今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、ヨハンソン弘美さんです。
今年大ヒットした映画と言えば『アナと雪の女王』ですよね。その中でトナカイと暮らす山男「クリストフ」という青年が登場したのを覚えていますか? 実はこの「クリストフ」、サーミ人という先住民族をモデルにしているそうです。
そんなサーミ人が暮らしているのは北欧のスウェーデン。スウェーデンは日本の国土の1.2倍の面積で人口は約960万人。北部は北極圏に位置し、太陽が一日中沈まない白夜があったりします。クマやオオカミ、イノシシ、ヘラジカ、キツネ、ノウサギが多く生息しているそうです。南部は比較的温暖だそうです。国土の約7割はマツやトウヒなどの針葉樹林に覆われ、森林率ではフィンランドに次いで世界第2位なんです。
今回はそんな自然豊かな国スウェーデンにフォーカス! ゲストは、スウェーデン大使館・観光文化センターのプロジェクト・コーディネイター「ヨハンソン弘美」さんです。ヨハンソンさんはご主人がスウェーデンの方で、旦那様の仕事の関係で今は東京にお住まいですが、夏にはスウェーデンのサマーハウスでご家族と一緒にゆったり過ごされるそうです。今回はそんなヨハンソン弘美さんに、スウェーデンの人々のライフスタイルのお話などうかがいます。
●今回のゲストは、スウェーデン大使館・観光文化センターのプロジェクト・コーディネイター、ヨハンソン弘美さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
●もうすぐクリスマスですね。スウェーデンでは先日、サンタさんの世界一を決める大会が開催されたそうですね?
「そうなんです。イェリヴァーレという北スウェーデンで開催されまして、今年は日本のサンタさんが優勝されました!」
●そうなんですよ! その大会は競技を競ったりするんですか?
「そうですね。例えば、“ミルクがゆの早食い”があります」
●それって、サンタさんと関係あるんですか!?
「実は関係があるんです。サンタクロースの元になったと言われている“トムテ”という森の妖精がいるんですが、クリスマスの時期になると、子供たちはミルクがゆを家の外に出して、トムテに捧げているんですね」
●サンタさんって、元々は森の妖精だったんですか?
「そうです。スウェーデンでは、森の妖精がヤギに乗ってプレゼントを持ってきてくれるといわれていたそうです」
●ヤギなんですか!? スウェーデンといえばトナカイじゃないですか! それは面白いですね(笑)。他には、どういった競技で競うんですか?
「トナカイのロデオマシーンにどれだけ乗っていられるかとか、プレゼントの早積みといった競技も行なわれたそうです」
●サンタさんも大変ですね(笑)。森の妖精がサンタさんの元となっているというところを考えると、スウェーデンって、森とすごく密接な関係にあるんだと感じました。
「私たちは“森の民”と呼んでいます」
●それだけ、森と共に歩んできたんですね。
「そういう点では、日本と共通点があるかもしれないですね」
●スウェーデンというと、“環境先進国”というイメージが強いんですが、スウェーデンの人たちは環境を、かなり意識されているんですか?
「そうですね。意識が非常に高いと思います。スウェーデンには“アレマンスレッテン(自然享受権)”というユニークな権利があります。これは、全ての人が自然の中に自由に入ることができて、活動をすることができる権利です。例えば、個人が所有している土地でも、勝手に入ってキノコを取ったり、ベリーを摘んだりすることができます」
●それは日本じゃ考えられないですね!
「でもこれは、全ての人が自然や環境を守っていく責任や義務を担っているという風にも言い換えることができます」
●みんなのものだから、みんなで楽しんで、みんなで守っていこうということですね。
「そうなんです。なので、スウェーデンの人々は、自然保護に対する理解が幼いうちからしっかりと根付いています」
●それは子供のころから家庭や学校などで教えられているからなんですね?
「そうです。例えば、キノコ狩りに子供と行くとすると、私もそうですが、食べられないキノコを採ってしまうときがあるんですね。そうすると、スウェーデン人から『これは食べられないけど、生えてた場所にそっと返しておきなさい』とよく言われます。食べられないキノコであっても、森の生態系の中でそれぞれ役目があるので、その生態系を尊重する考えからだと思います」
●そういうことを教えると、子供たちはどういった反応を見せるんですか?
「小さいころからそういう風に言われているので、“自分たちの手で自然を壊してはいけない”ということが身に付いているんじゃないでしょうか」
●机上の空論ではなく、自分で体験しながら学べるというのがいいですよね。学校でも、環境教育は熱心に行なわれているんですか?
「はい。学校でも熱心に教えています」
●私は以前、「土に還るものと還らないものを学校で教えられて、土に還らないものは繰り返し使えないから、使うのをなるべく少なくしようという教育がなされている」とうかがったんですが、実際はどうなんですか?
「“ゴミを少なくする”ことを徹底させてますね。スウェーデンから日本に帰ってきたときに驚いたのが“ゴミの量”です。日本では色々なものを個別包装しますよね。スウェーデンでは、ゴミがあまり出ないようになっています。例えば、ペットボトルは全てリユースされます」
●ということは、買い物のときに、商品を選ぶ段階でリユースすることとかを考えていたりするんですか?
「ありますね。日本でも炭酸水を飲むことがあると思いますが、スウェーデンの家庭では炭酸水を自宅で作れる機械を持っていることが多いんですね。それは、水道水が美味しいということもありますが、自宅の水道水で炭酸水を作れば、ペットボトルが必要なくなりますし、ペットボトルを輸送しなくてよくなるので、炭酸水は自宅で作っています」
●自分で作った炭酸水は美味しいですか?
「はい。スウェーデンでは水道水で作っても、すごく美味しい炭酸水が作れます」
※スウェーデンの人たちは、アウトドアをどのように楽しんでいるのでしょうか?
