今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、浪花伸和さんです。
環境省・自然環境局・国立公園課の浪花伸和さんは、“三陸復興国立公園推進チーム”のメンバーとして、“みちのく潮風トレイル”の整備ほか、広報活動に力をいれてらっしゃいます。このトレイルは全線が開通すればなんと700キロにも及ぶロングトレイルです。
番組では以前から国内外のロングトレイルに注目し、まだ“東北海岸トレイル”と呼ばれていたころの2013年3月に、当時大学生で、現地調査スタッフとして活動していた後藤駿介さんに出演していただき、お話をうかがったことがありました。
今回は浪花さんに、“みちのく潮風トレイル”の最新情報や、オススメの区間のお話などうかがいます。
●今回のゲストは、環境省の浪花伸和さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
●浪花さんの名刺に“公園計画専門官”と書かれていますよね。どんなお仕事なんですか?
「日本には素晴らしい自然を有する地域がたくさんあります。そこを国立公園に指定する仕事をしています。それで自然を守って、国民の皆様に利用してもらうという取り組みをしています」
●具体的には、どういったところがあるんですか?
「今回のテーマになる“三陸復興国立公園”もその1つです。三陸のすごく大きな崖だったり、キレイなリアス式海岸も国立公園の指定地にして復興に貢献していこうという取り組みをしています」
●この番組でも何度か取り上げさせていただいている“みちのく潮風トレイル”も三陸復興国立公園の中にあるんですか?
「そうですね。三陸復興国立公園を縦断する形で設定されています」
●ルートはどこからどこまでなんですか?
「北は青森県八戸市から南は福島県相馬市ぐらいまでの約700キロを繋いで、ロングトレイルにしていこうという取り組みをしています」
●700キロとなると、かなり長いイメージがあるんですが、実際はどうなんですか?
「いわゆる“長距離自然歩道”と呼ばれているものは全国にたくさんあります。東京から大阪を繋ぐ“東海自然歩道”や、九州を一周する自然歩道などは1000キロを超えるんですが、1本で繋がって歩いていくロングトレイルは国内にはないものとなっていますね」
●他にどんな特徴がありますか?
「“みちのく潮風”と書いていますので、“海岸沿いの風景を楽しめる”というのが特徴です」
●やはり日本のトレイルというと山の中にあるイメージが多いんですが、海岸沿いを歩けるというのはすごくいいですよね!
「特に三陸は崖の景観がすごくいいところなので、オススメです。とはいえ、海沿いといっても、平坦なところを歩くというよりは起伏があるところを歩くと思っていただくほうがといいと思います」
●ハードな部分が結構あるんですね。
「ハードな部分が一部あります」
●三陸沿いを歩くということは、復興支援も含まれているんですよね?
「そうですね。歩いていただいて、そこに住む方々に会って会話してもらって、地域を元気付けていくというのが、このトレイルの目的の1つになっていますので、復興支援の1つとして考えています」
●復興支援の形は色々あると思いますが、ロングトレイルにこだわった理由はなぜですか?
「人との出会いという意味でいうと、車で景色がいいところをかいつまんで行くというより、歩くことで見えてくる人々の生活や文化、食べ物を味わっていただきたいですね。三陸沿岸は国立公園に指定されていて自然も豊かですので、是非皆さんに歩いていただきたいと思って、ロングトレイルの取り組みを進めています」
●“みちのく潮風トレイル”ですが、今開通している区間はどの辺りになりますか?
「北は青森県八戸市から岩手県久慈市までの約100キロで、南は福島県新地町から相馬市までの約50キロが開通しています」
●全長700キロになるトレイルの最初と最後が開通しているんですね。浪花さんはその2つの区間は歩いたんですか?
「全部ではないですが、ほとんどの部分は歩きました」
●どうでしたか?
「今6つの市町村(のエリア)が開通していますが、それぞれに特徴があるなと思いました」
●具体的には、どんな特徴があるんですか?
「例えば、(青森県)八戸だと海岸の景観が色々と変わって楽しめます。ウミネコがたくさんいたり、海岸線なのに植物がすごく豊かだったり、天然の芝生が広がっていたりと、短い区間でどんどん景色が変わるので、すごく楽しめるエリアとなっています。反対の南側にある(岩手県)洋野町だとウニの養殖をしているところがあったりと、産業の部分を楽しめるコースになっていると思います」
●それだと、途中で立ち止まってしまって、かなり時間がかかりそうなんですが、浪花さんは何日ぐらいでそれぞれのコースを歩いたんですか?
「私は、北側の100キロは4つの市町村のうち3つを3泊4日で歩きました。南側の2市町村は2泊3日かけて歩きました」
●その間はテント泊だったんですか?
