今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、EPOさんです。
今年デビュー35周年を迎えたシンガー・ソングライターのEPOさんは、今月16日に久しぶりのポップス・アルバム『愛を~LOVE IS ON~』をリリースされています。そんなEPOさんは現在沖縄暮らし。畑がついているお家を借りて、お野菜や果物を育ててらっしゃいます。きょうは主に沖縄ライフのお話をたっぷりうかがっていきます。
●今回のゲストは、シンガー・ソングライターのEPOさんです。よろしくお願いします!
「よろしくお願いします!」
●EPOさんは現在、沖縄で暮らしているんですよね。何かキッカケがあったんですか?
「両親が千葉に住んでいたんですが、東日本大震災のときに近所で火災があったりしたので、疎開させるために、(震災の)3日後に一緒に沖縄へ行きました。なぜ沖縄だったかというと、私が30年以上通っている場所で友人がたくさんいるということと、両親にはとても暮らしやすそうな場所という判断で決めて、羽田空港まで来てもらって、猫2匹を連れて沖縄に一緒に行きました。1ヶ月一緒に暮らして、両親は千葉に戻ってしまったんですが、私たちだけ居付いてしまいました(笑)」
●(笑)。最初行ったときはどうでしたか?
「最初は友達が“待ってました!”とばかりに“家の3階を使っていいよ”といってくれて、私たちはそこに居候させてもらって、両親はホテルにしばらくいました。ある日、家族でお風呂屋さんに行ったんですが、私と義理の母が一緒にサウナに入っているときに“あんたたち、どこから来たの? 地震で(避難しに)来たの? 住む家はあるの?”と声をかけてきてくれた人がいたんですね。“私たちには猫がいるので、一緒に暮らせるところを今探してるんです”と言ったら“うちに住んだらいいさ~”って、家を紹介してくれたんですよ! 翌日、本当にその方の家を見にいったんですが、その家には畑があったりしたんですよね。“こんなにも親切な方がいるんだな”と思っていたら、別の友達が“うちのアパートの201号室と202号室が空いてるから、あんたたちと両親それぞれで住んだらいいさ~”って紹介してくれたんですよ! 結局はそのアパートに1ヶ月お世話になりました。 沖縄の人にとって(親切ですよね~)、私は見ず知らずの人じゃないですか」
●そうですよね! そこで初めて会った人じゃないですか!
「私は義理の母とすごく仲がいいので、(血のつながった)親子に見えたと思うんですよね。“あんたたちみたいな仲がいい人たちが住んでくれるならいい”っていって家を紹介してくれたおばさんがいたりと、普通じゃ考えられないじゃないですか!? それと、住んだアパートの3階から5階が紹介してくれた人の家族が住んでいたので、油断してたらいきなり子供が遊びにきたり、捕れたての魚がたくさん入ったビニール袋を届けてくれたり、肉や野菜もくれたり、食器の水切りボックスの中にお茶碗やお箸、お皿などを全部入れて貸してくれたりして、引っ越したばかりのころは沖縄の方にすごくお世話になりましたね。そのぐらい温かい人たちです」
●もはや家族ですね!
「本当そうですね。沖縄には“いちゃりばちょーでー”という言葉があるんですが、これは“一度会ったら皆兄弟”という意味なんですね。そのぐらい人のつながりや助け合いをすごく大事にする人たちなんですよね。“震災で行くところが無いのなら、助けないと”という、放っておけない優しさというのは、戦争を体験してきた人たちのDNAの中に入っているんでしょうね」
●そんな沖縄の話をこの後たっぷりうかがっていきたいと思いますが、まずは、ニュー・アルバムから1曲お聴きいただきたいと思います。
「これは周りの女性から人気のある曲なんですが、実は私のことを歌っている曲です。『ほんとはね』」
※ここで、放送では『ほんとはね』を聴いていただきました。
●これEPOさん自身のことなんですか?
「そうなんです。生きにくさみたいなものをいつも感じていた時期があって、“私はどうして色々なものを背負いすぎてしまうんだろう”って思って、自分の内面を変えようとした時期があったんですけど、その理由は“人から嫌われたくないため”で、人から嫌われることに対する恐れが自分の中の深いところにあったんだということに気づいたんですね」
●そういうところって、誰にもありますよね。それに気づいたキッカケって何だったんですか?
