今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、風間深志さんです。
今週の放送で21年目に突入したNEC presents THE FLINTSTONE。毎年4月第1週目のゲストは、1987年に史上初めてバイクによる北極点到達に成功した冒険家、そしてNPO法人「地球元気村」の大村長・風間深志さんをお迎えしています。風間さんは、2004年に出場したパリダカールラリーで事故に合い、左足に傷害が残ってしまったんですが、そんなことを微塵も感じさせず、益々、元気に精力的に活動されています。そんな風間さん、今年2月にアフリカの最高峰に障害者の方と一緒にチャレンジする「障害者キリマンジャロ登山」を行ない、見事、登頂に成功されました。今週はそんな風間さんにキリマンジャロ登山のお話などうかがいます。
●今回のゲストは、冒険家、そして地球元気村の大村長、風間深志さんです。お久しぶりです!
「やっほー!」
●やっほー!
「多分、これ毎年言ってると思うよ(笑)」
●すみません、後でしっかり確認しておきます(笑)。それにしても、毎年4月の第1週目にゲストに来ていただいて、ありがとうございます!
「そういう巡りあわせなのか、意図的なのか分からないけど、こちらこそありがとうございます。」
●今回で、21回目なんですよ。風間さんは年々パワーアップしていますよね! 私の印象では、最初にお会いしたときよりもパワーアップしている気がします。
「本当!? 年ごとにパワーアップするのって、みなさんに希望を与えるから、いいことだよね!」
●そうですね! 風間さんはおいくつになったんですか?
「え? いくつ? 何いってるんだよ?(笑) 歳なんて聞くもんじゃないよ、ガハハハ(笑)」
●ダメでしたか(笑)。すみません(笑)。
「もう62歳ですよ。自分でもビックリだよ。10代からバイクに乗ってるんだけど、気持ちはまだ若いままですよ! これまでずっと遊んできたんだから、いつの間にか60歳を超えててビックリですよ。」
●それだけの長い期間、冒険に駆り立てるものって、何ですか?
「そりゃもう、遊んでるんだから、時間を忘れちゃうよね。次々に新しい夢や目標が出てくると、それをこなしてると、いつの間にか一年が終わってたっていう感じなんだよね。遊んで歳を取るってのはいいものだよね!」
●そんな風間さんなんですが、今年の2月にアフリカの最高峰・キリマンジャロに、障害者の方と一緒に登頂を目指す“障害者キリマンジャロ登山”に挑戦されたんですよね。
「行ってきましたよ!」
●私も、2月6日に開催された壮行会に参加させていただきました。
「そういえば来てくれたんだよね! ありがとうー。おみやげも渡さないでごめんねー!」
●とんでもないです! そのときからずっと応援させていただいていたんですけど、見事、現地時間の2月12日、登頂に成功されたんですよね。
「壮行会の翌日に、ドバイ経由でタンザニアに入って、空港から30時間ぐらいかけてキリマンジャロまで行って、着いてその日は寝たんだけど、次の日の朝にはすぐ出発しましたね。日本人が組むスケジュールはタイトすぎるね(笑)」
●ちょっとハードすぎましたか?(笑)
「そうだね。スタート地点は1,700メートルのところにあるゲートなんだけど、普通なら、そこに行ったら、2、3日滞在して、アフリカの空気に触れながら、スワヒリ語に慣れてから行くんだけど、日本人がスケジュールを組むと、次の日には出発するんだからね(笑)」
●そういったところで国民性が出てるんでしょうね(笑)
「そういう中で、高所順化しながら行ってきました。ただ、我々は障害者と一緒に行くので、普通よりも時間がかかるんだよ。車椅子だって、岩があったり、段差があったりして、なかなか前に進めないんだよね。それでも“1センチでも自分の力で行きたい”という気持ちがあるから、頑張るんだけど、それだと、どのぐらいの時間がかかるか分からないから、そういった人に対して気を使いながら、ある程度のサポートをしました。なので、かなり手ごたえのあったキリマンジャロ登山だったね。頂上に登ったら、全員泣いたんだよ!
