今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、大平貴之さんです。
プラネタリウム・クリエイターの大平貴之さんは、光学式プラネタリウム“メガスター”シリーズや、世界初の家庭用プラネタリウム“ホームスター”シリーズなどを開発した、世界的に注目されているクリエイターです。そんな大平さんが、市川市にある千葉県立現代産業科学館で最先端の投影システム“12K MEGASTAR-FUSION”を使ったプラネタリウム上映会「悠久なる星の海へ」を開催するという情報を聞きつけ、急遽取材でお邪魔し、大平さんにお話をうかがうことができました。今回はそのときの模様をお送りします。
●今回のゲストは、ベイエフエムの地元、千葉にゆかりのあるプラネタリウム・クリエイターの大平貴之さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
●大平さんは千葉のことも詳しいんですか?
「子供のころに2年間ぐらい四街道に住んでいまして、ホタルを獲ったりしていました。あと、大学が千葉だったので、大学と大学院合わせて6年間住んでいました。それと、母の実家が千葉なんですよ。なので、千葉にはとても思い入れがありますね」
●そんな大平さんにお話をうかがっていきますが、今回、千葉県市川市にある千葉県立現代産業科学館にお邪魔しています。先ほど、今回のプラネタリウム上映会を見させていただきましたが、本当にステキでした。内容を言ってしまうとネタバレしてしまうので詳しくは言えませんが、あるシーンで星空が一気に広がって、鳥肌が立ちました! あれはプラネタリウムを見ているというより、リアルな星空を見ているような気持ちになりました。大平さんは小さいころから星空が好きだったんですか?
「星にも興味がありましたが、それ以上にモノを作ったり化学実験といった理科系的なところ全般に興味があって、そこに星に対する興味と掛け合わせたら、プラネタリウムになったという感じですね」
●とはいえ、実際に作るとなったら大変なんじゃないかと思うんですが、何歳頃から作り始めたんですか?
「最初は小学生のときに作りました。小学生のときは、夜光塗料を紙に塗って細かく刻んで張って星座にするという小学生なりのやり方で作りました。そこから、ボール紙に穴を開けてレンズを使わないで電球の光を使って壁に映すという“ピンホール式”のようなところから始めていきました」
●そのアイデアは、どこからきたんですか?
「夜光塗料は自分のアイデアです。ピンホール式は本の付録だったので、昔からあるアイデアを真似して作ってみました」
●そのときの気持ちは今でも覚えていますか?
「ピンホール式を作ったときは“あれ? こんなものかな?”といったガッカリした印象で、科学館のプラネタリウムだと星がもっとクッキリと写って“ああいう風にできないかな?”と考えてました。小学生のときに作ろうと思ってチャレンジしたんですが、とても小学生じゃ作れなくて、高校生までピンホール式を色々と改良してかなり大掛かりなものまで作ったんです。大学に入ってから科学館のプラネタリウムと同じようなものを作ることにチャレンジして、実現しました」
●実際にできるものなんですね?
「結局は人間が作るものなので、企業が作ったものでも、それを自分流にアレンジすればできますね」
●今回の上映会では、大平さんが作った歴代のプラネタリウムの映写機も展示されているんですよね。
「実物を展示しています。ここまで並んでいるのはここだけですね」
●どんなところを見てほしいですか?
「“徐々に積み上げていって、今のものがある”ということを感じてもらえたらいいなと思います。これはプラネタリウムに限ったことではないですが、子供や若い人が1つ1つ積み上げていくと自分のレベルが上がっていって、世の中に誇れるようなものができる場合があることを感じてもらえればいいなと思います」
●今、夏休みなので、親子で楽しめる星空ってありますか?
「お盆の時期になると里帰りして山奥に行ったりすると思います。そういった空気がキレイな場所に行くと、天の川がキレイに見えると思います。もし、天の川が見えなければ、太陽が沈んだあとぐらいに頭のテッペン付近を見ると、青白い星が見えますが、それが織姫です。そこから南に斜め45度ぐらいのところに見えているのが彦星です。七夕の星って、七夕の日にしか見えないと思っている方が多いと思いますが、実際は今の時期でも十分に見えます。織姫が上にあるんですが、現実社会と一緒で女性が上にいるんですよね。夜空も地上も変わらないと思っちゃいますね(笑)」
●(笑)。他にも、星空の見方を変えればちょっと面白くなるコツってありますか?
