今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、森山直太朗さんです。
シンガー・ソングライターの森山直太朗さんは大のキャンプ好きで、仕事で忙しくても合間をぬって、お友達とキャンプに出かけるそうです。今回はそんな森山さんに、森山さん流のキャンプの楽しみ方、そして、音楽と自然のお話などもうかがいます。
●今回のゲストは、シンガー・ソングライターの森山直太朗さんです。よろしくお願いします!
「よろしくお願いします」
●森山さんはキャンプが大好きなんですよね?
「そうなんですよ。よくご存知ですね!(笑)キャンプっていっても、色々なやり方があるじゃないですか。テントを張って寝袋で寝たり、キャンプファイアーをしたりすると、1日、2日かかるじゃないですか。それはそれで楽しいんですが、僕がよくやるのは、半日ぐらい休みができたとすると、朝からキャンプできるような場所に行って、夕方ぐらいまでお茶したりサンドイッチ食べたりしながらのんびりして、近くにある温泉に入って帰るっていう“デイ・キャンプ”をしてますね」
●近場のキャンプ場に行くことが多いんですね。
「そうですね。『キャンプに行く!』となると、毎回しっかりとした準備をしないといけない感じになるじゃないですか。でも、デイ・キャンプだと気軽に行けるので、ちょっとでも時間ができたら行けちゃうから、週に1回は行きますね」
●週1キャンプですか! いいですね! そもそも、キャンプにハマったキッカケって何だったんですか?
「祖父が釣りやキャンプといったアウトドアが好きな人で、子供のころから一緒に行ったりしていたんですね。それと、キャンピングカーって、大体の男の子なら憧れる存在だと思うんですが、僕も憧れがあったんですね。それに、僕の中学時代からの友達にキャンプが好きなやつがいて、『気晴らしにどっか行きたいよねー』『じゃあさ、出たとこ勝負で、車でどっか行ってみようよ!』っていうことで。厚木の清川村というところにはキャンプ場がいくつかあるんで、そこに2人で行って、コーヒー飲んだり、バーベキューとまではいかないまでも、ちょっとした料理を食べながらのんびりしたりするようになったのがキッカケですね」
●ということは、小さいころからそういうことに触れる機会があったけど、改めて、大人になってハマったということなんですね。
「去年ぐらいからハマり始めましたね」
●子供のころ、家族でキャンプに行ったりしたんですか?
「人並み程度にはありました。小学5年生のころ、カナダに行ったことがあるんですけど、そのときに本場のキャンピングカーに乗せてもらったことがあるんですね。そのときのことは今でも覚えてます。車の中に家があるみたいで、感激でした! 向こうって道路も大きいし、色々なものがいちいち大きいじゃないですか。でも、日本で同じようなことをしようとしたら、北海道ぐらいしかできないじゃないですか。だから、大きなキャンピングカーを買うのは本腰入れないと買えないですよね。でも、いつか購入したいなと思います」
●やっぱり、“家が動くのがいい”んですか?
「それってどうなんですかね?(笑) 家が動くと興奮する男ってどうですか?(笑) 大丈夫ですか?(笑)」
●ごめんなさい、私の表現が悪かったです(笑)。でも、キャンピングカーって、基地みたいな感じがしますよね。
「そういうことです! テントを張るのもいいんですが、車でそういう風なことができるっていうのがいいんですよね。だから、いつかギターを2、3本積んで、バンドメンバー2人ぐらいと一緒にキャンピングカーに乗って全国を放浪する旅とかしたいですね。ここで約束します。いつになるか分からないですけど、絶対にします! もしかしたら、74歳ぐらいの春頃になるかもしれないですが(笑)、絶対にやります!」
●森山さんはキャンプのときに料理をするとおっしゃっていましたが、定番のメニューってあるんですか?
