2013年9月14日

“音楽の旅”を日本で終えました。

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、小野リサさんです。

小野リサさん写真

 10歳までブラジルのサンパウロで過ごし、15歳からギターの弾き語りを始めたボサノヴァ・シンガーの小野リサさんは1989年にデビュー。そのナチュラルな歌声と素敵な笑顔で、あっという間に人気者になりました。そして、今年の6月に通算27枚目のアルバム『ジャポン2(ドイス)』をリリース。日本にボサノヴァを広めた第一人者として、ミュージック・シーンのフロント・ラインで長年活躍されています。そして先日、その功績が高く評価され、ブラジル政府から“リオ・ブランコ国家勲章”を授与され、話題になりました。そんな小野リサさんに、都内にある所属レコード会社でお会いして、色々お話をうかがってきました。今回はそのときの模様をお届けします。

“ジャポン2”は“私自身”ともいえるアルバム

●今回のゲストは、ボサノヴァ・シンガーの小野リサさんです。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします。」

●早速ですが、リサさんは先日、ブラジル政府より“リオ・ブランコ国家勲章”を授与されたんですよね?

「はい。ブラジルの大使館でセレモニーがありまして、とても素敵な一日でした。」

●私もニュースでその模様を拝見させていただいたんですが、勲章を付けたときの気持ちはどんな感じだったんですか?

「私は大好きな歌をずっと歌ってこられただけでも、とても幸運だと思っているんですが、ブラジルの音楽って本当に素晴らしいんですね。私はブラジルで生まれて日本で暮らしてきていますが、多くの方にその魅力を知ってもらいたいと思いますし、同時に、日本とブラジルが一つになるように、お互いのいいところを引き出していけたらいいなとずっと思っています。」

●ブラジルの音楽の魅力って、どんなところですか?

「アフリカやポルトガル、イタリアやアラブなど、色々な国から人が移住してきたことによって、それぞれの国の文化が混ざってできあがった音楽なので、色々な国のエッセンスが含まれているんですね。そういうところが素晴らしいです。」

●先日リリースされたリサさんのニューアルバム“ジャポン2”を聴いたんですが、まさに、日本とブラジルのいいエッセンスが混ざったようなアルバムですよね。

「そうですね。10年ほど前から“音楽の旅”と題して、ハワイの音楽やイタリア、アフリカなど、各国をテーマにしてきた中で、『最後は日本で旅を終えたい』と思っていたんですね。アルバムが2枚になってしまいましたが、“私自身”ともいえるアルバムになったと思います。」

●今回のアルバムはカヴァー・アルバムだということですが、そのカヴァーする楽曲はどのような基準で選んだんですか?

「基本的には自分で歌ってみて、ボサノヴァのエッセンスを加えたときに、その曲の違った良さが引き出せるように考えながら選んでいます。」

●ここで、番組を聴いているリスナーの皆さんにも聴いていただきたいので、曲紹介をお願いします。

「このアルバムはほとんど日本語で歌っているんですが、2曲だけポルトガル語で歌っています。その中の1曲を聴いていただきたいと思います。聴いていただくと、イメージがかなり変わると思います。ポルトガル語ヴァージョンの“ワインレッドの心”です。」

*ここで、放送では“ワインレッドの心(ポルドガル語ヴァージョン)”を聴いていただきました。

ブラジル人はコミュニケーションが元気の源!?

●リサさんは幼いころ、ブラジルで過ごしていたそうですが、ブラジルのどのあたりに住んでいたんですか?

「生まれたのはサンパウロで、10歳まで過ごしました。」

●休みの日に郊外に遊びにいったりしたんですか?

「“サントス”というサンパウロから一番近い港町があって、そこに海岸があるんですね。そこに海水浴に行ったり、リオに遊びにいったり、コーヒー園に行ったりしましたね。日本に帰ってくると、ブラジルが懐かしくなるんですよ。その懐かしさがあったから、私はブラジルの音楽を歌っていたんだと思います。」

●ブラジルの人たちの暮らしって、どんな感じなんですか?

「肩に力が入っていなくてリラックスしているけど、安全面など色々考えると、生きていくだけでも大変なんですね。そういった点では緊張感はあるけど、その反面、ブラジルではコミュニケーションがすごく大事なことなんですよね。去年、久しぶりにブラジルに行ったんですけど、みんな朝から晩までずっとしゃべってるんですよ(笑)。色々な人種が暮らしている中で、コミュニケーションって必要なことで、それが元気の源になっているということを感じましたね。」

●さて、ブラジルといえば、2014年にはサッカーワールドカップ、2016年にはリオデジャネイロ・オリンピックと、今すごく注目されている国ですし、これから日本人もたくさんブラジルに行くんじゃないかと思いますが、ブラジルでオススメの場所ってありますか?

「私はサンパウロで生まれていますが、リオがとても好きなんですね。それを言うと、サンパウロの人が怒るんですよね(笑)。リオは海・湖・山があるとても美しい街で、自然を満喫できますし、人々の暮らしを感じることができるので、オススメです。」

●ブラジルといえば、“アマゾン”があると思いますが、アマゾンはどうですか?

「アマゾンも素晴らしい自然があるので、動物や自然を満喫したい方はオススメですね。以前、アマゾンにあるコロニアル風なホテルに泊まったんですが、そのホテルの裏には小さな動物園があったり、ジャングル・ツアーがあったので、それに参加したりして過ごしました。あと、“イグアスの滝”ですね。すごく美しいし、自然のパワーを感じられますね。」

●私も写真を見て、「イグアスの滝に一度行ってみたい!」と思っているんですが、やっぱり素晴らしいですか?

