぱいいますし、川原や風景がキレイなんですよ。」
●風景がキレイということは、森が近くにあったりするんですか?
「そうですね。いい山じゃないと、川の水が濁ってしまうんですよね。逆を言えば、川がキレイということは、いい山があるということなんですよね。」
●番組でも“森と川と海は繋がっている”ということをお聞きしますが、森沢さんも、川での遊びを通じて、そういうことを感じてきたんですか?
「ものすごく感じますね。川遊びをするための川を探しているときには、山を見るんですよ。実は、広葉樹が多い山から流れる川って、魚がいっぱいいますし、水もキレイだったりするんですよね。」
●それは広葉樹の森の栄養が川に流れているから、魚がいっぱいいるんですか?
「それももちろんありますし、針葉樹って虫がいないんですよ。虫がいないと、魚のエサがないんですよね。それと、針葉樹だと落ち葉が堆積しないので、腐葉土がないんですね。なので、地面を擦って雨水が流れこんでしまうので、すぐ濁ってしまうんですよ。でも、広葉樹の山から流れてくる川は、地面が一度染み込んでから湧き出すんですよね。」
●勉強になりますね!
「僕も、勉強して知ってたぐらいのものだったんですが、実際に川で遊んでみると、すごくよく分かりますね。」
●そんなに違うんですか?
「全然違いますね。」
●ということは、針葉樹だけだったり、森があまり豊かでない川は、あまりよくない川なんですか?
「そうですね。100パーセント間違いないと思います。」
●川を見るときには、森をまず見る必要があるんですね。そういう色々な要素が合わさって、結果として出ているのが、川ということなんですね。
※森沢さんの新刊となる文庫本「あおぞらビール」に書いてある青春時代の旅のお話をうかがいました。
「この話は、一人で野宿旅をしていたときの話が多いんですが、貧乏旅だったので、自然と変な旅になっていくんですね。貧乏旅なんで、キレイなホテルには泊まれないので、とにかくお金を使わずに、気持ちよく楽しくして、なおかつ一人での寂しさを紛らわすためには、地元の人たちと交流を持つんですよね。そうなってくると、どんどん面白い旅になっていくんですよね。例えば、“たぬきの腹鼓を聞いたことがある”というおばちゃんの話を聞いたり、千葉県を旅しているときにUFOを見たことがあるんですよ。」
●UFOですか!? どこで見たんですか?
「館山で見ましたね。夜、大学時代の友達と酒を飲んで、海岸沿いの堤防に仰向けになって寝てたんですよ。すると、友達が『何あれ!?』って空を指差したんで、見てみると、変な動きをする光の物体がいたんですよ。」
●本当ですか!?
「本当なんですよ! その物体は朝まで見えていたんですが、一等星よりも少し大きいぐらいの光で、ずっと見ていたら二つに分裂して、追いかけっこを始めたりしたんですよ。お互いに『すごいものを見てるね』って話してたんですよね。これ、本当の話なんですよ!」
●その真意は定かではないですが(笑)、もしかしたら、楽しい旅をしている森沢さんに神様が用意してくれたご褒美だったかもしれないですね。地元の人との交流があったということですが、どんあ出会いがあったんですか?
「例えば、和歌山のキレイな川の川原で野宿をしていたら、鮎を捕る漁師さんに気に入られて、仲良くなったら、毎朝晩、僕のテントの前に捕りたての鮎を二十匹ぐらい置いていってくれるんですよ。すごく嬉しかったんですが、なかなか食べきれないんですよね。捕れたての鮎ってものすごく美味しいんで、焼いて食べてるんですけど、朝と晩それぞれで二十匹なので、一日四十匹になるんですよね(笑)」
●それは贅沢ですけど、ちょっと多いかもしれないですね(笑)。
「なので、三日目ぐらいに『もういいです!』って言っても置いていってくれるんですよ。ある朝、鮎を置いていってくれるおじいさんに『もう食べきれないんで、本当にいいです!』って言ったら、『そうか。じゃあ、うちに来てコーヒーでも飲んでけ』って言われたんで、『コーヒーはありがたいな』と思って、行ったんですよ。すると、奥さんが『ご飯ができとるでー!』って言ってくれたんで、ご馳走になろうと思ったら、鮎を焼いてたんですよね(笑)。そのときはもう、自分の体臭まで鮎の臭いになりましたね(笑)」
●(笑)。でも、贅沢といえば贅沢ですよね。
「最初の二日目ぐらいまでは贅沢だと思ったんですが、二日目の夜ぐらいから『もう何十匹食べたんだろう? 鮎しか食べてないな』って思いましたね。」
●それも旅ならではのエピソードですよね。
「そうですね。そのおじいさんとは今でも付き合いがあって、そこの川に遊びにいくと、うなぎ漁に連れていってくれたりしてくれます。」
●旅を終わってからも、旅の最中に出会った人と繋がりがあるというのは、すごく素敵ですね! そういうのが旅の醍醐味だったりするんですか?
「だと思いますね。」
●他に、森沢さんが思う、旅の醍醐味ってどういったところですか?
「美味しい食べ物を食べたり、自然が美しい風景を目に焼き付けたりするのもありますし、僕は温泉が好きなんで、温泉に入ったりするのもいいですよね。」
●今までに目に焼き付けた美しい自然の風景って、どういったものがありますか?
