今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、竹内雅絵さんです。
森林に関心を持つ首都圏の女性たちが2011年秋に結成した“林業女子会・東京”。現在70人ほどのメンバーが集い、活動をされています。そこに所属する竹内雅絵さんは学生時代から森に興味を持ち、大学では林業を勉強。現在はハウスメイカーに勤務しながら、林業女子会の活動も行なってらっしゃいます。今回はそんな竹内さんに、女子会での活動や、日本の森への思いなどうかがいます。
●この番組では、“山ガール”や“野ギャル”など、アウトドアで活躍する女性を度々ゲストにお迎えしていますが、今回は“林業”です! 今週のゲストは、林業女子会・東京の竹内雅絵さんです。よろしくお願いします!
「よろしくお願いします!」
●竹内さん、林業をやってるんですね?
「はい。やってます」
●何がキッカケで林業をやるようになったんですか?
「私の場合は、中学・高校のときに親の仕事の都合でドイツにいたんです。ドイツは森が身近にある国で、それを感じたときに『日本はどうだったんだろう?』って気にするようになったんですね。それがキッカケで森や林業のことを考えるようになりました」
●ドイツと比べて、日本はどうでしたか?
「日本には森や木がたくさんあって、車を運転しているときとかによく見るんですが、実際に森の中に入ったことがあるかといわれると、入ったことがなくて、行ったとしても公園など、整備されたところばかりだったんですね。だから、日本の森は意外と身近に感じられてないなと思いました」
●このままじゃダメだと思ったんですね。この“林業女子会・東京”って、どんな団体なんですか?
「林業女子会・東京は、“次世代に豊かな緑と暮らしを繋ぐ”ことを活動理念にして、メンバーが企画を立ち上げて活動をしています」
●ちなみに、竹内さんはそこでどんなことをしているんですか?
「私は“森づくり”として、千葉県市原市に“林業女子会・東京の森”を作って、そこで土日に行って林業を行なう“週末林業”をしています」
●“週末林業”ですか。かなり気になりますが、そのお話は後ほどうかがいます。
“林業女子会・東京”という名称ですから、他にも林業女子会があるんですよね?
「はい。2010年に“林業女子会・京都”が最初に作られ、今では11団体あります」
●全国にあるんですね!
(*京都や東京のほかに、石川、兵庫、岐阜、長崎、愛媛、静岡、栃木など)
「その中でも、3団体はつい先日できたばかりで、まだ増えていっています」
●それだけ、林業に興味のある女性がいらっしゃるんですね!
「そうですね。“林業”といわれると固いイメージがあると思いますが、森林や木で作られたものを考えたら興味が出てくるんですね。でも、『どうやってやればいいのか分からない』というときに私たちのことを知って、一緒に参加してくれる方が多いです」
●林業って、男性の仕事というイメージがありますが、森林という大きなくくりでいうと、お子さんがいる女性など、森林に興味を持っている女性が多そうですよね。
「そうですね。最近では“木育”や“森のようちえん”など、森の中に入ったり木のものを使った方が、子供の成長にもいいと言われているので、興味のある方も含めて色々な方が活動しています」
●竹内さんはどういったキッカケで林業女子会・東京に入ったんですか?
「元々、森にすごく興味があったんですが、それを共有できる女性がなかなかいなかったんですよ。木のことも含め、それを共有できる林業女子会が楽しかったんですよね」
●林業女子会では、みんな竹内さんのような人ばかりなんですね。
「林業を語り出すと止まらない人が多いですね(笑)」
●竹内さんは“週末林業”ということで、土日に千葉県市原市の森で活動されていますが、平日は普段のお仕事をされて、週末は林業をするといった感じなんですね。
「そうですね。林業女子会・東京のメンバーには、林業を仕事としている人がいないんですよ。そういった方が林業をできるようにするために、先ほども言いましたが、市原市に“林業女子会・東京の森”というところを作って、女子だけで林業を行なっています」
●どんなところなんですか?
「千葉県市原市の東国吉というところの地主さんから場所をお借りし、地元の森林ボランティアの“ふれあい千葉”の方々からやり方を教えてもらいながら作業を行なっています。緑がすごく多くて、セミやカエル、スズムシの鳴き声をじっくり聴きながら景色を見るとすごく癒されますし、作業をすることで体を動かすので、リフレッシュになりますね」
●具体的にはどういった作業をしているんですか?
「時期によってやることが変わってくるんですが、今の時期だと草がどんどん生えてくるので、草刈機で雑草を刈る“下草刈り”をしています」
●下草刈りって、結構大変な作業だと聞いたことがあるんですが、どうなんですか?
「真夏に黙々と作業をすると、すごく大変なんですけど、週末林業の中では一番人気の作業なんですよね」
●そうなんですか!? なんで一番人気なんですか?
「“達成感”があるんですね。下草刈りは草刈機を使うので危険なんですけど、気をつけながら作業するんですが、やればやるほどハマっていくんですよね! 初心者の方もよく参加してくださるんですが、その方が黙々とやり続けるということもあるぐらいなんですよ。やっていると止まらなくて、終わると『こんなにも刈ったんだ!』っていう達成感がすごくあるですよね」
●下草刈りって、達成感が得られるんですね!
