今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、東田トモヒロさんです。
生まれ故郷の熊本を拠点に音楽活動を続けるシンガー・ソングライターの東田トモヒロさんは、自分のツアー以外にも野外フェスなどでも人気を博してらっしゃいます。東田さんの音楽は、自給自足的な暮らしや旅、そして趣味のサーフィンを通して感じたことが、メッセージ性のある歌詞やナチュラルなサウンドに反映されていると思います。今回はそんな東田さんに、世界を巡った船旅や自然暮らしのお話などうかがいます。
●今回のゲストは、シンガー・ソングライターの東田トモヒロさんです。お久しぶりです!
「お久しぶりです」
●この番組でいつもステキなお話を色々としていただいていますが、特に旅のお話がすごく面白くて、きょうはすごく楽しみにしていました。最近はどんな旅を?
「今年は最初から珍しい旅に行ってきました。その旅はピースボートでの旅だったんですよね」
●よく“世界一周ピースボートの旅!”みたいな感じのポスターが貼ってありますよね!
「カフェとか居酒屋さんとかで貼ってありますよね。その旅に誘っていただきました。僕は乗客としてではなく、“水先案内人”として2月の中頃から3月の頭にかけての約20日間、乗船しました。南半球を一周するツアーの中の最後のタヒチからパプアニューギニアを通って、横浜に帰ってくるというクライマックスのときに乗船させてもらったんですが、船の中でライヴをやったり、旅やサーフィンの話をしたり。電気を自給自足しているんですけど、その話をしたりと、今まで味わったことのない旅を経験しましたね。
僕が乗船したクライマックスのころだと、カップルもかなりの数ができてて、一つの大きな家族のようになってたんで、何をやってもみんな笑顔で受け入れてくれるんですよね。まさに夢のような時間と空間でしたね」
●まさに“ピースボート”ですね! その他にも旅に行かれたりしたんですか?
「音楽の旅でいうと、今ツアーをやっているんですけど、僕はアルバムのツアーのときには自分の車で移動しているんですね。今回は熊本を出発して宮崎で旅の安全祈願と身を清める意味を込めてサーフィンをしてから、そこでライヴをやりました。そこからフェリーで大阪に行って、車で東京に行って、東京からライヴを始めました。時々サーフィンをしながら、太平洋側を通って、熊本を目指して帰っていくというツアーをやっています」
●やっぱり、飛行機で行くのとは違いますか?
「昨日まさにそのことを考えていたんですよ。飛行機や新幹線だとあっという間に着くし、そっちの方が経費を抑えられるんですが、見える景色や出会いが飛行機や新幹線とかとは違うんですよね。高速道路を走っているときでも桜の花びらが散って桜吹雪が舞ったりするので、その中を車で突き抜けていくときには“わーっ!”って一人で叫んじゃいますよね。そういうのって、飛行機などでは味わえないじゃないですか。車で行く春のツアーはいいなって思いますね」
●そういった経験や旅を通しての出会いとかが、東田さんの曲作りに影響しているんじゃないですか?
「そうですね。何かモノを作って、人に聴いてもらったり見てもらったり触れてもらったりしていることをやっている以上、何よりも大事にしないといけないのは“感性”だと思うんです。むしろ、それしかないと思っています。なので、アーティストというのは、そういった感性を磨いていないと、人に喜んでもらえるモノを作ることが難しいんじゃないかと思うので、そこだけは常に大事にしています」
●そんな東田さんが先月リリースしたニュー・アルバム『timeless world』から1曲お届けいたいと思いますが、曲紹介をお願いします。
「聴いていただく曲は、このアルバムを象徴する曲で、自分の気持ちをストレートに込めました。“New Days”」
※ここで、放送では“New Days”を聴いていただきました。
●この曲はどんな想いで作ったんですか?
「実は、その“想い”がよく分からないんですよね。というのも、蛇口をひねったら水が出てくるような感じでできたんですよ。去年の今頃、ライヴをやりながら北陸を旅していたんですけど、金沢のライヴ会場の楽屋にいたときに、そこにギターがなかったのに、メロディとコードと歌詞が一気に出てきたんですよ。僕はいつもボイスレコーダーを持っているので録音して、それを元に作りました。だから、何かを想いながら作ったというより、出てきたものを捕まえる作業をしただけなんですよ。できた後にそれを眺めていたら“こんなことを想っていたんだな”と気づきましたね」
●そういう風に曲って作られるんですね!
「そうなんですよ。それはすごく不思議なことだし、逆に僕はそういう風じゃないと作れないんですよ。僕は音楽の勉強をしてから音楽を始めたわけじゃないので、曲の作り方を学んできてないんです。だから僕はそういう風に作っています」
●歌詞の中で“波が届くころには 日はまた昇るよ”という部分がすごく好きなんです。東田さんがサーフィンで波を待っているかのように、“待っていれば、そのうちに日が昇ってくるよ”って。自然の中でリラックスしている感じがして、すごくステキだなと思いました。
「朝のサーフィンって、独特な雰囲気があるんですよ。風がほとんどなくて、水を柔らかく感じるんです。そんな中で朝日が昇ってきて、辺りが静かなんですよ。あの感覚は胸に焼きついていて、自然から受け取った恵みが形を変えて、僕の歌の中に描写されてるときがありますね」
※東田さんといえば、熊本での田舎暮らしも気になりますが、今、東田さんの畑ではどんな作物を育てているのでしょうか?