俺たち日本人が泣くのはなんとなく分かると思うんだけど、サポートしてくれたガイドの方たちも泣いたんだよ。『なんでかな?』って思ったんだけど、やっぱり、“障害者”っていうテーマを、国境や人種を越えたところで共有していて、健常者と共に登山を成し遂げたことに対して感動してくれたんだと思うんだよね。もちろん、頑張ったことに対する気持ちや特別な苦労があったりしたんだけど、そんな中で頂上に行ったときは、すごく感動したね。いい登山だったよ!」
※日本の山でトレーニングを積んで臨んだ、風間さんとメンバーの皆さん。それでも、今回のキリマンジャロ登山は、かなりハードだったようです。
「やっぱり、6,000メートル級の山なんだよね。4,000メートルを越えると、高度順化も大変だし、高山病にもなっちゃうんだよ。それで達成率が低いんだよね。挑戦した方の半分以上は途中で諦めちゃうんだよね。下山しないと、頭は痛いし吐き気もするし、ダルすぎて、何をするにもやる気がしないんだよ。靴紐が解けても結ぶ気がしないんだから。」
●それだけ無気力になるんですね。
「そうなんだよ。それが高山病の特徴だね。これって、風邪よりも厄介なんだよね。」
●壮行会のときに「障害があると、血流が悪くなるから、高山病とかが心配だ」っておっしゃっていましたが、今回は大丈夫だったんですか?
「俺もそうだけど、脊髄損傷の方が車椅子に乗っている場合とかって、寒くなっていても、それが分からないでいたりするので、凍傷にかかったりするんだよね。だから、恐いものがいっぱいあるから、神経も相当使わないといけなかったりしたんだけど、頑張りました!」
●乗り越えたコツや秘訣ってありますか?
「まずは、“ある程度のことはそれぞれ自分でやる”っていうことと、“お互い助け合う”っていうことかな。それがうまくいったね。そうすると、他人が頑張ったことも喜べるから、いい感じで頂上まで行けましたよ! だから、下山してきたときのビールが美味しかったよ! ガハハハ(笑)」
●(笑)。最高でしたか?
「美味かったし、あとキリマンジャロコーヒーは最高だったね! あれ、すごく美味しいんだよね!」
●一度、本場のキリマンジャロコーヒー飲んでみたいと思っていたんですよ!
「あれって国営だから、辺り一面、キリマンジャロコーヒーの畑なんだよね。俺にとっては4年目のキリマンジャロで、登ったのは33年ぶりだったんだよ。33年前と今を比較すると、山頂の雪がすごく少なくなっているんだよね。あと17年経つと、温暖化で雪や氷河が無くなるっていう説もあるんだよ。そうなると、あれだけ大きい大陸の中に唯一ある雪っていうステータスがなくなっちゃうじゃない。」
●それはちょっと寂しいですよね・・・。キリマンジャロの自然で印象的なことって他にもありますか?
「キリマンジャロの周辺って、周囲800キロにも渡る自然があるのよ。つまり、富士山よりも大きいんだよ。そこにはゾウやライオンといった野生動物がたくさんいるんだけど、その近くにはレンジャーを養成する学校もあるんだよ。日本にもそれに近い学校があって、そこは俺も関わっていたりするんだけど、キリマンジャロにあるその専門学校は世界一の学校で、世界中から人を集めているんだけど、なぜそこが世界一なのかというと、周りに野生動物がいるから、真剣さが違うね。
俺たちが野生動物や環境のことを話すと、知的なイメージがあるけど、向こうはそうじゃなくて、もっと切実な問題があるんだよ。“人間と野生動物が安全に接点を持つためにはどうするか”といった感じで、真剣さが違うなって思ったね。そういうところは、俺らも学ばないといけないところだね。我々は自然のことを言ったり、現状を伝えたりしても、ライフル一つあれば片付くと思っちゃうところがあるじゃない。そうじゃなくて、“野生動物はどうやって生きているのか”とか、“俺たちも使っている自然って、彼らにとって、かけがえのない住処なんだ”ということを、もうちょっと考えた方がいいんじゃないかと思ったね。」
※続いて、こんな話をうかがいました。
●風間さんのブログを読ませていただいて印象に残っているのが“夜の星空”なんですけど、あれはすごくキレイですよね!
