今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、玉木えみさんです。
イラストレーターの玉木えみさんは、知る人ぞ知るキノコ界のマドンナ! 2012年に出版した『少女系きのこ図鑑』が大ヒット! キノコと少女を描いた、可愛くてメルヘンチックなイラストが多くの女性のハートをとらえました。そして去年、続編の『増殖・小女系きのこ図鑑』を出版! ますますキノコファンが増え、そのムーブメントのスターとして、多くのメディアに取りあげられています。そんな玉木さんを、ついにこの番組にお迎えすることができました。今回は玉木さんとの“キノコトーク”をお届けします。
●今回のゲストは、イラストレーターの玉木えみさんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
●玉木さんは『少女系きのこ図鑑』の作者ということですが、玉木さんがキノコにハマったキッカケは何だったんですか?
「小学生のときに家族で富士山に登ったんですが、そのときに“タマゴタケ”という赤くてキレイなキノコが生えているのを見て感動したんですよ。それまではスーパーで買って食べるぐらいで大して興味がなかったんですが、それを見て何なのか知りたくなって図鑑で調べたところから始まりました」
●タマゴタケって、卵から生えているようなキノコですよね?
「白い卵みたいなところから赤いキノコが出てくるというものですね」
●私は写真でしか見たことがないんですが、本当にあんな感じなんですか?
「はい、あんな感じです。すごくツヤツヤしているので、作り物なんじゃないかと思ってしまいます」
●どんな風に調べたんですか?
「キノコの図鑑を親に買ってもらって、山と渓谷社から出版されている“日本のきのこ”という図鑑をひたすら眺めていました(笑)。色々な形や色があるので、見ていてすごく楽しかったんですよね(笑)」
●(笑)。ちなみに、キノコの図鑑には、キノコの特徴をどういう風に書かれていることが多いんですか?
「みんな知りたいこととして“食べられるか・食べられないか”だと思うので、それは書かれてますね。ちなみに、キノコの図鑑は他の図鑑と違って、味の風味とか料理法まで書いてあることが多いんですよ。図鑑を書いている人は大体食べてみているので、書いている人によって書いてあることが違うんですよね。それも面白いです(笑)」
●軽い食レポみたいな感じなんですね(笑)。玉木さんは“少女系きのこ図鑑”を出されていますが、昔から図鑑を見ていて「自分も新しい図鑑を作ってみたい」という気持ちがあったんですか?
「“新しい図鑑を作りたい”というより“キノコの絵を描きたい”“女の子の絵を描きたい”という気持ちが強かったんですよね。元々は卒業制作の作品だったんですが、1年間ずっと描けそうなものは何だろうって考えたら“キノコ”と“女の子”だったんです。だったら一緒にしちゃおうということで、この図鑑のようになりました。キノコのフォルムが女の子っぽいなってずっと思っていて、併せやすかったっていうのもありました」
●実際に絵を見て「合うなぁ」って思いました。キノコって森の妖精みたいだっていうイメージを、この絵を見て持ちました。
※どのようなキノコが少女にしやすいのでしょうか?
「ベニテングタケといったテングタケ科のキノコって、私の中では大きくて可愛いのですごく女の子らしいイメージがあって、その子たちはそのまま描いた感じでしたね。もし元が女の子だったとしても、キノコをそのまま描いたような感じなので、テングタケ科のキノコたちは気に入ってます」
●逆に、少女にするには難しかったキノコはありますか?
「基本的には“これを女の子にしよう”と思って描くよりも、キノコを見ていて『これはこういう子かな?』ってフワッとくる感じなので、頑張って女の子にしたということはないですね」
●舞茸とか難しいんじゃないかと思っていたんですが、どうなんですか?
「舞茸は“舞”っていう言葉が付いているし、見た目もフリルみたいなヒラヒラとしているので、この図鑑で描いたときはダンサーさんみたいなイメージで描きました。名前そのままのイメージっていうのが結構多いんですね(笑)」
●(笑)。ナメコはどうですか?
「ナメコはヌルヌル感があるので、女の子にするときはちょっとヌルっとした子になってます(笑)」
●ナメコの絵はまだ見ていないので、あとでじっくりと見たいと思います! キノコといえば、不思議の国のアリスの物語の中に登場しますが、そういう風に物語の中に登場するキノコってたくさんあったりするんですか?
「ヨーロッパの方だと毒キノコのベニテングタケが “幸せの象徴”といわれているんですね。なので、ヨーロッパだと妖精とかと一緒に描かれていることがすごく多いです。中にはベニテングタケよりもマニアックなキノコが出てくる話とかありますね」
●ヨーロッパでは、キノコは妖精なんですね。
「こっちの四葉のクローバーみたいな感じで、ベニテングタケが幸せの象徴のように描かれています」
●キノコって色々な楽しみ方があるんですね。そういったところが、この図鑑に繋がってくるんですね。
「そうですね。キノコというと、ジメジメしているイメージがあるじゃないですか。そうじゃなくて“キノコって、こんなにも可愛いんだよ”ということを、キノコといったらシイタケぐらいしか浮かんでこないような人にも分かってもらいたくて描いたところがあります」
※玉木さんはどんなキノコが好きなんでしょうか?
「私は何かに寄生して生えるものが好きで、キノコに寄生するキノコがいるんですよ。中でも“ヤグラタケ”がいるんですが、それは大きなキノコの傘の上から小さいキノコが出てくるんですよ。それは面白いと思ったので“少女系きのこ図鑑”に描かせていただきました」
●それがどのようなイラストになっているか気になりますね! キノコって奥が深いですね!
「色々なところに生えたり、思いもよらないところに生えたりするんですよ。街中にある街路樹に生えたりするので、周りをよく観察していたら、色々なところで見つけられる気がします」
●そうなんですね! 山の中に行かないとないと思い込んでました。毒キノコって、なんで毒があるんですか?
「食べてすぐ毒の症状が出ないキノコがたくさんあるので、まだよく分かってないらしいです。なので、キノコには未だに分からないことが多いみたいです。それに図鑑が出た年によっても違っていて、前は普通のキノコとして紹介されていたものも、新しい図鑑では毒キノコとして紹介されていたりするんですよ。なので、新しい図鑑もチェックするようにしています」
●そうなると、描く少女も変わってきたりしますよね。
「そうですね。今まではあっちの仲間だと思っていたけど、DNAで違っていたから別のものになることとかってありますね。図鑑も新しいものであればあるほど情報が更新されているんですよ。まだまだ分からないことばかりなので、分からないから楽しいっていうところはありますね(笑)」
キノコは今までもっぱら食べる専門でしたが、傘の部分を帽子やスカートに見立てたり、舞茸を踊る少女に見立てたり、そうしてみると、なんだかきのこが可愛くて愛おしい存在に思えてきました。そして、こんな風にきのこ以外にも自然の物を今までとちょっと違った目線で見てみると、また新しい発見がありそうですね。
DU BOOKS/価格2,376円
玉木さんがどんなに可愛いイラストを描いているのか、ぜひこの図鑑をご覧ください。キノコと少女のメルヘンチックな世界が描かれていると共に、イラストのもとになったキノコの名前や特徴などの説明がきちんと載っています。また、この本には続編の『増殖・少女系きのこ図鑑』がありますので、そちらもご覧ください。