「人気で、『すごく楽しかったー!』って帰っていく方が多いですね」
●林業女子会の皆さんが作業している動画を見せていただいたんですが、チェーンソーで木を伐り倒してたじゃないですか。その姿が勇ましくて、カッコいいなと思いました。あれは皆さん、訓練をされているんですよね?
「そうですね。チェーンソーは草刈機よりも危険な道具で、自分もそうですが、他人を傷つけてしまうこともあるので、“チェーンソー講習”が全国で開催されているんですが、そこで講習を受けて免許を取得した人がチェーンソーを使った活動をしています」
●竹内さんも使っているんですか?
「私も最近ようやく講習を受けて免許を取得して、活動ができる状態になりました」
●ということは、まだチェーンソーを使った活動はしてないんですね?
「いや、1本伐りました!」
●どうでしたか?
「緊張しました。木を倒すときって、伐り方によって、どの方向に倒れるか変わってきますし、思ったように倒すのって職人技なんですよね。それに、チェーンソーも危険なので、そういったところに1つ1つ気をつけながらやるとすごく大変なんですけど、『もっと練習したい!』って思いました。やり始めると止まらないですね!」
※林業女子会のメンバーが主に活動している、千葉県市原市東国吉ある“林業女子会・東京の森”では、どんな種類の木を伐っているのでしょうか?
「スギとヒノキですね」
●大体何年ものですか?
「40~50年ものが多いですね」
●倒すとかなり迫力がありそうですね。
「20メートルぐらいの高さがあるので、倒すときはものすごい音がしますし、私たちは安全なところにいるとはいえ、下にいるので、ビクビクしながら見ています」
●それで伐った木はどうしているんですか?
「私たちの森で使う木の机とベンチを作るのに、加工して使っています」
●自分で伐った木で作ったベンチの座り心地はどうですか?
「愛着がわいて仕方がないです!(笑) 作ったのが1年前なんですが、姿も変わっていったりして、その姿が変わっていくのを見るのも面白いですね」
●それって、木材の魅力の一つですよね!
「風合いが出てきたり、その森に馴染んできてますね」
●そう考えると、木材って、人に優しいイメージがあります。
「森の中にいるだけでリフレッシュされると思いますが、都会で生活している中でも、木材のものだったり、部屋の中で木のものが使われているところがあるだけで癒しだったり優しさを感じると思います。そういったものが好きな人が多いですね」 ※最後に“林業女子会・東京”の今後の活動についてうかがいました。
「私たちは、森づくり活動として奇数月の第2土曜日に千葉県市原市の林業女子会・東京の森で森づくり活動を行なっています。それとは別に偶数月の第2土曜日に“定例会”といって、都内で森に関することをみんなで話し合ったりしています。毎回、初めて参加される方がいるので、『林業って何をしているんだろう?』とか『国産材を使うってどういうことなんだろう?』といった感じで、ちょっとでも森に興味がある方は是非参加していただいて、私たちと森トークをしましょう!」
●楽しそうですね!
「色々な世代の方がいらっしゃるので、林業だけじゃないガールズトークもできるのが、林業女子会ならではだと思います」
●竹内さんご自身は今後どういった活動をしていきたいですか?
「林業のファンを増やしたいですね。今まで林業を全く知らなかった人に『林業ってこんなにも楽しいものなんだ』とか『国産材ってこんなにも大切だから、使っていかないといけないね』って思っていただけるようにして、そういう人を1人でも多く増やしていきたいなと思います。今は“木育”とか言われていますが、お子さんが使う積み木や木のおもちゃが最近注目を集めていて、そういう商品はお母さんたちの目線が活きている商品だと思います」
●最後に竹内さんにとって“森”とはどんな存在ですか?
「私にとって“森”はエネルギーをもらってますが、同時にパワーを与えたい存在です。そして、色々な繋がりができるところだと思っています」
日本の国土の約7割が森。その中でも人工林は植林してから30年~50年経っているので、今、収穫期を向かえています。ところが、そんな国産の木はあまり使われていないそうです。日本の木材自給率は3割弱。7割強は輸入材を使っています。せっかくあるのに日本の木を使っていないのは、なんだかもったいない気がするのですが、みなさんはどう思いますか? もしかしたら、日本の林業の未来を、林業女子の皆さんが、女性ならではのアイデアで変えてくれるかもしれませんね。
森林に関心を持つ首都圏の女性たちが2011年秋に結成した林業女子会・東京の活動は毎月第2土曜日。奇数月は千葉県市原市国吉の“林業女子会・東京の森”で森林整備活動。偶数月は都内で森や自然のことなどを気ままに語り合う集いを行なっています。また、日本全国の森をめぐる“森めぐり”という活動も行なっていて、森林はもちろん製材所や木工の工房などを訪ね、ブログやフェイスブックで発信しています。メンバーも随時募集中ということなので、詳しくは林業女子会・東京のブログやフェイスブックをご覧ください。