今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、KIKIさんです。
山に魅せられてしまったファッション・モデルのKIKIさんは、国内外の色々な山に登り、その山旅の模様をご自分のブログで写真と共に紹介されています。そんなKIKIさんが先頃、平凡社から『美しい山を旅して』というフォトエッセイ集を出されました。この本は世界の9つの山を巡った旅の記録なんです。今回は想い出に残る山旅や、KIKIさんらしい山の楽しみ方などうかがいます。
●今回のゲストは、ファッション・モデルのKIKIさんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします。」
●KIKIさんは先日、平凡社から『美しい山を旅して』というフォトエッセイ集を出されました。
まず、このタイトルがすごく印象的ですが、どのような想いを込めて付けたんですか?
「山というと、登って汗をかいたり、辛かったり、虫がいるというイメージが先行しがちですけど、山には何度も行きたくなるような美しい景色や出会いがたくさんあるんですね。そういうものをもっと知ってもらいたいという気持ちがあって、分かりやすいタイトルにしました。」
●KIKIさんが登山を始めたキッカケは何だったんですか?
「友人に誘ってもらって、八ヶ岳の赤岳に登ったんです。“東京からそれほど遠くない場所に、こんなにも素晴らしいところがあるんだ”と感動して、そこからハマりました。」
●どんな景色だったんですか?
「山の端に里や町があって、その向こうには違う山があるという景色の連続で、“これはどこまで続くんだろう?”と思うぐらい遠くまで見渡せるんですよ。“まだ行ってない場所がこんなにもあるんだ!”っていう想いが、山に行くようになったキッカケになったと思います。」
●「あっちに行けば、もっとステキなことがあるんじゃないか」という期待感が膨らんだ感じですか?
「そうですね。“今見えてる場所に立ったら、私が今いる場所はどういう風に見えるんだろう?”って思うんですね。富士山はいつも下から眺めていますけど、富士山の頂上に行くとどう見えるんだろうといった感じで、山の目線が変わった気がしますね。」
●登山をしていると、もちろん辛かったり、大変なこともあるじゃないですか。
「私の場合はいつも思いますね(笑)。“なんでこんなに辛い思いをしながら登ってるんだろう”って毎回思います(笑)。でも、登山は頂上にたどり着くまでには山小屋に泊まったり、仲間と普段より長く過ごす時間があったりするんです。そういうものを経験していくと、辛かったことを上回って、いい思い出が残るんですよね。そこを乗り越えた先の楽しみが大きいと思いますね。」
●登っているときの辛さを少しでも軽減するために、登山のコツを誰かに習ったりしたんですか?
「人の動きを見ていると、何でも参考になるんですね。だから、気にして見ていると、それぞれの山での過ごし方があったり、ちょっとした技術があったりするので、それをちょっとずつ取り入れていってます。気にしていないと見過ごしてしまうと思うので、意識することで、常に学ぶことがあるなと思いますね。」
●一緒に山に登った友達がちょっとした工夫をしたことを見逃さずに、取り入れたりしてるんですね。
「そうですね。登山をする人たちって、押し付けがましさがない人が多いと思うんですよね。もちろん、こっちがどうしたらいいのかを聞いたら教えてくれるけど、“こうした方がいいよ”って言ってくる人がいないような気がするんですよ。私の仲間にはたまたまそういう人が多いだけかもしれないですけどね。」
●そういう人たちが山に行くのか、山に行くからそうなるのか。もしかしたら、何か関係があるのかもしれないですね。
「自然の中ってどこでもそうだと思いますが、“無理しなくなる”と思うんです。むしろ“無理ができない”と思うんですよね。人や時間、天候などとの付き合い方が、考えなくても自然になると思うんですね。」
●“無理ができない”というのは、無理をしてしまうと命の危険があるからですよね?
