2014年4月12日

アウトドアの旅を豊かする!
~シェルパ斉藤のワンバーナークッキング~

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、シェルパ斉藤さんです。

シェルパ斉藤さん

 この番組に何度もご出演いただいているバックパッカー、そして紀行家のシェルパ斉藤さんは先頃、エイ出版社から「シェルパ斉藤の“元祖”ワンバーナークッキング」という本を出されました。“ワンバーナー”とはアウトドア用の小型ストーブのこと。斉藤さんはこのワンバーナーを使って、簡単で美味しい料理を作る達人なんです。今回はそんなシェルパ斉藤さんと一緒に、新刊に載っているレシピの中から、実際にワンバーナーを使ってクッキングします!

アウトドアでも温かいものが食べたい!

●今回のゲストは、バックパッカー、そして紀行家のシェルパ斉藤さんです。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします。」

前回ご出演していただいたのは2013年1月5日で、斉藤さんのご自宅にお邪魔して、竪穴式住居でお汁粉をいただきました。

「そうでしたね! あそこは焚き火ができるから、炭火で餅を焼いたんですよね! それを使って、特製のお汁粉を振舞いましたね。」

●そのときは大変お世話になりました。
 実は今回、モンベル品川店の地下1階にある“ハーベステラス”というカフェにいます。

「カフェなのに、アウトドアという不思議な空間ですよね。木があって、外なので、外の空気も感じられますよね。品川駅から歩いて5分もかからないところに、こんな素晴らしいカフェがあるんですね!」

●そんなステキな空間で斉藤さんにお話をうかがえるのはすごく楽しみです!
 さて、斉藤さんは新刊を出されたんですよね?

「はい。『シェルパ斉藤の“元祖”ワンバーナークッキング』という新刊を出しました。実は10年前に『シェルパ斉藤のワンバーナー簡単クッキング』という本を出したんですけど、その評判がよくて“是非とも第2弾を出してほしい”ということで、10年経った今出したのが、今回の本なんですね。
 なんで“元祖”を付けたかというと、“俺が元祖だぞ!”ということを言いなさい!と出版社の方から言われたので、本当は付けたくなかったんですが、タイトルに“元祖”を付けました。前作から“これが最高!”というものを9つと、新作41個を加えました。常温保存できる食材だけを使って、パッキングしやすく、簡単に作れるものだけを選びました。“旅人のための料理集”といった感じですね。」

●“ワンバーナークッキング”がどういったものなのか、簡単に説明していただけますか?

「ワンバーナーって簡単に言えばガスコンロで、ガスカートリッジやガソリン、最近ではその辺にある木も使えたりするんですよね。イメージとしては、ガスコンロがコンパクトになって、どこでも煮炊きができるものなんです。なので、それがあると、どこでも温かいものが食べられるんですね。実際に気持ちいい空の下で、お腹を空かせて食べると何でも美味しいんですけど、それにもう一手間加えようということで、そのままでも食べられるものを遊び心でアレンジしてみたものが“ワンバーナークッキング”です。」

シェルパ斉藤さん

●それで“基本は3分、長くて10分!”というキャッチフレーズが表紙に書かれているんですね!

「そうですね。僕の場合は、そのままでも食べられるものをちょっと工夫するだけなので、“なんちゃってクッキング”と言った方がいいかもしれないですね(笑)。今はコンビニやスーパーで色々な食材を売ってるので、温めるだけでいいものとかあるじゃないですか。ただ、温めるだけでいいものでも、使うのは電子レンジですよね。でも、もちろんアウトドアでは電子レンジなんてないじゃないですか。それをこのワンバーナーだけで、同じぐらいのものを作ろうという発想からきているクッキングですね。」

●今回は是非、そのレシピの中から実際に作ってみたいと思います!

「これを全部作ったら10時間ぐらいかかってしまうので、オススメのものを選びますので、それをやってみてください。」

●よろしくお願いします!

使うのはワンバーナーとコッヘル

●今回はどのレシピを作りますか?

「メインディッシュはガッツリ食べられるものとして、炭水化物がいいだろうということで、マジックのようなパスタと、デザートとしてチョコフォンデュを作りたいと思います。」

●まず最初は何から?

「使う器具を確認します。まずはワンバーナーですが、これには液体のガスが入っていて、ツマミをひねると、中から気化されたガスが出てきます。火を点けてみますね。」

●簡単に点くんですね!