「私は今、音楽の仕事と平行してセラピストの仕事もしているんですね。その中で“どうして、人間関係で同じタイミングでストレスを感じるんだろう”って思っていたんですよ。そういうところから考えていくと、子供のころの親との関係に行き着いたんです。ありのままの自分でいることが受け入れられてこなかった関係性があって、お母さんが好きな自分にならないといけないし、自分の気持ちがどうかは関係なくて、その場のふさわしさを優先させて行動する子だったことに気がついたんですね。ということは、自分の本当の気持ちや、ありのままの姿をいつも捨ててきてたんですよ。 自分の痛みはきっとそういうところから来ているということに気づいて、“あのときはそういう風にしたけど、本当はそういうことをしたくなかったよね。どうしてそれをしたの?”って自分で自分に問いかけたら“嫌われるのが怖かったし、お母さんに愛されたいと思ったから”という自分の小さいときの声が出てくるんですよね。それを自分で抱きしめながら、受け止めるということをずっとやり続けています」
●沖縄に行くことによって、ありのままの自分を出せるようになったりしましたか?
「沖縄の人たちって“慌てないで、流れに任せてみたらいい”ってよく言うんですよ。そういう言葉にものすごく癒されましたね。都会にいると、時間とかに追われるじゃないですか。でも、その言葉は本当にいい言葉だと思いましたね」
●最初に紹介された家には畑があると先ほど話していましたが、その畑で何か育てているんですか?
「今は、ゴーヤやオクラ、シソ、ハーブ、トマト、里芋、落花生、ナス、生姜、バナナ、パパイヤ、マンゴーを育ててます」
●マンゴーって、プロじゃなくても育てられるんですか!?
「やり方さえ習えば大丈夫です」
●今挙げていただいただけでも、かなり種類がありますね! それだけ色々な種類を育てられるんですね。
「そうなんですよ! ルッコラはよく虫に食われますけど、大きい葉っぱから摘んでいくと、また若い葉っぱが出てくるんですね。しかも割と長い期間楽しめるので、相当楽しいですね!」
●どんなときが一番楽しいですか?
「やっぱり収穫するときですね! 花が咲くと、いつ実をつけるか楽しみだし、ゴーヤは(グリーン)カーテンにしているので、毎日寝室の窓を開けるとゴーヤが徐々に垂れてくるのが見えてくるので、それも楽しいです。さらに、耕運機を使って土を作ることもやっているんですが、そうやって手をかけてあげると、植物は応えてくれるんですよね。それがすごくいいなと思います。健康な野菜を作るためには、健康な土が必要なんですよ。それって、私たちの体と一緒ですよね。私たちの体って食べるものでできているから、私たちの体を土に例えるなら、どんな実りが欲しいかと考えると、食べるものと過ごし方が必要不可欠なわけで、それは連動してますよね。それがすごく面白いです」
※沖縄に暮らしたからこそ分かった、沖縄の魅力を教えていただきました。
「色々あります。私は今、宜野湾というところに住んでいるんですが、どこのリゾート地に行くにも近いんですね。北部まで行くには2時間ぐらいかかりますが、すごく近くにすごく美しい自然があったり聖地があったり、沖縄の人たちが大切にしているパワースポットみたいなところがあったりするんですよ。そのパワースポットに散歩に行くと、石に何人かが正座をしてお祈りをしていたりするんですね。きっと家族のことや悩み事を神様にお願いをしていると思いますが、そういう祈りの風景をよく見かけるんですよね。それがキレイだなと思います。
あと、年に何回か“ご先祖を思い出して感謝をする日”があるんです。夜中まで一緒に呑んでいた仲間が突然“明日、墓掃除だから先に帰るわ”っていって帰ってしまうんですよ。それは“清明祭”という、お墓の前に家族や親戚全員集まって、ご先祖様にご馳走をお供えして一緒にご馳走を食べるということが春に行なわれるんですね。うちの周りにはお墓が多いんですが、その時期はたくさんの人で賑わって、1つのお墓が家族に守られてキレイにされて、家族みんな元気だと挨拶をする風景に出会うんですよ。私たちが忘れている“自分を産んでくれた、育ててくれた人たちのルーツ”をすごく大切にしていて、そういったところを見ると私も亡くなった父やご先祖様のことを思い出して、感謝の気持ちを思い出させてくれるんですよね。それを目の当たりにしたのは、私にとってよかったと思います」
●お墓の前でご馳走を食べるってすごいですね!