「ツアーに出る前に、夏野菜のシシトウやオクラ、トマトなどの苗を植えてきたぐらいで、大根や大豆も獲り終えたんで、畑は今ウェイティングの状態ですね(笑)」
●ご主人様の帰りを待っている状態ですね(笑)。
「そうですね(笑)。帰ったら里芋も植えたいなと思っています。あと、果樹園にしようとしているスペースがあって、そこに、みかんの木を植えて、ブルーベリーも足したいなと思ってます」
●それいいですね! 昨年はお米作りもされたんですよね?
「僕の家族と近所のもう1家族と、農家として独立を目指している30歳ぐらいの人との3世帯で、一反ぐらいの敷地で初めて米作りをしました。一反はこっちで言うと、野球場のグラウンドの半分ぐらいの広さだと思いますね」
●結構広いですね。
「こっちで言うとっていうのもおかしいか(笑)。田んぼがあまりない地域でその広さを伝えるのに、何に例えればいいのか分からないんですけど、うまくいけば、300~400キロぐらいの米が獲れるんですが、僕たちは初年度なので、手で植えて手で刈ってたんですけど、無農薬・無肥料でやったら300キロ獲れたんですね。それを100キロずつ分けて、僕は玄米のご飯を食べてます」
●何という種類のお米を育てたんですか?
「“ヒノヒカリ”という熊本でよく作られている種類ですね」
●なんでお米を作ろうと思ったんですか?
「畑や果樹園と同じ理由なんですけど、自分が住んでいる地域で使われなくなった場所や、“耕作放棄地”と呼ばれる、昔は田んぼだったけど今は使われていないスペースがあって、環境が整っているんだから“やらない手はないな”と前から思っていたんですね。それが、震災を機に“やらないといけない”“後回しにしていたことを即座にやる時代になった”と思ったんです。それですぐに始めたのが畑だった。その1年後に、念願だった田んぼを始めました。
同じ世代とその下の世代を支えていくには、地方でできるスペースを持っている人たちは、どんどんやっていかないといけないんじゃないかなと思ったんですね。だから、まずは自分でやってみるのが大事だなと思ったのが大きな原動力で、キッカケはあの震災でした」
●実際にやってみてどうでしたか?
「足を運んで時間をかけて、手塩にかけて育てた作物は何物にも代えがたいぐらい美味しいですね。お米も、今は玄米で食べていますが、“こんなに美味しいお米は食べたことがない”と思うぐらい美味しいので、止められないですね。今年も少しずつですが、準備を始めています
●最後に、アルバムの話をうかがっていきたいと思います。先月発売されたニュー・アルバム『timeless world』ですが、このアルバムのタイトルには、どのような想いがこめられているんですか?
「これは“New Days”と同じように“timeless world”という曲ができて、後でこの曲を振り返ってみると、『これは、音楽のことを歌っているんだな』と思ったんです。“timeless world”という曲は、“ジョン・レノンにラヴレターを書いてみよう”と思って作ったんですよ。曲ができて、最後に“timeless world”という言葉が出てきたんですけど、ジョン・レノンの“イマジン”やボブ・マーリーが残した“ノー・ウーマン・ノー・クライ”という曲のように、時代を超えて胸に響く曲があると思うんですね。
特に“イマジン”は、最初に話したピースボートの中で色々な世代や色々な国の人と演奏したんですけど、心を一つにして平和を祈れる曲というのは、世界中にいくつあるのか考えたときに『音楽ってすごいな』って思ったんですね。だから、“音楽”を別の言葉で表現するとしたら、“timeless world”という言葉がピッタリだなと思って、この言葉をアルバム・タイトルにしました。今でもこの言葉をタイトルにしてよかったなと思いますね」
(この他の東田トモヒロさんのインタビューもご覧下さい)
“アーティストは感性を豊かにしないと喜んでもらえる音楽を作れない”と、東田さんはおっしゃっていましたが、実はこれって私たちにも言えることかもしれませんね。 自然の中で自分をリセットしたり、大地の恵みに感謝して野菜を食べたり。東田さんのゆったりとしたライフスタイルをヒントにすれば、今まで見落としていたことが見えてきて、より豊かな人生を送れる気がします。
slow jam records
/ 定価2,520円(税込み)
東田さんの新作となるこのアルバムは、全部で13曲収録されています。東田さんらしい素敵な楽曲が満載。南阿蘇にある友人のゲストハウスのリビング・スペースでレコーディングしたので、リラックスして録音できたそうです。楽器は全て東田さんが演奏されているそうです!
今後の東田さんのライヴ情報です。
『The Road and The Sky 15th Anniversary Party Live... “FINAL”!!』
◎日程:5月11日(日)
◎会場:The Road and The Sky(横浜市金沢区)
◎開演:午後7時
◎料金:前売り3,000円、当日3,500円
◎詳しい情報:The Road and The Skyのホームページ
『GREENROOM FESTIVAL’14』
◎日程:5月24日(土)と25日(日)
(東田さんは24日(土)に出演します)
◎会場:横浜赤レンガ倉庫
◎詳しい情報:GREENROOM FESTIVAL’14のホームページ
その他、東田さんの近況などは、オフィシャル・サイトをご覧ください。