「家庭のコンロと変わらないぐらいの火力がありますし、火力調節もしやすいです。それに、これは本体を小さくすることができるので、アウトドアでは重宝されます。そして、“コッヘル”という鍋を用意しています。使う器具はこれだけですね。」

●食材はどのようなものがありますか?

「まずはパスタなんですが、料理研究家のアレックスさんが開発した“ワン・ミニッツ・パスタ”を使います。普通のパスタって、10分~12分ぐらい茹でるじゃないですか。でも、アウトドアでそのぐらい茹でるのって効率は悪いし、燃料をすごく使うじゃないですか。だけど、このパスタは革命的な方法で、水にあらかじめ浸しておくんですね。今回は2時間ぐらい前に浸しました。」

●フリーザーバッグの中に水を入れて、その中で浸していますね。

「これを茹でると、1分で出来上がります。そして、このパスタの素晴らしいところは、長い時間浸しておいてもいいんですよね。」

●ふやけたりしないんですか?

「これ以上は形とかが変わらないので、問題ないんですよ。家で使用する場合でも、今の状態で冷蔵庫に入れておけば、3日間もつらしいです。アウトドアの場合でいうと、僕でいえば、バックパックの旅をして、テントを張る前にフリーザーバッグの中にパスタを入れて、水を入れて置いておくんです。そしてテントを張って、色々と雑用をやって、ボーっとして、飯を作ろうと思ったら1時間ぐらい経っているんですね。なので、今の状況をアウトドアと照らし合わせると、キャンプサイトに着いてすぐに水に浸して、色々やった後の状態ということですね。
 これに、ピザトーストのソースを加えます。僕は基本的にパッキングしやすいものしか持っていかないので、このソースは1回使い切りタイプです。これだと軽いし、ゴミとなっても邪魔にならないんですよ。ただ、これだけだと足りないので、サラミを加えます。今回のは黒コショウが付いているんですよ。もちろんこれだけでも食べられます。そして、ピザトーストのソースとも合わないわけがないです。だからあえてパスタソースじゃなくて、ピザトーストのソースと黒コショウのサラミを合わせて料理しようということです。料理した後、残ったとしてもそのまま食べればいいんですよね(笑)。重さは、パスタに水を入れなければ、50~100グラムぐらいですし、ピザトーストのソースは20~30グラムだと思いますので、全部で150グラムぐらいだと思います。そして、ペンネの場合、普通のパスタと比べて、少し食べるだけでお腹が満たされたりするんですよね。そういう面でも、ペンネは非常に便利だと思います。では、やってみましょうか!」

●はい、お願いします!

最小限の水の量でパスタを楽しめる!

※いよいよ斉藤さんオススメの“サラミピザパスタ”を作ります!

サラミピザパスタ
「サラミピザパスタ」
道具はワンバーナー(小型ストーブ)、コッヘル(鍋)、フォークなど。
材料はペンネ(フリーザーパックに入れて1時間以上、水に浸したもの)、
ピザトースト・ソース、黒ごまサラミ。

「水はアウトドアでは貴重なので、キャンプサイトに着いて浸しておいたパスタを水と一緒に入れます。そして、バーナーを点けて、沸騰するまで待ちます。」

サラミピザパスタ

※沸騰して、パスタに変化が出てきました。

「パスタの色が変わってきて、普通のパスタの色に戻ってきてますよね?」

●そうですね! 水に浸ける前の色に戻ってきてますね!

「普通のパスタ料理と同じように、熱が通ると普通のパスタになっていくんですよね。水も1分ぐらいで沸騰しました。パスタも茹で上がりました。さっきまでフニャフニャだったパスタが硬くなって、コシが出てきましたよね。この中に具を入れます。それから、ピザトーストのソースを入れてかき混ぜます。」

サラミピザパスタ
水に浸してあったので、ペンネがあっという間にゆで上がる。
水を切って、ソースとサラミをいれてかきまぜれば、できあがり!

●いい匂いがしてきました! この組み合わせは間違いないですね!

「調味料がなくても、サラミに黒コショウが付いているので、それで済むんですよね。」

●新たに塩・コショウしなくてもいいんですね!

「はい、出来上がりました!」

サラミピザパスタ

●もう出来上がりですか! 早くて簡単ですね。いい匂いで美味しそうです!