「ありますね。さっき話したとおり、あまり手間をかけたくないんですよ。“豚飯(ぶためし)”というのがあるんですね。響きがエキセントリックすぎるかもしれないですけど、豚の厚切りロースを、ナンプラーと寿司酢とハチミツとニンニク、そして赤唐辛子のみじん切りを混ぜた特製のタレに25分ぐらい漬けるんです。その後、そのお肉を焼きます。そこに葉っぱのままのバジルを少し入れて炒めます。できあがったら、ご飯の上に乗せて、かぶりつきます」
●調味料から推測すると、辛くて酸っぱそうですね。
「それにバジルとかもあるので、エスニックっぽい感じになると思いますね。こんなことがあるんなら、作ってくればよかったですね!(*スタジオの外にいるスタッフに向かって)え? ある? なーい!(笑)」
●すっかり騙されました(笑)。
「そんなすぐには出てこないですよね(笑)。ただ、山で食べるから美味しいっていうのもあると思うんですよね。場所やシチュエーションで美味しく感じるというのもあると思います。でも、“豚飯”は家で食べても美味しいと思いますよ」
●それをいつも作って、みんなに振舞っているんですか?
「そうですね」
●いいですね! 森山さんはキャンプでの焚き火がお好きなんだそうですね?
「そうなんですよ。焚き火は泊まりのキャンプのときによくやるんですけど、よく“鍋奉行”とかいるじゃないですか。僕はいわば“焚き火奉行”で、焚き火をやるとお酒を飲みながら語り出すんですよ。春とか秋にやると、夜寒いので、火を絶やしたくないんですよね。もしかしたら、寒さとか関係なく、火を絶やしたくないっていう思いは人間の本能なのかもしれないですね。別に絶やしたからといって、それほど困らないじゃないですか。でも『絶やしちゃいけない』っていうマインドが働くんですよね。だから気がつくと、朝5時頃までずっと(薪や枝を)くべてるんですよ。分かる人には分かる気持ちだと思います(笑)。もしかしたら、リスナーの方にも焚き火奉行いると思いますよ」
●私も、奉行とまではいかないですけど、焚き火を見ると安心したり、心がホッとするんですよね。
「それは誰でもあると思います。むしろ、ホッとする前にボーっとするんですよね。ただパチパチと火が燃えている様を見たり、燃え上がっている様子を前にして無心になって、人の話も聞いているのか分からないような状態になるんです。個人差はあるにしろ、目まぐるしく生きている中で、ああいう時間というのがすごく大事なんですよ。ただ単にみんなと遊んだり、ボーっとしたりして、なんの変哲もない時間を過ごす。それだけでいいんです」
●森山さんの作品のタイトルには、“桜”や“花鳥風月”など、自然にまつわるタイトルが多いなと思ったんですが、意識されて付けているんですか?
「よくそういう風にいっていただくことがあるんですけど、実はそういうことに疎いんですよ。僕は東京に生まれて育ったので、もしかしたら、そういう描写に対する憧れがどこかにあるのかもしれませんね。もしかしたら、本当の大自然の中で生活している方にとっては『そんな素晴らしいことだけじゃないよ』といわれてしまうかもしれないですが、そういうことも含めて憧れやイメージがあるのかもしれないですね」
●だからなのか、森山さんが書かれる歌詞の中の、自然の描写が美しくて、その風景が浮かんでくるんですよ。それはもしかしたら、憧れがあったからなんですね。
「そう話してて思ったんですけど、憧れってきっと“自分もそうありたい”という憧れなのかもしれません。例えば、キャンプに行っていると、小鳥の鳴き声とか川のせせらぎ、木々のさざめきが聴こえる中で、子供たちが川で無邪気に遊んでいる音って同じじゃないですか。これが電車の中で子供が騒いでいると『うるさい!』といわれることがあるじゃないですか。同じ楽しく遊んでいる声なのに、環境によって違うように聴こえるんですよね。これは音楽も同じなんですよ。
自然の中だと全てのものに対する境がないんですよね。それに対する憧れがあるのかもしれないです。僕も最終的には『あんな響きだったらいいなぁ』って思っているんだと思いますね。赤ちゃんってあんなに小さいのに、泣き声はビックリするぐらい大きいじゃないですか。ピュアであればあるほど遠くまで届いて、害がないんだと思います。そういうことをどこかで理想としていると思いますね」
●森山さんも自然の中に行ったら、“理想の音”がどこかで鳴っているんじゃないかと、意識して聴いたりしているんですか?