「織姫と彦星の間に白鳥座のデネブがあるんですが、二人の間に割って入るように見えるので、“夏の大三角関係”っていったりしています(笑)。あと、午後8時ぐらいに南の空が開けていると、“アンタレス”という赤っぽいさそり座の星が見えます。これは“サソリの心臓”という位置づけの星なんですが、ザリガニみたいな形の星座がアルファベットのSのように並んでいるのが見えるので、それを探してみてください」
※プラネタリウムという夢の空間を長年作ってきた大平さんは、星空、そして宇宙にどんなことを感じているのでしょうか?
「昔は“空に星が張り付いている”とか色々な解釈がありましたが、それからすると色々なことがかなり分かってきて、今では宇宙の年齢がいくつだとか、どのぐらいの大きさなのか、宇宙に星が何個あるのかといったことも分かってきました。それでも “宇宙がなぜできたのか”“僕らはなぜその宇宙に生まれたのか”という根本的なところが分からないんですよね。その問いに対して答えを出せるのか、それが一番の謎だと思います」
●大平さんは、それに対してどういった答えを持っていますか?
「最近思うのは、宇宙も進化と淘汰を経て生まれてきたものじゃないかと思うんですね。そうした中で僕らのような宇宙のことを考える生き物が存在するというのは、宇宙にとって深い意味があるんじゃないかという気がしています。それを考えること自体が、他の生き物との一番の違いじゃないかと思っています」
●大平さんは今後もプラネタリウムを通して、そういったメッセージを伝えていくんですね。
「そうですね。そういうのは、結局僕たち自身への問いかけになるんですよね。これはプラネタリウムというものが持っている社会的使命の1つだと思っています」
●今回、星空以外にも街の風景や自然の風景といったものもありましたが、それにもメッセージが込められているんですか?
「世の中にある全てのものに優劣はなくて、宇宙のスケールで考えると我々の日常はどうでもいいという考え方がありますし、人間が作った街の光のせいで星が見えなくなったということがあるんですが、僕は都会の夜景を見たときに“これは人間の営みが作り出した光で、星と同じように尊くて、そこに優劣はない”と思ってるんですね。もちろん相手は何光年というすごいスケールで全然違うんですが、スケールでいうと細胞や原子の世界だってあるんですよ。そうすると、宇宙の中に何かが存在しているという点では、どれも対等なんですよね。ホタルが光っているのも宇宙の彼方に光っているのも、宇宙の中に存在しているという点で全て同じじゃないかと思っているので、それを感じてほしいと思っています」
●大平さんが作られた“12K MEGASTAR-FUSION”は今後どんな風に進化していくんですか?
「いくつかの方向がありますが、1つはもっと大きな空間で星を出せるようになって、もっと表現が豊かになって、もっとリアルになるという正統派の進化を遂げていくと思います。それともう1つは、小さくなって、プラネタリウムという名前が付いていない場所で気軽に星空を楽しんだり、宇宙の映像に触れることができるようになったりと、もっと身近な存在になっていければいいなと思っています。最近では家庭用プラネタリウムがありますが、ああいったものでもっと色々できるだろうし、僕らも作っていきたいと思っています」
●最後に、このプラネタリウムを見にくる方へメッセージをお願いします。
「夏の暑い中ですが、星空と宇宙の世界のスケールに触れてみるのは、あなたの人生に大きな影響を与えるかもしれません。是非、千葉県立現代産業科学館で私たちの最高傑作である“12K MEGASTAR-FUSION”を見にきてください。お待ちしています!」
今回の上映会では大平さんが今までに作った歴代のプラネタリウム映写機も展示されています。特に大学3年生の時に作った3号機は見物ですよ! 当時、開発不可能と言われていたレンズ式の映写機は、現在のメガスターのベースにもなっているので、上映会に行かれた方は是非チェックして下さい!
現在、千葉県立現代産業科学館で開催されている大平さんプロデュースのこのプラネタリウム上映会では、最先端の投影システムMEGASTAR-FUSIONによる臨場感あふれる星空を体感できます。さらに、大平さんが今まで作った歴代のプラネタリム映写機も展示されています。特に、大学3年生のときに開発したレンズ式の3号機は見物です。
◎開催:8月23日(日)まで
◎詳しい情報:千葉県立現代産業科学館のホームページ
「宇宙への夢散歩」と題されたプラネタリウム上映会がオークビレッジ柏の葉で開催。 8月22日(土)の午後1時半からは大平さんのトークショーも開催されます。
◎日程:8月22日(土)と23日(日)
◎定員:50名
◎入場:無料
その他の最新情報を含め、詳しくは大平さんのオフシャル・サイトをご覧ください。