「基本的に、出来たらすぐ食べてください。」

●では、いただきます! 
 美味しいです! サラミのコショウの加減が抜群ですね! これ食べてると、ビールが飲みたくなりますね(笑)。

「そんな感じの料理です(笑)。これは水が少ない場合でも出来るんですよね。僕のように山登りをする人って、水をできるだけ使いたくないんですよ。その中で、わずかな水でこれだけの料理が出来るのは非常に嬉しいですよね。」

●本当に美味しかったです! ありがとうございます!

デザートも一工夫

●では、次のレシピにいきたいと思いますが、次はデザート?

「そうです。デザートといえば甘い物が食べたくなりますよね。“チョコフォンデュ”を作ろうと思います。それも、このためだけの材料を特別に揃えるのではなく、行動食として普段から持っていってるチョコレートとナッツ、バナナチップスを使います。“行動食を美味しく食べるために何かあるかな?”と考えたときに“チョコフォンデュいいな”と思ったんですよね。でも、チョコをバーナーにかけると焦げて大変なことになるんですよ。そこで役立つのが“コッヘル”なんですね。実はこれ、ガスカートリッジがちょうど入るぐらいの大きさなんです。これにシェラカップを蓋として使います。このシェラカップも同じぐらいの大きさなんですよ。なので、コッヘルにわずかな水を入れて、蓋をするようにシェラカップを乗せておくと、ちょうどいい温度になるんです。それではやってみましょう。」

チョコフォンデュ
「チョコフォンデュ」
道具はワンバーナー、コッヘル、シェラカップなど。
材料は板チョコ、バナナチップス、ミックスナッツ。

●チョコフォンデュって、チーズフォンデュと一緒に置いてあるイメージですけど、まさかアウトドアで出来るとは思いませんでした!

「特別にチョコフォンデュ用の器を持ってくるのではなく、シェラカップとコッヘルで出来てしまうのがいいですよね。特にバックパッカーはそうなんですけど、アウトドアに持っていく道具は限られているんですが、意外と同じメーカーじゃなくても、合う組み合わせがあったりするんですよ。特にシェラカップやガスカートリッジは大体同じ基準で作っているので、違うメーカーで組み合わせても意外とよかったりするんです。」

●合ったとき嬉しいですよね!

「ビンゴ!って感じになりますね(笑)。そうこうしているうちに、お湯が沸いてきましたので、チョコレートを入れていきます。」

●シェラカップの上に適当な大きさに割った板チョコを入れていくんですね。

「はい、次第にチョコが溶けていきます。」

チョコフォンデュ
コッヘルで少量のお湯を沸かし、
シェラカップでふたをして、湯煎のセット。
板チョコをカップにいれて、溶け出したら、
スプーンでかきまぜ、バナナチップスやナッツにからめて食べる。

●下のコッヘルから沸いたお湯の湯気がかなり出てますね。

「スチーム状態ですね。段々と溶けていくので、好みに合わせてチョコの量を増やしてもらえればと思います。これにアーモンドなどを入れて混ぜます。それで、スプーンなどを使って食べてください。」

●すごく簡単ですね! いただきます!
 甘くて美味しいです!

「では、次はバナナチョコです。どうぞ。」

●これ、パーティーみたいな感じで楽しいですね! いただきます。
 サクサクのバナナチップと柔らかくてなめらかなチョコレートのマッチングが最高ですね! 温かいチョコレートって、すごく安心しますね。

「特に疲れているときに食べると疲れが取れますし、なにより美味しいんですよね。それに、アーモンドチョコとは違って、アーモンドがしょっぱいから、甘くてしょっぱいという絶妙なバランスなんですよね。」

●山の上で食べる豪華なデザートですね!

ホットチョコ
ホットチョコ
シェラカップの片付けは「ホットチョコ」!
コッヘルのお湯をカップに入れて、チョコを溶かし、
クリープをいれれば、出来上がり!
アウトドアの知恵と経験のたまもの!?

コンビニとアウトドアの相性がいい!?

●今回は、美味しいレシピを2つも教えていただき、ありがとうございました!

「僕としては“たった2つか”という気持ちがありますけどね(笑)」

●こういったレシピはどんな感じで考えるんですか?