「そういうことをこの前思いましたね。聴き耳を立てているわけではないんですが、日記みたいなものをつけるんですね。川が流れていて木々が揺れていて、色々な虫の鳴き声が聴こえている。自然の中にいると、そういう音が明確に色濃く五感を刺激するんですね。そういう音がたくさんあるんですよね。『それ以上のBGMってあるのかな?』と思うぐらい、いわゆる“癒し”みたいなものを感じたりしますし、健やかな時間を過ごせます」
※ここで放送では、森山さんの「夏の終わり」を聴いていただきました。
●実は今驚いたんですが、「森山さんの曲を聴いていると、五感に響くな」と思ったんですね。温度を感じたり、匂いを感じたり、風を肌で感じたりする曲が多いなと思いました。
「ありがとうございます。もちろん、耳で聴いて心で感じたりすると思いますが、結局僕が創っている曲って、ただの“景色”なんですよね。その景色は半径3メートル以内の実体験もあれば、目に見えるものがあるけど、その奥には『僕たちはまだ生きている。今日もまた生きてみよう』と思っていて、これからもそう思っていて、そして自分なりの“ほのかな企み”みたいなものをみんな抱えて生きていると思うんですね。だからみんな孤独だし、その条件はみんな同じだから、そういうメビウスの輪があると思うんです。
言葉にはしないけど、匂いや記憶が実体験からきたり、『記憶にないけど、記憶にある!』といった感覚的なものを、音楽を通して刺激し合えたり、僕もそれを発見したいから、創作活動や表現活動をしていたりするので、そういう風にいっていただけると、ものすごくありがたいですね」
●最後に、森山さんが考える“自然”と“音楽”の共通点って何だと思いますか?
「音楽は自然であるべきだし、自然は音楽であるべきだと思うんですよね。木々や緑、山や石だけが自然じゃなくて、僕たちも自然の大いなる営みの中で呼吸するいち生き物なので、みんなが声を掛け合ったり、奏でてるものが音楽だと思うんですよね。そういう意味では、音楽は自然そのものであるべきだと思いますね」
●確かに、見方が違うだけで、本質的には全部同じなのかもしれないですね。
「そうですよね。そして、これからの音楽に可能性があるのは、一瞬でもいいですけど、できればできるだけ長く、『私は○○で、○○は○○で』といった境をなくすことができるんじゃないかと思っていて、その伸び代があると思っています」
●森山さんには、その伸び代を突き詰めていただいて、キャンピングカー・ツアーも楽しみにしています! では、最後に森山さんのニュー・シングルを聴きながらお別れしたいと思います。曲紹介をお願いします。
「“若者たち”を聴いてください」
※ここで放送では、森山さんの「若者たち」を聴いていただきました。
森山さん流「週1キャンプ」。お話を聞いているだけでも楽しくなっちゃいました。特にこれからの季節はキャンプにピッタリのシーズン! 森山さんのように五感を研ぎ澄ませ、全身に自然を感じに行きたいですね。
ユニバーサルミュージック
/UPCH-80371/本体価格1,200円
森山さんのニュー・シングルとなるこの曲は、現在放送されているテレビドラマ「若者たち2014」の主題歌で、カヴァー曲です。森山さんらしい素晴らしい仕上がりになっています。
森山さんの待望の全国ツアーが、来年1月よりスタートします! チケットの発売は9月6日から。その他、出演番組などの情報も載っています。詳しくは、森山さんのオフィシャルサイトをご覧ください。