「あれはすごいよ! いつもすごいなって思うんだけど、今回の星空ですごいなって思ったのは、満点の星空にプラスして、北の方角の地表にはガスが少し出てるんだけど、そこに北斗七星があったんだよ! しかも、星一つ一つが野球ボールぐらいあって、『これは絵か!? 嘘だろ!?』って思っちゃうぐらい、ぼやけて大きい ああいう北斗七星を見たのは初めてだったね。」
●それだけ近くで見ることができたんですね!
「アメリカの星空は一級品だね!」
●一緒に行かれた方は、その星空を見て、どうでしたか?
「みんな寒いのを忘れて、空をしばらく見上げてたね。すると、人工衛星は通るし、流れ星も来るし、地上には街の夜景が見えるんだよ。それを見ると『人の営みがあるなぁ』って思えるんだよ。そう思いながら空を見ると、『どこまでも続く大宇宙だな』って思うんだよ。だから、そこには、地上と宇宙の境界線があるんだよ。それがアフリカだよね! アフリカって、54もの国があって、ユーラシア大陸の次に大きい大陸だからね。アフリカの旅はすごくいいよー。今度行ってみてよ!
なんといっても、アフリカの人たちは“世界で一番明るい民族”なんだよ。みんないつも笑顔なんだよ。みんな音楽が好きだし、みんな陽気だね。あれがいいんだよね。これからの世界はアフリカだと思うね。アフリカの人たちの明るさは本当にすごいから、これからの世界を引っ張っていくね。それだけのエネルギーを感じるよ。だって、物がないとかそんなの関係ないんだもん。それ以前に、彼らは元から明るいんだよ。
彼らには生きるエネルギーがものすごくあるんだよ。俺らは何かがなくなったり不利益なことが起こると、すぐ元気がなくなっちゃうじゃない。これってどこかおかしくない? 家族がみんないて、家があって、ちゃんと生きてるんだよ。本当なら、それで十分だって思うじゃない。それがどこかおかしくなっちゃったんじゃないかなって思うね。」
●ちなみに、今回の旅には奥様も一緒に行ったんですよね?
「そうなんだよー。だから、今回はちょっと勝手が違った旅になったね。彼女は俺より強かったね。女性は強いんだよね。女性は世界中で台頭しつつあるから、これからの男性は女性の手のひらの上で生きていきますよ(笑)」
●これからの地球元気村も奥様が引っ張っていくんですかね?(笑)
「そうだね。卑弥呼の時代に戻るんじゃないですかね(笑)。でも、俺らは楽になっていいかもね。今だって、主夫になって、奥さんを見送る男性がいるじゃない。それに、“イクメン”っていって、子供を育てる男性もいるじゃないですか。俺も早くそうなりたいと思うけど、もうこの歳じゃあ、イクメンじゃなくて、“イクジイ”になっちゃうよね、ガハハハ(笑)」
●(笑)。そんな奥様のたくましさも感じたんですね。
「そうだね。女性の方が、自然に対する理解度が深いし、ソトライクゾーンが広いじゃない。これからは、女性の方が強いよね。表面的な力は男性の方があるかもしれないけど、本当の力は女性の方が持ってるね。」
※最後に、この2月に障害者と健常者、合わせて15人のチームで挑んだキリマンジャロ登山で、風間さんは何を伝えたかったのか、お聞きしました。
「障害者と健常者が一つになって社会を形成するという点では、日本はまだ遅れていると思うね。やっぱり、障害者に対する偏見やコミュニケーション不足とかがまだあるからね。今回のことを例に挙げると、Aさんは『自分の力で登りたいんだ!』って言っていて、Bさんは『何もしたくないから、連れていって』って言ってるんだ。これは両極端だよね? でも、押す力がないと登れないところって必ずあるんだよ。