「実際はアウトドアで食べるものはインスタント・ラーメンでも美味しいんですけど、長期になるとさすがに飽きると思ったのと、最近のスーパーやコンビニって保存できるドライ系のものや一人用のパッキングされた食べ物など、メニューが充実しているから、“じゃあ、これとこれを組み合わせてみたらどうなるのかな?”という遊び心で作ったものなんです。しかも、それをアウトドアで作ったら、合理的で美味しいということが分かったんですよ。だから、今回の本のテーマは“コンビニとアウトドアの相性がいいんじゃないか”でした。」

●確かに、旅の途中にコンビニがありますよね。

「それに大体、一人用の小さなサイズのものがパッキングされているので、そのまま持っていけるんですよ。あと、アウトドアでの料理は“温かいもの”がいいんですよね。夏でも、山で温かいものを食べると、ホッとするんですよ。なので、“コンビニにあるものを電子レンジを使わずに温かくして、それにアレンジを加えて、より美味しく食べて、アウトドアの旅を豊かにするためのマニュアル本”というイメージで出しました。“旅人がこういうことをしたら、美味しい!と思ってるんじゃないか”と想像しながら作りました。
 やっぱり、焚き火で作った肉や魚料理には敵わないんですよ。でも、旅の中での限られた環境の中で合理的な方法としてこれをやれば美味しいっていうことを伝えたいし、工夫することも面白いと思うんですね。だから、僕は今回、50品を出しましたけど、これだけじゃなく“俺はこんなの作ったぞ!”とか“俺ならこうしよう!”といった感じで色々なレシピが生まれて広がれば、より面白いかなと思います。」

●これから第2弾、第3弾と生まれていきそうですね!

「どうですかね?(笑)それは食材が増えたら出来るかもしれないですね。」

●今後も楽しみです!
 実は私、まだキャンプに行ったことがないんですよ。そこで、厚かましいお願いなんですが、もしよければ、斉藤さんにキャンプの手ほどきをしていただけないでしょうか?

「手ほどきっていうほどじゃないけど、連れていくのはいいですよ。一緒に行きましょう!」

●本当ですか!?

「でも、放っておきますよ。分からなかったら教えますけど、基本的にアウトドアは自分で考えてやることなので、一緒に行って色々とやっていただいて、“アウトドアって何だろうか? キャンプって何だろうか?”ということを体験してください。」

●そうですね! 私のキャンプ初体験を見届けてください!

「分かりました!」

(この他のシェルパ斉藤さんのインタビューもご覧下さい)

YUKI'S MONOLOGUE ~ゆきちゃんのひと言~

 アウトドアで限られた燃料や水で料理をするのは大変そう。でもシェルパさんのレシピなら、身近な食材と工夫で、こんなに美味しく、しかも楽しいアウトドア・クッキングが出来るんだと感動でした。今回ご紹介した以外にも、“コンビニおにぎり雑炊”や“餃子の皮包み焼き”など、気になるレシピが満載なので、ぜひ「シェルパ斉藤の”元祖”ワンバーナークッキング」をチェックしてみてください!

INFORMATION

「シェルパ斉藤の“元祖”ワンバーナークッキング」

新刊『シェルパ斉藤の
   “元祖”ワンバーナークッキング

 エイ出版社 本体価格1,000円

 シェルパ斉藤さんの新刊となるこの本は、今回掲載されているレシピ50のうち、新作はなんと41! 使う道具の説明やベーシックなメニュー紹介はもちろん、レシピが“ごはんもの”“麺類・パスタ・粉モノ”“つまみ”“デザート”とジャンルが分かれて掲載されています。写真も豊富で見ているだけで美味しそうです。ハンディサイズなので旅に持っていって活用できます。

カフェ&ギャラリー「チーム・シェルパ」

 八ヶ岳南麓にある斉藤さんのお宅には、奥様が切り盛りされているカフェ&ギャラリー「チーム・シェルパ」があります。こちらも是非チェックしてください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. SATURDAY IN THE PARK / CHICAGO

M2. BETTER TOGETHER / JACK JOHNSON

M3. IT'S SO EASY / LINDA RONSTADT

M4. I'M IN THE MOOD FOR DANCING / THE NOLANS

M5. DO IT LIKE THAT / RICKI-LEE

M6. BITTER WITH THE SWEET / SAMUEL PURDEY

M7. DREAMS / THE CRANBERRIES

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」