今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、原田信広さんです。
「旅∞(たびはち)プロジェクト」の代表・原田信広さんは、ダンサーになるためにカナダに留学したり、バックパックを背負って、北米から南米に向かって旅をしたり、そして現在はフィギュアを販売するお店を数店舗手がける経営者としての顔も持ってらっしゃいます。そんな原田さん、実は2011年から2012年にかけて、会社経営のかたわら、1年かけて世界42カ国121都市を巡る世界一周の旅、それもと一輪車を持って、世界を回ったんです。今回はとてもユニークな経歴を持つ原田さんに、その一輪車を持っていった世界一周の旅のお話などうかがいます。
●今回のゲストは、「旅∞プロジェクト」の代表・原田信広さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします。」
●原田さんが立ち上げている“旅∞プロジェクト”ですが、これは一体どんなプロジェクトなんですか?
「一言で言うと、“旅・食・文化を通じて、人と人を繋ぐ”ということを目標として活動しているプロジェクトです。2013年11月に“旅∞フェス”という1200人ぐらいの規模のフェスをやらせていただきましたが、これを複数回やろうとすると、人を繋げるにも限界があるので、最近では365日いつでも人と人が繋がれるようにという想いで、“root”というカフェを中野で始めました。」
●旅に関する出会いって、普通の出会いとは違いますか?
「日本にいるときはお互い構えてしまうところがあったりするのが、“旅”というキーワードだけで色々なものがフラットになる気がするんですよね。例えば、異業種交流会に行ったりすると、ビジネス視点で出会ったりして、目的があって出会いますけど、旅で出会うと、そういう目的が一切なく、“旅”というキーワードだけで出会って仲良くなれるので、すごくステキだなと思うんですよね。」
●“旅∞フェスティバル”では、そういった出会いがたくさんあるんですね。
「実はやるまではどうなんだろうって思っていたんですよね。でも、rootを立ち上げてから1週間ぐらいで『“世界一周いってらっしゃい会”をやりたい』という予約が入ったんですけど、そのとき宣伝とか何もしていなかったので、どこで知ったかを聞いてみたら『旅∞フェスで“近日オープン予定”って書いてあったんで、そろそろかなと思って電話しました』ということだったんですね。
その日は8人で来ていただいたんですけど、その中の代表の方が『実は私たち、元々は知り合いじゃなかったんです』とおっしゃったんですね。どうやって知り合ったのか聞いてみたら『旅∞フェスでみんな知り合ったんです』というんですね。そして、その仲間の1人が世界一周に行くから、いってらっしゃい会をするということだったんです。そういう話を聞くと、すごく嬉しかったんですね。
旅∞フェスでは、caravanさんやアーティストの方に来ていただいてライブをやっていただいたり、栗城さんやテレビでやっていた“あいのり”の元メンバー、テレビの企画で旅に出たドロンズの石本さんに来ていただいてトークライブをやったり、フードブースでも4店舗ぐらい出したり、“繋がりスペース”というものを設けて、みんなが繋がれるようなスペースを出したりしたんですけど、実はそれがめちゃくちゃ大変だったんですよね。『これ結構厳しいな』と思っていたんですけど、その方たちの話を聞いて、『やってよかったな。また次もやらないといけないな』と思いましたね。」
※原田さんが世界一周の旅に出かけたキッカケをうかがいました。
「それは、猿岩石さんがキッカケですね。猿岩石さんはユーラシア大陸横断の旅をしていたかと思いますが、裸一貫で旅している姿がすごくカッコよく見えましたし、人との触れ合いとかもすごかったじゃないですか。それを見て『人間味あふれる旅だな』と思ったんですよね。そういう旅をやるには陸路のバックパックの旅しかないなと思って、やりましたね。」
●やってみてどうでしたか?
