今回のNECプレゼンツ・ザ・フリントストーンは「アグリろっくin千葉」の取材リポートをお送りします。この「アグリろっく」は、“見つけよう・育てよう・発掘しよう・元気な千葉県”というテーマでJA全農ちばが行なっている地域農業活性化プロジェクトのこと。生産者と消費者がチームを作り、千葉の農産物を使って、新しい商品を開発するコンテストを実施。その最終審査会が先日、千葉市内のホテルが開催されました。今回は、その模様を参加チームのインタビューを交えながらお届けします。
※生産者と消費者がチームを作り、千葉の農産物を使って新しい商品を開発するコンテスト「アグリろっくin千葉」は2013年9月に参加者の募集が始まり、10月に生産者と消費者のチーム決めが行なわれ、それぞれのチームが商品のアイデアを練って提出。そして2014年2月28日に千葉市内のホテルで開催された最終審査会で、14チーム/25のアイデアから選ばれた5チーム/5アイデアが披露され、審査が行なわれました。
その模様をお送りする前に、まず、主催者を代表して、JA全農ちば・営農販売企画部・次長「實川進(じつかわ・すすむ)」さんに、このプロジェクトの趣旨についてうかがいました。
實川さん「我々農業者も作物から色々な加工品を作っているんですが、生産者サイドの想いで作っていることが多いんですね。例えば、イチゴ農家さんはイチゴを市場に出荷するのが普通だと思いますが、中には市場に出荷できないものも出てきます。それをどうするかといったときに、自宅でジャムを作ってみたりしますよね。そこで今回、農作物を買っていただく消費者の方と一緒に考えたら、面白い加工品ができるんじゃないかということで、企画しました。」
●どの企画も面白いし、斬新なアイデアがたくさんありますよね!
實川さん「この企画に参加していただいた色々な企業の方が『うちなら最終選考に漏れたアイデアでも生かせるものがあるよ!』というものがあれば、もちろんピックアップします。今回の最終選考に残ったアイデア、または最優秀賞を獲ったアイデアだけが商品化するのではなく、活かせるものがあれば全て活かして、色々な加工品を作っていきたいと思っています。」
●ということは、ここがスタートなんですね!
※コンテスト「アグリろっくin千葉」は、開会式の後、最終審査会に進出した5チームによるプレゼンテーションが行なわれました。各チームとも会場のスクリーンに写真や絵などを見せながら説明しました。中には、お揃いのユニフォームやのぼりを持ってプレゼンに臨むチームもいましたよ。そしてプレゼテーションのあと、審査員による協議が別室で行なわれ、受賞チームの発表がありました。
同点で4位を分け合ったのはチーム「さがわごう」とチーム「べにはるか」。
チーム「さがわごう」は“カクテルトマト”を提案。ミニトマトを特殊な装置を使って、食べられるお酒“カクテルトマト”にしてしまおうという斬新なアイデアでした。では農林中央金庫・千葉支店賞を受賞した「さがわごう」の生産者・植草宏行(うえくさ・ひろゆき)」さんと平古場小百合(ひらこば・さゆり)さんにご登場いただきます。まず“カクテルトマト”について、植草さんに説明していただきました。
植草さん「“カクテルトマト”というのは、真空にすることで一瞬にしてトマトに何らかのものを染み込ませることができる“真空浸透機”を用いて、僕たちの農場である和郷園で作っているフルーツトマトにカクテルを染み込ませました。それによって、“食べるお酒”を作るというアイデアを考えました。」
●平古場さん、消費者代表として参加されてどうでしたか?
平古場さん「トマトと掛け合わせることによって、美容効果も期待できますし、お酒だけではなく、シロップを加えることで、子供にも楽しんでもらえる商品になるのではないかと思います。」
●そんな平古場さんと一緒にプロジェクトを進めてどうでしたか?