「素晴らしいですね。2回ほど行きましたが、2回目に行ったときは、滝の下をボートで行けるようになっていて、水しぶきをたくさん浴びました(笑)。そこにあるカタラタス・ホテルもとてもステキで、私の叔父も新婚旅行で行ったんですよね。朝食もすごく美味しいので、オススメです。」

●ただ、アマゾンは今、森林伐採など色々な問題があるかと思いますが、リサさんはどう思っていますか?

「ジャングル・ツアーに参加したときも、そういうところを目の当たりにしたんですね。それを見て、ただごとではないなと思いました。それと同時に、自分には何ができるのかも考えましたね。」

日本の歌は“詞”が素晴らしい!

●リサさんは日本国内を旅することってありますか?

「そうですね。日本は山が美しいし、自然もとても美しいので、友達と一緒に京都に行ったこともありますし、北海道も好きですね。それと、食べ物がとてもおいしいので、各地の郷土料理を食べるのも旅の楽しみの一つですね。」

●日本全国どこに行っても、おいしい食べ物がありますよね!

「そうですよね! それに、日本は四季があるので、非常に楽しめると思います。」

●昔ブラジルに住んでいたからこそ、日本のいいところに気づくことがあると思うんですが、どうですか?

「安全面は素晴らしいですね。夜遅くでも一人で歩けるじゃないですか。それと、日本人の優しさや親切さ、季節を感じる感性といったところも素晴らしいです。あと、実は今ブラジルにはお寿司屋さんがすごく多いんですよ。私が住んでいた幼少の頃は、お魚を生で食べることに驚いていたんですが、ブラジルの作曲家のアントニオ・カルロス・ジョビンの息子さんやお孫さんたちはお寿司が好きで、向こうに行ったときも、“マダム・バタフライ”というお寿司屋さんに行って、日本酒を飲みながらウニを食べたりしているんですよね。そういった日本の文化がポピュラーになっています。」

●ブラジルの自然と日本の自然では、どういったところが違いますか?

「ブラジルは南の国なので、広大な大地で赤土だったり、とてもワイルドだったりするんですよね。日本の自然は桜の花もデリケートなように、とてもデリケートな自然だと思います。」

●音楽にも自然観って反映されているのかなと思いますが、日本の音楽からそういったことを感じたりしますか?

「心に響く日本の歌の素晴らしいところは“詞”だと思います。日本の表現の豊かさは素敵ですね。“キレイ”を表現する方法とか言葉の数は、他の国よりも多いと思います。」

●確かに、外国人の友達に「しとしと降る雨って、どういう雨?」ってよく聞かれるんですよね。その“しとしと”っていう表現が、日本人の豊かな感性ならではのものなんだと、そのときに思って、「日本語って素敵だな」と改めて感じました。

「リオのイパネマにある本屋さんに行くと、“俳諧”という日本の俳句をポルトガル語に訳した本があるんですね。それを読んだときはすごく新鮮に感じました。同じ言葉でも、違うニュアンスだったりするんですよね。そういったところも、ブラジルの人たちが日本の文化に憧れるところの一つだと思います。」

●では最後に、美しい日本語で歌っているリサさんのニュー・アルバムから1曲お送りしたいと思います。曲紹介をお願いします。

「この曲は英語が入っている曲ですが、とても素敵な詩だと思います。竹内まりやさんの人生の扉のカヴァーを聴いてください。」

*ここで、放送では“人生の扉”を聴いていただきました。

小野リサさん写真

YUKI'S MONOLOGUE ~ゆきちゃんのひと言~

 2020年に東京オリンピックが決まりましたが、その前に開催されるのが2016年のリオデジャネイロ・オリンピックということで、ブラジルからますます目が離せません。そんな今注目のブラジルの音楽“ボサノヴァ”をずっと歌い続けていらっしゃる小野リサさんですが、私もリサさんの歌声が大好きでよくCDを聴いていました。今回実際にお会いできて、歌声のイメージ通りの優しくて柔らかい印象でますますファンになってしまいました! リサさんのニュー・アルバム『ジャポン2』もたくさん聴きたいと思います。

INFORMATION

「Japao2」

ニュー・アルバム『ジャポン2(ドイス)

 ドリーミュージック/MUCD-1285
/定価3,000円

小野リサさんの最新作『Japao2』は、J-POPの名曲をボサノヴァ風にカヴァーした力作です。今回ご紹介したポルトガル語ヴァージョンの「ワインレッドの心(ポルドガル語ヴァージョン)」や「人生の扉」他、このアルバムのために井上陽水さんが書き下ろした新曲「青いフラミンゴ」や「空に星があるように」、「何もきかないで」、「いのちの歌」など、全12曲が納められています。

ライブ情報

 10月15日(火)と16日(水)、ビルボードライブ東京でブラジルのベテラン・シンガー「レニー・アンドラーヂ」さんとライブを行ないます。

◎料金:サービスエリア・9,000円、カジュアルエリア・7,000円

 いずれの情報はもちろん、その他の情報なども知りたい方は、小野リサさんのオフィシャルサイトをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. イパネマの娘 / STAN GETZ & JOAN GILBERTO

M2. ワインレッドの心(ポルドガル語ヴァージョン) / 小野リサ

M3. ブラジルの水彩画 / CAETANO VELOSO,GILBERTO GIL & JOAN GOLBERTO

M4. TRISTEZA / SERGIO MENDES & BRASIL'66

M5. 人生の扉 / 小野リサ

M6. MEET THE FLINTSTONE / B-52'S

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」