「よかったですよね。1日の達成感がすごくあるんですよね。ホテル着いただけでも達成感がありました。それが旅する醍醐味だと思うんですよね。現地の人に降りる場所を教えてもらうだけでも楽しかったし、バスに乗ってても隣の席の人たちと仲良くなったりしたんですよ。そういうのって、ツアーだと起こりえないと思うんですよね。」
●原田さんは、一輪車を持って世界一周の旅に出られましたが、それはいつだったんですか?
「38歳のときですね。」
●どんなルートで、どのぐらいかけて行ったんですか?
「ルートは、まずタイに行ってからカンボンジア、ベトナム、ラオス、中国、チベット、ネパール、インドと行きました。ここまではローカルのバスや電車を乗り継いで陸路で移動しました。実は、世界一周航空券を事前に買っていて、そこまでで3ヶ所ぐらい飛行機に乗る場所があったんですけど、陸路にこだわっていたので、全てキャンセルして陸路で移動しました。」
●それは自分の足で歩いてみたかったからですか?
「行くからには、点と点じゃなく、線で繋いでいきかったので、陸路でいきました。そこからフィンランドに行ったんですけど、行ったのが12月24日でサンタクロースに会いました。そこからトルコに行って、ヨルダン、イスラエル、エジプト、アメリカに行ったんですけど、旅に出たときには既に会社を経営していたので、社員のみんなに説得するために半年という約束で行ったんですね。でも、もちろん半年じゃ足りなくて、一度帰って再度お願いするしかないと思って、日本に一時的に帰国して2週間ぐらい滞在して、そこから南米に行って、南アフリカに入ってエチオピアに行きました。そこからパキスタンに行って、香港行って日本に帰ってきました。」
●その中で、一番辛かった国はどこですか?
「ダントツでエチオピアですね。で、一番好きな国もエチオピアです。そこにはダナキル砂漠があるんですけど、行ったときの気温が60度ぐらいあったんですよ。熱があるんじゃないかと思って、体温計で測ってみたんですよ。案の定40度ぐらいあって、おかしいと思って体温計を振って確認してみたら、40度から下がらない状態になってたんですよ。考えてみたら、そこの気温が60度なので、下がるわけがないんですよね(笑)。でも、大変だからこそ、一番思い出に残ってますし、楽しかったですね。
今って、どこでも交通機関は発達していて、移動も簡単にできてしまうし、Wi-Fiが飛んでいるので、どこでもインターネットができるんですが、エチオピアはインフラとかがそこまで発達していなくて、夜になると電気が消えてしまうし、首都のアディスアベバでしかインターネットができないんですよね。なので、ヒッチハイクでしか移動できないところがあって、朝からヒッチハイクして夜にやっと捕まえて、10時間かけて次の村に移動したりするんですけど、夜なので寝袋に入って荷台に乗せられて空を見上げると、満天の星空が広がっているんですよ。それを見たとき『旅してるなぁ』って実感しましたね。ヒッチハイクしても、なかなか車が捕まらなかったりするので、結構しんどいんですけど、そういう風景を見たときの旅している感覚が忘れられないですね。」
●一輪車を持っていった世界一周の旅って、どんな感じでしたか?
「一輪車がなかったら、旅が10分の1ぐらい薄っぺらいものになっていたと思います。どこに行っても自転車はあるんですけど、一輪車が無いんですよね。だからこそ、物珍しさがあって、『どうやって乗るんだ?』ってことで、みんな寄ってくるんですよね。特に南米はすごく反応がよくて、アフリカで一輪車に乗ると、子供も大人も後ろから付いてくるんですよ(笑)。それがすごく楽しかったですね。」
●現地の人が「乗せてくれ」って言われて乗せたりすると、みんなうまく乗れるんですか?
「いや、乗れないですよね。だから、僕が手助けしながら乗ってもらいましたね。」
●みんなどんな表情で乗っているんですか?
「もちろん笑顔ですよね! 今回、世界一周をしてきて色々な人とコミュニケーションを取ってきたので、日本にある要らない一輪車を集めて、色々なところに持っていって、僕が教えてあげたりするといいなって思っていたりしますね。」
●是非、実現してほしいです!