だから、力を貸さないといけないところには手を出すけれど、あまり手を出しすぎてもいけないんだよね。そして手を出してもらう方も、『やってもらうからには、自分も精一杯頑張らないといけない』っていう気持ちもないといけないと思うのね。それを理解しあうためにも、言葉のキャッチボールが必要だと思うんだ。今回は、それを山というステージでそれを感じることができたね。これは、社会の一つの縮図だなって思ったね。このことをもっとたくさんの人たちに伝えていかないといけないと思ったね。障害者も頑張っていかないといけないんだよ! 健常者も、障害者のことに対して興味をもって、自分たちにやってあげられることをやってあげるということは、すごく大切なことだよね。そういう意味では、今回“障害者”というテーマで登山に行ったけど、それをどれだけ理解をして、社会の中に吸収して、“健常者と障害者が共につくる社会”が大切だよね。
今回、俺らがキリマンジャロの頂上を目指したように、障害者の方には大いなる夢を持って、突き進んで、どんどん行動していってほしい。そのためには、健常者の力が必要なんだよ。その手を必要とするニーズをもっと高めてほしいと思うね。そんなことを、今回の旅で学んだね。俺は断片的にしかそういうことを言えないけど、この番組を通じて言わせてもらえることに感謝しています。真面目でしょ? ガハハハ(笑)」
●(笑)。すごくいいお話、ありがとうございます! 風間さんはその想いを継続するために、現在、“障害者アクティブ・ロコモーションズ・ジャパン”という団体を立ち上げたんですよね?
「そうなんですよ。これを、社団や財団にしていこうと思っているんだけどね。」
●今後は、その団体ではどういった活動をしていこうと思っていますか?
「9月にゴビ砂漠へ行って、ラクダに乗りながらキャンプをしつつ、星空を眺める旅をしようと思っています。で、2014年の2月には南極に行って、ペンギンを見ながら遊びたいなと思ってます。この二つは、目標にしてるから、必ずやります! こういったことに興味がある人は、是非とも言ってほしいね! 行こう!
モンゴルのゴビ砂漠って、そこまで難しいところじゃないからね。楽しいよー! ラクダに揺られながら砂漠を旅するっていうのはいいよね! 歌にもあったと思うけど、ああいうのって、おとぎ話で、現実世界にはなかなかないじゃない。それをやりたいよね。やってみると面白いと思うよ。俺は実際に乗ったことあるから、どういうものか知ってるけどね。
あんなの、尻が痛くなって、早く降りたくなるよ、ガハハハ(笑)。でも、ラクダに乗らないと、あんな砂のところは歩けないよ。高すぎて怖いけど、ラクダの力は偉大なんだよね。そのラクダと会話をしていると、『頑張ってな!』っていうこっちの気持ちが伝わるのよ。そして、一緒に頑張って乗り越えた先にはオアシスがあって、俺はキャンプをして、ラクダは足を曲げて休んでいる。そういうときに『今日も一日よかったなぁ。幸せだなぁ』って感じるんだよ。そこで、空を見上げると、満点の星空が広がっていたら、『生きててよかったな』って思うじゃない。」
●そうですね! 今、話をうかがっただけでも、幸せな気持ちになりました!
「いいんだよね! それを感じに行きたいね! 是非とも、たくさんの人に参加してもらいたいね。」
(この他の風間深志さんのインタビューもご覧下さい)
今回私が特に印象的だったのは、風間さんが最後におっしゃっていた“健常者と障害者が共につくる社会”という言葉です。障害者と健常者がお互いを理解し、必要な時に助け合う。 言葉で言う事は簡単ですが、これを、実際にキリマンジャロ登山を通して実践された風間さんのチームは、本当に素晴らしいと思いました。
風間さんが大村長を務める地球元気村では、「山梨市民農園~夢ファーム~」で定期的に農業体験を行なっています。そこで開催されるこのイベント。6月2日(日)の午前9時からお昼すぎまで、田植え体験を行ないます。
◎参加費:地球元気村の村民・大人1,500円、小中学生・1,000円
◎締め切り:5月28日(火)
地球元気村では随時、村民を募集しています。村民になると年4回、会報誌が送られてくる他、特典も用意されています。
◎登録料(年間):個人村民・2,000円、家族村民(6人まで)3,000円
風間さんの近況はオフィシャルブログをご覧ください。写真もたくさん掲載されています。