「そうですね。それが自然と分かるので、無理しなくなるのかなと思います。頑張るときはもちろん頑張るんですけど、必要以上には頑張らなくてもいいし、諦めないといけないこともたくさんあるので、そういう経験を積んでいくと、普段の生活で我慢してやってることが多いのかなと気づいたりしましたね。」
※お友達と八ヶ岳山系の赤岳に登ってからすっかり山にはまってしまったKIKIさん。最近ではどれくらい山に登っているのでしょうか。
「先週末にも行きましたし、その前の週末にも行きました(笑)。たまたま続きましたけど、大体は月2~3回ぐらいですね。」
●トータルで、どのぐらいの数の山に登りましたか?
「昨年は1年間で60日ぐらいは山に入ってましたね(笑)」
●60日ですか!(笑) 2ヶ月は山にいたということになりますね。KIKIさんの、登山しているときの楽しみってなんですか?
「登っているときは疲れてきたりして辛いので、段々と縮こまっていきがちなんですけど、私は写真を撮るのが好きなので、眺めがいい雄大な景色はもちろん、登山道の脇や足元に咲いている小さな花、雨が降ったときに水を含んでフワフワと輝いているコケを撮影しながら、ゆっくりと登っています。」
●今回の著書も写真がすごくステキなので、皆さんに是非とも見ていただきたいですが、ステキな写真を撮るコツってありますか?
「私はフィルムで撮っていることが多いんですけど、デジタル・カメラならモニターを見過ぎないように、そして、撮ったあとには見直さないようにしています。そうしないと、生で見た印象が薄まってしまうので、写真を撮ることに集中しすぎないようにしています。」
●構図とか色々なことを頭で考えるんじゃなくて、感じるままに撮られているんですね。
「そうです。“キレイ!”って思ったら、その方向にカメラを向けてシャッターを押します。見直すのは帰ってからですね。」
●参考になります! 今回の著書を読んでビックリしたんですが、KIKIさんはクライミングもするんですよね?
「そうですね。クライミングは一時的にハマっていて、クライミングは街中にジムがあるので、そういうところに通ったりしていました。」
●モデルさんなのに、結構ハードなことされるんですね。
「怪我をしたらもうやっていないと思いますが、今まで怪我をしていないので、なんとかなってますね。とはいえ、実は足にアザが結構できてときもあったりするんですよ(笑)。でも、仕事でよく一緒になるスタイリストさんやヘアメイクさんはもう慣れていて“またアザができてる!”っていって隠してくれたりしてくれるんですね(笑)」
●そのクライミングにハマったのは、ある女性の存在がキッカケなんですよね?
「初めたキッカケは友人に誘われたことなんですけど、山やクライミングって、本などの記述で残っている資料がたくさんあって、それを読んでいると、昔の人がどういった登山をしていたのかとか、山の歴史が分かったりして面白いんですね。その中で、リン・ヒルという女性クライマーがいて、その方の伝記のような本を友人に教えてもらって読んでからハマりました。」
●このリン・ヒルという女性がすごいんですよね!
「クライミングって、腕がムキムキのゴツい男性が登りそうなイメージがあると思いますが、もちろん直接会ったことはありませんけど、彼女が登る様子を映した映像を見ていると、バレエを踊るような滑らかな動きで、キレイに登っていくんですね。だから、一つのスポーツを見ているというよりも、美しいものを鑑賞しているような感覚があるんですよね。」
●“山と対峙するのではなく、山と一体化して登っていくことを意識している”と、伝記に書かれていましたね。
「その考え方にすごく共感して、自然があるから自分がいることができて、そこで楽しませてもらっているという感謝の気持ちが大きいので、そういう気持ちを忘れないでいたいといつも思いますね。」
※ファッション・モデルのKIKIさんは、山に登るときのウエアにこだわりがあるのでしょうか?