「今年中には、何かしらの形で実現したいですね。」
●原田さんは現在、中野にカフェ&キッチン“root”をオープンされたんですよね。先日、お店のホームページを見て驚いたんですけど、スタッフのほとんどが世界一周経験者なんですね! これはたまたまなんですか?
「たまたまなんですよ! 世界一周で出会った仲間2人に呼びかけて始まったんですけど、物件が決まったときにはキッチン担当がまだ誰もいなかったので、旅人同士の繋がりで紹介していただいたんですけど、紹介してもらった人も世界一周経験者だったんですよね。」
●スタッフは何人いるんですか?
「今は6人ですね。」
●その6人全員が世界一周経験者なんですよね。そんなカフェ、聞いたことないです!(笑)
「繋がりが繋がりを生んで、そうなりましたね(笑)。世界一周といっても、それぞれで旅の方法とかが違うので、スタッフ同士でも楽しいですね。」
●“root”には、どんなメニューがあるんですか?
「世界一周経験者が集まって運営しているカフェというと、世界中の美味しい料理を提供してくれると思っているかと思いますが、実はその逆で、うちは白米を中心とした料理を提供しています。なぜかというと、旅人ってどこにいても日本食が恋しくなって、わざわざ日本食が食べられるところに行って食べたり、宿でみんな集まってカレーを食べたりするんですよね。結果的に、白米に合う料理=和食寄りになりました。」
●“旅人が恋しくなるような料理”ということですね?
「そうですね。結局どこに行っても、日本人にとって日本食が一番なんだなと思いますね。」
●世界一周を経験されているからこそ、その言葉に重みがありますね。食材へのこだわりってありますか?
「こだわりとしては“古来種”の野菜を主に使ってます。今の青果店とかで売られている野菜って、作られたらそれで終わりのものばかりで、種ができないんですね。でも、野菜って元々は野菜から種ができて、その種を植えて野菜を作っていくんですね。古来種はそういった昔から食べられている野菜のことで、食べた後でも種があるので、その種で次の野菜を作っていきます。
それに、今市場で売られている野菜って、キレイで形が同じだと思いますが、古来種はどれも個性があって不揃いなんですよね。でも、それが本来の形だと思うんですよね。その古来種も、僕たちが食べていかないと絶滅してしまうので、それを守っていくためにも、古来種の野菜を使っていきたいと思ってます。」
●最後に、“旅∞プロジェクト”としての今後の展開や予定を教えてください。
「秋ごろに大きい旅∞フェスを開催したいなと思っています。それと、rootには面白い人たちがたくさん来ているんですが、そういった人たちにもっと来ていただいて、もっと繋げていけたらと思っています。」
私は英語があまり得意じゃないので、現地の方と会話するのは結構勇気がいるんですが、原田さんのお話をうかがって、言葉じゃなくてもコミュニケーションを取る方法はいくらでもあるんだと気づかされました。これからは、海外旅行に行く時、何かコミュニケーションツールになるものを持っていってみようと思います。
原田さんが一輪車を持って、世界を旅したときの模様は、是非オフィシャル・サイトをご覧ください。世界のあちこちで一輪車のアクロバティックなパフォーマンスを撮影した動画を見ると、どんな旅だったのか、よく分かります。サイトにはその他、原田さんのプロフィールや活動等も紹介されています。
原田さんが代表を務める“旅∞プロジェクト”。“旅・食・文化を通じて、人と人を繋ぐ”ことを目標として活動しているこのプロジェクトは、2013年11月に“旅∞フェス”を開催、大盛況でした。旅∞フェスのオフィシャル・サイトには、どのようなフェスだったのかが分かりますので、是非チェックしてみてください。
今年、JR中野駅・南口からすぐというところでオープンしたカフェ&キッチン“root”。お店で働くスタッフはみんな世界一周の旅の経験者というお店です。木を使ったシンプルな内装、そして古来種という日本産の農産物にこだわったお料理に、世界の珍しいビールも飲めて、多国籍な雰囲気を醸し出していて、とても居心地のいいお店です。