今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、かとうちあきさんです。
ミニコミ誌「野宿野郎」の編集長・かとうちあきさんは、“もっと野宿する人を増やしたい”という想いで、2004年「野宿野郎」を創刊しました。そんなかとうさんが先日、“あたらしい野宿”という本を出版しました。どんな本なのか、また、かとうさんの野宿への想いなどうかがいます。
※まずは、「野宿野郎」を創刊したキッカケをお聞きしました。
「野宿が好きで、10代から野宿旅行みたいなことをしてきましたが、大学卒業して働き始めると、長い休みが取りづらくなって、大学のときには比較的野宿をしていたような人がしなくなったのが寂しいと思ったんですね。そこで『野宿のミニコミ誌を創れば、今野宿をしている人や野宿が好きな人に出会えるんじゃないか』と思って、創りました。」
●野宿野郎の中で人気の記事や特集ってどんなものですか?
「“お遍路野宿”の特集は反響が大きかったですね。お遍路をしたい方が読んでくださいましたね。」
●“お遍路野宿”ってすごく気になるんですが、どんな野宿なんですか?
「お遍路は、四国八十八ヶ所を回る文化のことで、実際に回る方には野宿をする方も多いんですね。四国には旅行者をもてなしてくれる文化があるので、それに合った内容となっています。」
●地域によって、野宿に対する意識なども違ったりするんですね。
「あると思いますね。青森や北海道など、旅人がよく行く場所だと、野宿を見たことがある人が多いので、寛容度が高いですね。ただ、島に行くと、観光で成り立っているところが多いだけに、宿に泊まらない野宿は肩身が狭く感じますね。」
●そういうのって面白いですね! 最近のかとうさんの野宿はどうですか?
「これまでは銀マットで寝ていたんですけど、最近は歳を取ったこともあって、いいマットを使ってますね。」
●いいマットを使うと違いますか?
「寝心地が全然違いますね。それまでは、翌日の体のバキバキ感が気になっていたんですが、今はすごく快適に寝られます。」
●野宿に対する考え方は、どうですか?
「学生の間は、自分が旅行していても『若いうちだけだから』とか『学生だからできるんだ』ってすごく言われていて、それに対する葛藤があったんですけど、歳を重ねても同じようなことをしているので、『若いときにしかできるものでもないんだな』と納得できましたね。」
●かとうさんは先日、“あたらしい野宿”という本を出版されました。私も読ませていただきましたが、すごく面白かったです! 内容を簡単に紹介すると、“のじゅくん”という小学4年生の男の子が、立派な野宿マンになるために、教えを請いながら成長していくという、絵本のような本になっていますが、こういった本を出そうと思ったキッカケは何だったんですか?
「『野宿は楽しいから、みなさんに一度やってほしい』という気持ちもあるんですが、たくさんの人がやってくれた方が、野宿にやっていても奇異な目で見られないので、自分にとってもプラスになるという考えもあって、“野宿人口を増やしたい”という想いからですね。」
●以前出版された“野宿入門”でもそうでしたが、マイナスからスタートしても、それをポジティブにとらえていく発想の転換へのキッカケの一つとして、野宿があるんだと感じたんですが、そういったところも意識されているんですか?
「そうですね。なんでも考え方次第で面白くなったりするんですよね。」
●野宿を通して、色々な新しい発見があるんだなと思いました。またこの本には、この番組に何度もご出演いただいているバックパッカーで紀行作家のシェルパ斉藤さん“野宿めしの先生”として登場されていますよね。
「そうなんです。シェルパさんのお家までうかがって、お話を聞かせていただきました。」
●今回紹介している野宿めしですが、かとうさんも実際に作ってみたりしたんですか?
「全部作ってみました。『コンビニのおにぎりをお湯に入れてお茶漬けにしよう』といったようなことをシェルパさんが提案してくださったので、色々やってみました。」
●温かいものが食べたくなるこれからの時期、一工夫することで、そういったものが食べられるのっていいですね!
「そうですよね! シェルパさんも『温かいものが食べられることはすごいことなんだよ。お湯を沸かすだけでも楽しいよ』と言っていましたね。」
●そういったシンプルな食事でも、外で食べると美味しいんじゃないですか?
「そうなんですよね! 市販の袋のラーメンでも、外ではごちそうのように食べてます(笑)」
●今回の本の巻末に“野宿用語辞典”がありますよね。私が気になったものをご紹介すると、まずは“のじゅる”ですけど、これはどういう意味ですか?
「“のじゅる”は“野宿をする”の略語ですね。周りの人を軽快に野宿に誘うときに使います。そういう風に略した方が流行っている感じがするんですよね。時々、『今日のじゅらない?』といった感じで、強引に使ったりします(笑)」
●若者とかにウケそうですね! 他には“野熟女”という言葉がありますが、これはどういう意味ですか?
「野宿好きの熟年女性のことを“野熟女”といって流行らせたいということなんですが、実際いるかどうか分からないので、これからに期待です!」
●これから増えてほしいのは“野熟女”なんですね。さらに“野宿適齢期”も気になるんですよね。意味はなんとなく分かりますけど、具体的にはどのぐらいの年齢なのか気になりますね。
「“野宿適齢期”は早くて、大体は大学生のときがピークだと思いますね。やっぱり、学生のときがちやほやされますね。でも、女性限定でいえば、適齢期は2回あると思っていて、30歳手前ぐらいも適齢期ですよ。なぜなら、ただ楽しく旅行しているだけなのに、人生に迷った人だと思われて、いいものをもらったりするんですよね。」
●そういうことなんですね! 私はてっきり、本人の体力などの体の問題だと思っていたんですが、回りから何かされやすい年齢ということなんですね! 最後は“NJK48”ですね。これは今流行りのあのグループにあやかって付けられた言葉ですか?
「そうですね。実際に野宿をしている人を48人集めたら壮観ですよね!(笑)」
●そうですね(笑)。今後、かとうさんがプロデューサーになって、実際にグループを作るっていうのもありですよね!
「やりたいですね!」
●センターのポジションをじゃんけんで決めたりするのっていいですよね! こういう風にポジティブに考えると楽しいですよね。野宿って外で寝るだけって思っている人もいるかもしれませんが、この本を読むと、奥が深いですし、新しい楽しみ方の発見もありますし、色々なことができるんだなとすごく伝わってきました。
(この他のかとうちあきさんのインタビューもご覧下さい)
私は今まで野宿と聞くと、どちらかというと、仕方なくやるというイメージがありました。でも、かとうさんのお話をうかがううちに、そんなネガティブな考えはどこかに行ってしまい、野宿に対するイメージが180度変わったように思います。そして、そんな野宿のお話を通して“発想の転換一つでどんなことでも楽しめる” という人生においても大切なことを教えていただきました。この気持ちを忘れずに生きていきたいですね。
亜紀書房/定価1,050円
かとうさんの新刊となるこの本は、主人公である小学4年生の「のじゅくん」が立派な野宿マンになるまでのストーリー。そこに野宿の基礎知識やノウハウ、グッズなども紹介してあります。そして巻末にある「野宿用語辞典」も面白いので、是非チェックしてみてください。
日頃のかとうさんの活動など、詳しくは「野宿野郎」のオフィシャルサイトをご覧ください。