「あまり考えられないですよね! それも盛大なんですよ。“亀甲墓”という長男の人だけが入る大きなお墓があるんです。そこの前にビニールシートを敷いてご馳走を食べて、家族は健康で仲良くしていることをご先祖様に見ていただくということをしているんですよね。
旧盆になるとご先祖様をお迎えするんです。あたかも生きているかのように浴衣を用意して、お風呂に入っていただくように沸かすということをするんですよ。確か2泊3日でいらっしゃるようなんです。最終日はエイサーでお見送りをするんですが、どの地域にもエイサーのチームがあるんですね。そのエイサーのチームが太鼓を叩きながら歌いながら練り歩くんです。そのときに仏壇のあるリビングルームの窓を開けて、その音をご先祖様に聞かせるんですよ。その音に乗って、あちらの世界に還るということで、その風景を目の当たりにしたら感動で泣いちゃうんですよね!
コザ(現沖縄市)は生活とエイサーが伝統的に繋がっているんです。そこに行ったときは感動しました。私たちも精霊流しをやると思いますが、あれの音楽ヴァージョンですね。だから、沖縄の伝統芸能ってずっと続いているんだと思います」
※自然の中で暮らして、最近こんなことを思ったそうです。
「“どうして私たちは夕日や海を見て「キレイだな」と感動するんだろう?”って思ったんですが、多分、自分の中に自然があるからなんだろうなと思ったんですね。それを知らなかったら、それが美しいということが分からないじゃないですか。ということは、自分の中にある自然も美しいんだと思うんですよね。
最近、天候が激しく変わってきていますが、沖縄の人たちからは“自然に逆らわない”ということを学びましたね。沖縄に“よんなよんな”という言葉があるように、慌てないで流れに任せたらいいんですよね。
あそこは台風の通り道なので、ものすごく大きな台風がいつもやってくるんです。そのせいでバスやモノレールが止まったら危ないので、学校や会社は休みになるんですね。風が強くて石が飛びますし、背の高い車は下から持ち上げられたりすることもあるぐらいなので、危ないんですよ。なので、“自然に逆らわない”ようにしてるんですよね。そういう沖縄の人の考え方は、自然の力に対する畏敬の念を持っているからだろうなと思います。今年は、内地でも大きな台風や大雨がありましたが、たくさんの人が安全で、大きな災害の中で乗り切れるようになってくれたらいいなと、この頃よく思います」
●そういったところにいて、EPOさんは曲作りで影響を受けたんじゃないですか?
「“人生を楽しむ”ということですね。常に“笑い”があるんですよ。それも笑わそうとしている笑いじゃなくて、“人間らしい笑い”みたいなものが常に生活の中にあって、食堂で初めて会った人たちとすぐ友達になれちゃうようなオープンな繋がりがあるなと思います」
●そういったハッピーな感覚が、今回のアルバムにもエッセンスとして散りばめられているんじゃないかと思いました。聴いていて笑顔になるんですよね。
「アルバムのテーマが“聴いた人が自分自身を好きになってもらいたい”なんですよ。長澤さんにも自分自身を好きになってもらいたいし、自分自身を大切にしていいということに気がついてもらえたら嬉しいです」
“ご先祖様を大切にする”“自然に抗わない”“人生に笑顔を”。EPOさんから今回教えていただいた沖縄の方たちの生き方は、都会で暮らしている私たちにとって、忘れてしまいがちな大切なことだと思いました。そして、そこで暮らしているEPOさんだからこそ作れた音楽が、今回のアルバムに詰まっていると思います。聴くと元気になれる、恋をしたくなる、そんなEPOさんのニュー・アルバムをぜひ聴いて下さい。
EPONICA RECORD /XQGR-1003
/価格3,240円(税込)
先日リリースされたEPOさんのニュー・アルバム。全曲EPOさんの作詞・作曲・編曲、そしてプロデュースと、EPOさんの“愛”が注ぎ込まれた1枚となっています!
今回のアルバムからのナンバーやヒット曲も満載のプレミアムコンサートが行なわれます!
◎日時:10月2日(金)の午後6時半開場、午後7時開演
◎会場:キリスト品川教会グローリアチャペル
◎料金:7,000円(全席指定)
また、12月19日(土)には、原宿クエストホールでクリスマス・コンサートが行なわれます。
それぞれの詳しい情報などは、EPOさんのオフィシャル・サイトをご覧ください。