植草さん「僕は普段、生産者や生産現場の人たちとの関わりが多くて、消費者のかたとのコミュニケーションがなかなか取れないんですが、今回のような場があることで、新しい発想に触れることができて、すごく新鮮で勉強になりました。来年もアグリろっくに参加して、優勝を目指したいと思います!」
※続いては、NEC賞を受賞したチーム「べにはるか」です。同チームは、サツマイモの自動販売機を提案。サツマイモの“べにはるか”は美味しいだけでなく、栄養価も高く、災害時にも役立てたいという思いが伝わってきました。メンバーは生産者・佐藤雅博(さとう・まさひろ)さん、そして杉田典子(すぎた・みちこ)さん、松下直子(まつした・なおこ)さんの3人。まず佐藤さんに“べにはるか”の説明をお願いしました。
佐藤さん「べにはるかという、しっとり・ねっとりとしていて美味しい多古町名産のサツマイモがあるんですけど、それを自動販売機で売ろうというアイデアを提案しました。」
●それはすごく面白いアイデアですね! どなたが考えたのですか?
杉田さん「私です。」
●この発想はどういったところから出てきたんですか?
杉田さん「私は不規則な生活なので、食べる時間を逸してしまって、代わりに短い時間でちょっとしたものを食べることが多いんですね。そういったときに自然の物で体にいいものを食べられればいいなと思っていたんですけど、サツマイモはそういった野菜だということを知ったので、手軽に購入できるといいなと思って、考えました。」
●松下さんは参加してみてどうでしたか?
松下さん「今回、べにはるかというサツマイモの種類を初めて知って食べてみたんですけど、今まで食べてたサツマイモとは違いました。そして、べにはるかの焼きイモは冷たくても美味しいんですよ! まさにケーキ屋さんで売っているスイートポテトでした。」
●べにはるか、みなさんに食べていただきたいですね!
佐藤さん「そうですね! この“べにはるか”という品種を知らない方が多いと思いますので、“多古町のべにはるか”を知ってもらえるように頑張っていきます!」
※続いては、3位に輝き、ネポン賞を受賞したチーム「ネイル山梨」です。同チームは、全国1位の生産量を誇る千葉県産のピーナッツを使った「ピーナッツ・バタービール」を提案。バタービールとピーナッツを組み合わせた新感覚の飲み物ということで、審査員にも好評でした。そんなチーム「ネイル山梨」の生産者・山口弘隆(やまぐち・ひろたか)さん、小田切ひとみさんと、小田切なおみさんにお話をうかがいました。
●まずは、どんなプロジェクトなのか教えてください。
山口さん「千葉で栽培されている落花生の廃棄されるものを商品化にできないかということで、チームを組んで検討してきました。」
●無駄にしないために、どんな取り組みをしようと考えたんですか?
ひとみさん「無駄になってしまうところが40パーセント近くもあるので、そこを砕いて顆粒状にすることで、ミルクやお湯を入れるとカフェオレになるような、スティックタイプのピーナッツテイストの商品ができれば、女性に人気になるんじゃないかと思って、考えてみました。」
●何かヒントのようなものってあったんですか?
なおみさん「あのハリーポッターの中に出てくる“バタービール”という飲み物をヒントに、“ピーナッツ・バタービール”にしてみました。ビールといってますけど、下はジュースなので、本当のビールではないです。温かくした炭酸飲料の上にピーナッツペイストを乗せて、ビールに見立てた飲み物です。」
●それが顆粒状のスティックで楽しめるんですね! ひとみさんとなおみさんは、山梨県から参加されてるんですよね!? なぜ山梨県からこのイベントに参加しようと思ったんですか?
なおみさん「山梨県の特産品は私たちにとって身近なものなので、あまり目に付かなかったりするんですけど、別の県の特産品を見てみると、『こうしてみたらいいのにな』と思うことがあったりするので、それを提案できたらと思ったんですよね。」
●外から見るからこそ見えてくることって、たくさんありますよね! 最後に山口さん、千葉県の名産である落花生です。リスナーの皆さんにアピールをお願いします!