「すごくいっぱいあるんですけど、例えば“ここは日本なのか?”って思ったのは、青森県の下北半島にある“仏ヶ浦”というところですね。そこは、海から巨大な岩がいくつも突き出しているところなんですが、その大きさが日本離れしている気がしましたね。」
●どのぐらいの大きさだったんですか?
「僕のイメージではガンダムどころじゃないですね。」
●ということは、何十メートルもあるんですね。
「巨大なビルがいくつもあるイメージで、岩が並んでいるんですよね。」
●どうしてそれができたんですか?
「多分あれは、雨や風で侵食されたんだと思いますが、それにしても規模が大きすぎるんですよね。それと、海がものすごくキレイなんですよね。なのに、人がほとんどいないんですよ。景勝地なんですが、すごく変わったところにあるので、『人が全然いないのに、こんなにもキレイなところがあるんだ』って驚きましたね。」
●それは一度見てみないといけないですね。
「是非見てほしいですね。」
※森沢さんに、千葉県のオススメスポットを教えていただきました。
「海だったら、勝浦以南がよく遊ぶところですね。僕は“虹の岬の喫茶店”という小説を書いたんですが、その小説のモデルになった喫茶店がそこにあるんですよ。その喫茶店の周辺の海でも遊びますね。ただ、川の場合は、詳しい場所を言ってしまうと、あっという間に人がたくさん来て、自然環境が壊されてしまうので言えないんですが、千葉県の標高が高い地域の沢には遊べるところがたくさんありますね。」
●そういったところを見つけるための道具やコツってありますか?
「例えば、五万分の一の地図を買って、上流に民家とダムがない沢を探して、林道を行くんですよ。そうすると、意外といい川が見つかりますね。泳いで遊べるぐらいキレイです。」
●ちょっとあつかましいお願いなんですけど、私も川遊びをしてみたいので、教えてもらえないですか?
「どういった遊びをしたいですか?」
●まずは泳ぎたいですね。私はダイビングを趣味でやるので、海のお魚はよく見るんですけど、川のお魚を見る機会があまりなかったので、泳ぎながら、川のお魚を見てみたいなと思っているんですよね。それってできますか?
「できますよ。千葉県の川にも沢ガニやスジエビといった、色々な種類の魚がいるんですよ。特にスジエビは子供でも捕れますし美味しいので、たくさん捕って、さっと油で炒めてから塩をふって、それを食べながらビールを飲むと最高ですね。」
●それは最高ですね!
「しかも、千葉県の標高が高いところの川辺って、日陰が多いので涼しくて気持ちいいんですよね。」
●それは千葉のどの辺りですか?
「とにかく標高が高いところです(笑)。標高が低いと川があまりキレイじゃないので、標高が高いところがいいですね。例えば、鹿野山の周辺や養老渓谷、小櫃川の上流などを探してみるといいかもしれないですね。」
●千葉県の海沿いでオススメのスポットってありますか?
「僕は透明度が高くて魚がいっぱいいる海が好きなので、最南端の野島崎灯台というところがあるんですけど、その周りの磯が結構キレイなので、いいと思いますね。」
●そこに潜ると、魚がたくさんいるんですね。
「結構いますね。釣りのときに使う“こませ”ってありますよね? こませを水の中で少し出してあげると、魚がいっぱい寄ってきて楽しいですよ。」
●どんな魚がいるんですか?
「夏だと“死滅回遊魚”といわれる熱帯魚がいたりするんですよね。それが今の時期見られるので、行ってみるといいと思います。」
●千葉で熱帯魚が見られるのっていいですね!
「あと、大きな黒鯛や石鯛、大きいウツボもいますし、たまにイルカがいたりするんですよね。なので、運がよければ、イルカと一緒に泳いだりすることができるんですよね。」
●それは是非とも行ってみたいスポットですね! 今後はどういった旅をしてみたいですか?
「昔、旅をして“ものすごくキレイだ”と思った川を、日本の端から端までもう一度行って、遊びたいですね。ただ、何年か間を空けてから行くと、そのポイントがコンクリートで埋められてたりするんですよね。全てそうならないうちに、もう一度一通り行って遊びたいなと思いますね。
仕事では、旅を結構しているんですが、仕事以外ではほとんどしていないので、仕事とは関係なく、遊びで行きたいですね(笑)。仕事となると、写真を撮っておかないといけなかったり、メモを取らないといけなかったりと、色々と頭が働いてしまうので、学生のときを思い出して、久々に遊びたいなと思いますね。」
(この他の森沢明夫さんのインタビューもご覧下さい)
森沢さんは自然と遊ぶのが本当に上手な方なんだと、お話をうかがっていて感じました。私も今度川に遊びに行く時は、定番のBBQやキャンプ以外に、もっと川と戯れて、子供のように無邪気な心で遊びたいです。そうすれば、森沢さんのように自然遊びが上手に、そして面白くなるのではないでしょうか。
双葉文庫 / 定価680円
作家の森沢明夫さんの新刊となるこの本は、以前出された単行本をもとに加筆修正し、再構成して出された文庫本です。青春時代の貧乏旅で起こった抱腹絶倒の珍事件が満載!読んでいて、笑わずにはいられない一冊です!
森沢さんが書き下ろした小説『あなたへ』が映画化されます! 主演は高倉健さん。8月25日から東宝系映画館で全国公開されます。
森沢さんの近況は、オフィシャル・ブログ「あおぞら落書帳」をご覧ください。こまめに更新されていますので、森沢さんの活動がよく分かりますよ。