「こだわりなんてないです、って言いたいですけど(笑)、そのぐらいナチュラルな状態でいたいと思っています。一番心がけているのは、山だけに当てはまることじゃないですけど、自分がその場所で浮かない格好をするようにしています。分かりやすいところでいえば“色選び”ですね。山では、何かあったときに見つけられやすいように目立つ必要があるので、明るめの色のものをワンポイントとして何かしら付けますが、基本は自然に馴染む色を選びます。海に行くのであれば、海っぽいマリンの格好をしていくのと同じで、山に行くなら山に馴染むような格好でいたいなと思っています。」
●山の中で泊まったりするんですよね?
「そうですね。山の中でテント泊をするときもあれば、山小屋に泊まるときもありますね。私は長く山の中で過ごしていたいので、日帰り登山よりも泊まる方が好きですね。」
●怖かったりしませんか?
「テント泊だと山小屋と違って、薄い生地1枚で外と中が分かれているので、音にすごく敏感になるんですね。そういう中で、自分が想像できないものの音が聴こえるとすごくドキドキするし、朝方になると鳥のさえずりがすぐ聴こえてきて、その音で心地よく目覚めたりするので、いいこともあれば、ちょっとドキドキすることもありますね。そういった経験をすると、普段の生活は守られていて、それに慣れきってしまっていると実感しますね。だから、たまに自然の中に行って、本来持っているべき警戒心を持つことは大事なんだと思いますね。」
●KIKIさんはこれまで美しい山々を旅されてきていますが、今後はどんな山に行ってみたいですか?
「行きたいところだらけなんですけど、昔から興味があるのが“信仰のある山”ですね。日本人は、山には神様がいて、山そのものを“自然の神様”という風に考える精神を気づかないうちに持っていると思いますが、そういった山を日本だけじゃなく、海外の山も歩いてみたいと思っています。」
●海外の方も、山に対する信仰心ってあるんですか?
「国によって全然違います。すごく分かりやすい例を言うと、西洋では山の頂上に十字架が立っていたり、マリア様の像が立っていたりするんですけど、かつて彼らにとって、山は脅威で悪魔だったんですね。なので、山の頂上に立つことでそれらに打ち勝ったという考え方をしていたんです。これだけでも、日本と西洋では山に対する見方が全然違うじゃないですか。」
●確かにそうですね。今後、どんな山に登るのか、具体的に決まっていたりするんですか?
「昔はリゾート地へ旅行に行くことが好きだったので、バリ島によく遊びに行ってたんですけど、そのバリに“アグン山”という聖なる山があって、そこに登ることができるので、これまでとは違う旅の形として行ってみたいなと思って、計画しています。」
●是非とも、そのバリの山を登ったら、またこの番組でお話を聞かせていただきたいですし、是非とも山でのテント泊を一緒にしたいですね!
「これからいい時期ですし、“こんなのでできるんだ”と思うぐらい気軽にできると思うので、是非とも一緒にしたいですね!」
実はKIKIさん、お酒が大好きで、山小屋に泊まるとお酒を飲むのがひとつの楽しみだそうです。ちょっと意外なKIKIさんの一面ですね。
ありのまま自分を受け入れて、ありのままの自然を感じる。それが山を楽しむ第一歩。そんなことをKIKIさんのお話をうかがいながら、学ばせていただきました。
平凡社/定価1,620円
KIKIさんの新刊となるこの本は、世界の9つの山を巡った旅のフォトエッセイ集。エベレスト街道から屋久島まで、KIKIさんらしい視点で書かれたエッセイとなっています。とても雰囲気のある写真は見応えがありますよ。
宝島社/定価1,512円
KIKIさん初のコーディネイト&ライフスタイル・ブックとなるこの本は、アウトドアや写真などの趣味やライフスタイルはもちろん、自宅のインテリアなども紹介します。もちろん、KIKIさんらしいファッションも見所ですよ!
KIKIさんは現在、愛媛県松山市の道後温泉で開催されているアートフェスティバル「道後オンセンナート2014」に作家として参加、ホテルの一部屋をアートとしてデザインされています。
その他の情報などはKIKIさんのオフィシャルサイトやブログをご覧ください。