「いえ、宿泊施設に泊まりました。沿線に電車が走っているので、何かあったら都市部に戻れるようになっています。私も朝一でコースに入って、歩いて戻るというのを繰り返しました」
●そういう歩き方もあるんですね。
「人それぞれの歩き方があると思います。ずっと歩く人もいれば、ゆっくり歩いて楽しんで都市部に戻るという人もいると思います」
●テント泊の場合は、どうすればいいのでしょうか?
「各区間の中に既存のキャンプ場があるので、そこでテント泊をすることができますが、営業しているシーズンが決まっているので、もしテント泊をされる方は事前に確認をしていただければと思います」
●他に事前に確認しておいたほうがいいことや、申請が必要なことってありますか?
「特に必要はないです。以前からある遊歩道を“みちのく潮風トレイル”として指定しているので、別途申請が必要なものとかはないです」
●例えば、「明日行きたい!」と思ったら、明日行ってすぐ歩くことは可能なんですね?
「はい、可能です! ただし、計画を入念に立てていただいた方がいいと思います」
※“みちのく潮風トレイル”が全て開通するのはいつ頃なのでしょうか?
「震災から5年となる平成27年度中に開通するように取り組んでいますが、復興の進捗が芳しくないところもありますので、今年度中の開通は厳しい状況になっています。ただ、早めに開通させて地域の復興に貢献することが目的ですので、できるだけ早く開通させたいと思っています」
●全線開通するためには、今後どのようなことが必要になってきますか?
「このトレイルは“道を地域の皆さんと一緒に決めている”というのが大きな特徴の1つになっていて、それによって、地域の皆さんに愛される道にしていきたいと思っています」
●どんな風に地域の方と決めているんですか?
「その地域の魅力的な場所や利用者に見ていただきたいところをうかがいながら、昔話をしていると、昔あった道のことを思い出して話してくださるんですよ。そんな感じで、地域の皆さんが(利用者に)歩いてほしいところを決めています」
●地域の方も協力的なんですね。
「自分の町なので、皆さん見せたいところがたくさんあるみたいなので、意見を多く取り入れながら、いい道にしていきたいと思っています」
●ということは、私たちが行っても地域の方々から声をかけてくれそうですね!
「そうですね。私も実際に歩きましたが、そのときの服装が歩くときの服装になっているので、地域の人から見ると“歩いているんだな”とすぐ分かるようです。そうすると“どこから来たの?”とか“今日はどこに行くの?”とか話しかけてきてくれます」
●私も“みちのく潮風トレイル”を歩きたいと思っていたんですが、女性1人で行くとなると、テント泊とか不安があると思うんですが、気軽にこのトレイルを楽しめる方法ってありますか?
「今開通している区間に限っていうと、沿線に宿泊施設が揃っているので、そういった施設を利用していただくのが一番いい方法だと思います。あとは、先ほどもお話しましたが、沿線に電車が走っていますので、何かあれば都市部へ戻っていただければと思います。
それと、女性の場合だとトイレの心配もあるかと思いますが、トイレを作るとなると、お金もかかりますし、管理も大変なので、今地域のお店とかにトイレの貸し出しができないかというお願いをしています。許可をいただいたところには“トレイルオアシス”といった形でご協力いただいています。お店の入り口にトレイルオアシスのシールが貼ってありますので、それを見ていただければ、お店の方にひとこと言っていただければ利用できるようになっています」
●この“みちのく潮風トレイル”を歩こうと思っているリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
「この取り組みは復興支援の一環として進めています。とはいえ、環境省だけでできる取り組みではなく、地域の方々にご協力いただきながら進めているので、まずは来ていただいて、東北の復興状況や東北の素晴らしさを見ていただいて、地域の方々と少しでも会話をしていただいて、東北を元気にしていただければと思います」
現在開通しているのは、青森県八戸市から岩手県久慈市までの約100キロと福島県新地町から相馬市までの約50キロの2区間。そう聞くとかなり距離がありそうな印象を受けるかも知れませんが、実はこの区間の中でも、さらに短いセクションに分かれていて、一番短い区間で14.4キロだそうです。これくらいなら、女性の私もゆっくり楽しんで半日くらいで歩けそうですよね。まずは、マップを取り寄せて、計画を立ててみようかなと思います。
現在開通している区間は青森県八戸市から岩手県久慈市までの約100キロと、福島県新地町から相馬市までの約50キロの2つの区間。
八戸から久慈までの100キロは4つの区間に分かれていて、一番短い区間で14.4キロ、一番長い区間で33.1キロ。新地町から相馬市までの50キロも2つの区間に別れています。
チェックポイントでスタンプを集めると、歩いた区間に応じて、特製のピンバッチかワッペン、踏破証明書が贈呈されます。また、郵送料がかかりますが、マップを取り寄せることもできます。
最新情報も含め、詳しくは、“みちのく潮風トレイル”のオフィシャルサイトをご覧ください。