山口さん「千葉には乾燥落花生やゆで落花生、また商品化された場合、今回のようなピーナッツ・バタービールもあります。是非とも注目してください!」
※続いては、全農千葉県本部賞を受賞した2位のチーム「マッシュルーム・アナウンサー」。チーム名の通り、アナウンサーとして活躍するメンバーが集まり、千葉のマッシュルームの栽培キットを美味しいレシピとともにアピールしていました。そんなチームを代表して、マッシュルームの生産者・菅佐原徹哉(すがさわら・てつや)さんと、本岡なり美さんにお話をうかがいました。まず本岡さんに、マッシュルームをアピールするためにどんな工夫をされたのか、お聞きしました。
本岡さん「“千葉マッシュルーム栽培キット”という、お水をあげるだけで、自宅で簡単にマッシュルームが栽培できるキットをアピールさせていただきました。」
●栽培キットを試してみて、どうでしたか?
本岡さん「自分でマッシュルームを育てる機会ってなかなかないので、本当に出てくるか心配でしたが、出てきたときはすごく嬉しくて、『みんなに広めたい!』と思いました。」
●“千葉マッシュルーム栽培キット”のアイデアがあがってきたとき、菅佐原さんはどう思いましたか?
菅佐原さん「私たちはマッシュルームを作るのが主な目的なので、栽培キットを使って育ててもらうとか、それにレシピを付けるといった発想はなかったので驚きました。マッシュルームはスーパーでもなかなか手にとってもらえない野菜でなので、こういうところでたくさんの人に見ていただいて嬉しいです。」
●ちなみに、本岡さんは千葉の野菜は好きですか?
本岡さん「好きです! 特に、マッシュルームは好きな野菜の1つだったんですけど、今回のプロジェクトに参加して、より好きになりました!」
※最後は、最終審査会で1位、つまり最優秀賞に輝いたチーム「あじさいねぎ普及実行委員会」です。歴史が古く、美味しいけれど、あまり知られていない“あじさいねぎ”を広く知って欲しいという願いを込め、あじさいねぎの塩だれや冷凍・チルド食品をアピールしていました。受賞後に生産者・成嶋伸隆(なるしま・のぶたか)さん、そして今井由起子(いまい・ゆきこ)さん、篠原智子(しのはら・ともこ)さんに受賞の喜びをお聞きしました。
●おめでとうございます!
三人「ありがとうございます!」
●今の気持ちはいかがですか?
成嶋さん「嬉しいの一言ですね。」
●改めてどんなプロジェクトだったのか教えてください。
成嶋さん「あじさいねぎというのは、とても知名度が低いネギなんですね。その知名度の低さをなんとかしたいという想いから生まれたチームになります。」
●あじさいねぎって、どんなネギなんですか?
成嶋さん「あじさいねぎは葉ネギなんですね。葉ネギは九条ネギが有名だと思いますが、あじさいねぎの見た目は九条ネギに似ています。このあじさいねぎは根っこ以外全て食べられます。」
●そのあじさいねぎを普及させるために、どんな取り組みをしてきたんですか?
今井さん「まずはお試しという形で、加工品にして使いやすい形にしてみました。」
●加工品というのは、どんな商品なんですか?
篠原さん「瓶に入れた、たれシリーズなんですが、1つ目は、あじさいねぎの緑色がキレイなので、そこに白い塩麹を組み合わせることで目に映えるので、その2つを組み合わせました。そして、もう1つは、若い女性をターゲットにした“あじさいねぎのピクルス”というたれシリーズを作りました。」
●作る過程では、大変なこととか色々あったんじゃないですか?
成嶋さん「こっちがいいと思っても、お客様がいいと思わないかもしれないじゃないですか。『どうすれば、作る側と買う側の意見が合うのか』というところにすごく悩みました。生産者だと分からない考えを消費者側である二人が意見として言ってくれたのが、とても参考になりました!」
●あじさいねぎもそうですが、千葉の野菜って、新鮮で全国に誇れるものが多いですよね!
成嶋さん「ネギも生産が日本一に戻りましたし、他の野菜も日本一の生産量を誇るものが多いので、是非とも千葉の野菜を食べていただけたらと思います!」
今回の取材で、千葉には美味しくて色々な可能性がある農産物がたくさんあるということを改めて実感しました。そして、消費者と生産者がチームを組んで出したアイデアは、どれも斬新で興味をそそられるものばかり! 全てのアイデアをぜひ商品化して欲しいですね。
「アグリろっくin千葉」の公式サイトには、今回の最終審査会の結果やこれまでの経過が掲載されています。是非ともチェックしてみてください。