今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、赤坂剛史さんです。
極地ランナーの赤坂剛史さんは、砂漠や南極など、地球の中で過酷な場所を200キロ以上走るレースに出場されてきました。現在は金沢工業大学の講師としてご活躍されていますが、そんな赤坂さんが、石川県白山市で7日間250キロを走破する冒険レース“白山ジオトレイル”を企画されているそうです。
果たしてどんな冒険レースなのか、お話をうかがいます。
●今週のゲストは、極地ランナーで、金沢工業大学の講師でもある赤坂剛史さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いいたします。」
●赤坂さんにご出演いただくのは2年ぶりですね。前回ご出演いただいたときには、砂漠や南極といったところを200キロメートル以上走る“極地ランナー”としての活動についてうかがいました。その後はいかがですか?
「今は走る方を休止して、自分が出場した大会のようなものを日本で開こうとして活動しています。」
●それはどんな大会なんですか?
「私が出場してきた大会が、食料を自分で持って、7日間で250キロメートルを走るといったようなものなので、そのような大会を日本でやりたいと思い、計画しています。」
●食料を背負って走るレースって、日本だとあまりないですよね?
「そうですね。しかも、7日間という期間行なわれるというのは日本初ですね。“白山ジオトレイル”という大会名で、2014年の8月に石川県の白山市での開催を目指して、企画しています。」
●なぜ、その場所だったんですか?
「極地への挑戦が終わったあと、金沢に移り住んだこともあるんですが、“白山”って、日本三名山のうちの一つなのにも関わらず、あまり知られてないんですよね。正直な話、私も知らなかったんですが、実際に行ってみると、自然が素晴らしかったり、歴史も古いんですよね。その割には、あまり認知されてないんですよね。まさに“日本の秘境”じゃないかと思いまして、大会の会場に選びました。
私が挑戦してきた大会というのは、“旅行が好きでマラソンが好き”という人が世界中から集まってきた大会なんですね。なので、白山にも世界中から参加者が来てもらいたいなと思って、そんな大会を作ろうと思っています。」
●具体的には、どういったコースになるんですか?
「先日、富士山が世界遺産になりましたよね。山岳信仰もその一つになりましたけど、白山も山岳信仰の大きな役割を果たしているところなんですよね。特に白山神社というのは、全国に3000社もあるんですね。なので、『日本人の文化や信仰の根底には、白山信仰があるんじゃないか』と思って、そういった文化も同時に触れられるようなコース設定になっています。 白山には、神社や修行僧が修行する修験道というところがいっぱいあるんですよ。修行僧って、“自分を変えたい”とか“何かを得たい”と思って、修行に入るわけですよね。なので、この大会では、“歩いてでもゴールできる時間設定”にしているので、『自分を変えたい』とか、『何かに挑戦してみたい』と思っている人にたくさん参加してもらって、その人自身の挑戦するスタイルでやっていただきたいなと思っています。」
●あくまで、“競争”じゃないんですね。
「競う“競走”よりも、共に走る“共走”を目指していきたいと思っています。」
●“共走”っていいですね! 泊まるのはどうするんですか?
「この大会は、パリダカールラリーのようにステージ制になっていて、毎日泊まる場所があります。そこには、キャンプ地としてテントを設置しています。1つのテントに8人ぐらい入れるので、毎日一緒にキャンプをしながら進むという感じですね。」
●それは楽しそうですね! 一日走り終えたら、みんなでご飯を作ったりして、夜を楽しめるわけですね!
「自分で持ってきた食べ物を食べるんですが、仲間同士で交換したりできますからね。」
●それって、私がこれまでイメージしていたマラソンとは全然違いますね!
「そうですね。スポーツとしての“マラソン”よりも、“旅”の要素がすごく多いと思いますね。」
※“白山ジオトレイル”は、2014年8月に日本で開催される予定ですが、その前に行なわれるプレ大会についてうかがいました。
「“白山ジオトレイル”のプレ大会として、3日間で約100キロメートルを走ります。コースも同じように、石川県白山市にある白山麓を使用します。鶴来町にある白山信仰の拠点となる“白山比め神社”からスタートします。」
●ルールはどういったものがありますか?
「スタート時点で背負った食料で3日間を背負わないといけないです。そして、ステージレースなので、毎日決まったキャンプ地のテントに泊まります。制限時間は、歩いてでもゴールできるようになっていますが、のんびり歩いたり、寄り道とかしていたらゴールできませんので、時間内にはゴールしていただきます。これらが主なルールですね。」
●ということは、食べる量を1日目に間違えたりすると、大変なことになりそうですね。
「そうですね。1日最低2,000キロカロリーは摂らないといけないといわれています。」
●2,000キロカロリーですか。運動していると、お腹が減って、それ以上食べてしまいそうですね(笑)。
「そうなんですよね(笑)。普通のマラソン大会だと、1日で終わってしまうんで、終わった後に『焼肉行こう!』とか『飲みに行こう!』ってみんなで行って、すぐ2000キロカロリーを超えるんですよね(笑)。食料は多めに持ってもらうのは別に構わないですが、その分重いので、体力の消耗が激しくなってしまいます。逆に少なすぎると、お腹が減ってしまうという問題が出てきますので、うまく考えて持っていかないといけないですよね。」
●コースのアップダウンはどうなんですか?