「スウェーデン人にとって、自然はなくてはならないもので、自然との関わりを楽しむアウトドアは生活の一部になっています。なので、週末は外に出かけますし、雨が降っていても彼らは出かけます」
●そうなんですか!? 私たちは雨が降っていると「今日は外に出るのは止めておこう」って思っちゃうんですけど、彼らはそうじゃないんですね。
「そうですね。雨が降ってるからといって、外に出るのを控えることはないですね。それは幼稚園や小学校でもそうです。雨が降っていようが雪が降っていようが外で遊ぶことは大事だと考えていて、みんな外に出かけていきます」
●確かに考えてみれば、雨も自然の一部ですよね。よく映画とかで見るシーンですが、ヨーロッパの方たちって、外でティーパーティをしたりするじゃないですか。
「スウェーデンの人たちも大好きですね。少しでも晴れると、朝ごはんとか外で食べますね。夏は天候が変わりやすかったりするんですが、雨雲が見えると『(家の)中で食べた方がいいんじゃないかな?』って思うじゃないですか。彼らは少しでも晴れていると、外のテーブルでランチを始めたりするんですね。そうすると、案の定雨が降ってきます。そのときは食べ物とかを中に持っていくんですが、晴れるとまた外に持っていくんですね。日本人の私からすると『面倒くさいなぁ』って思うんですが、彼らは『外で食べると美味しいなぁ』って言ってますね(笑)」
●(笑)。それは、日差しを浴びていたい願望が強いからなんですか?
「そうですね。冬が長いので、太陽に対する想いが強いんです」
●皆さんお日様のありがたみを感じているんですね。
「私たちも想いが強いと思います。そして、太陽がキレイなんですよね。緯度の関係かもしれませんが、キラキラとした透明感のある光なんですよ」
●それは浴びたくなりますね。
「スウェーデンにいると、優しさに包まれる時間が流れている気がします」
●それは、スウェーデンの豊かな自然が、その時間をもたらしてくれるんですか?
「そうですね。それに、スウェーデン人は人を大切にするし、自然や動物も尊重します。(スウェーデンは)“思いやりの国”なんじゃないでしょうか」
※スウェーデンでは、春や夏にはトレッキングやカヤックを楽しめるそうですが、冬はどんな楽しみ方があるのでしょうか?
「スウェーデンの冬といえば、オーロラが有名です」
●オーロラというと、カナダやアラスカというイメージが強いんですが、スウェーデンでもオーロラを見ることができるんですね。
「そうですね。北欧の方だと、夜6時ぐらいから、夜中までオーロラが出ています。他の地域だと、夜遅くまで起きていないとオーロラが出てこないということがありますが、そこだと、旅行客の方々も見やすい時間帯に出てきますので、オススメです」
●それはいいですね! あまり遅い時間だとお子さんは見ることができないですよね。オーロラにも色々なタイプがあると思うんですが、どうなんですか?
「オーロラというと、月の光も邪魔になるぐらい微妙な光なんですが、スウェーデンの北の方はオーロラを邪魔する光害がすごく少ないので、とてもキレイなオーロラが見えます。また、オーロラだけじゃなく、星もすごくキレイですし、水に浮かんだ月などもキレイなので、空の観察を楽しめる国ですね」
●スウェーデンは、オーロラを見られる確率がカナダやアラスカよりも高いと聞いたことがあるんですが、実際はどうなんですか?
「今“オーロラ・チャンス世界一”といわれています。その場所は“アビスコ国立公園”、スウェーデンのラップランドの玄関口でもあるキールナから車で約1時間ぐらい行ったところにある国立公園で、ここはなんといっても、晴天率が非常に高いんです。オーロラは常に出ているんですが、雨が降ったり雲がかかったりすると見えなくなります。その点、晴れる日が非常に多いので、8月の終わりから翌年の3月にかけて、オーロラを見ることができると思います」
●オーロラを見るためには、最低でも何週間かいないと見ることができないとよく言われますが、比較的短い期間でも見る確率が高いんですね?
「そうですね。私たちは、アビスコ国立公園まで行って3日間滞在していただければ、オーロラを必ず見ることができると案内しています」
●3日でいいんですか!? それだと、お仕事とかでなかなか長期のお休みを取れない方にとっても行きやすいですね!
「普段はデンマークのコペンハーゲンで乗り換えていただくことになるんですが、今年は12月23日にスカンジナビア航空で、成田-キールナの直行便が飛びます」
●その時期に行くのが一番いいんですね?
「そうですね。そうすれば、10時間もかからないで北極圏にたどり着くことができます」
スウェーデンの方たちの自然に対する考え方のお話はどれも興味深かったのですが、特に“アレマンスレッテン(自然享受権)”という権利のお話が印象的でした。もちろん責任ある行動が求められますが、例えば、野生の木の実やキノコを採ったり、野生の花を摘んだり、誰かの土地を散歩させてもらったりと、自然を楽しむ権利が誰でも保障されているなんて、スウェーデンはすごくステキな国なんだと、改めて感じました。
この時期のアクティヴィティとしてはほかにも“犬ぞりツアー”“先住民族サーミ人のガイドによる乗馬ツアー”“世界遺産ラポニア地域でのスキーツアー”などがあります。
そして、首都のストックホルムから、それほど遠くない場所に島が約24,000もある“ストックホルム群島”があります。ここはスウェーデンの人たちが国内で一番行きたい場所で、島々と海が織りなす、うっとりするような景色が広がっているそうです。これは夏にオススメです!
スウェーデンの観光について詳しくは、スウェーデン大使館公認の観光情報サイト「レッツ・ゴー・スウェーデン」をご覧ください。