「実は、1日約1,000メートルのアップダウンを考えています。なので、スタートして山を登って、下りてきてキャンプ地に行って、他の参加者と出会い、そしてまた次の日スタートしてアップダウンを繰り返して、キャンプ地でまた出会えるといった感じですね。」
●実際に走ってみて、景色とかどうでしたか?
「景色は素晴らしいですね。富士山と立山と白山は“日本三名山”といわれていますが、富士山は登山客がいっぱい来ますし、立山はロープウェイがあって、すぐ上に上がれますよね。それに対して白山は、そういう開発はしないようにと周りの人たちが決めたみたいなので、上に行くには歩いていくしかないんですよ。プレ大会では山頂まで行きませんが、それだけ未開の土地といった感じがして、面白いですね。」
●そんな未開の地が、日本にまだあったということも驚きですね。
「今、北陸新幹線を建設中で、金沢駅の開業が2014年といわれていますが、今まで本当に未開の地だったんだなと思いますね。」
●それは行かないともったいないですね!
「是非来てください!」
●2014年8月に開催される“白山ジオトレイル”ですが、その舞台が“白山手取川ジオパーク”ということですが、この“ジオパーク”とは何ですか?
「まず、最近よく言われていたのが“世界遺産”で、世界遺産に認定されると自然保護がしっかりされますが、それに対して“ジオパーク”というのは、自然保護もありますが、そこでの人間の営みも重要視されるんですね。“自然と共に生活していく”というのがジオパークなんですね。自然が素晴らしいだけではなくて、文化も素晴らしいし、そこに暮らす人の営みなどもしっかりできているところがジオパークなんです。」
●ジオパークには、どんな種類があるんですか?
「ジオパークには、大きく分けて“世界ジオパーク”という世界に認定されているところと、“日本ジオパーク”という日本国内で、国が認定しているジオパークという2つがあります。」
●“白山手取川ジオパーク”はどちらになるんですか?
「現在は、日本ジオパークとして認められていますが、今年、世界ジオパークに認定してもらうために申請をしていて、後日審査を受けるという状態ですね。」
●どんな審査になるんですか?
「自然のことや、営みという点で、色々なイベントが行なれるのかという点も審査の対象になります。」
●そういう点では、世界遺産の審査と違いますね。世界ジオパークは日本国内にどのぐらいあるんですか?
「日本には5ヵ所あるといわれています。北海道の洞爺湖有珠山ジオパークと、新潟県の糸魚川ジオパーク、鳥取県・兵庫県・京都府の山陰海岸ジオパーク、高知県の室戸ジオパーク、そして長崎県の島原半島ジオパークとなっています。」
●そして、6ヶ所目になるために頑張っているというわけですね。
「そうですね。白山市全体が世界ジオパークに認定されるために頑張ろうとしています。そこの人たちの営みが素晴らしいので、色々な人に知ってほしいし、外国人にとっては、白山ジオトレイルに参加しに来たら、そこが日本になるので、日本を代表する文化として、PRしたいなと思っています。」
●今回の話を聴いて、白山ジオトレイルに参加してみたいと思っている方がいるかと思いますので、アドバイスなどをいただけますか?
「この大会のコンセプトは“自分に挑戦する、諦めない7日間”です。なので、まずは自分に対して挑戦してみてください。色々な困難があると思いますが、それをうまく切り抜けていくことが大事で、そのための方法が仲間だったり、自然への感謝だったりしますし、地元の人たちの温かいサポートがあるかもしれないですよね。そういったところを、自分なりに楽しみながら参加してもらいたいなと思います。」
(この他の赤坂剛史さんのインタビューもご覧下さい)
7日間自分の食糧を背負って、テント泊をしながら未開の地を走る白山ジオトレイルのお話は、本当に聞いているだけでもワクワクしちゃいました! アウトドア好き、旅好きの方には、きっとたまらないのではないでしょうか。特に赤坂さんのおっしゃっていた“共走”というコンセプトが、とても素敵だなと思いました。以前、私もハーフマラソンに出たことがあるのですが、その時は一緒に走る仲間がいなければゴール出来なかったと思います。7日間共に走れば、生涯付き合えるかけがえのない仲間ができそうですね!
2014年8月に石川県白山市で開催される白山ジオトレイル。今回のお話にあったように、必要な食料を自分で持って、キャンプをしながら“共走”するこのレース。そのプレ大会が、2013年9月に開催されます! 3ステージ制のロングトレイル・レース100キロをラン、またはウォークでチャレンジします。もちろん、食料は自給でテント泊。参加資格は大会当日で満19歳以上の健康な男女。
◎日程:9月14日(土)から16日(月)
◎参加費:54,000円
◎定員:40名
◎締め切り:7月31日(水)
◎詳しい情報:白山ジオトレイルのオフィシャルサイト
赤坂さんはブログをやっています。ここでも白山ジオトレイルのことがよく分かりますので、是非ご覧ください。