今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、♪鳥くんです。
全国各地で野鳥観察のイベントやメディアでのユニークな鳥トークでますます注目されているプロのバードウォッチャー♪鳥くん。5年前にこの番組に出演してくださったときも、独自の視点で見た野鳥の生態を面白おかしく話してくださいました。今回はバレンタインデー直前ということで、主に野鳥の求愛行動について、色々お話をうかがいます。
●今回のゲストは、プロのバードウォッチャー♪鳥くんです。よろしくお願いします。
「とりーす! ♪鳥くんです! プルップー!」
●(笑)。♪鳥くん流の挨拶なんですね! 楽しくなりますね!
「なってください(笑)。楽しくなったら、バドレナリンがドバドバーっと出てきますよ!(笑)」
●(笑)。今回は、明日バレンタインデーということで、鳥たちの求愛行動のお話をお聞きしたいと思います。
「鳥の求愛行動の話はたくさんありますよ!」
●そのお話をうかがう前に、今回5年ぶりのご出演となりますが、この5年の間に色々なところに行ったそうですね?
「そうですね。最近はタイに行きました。タイには毎年2週間以上滞在しているんですが、あそこには鳥がめちゃくちゃいるんですよ。むしろ、いすぎて困るんですよね。
今回、日本では数回しか目撃が確認されていないけど、タイには割といる珍しい鳥を撮影していました。例えば“ツルクイナ”という全身が黄土色のニワトリみたいな鳥がいるんですが、藪の中から出てこないんですよ。その鳥を一度チラッと見たので『今回撮ろう!』と思って、持っていった迷彩柄の服をカメラの前にかけて、朝と夕方に動かずにじっと待ってました。1日に1~2度出てきたんですが、草だらけの中から頭が少しだけ出してすぐ引っ込んだりと、全身を出してくれないんですよ。それを撮るために頑張ってました。
それと“ヘラシギ”という世界に数百羽しかいない鳥がいるんです。この鳥はクチバシがスプーンみたいになっているんです。そんな鳥がタイの僕がいたところには6羽ぐらいいるということだったので、撮影するために探しました。でも、この鳥は警戒心がめちゃくちゃ強くて近づけないんですよ。なので、粘土質でドロドロのところを歩いては止まって様子をうかがって大丈夫だったらさらに近づくということを繰り返していたんです。そのときに土が自分の土踏まずのところに入ってきてしまったんですね。そうなると、足が平らになるじゃないですか。それだと歩くことができないんですよ! 土踏まずが大事だということを実感しながら、鳥が近づいてきてることに対処するみたいな、一人で格闘してました(笑)。5年間そんな生活でした」
●なかなか大変だったんですね(笑)。プロのバードウォッチャーって、華やかな世界って思っていましたが、結構地味なんですね。
「相当地味ですよ(笑)。蚊が肘に止まっていたり、耳の後ろに汗が垂れていても、鳥が逃げないように動きませんからね」
●ひたすら耐えるんですね。
「今度生まれ変われたら、パパラッチか忍者になりたいですね。僕は歩くの静かですよ!」
※♪鳥くんはこれまで鳥とコミュニケーションを取ったことがあるのでしょうか?
「それはたくさんあります。口笛1つで返ってきますよ。なぜジャングルの鳥がたくさん求愛するようになったかというと、暇なんですよ。そこに1年中住んでいて、なおかつエサには困ってないんですから。渡り鳥はエサに困るから移動しているのであって、彼らは困ってないから『何しようかなー? あ、あの子かわいいなぁ。ちょっと羽広げてみるか。ダンスもしちゃうか! おっ、こっち向いたぞ! もっとやっちゃおう!』っていう感じなんですよね。そのぐらい暇なんです。なので、羽が派手になったり、歌を歌ったりするんですよ。
逆に、日本の鳥や北の鳥は危険を知らせるために鳴いたりはしますが、他の鳥が鳴いたって一緒に鳴かないんですよね。熱帯のジャングルの鳥は他がさえずったら自分もと思って一緒にさえずるんですよ。やめるときも一緒にやめるので、分かりやすいんですよね。そのときに仲間入りしようと口笛を吹くと、鳴き返してくれます。真似して鳴くと、ずっと鳴いてくれますよ。ジャングルに行ったときには是非やってみてください」
●その鳥は、私たちが普段見るような鳥とは違っているんですね。普段見るような鳥に対してはできないんですか?
「そうですね。たまに日本でもそういう個体やそういうモードに入った鳥がいますが、なかなか難しいですね」
●そう考えると、鳥の習性や見た目には全部意味があるんですね。
「いや、全部じゃないですよ。僕はその“全部じゃなく、なんとなくという雑なところ”が好きなんですよね。長澤さんに質問ですが、今日の夕飯は決まってますか?」
●なんとなくは決まってますけど、具体的にはまだ決まってないです。
「ですよね。明日は決まってますか?」
●明日は決まってないです。
「ですよね。急に明日友達に誘われてカラオケに行くかも知れないじゃないですか。鳥なんてもっといい加減なんですよ。そこを忘れないでいただきたいです。色々な決まりがあって法則はありますが、進化の途中だし、絶対にそうじゃないということもあるんですよ。もしみんなが進化して安全になってしまったら、共存共栄ができなくなって、鷹が何を食べていいのか分からなくなるし、小鳥がみんな逃げていってしまうんですよ。そうなると鷹が絶滅しちゃうんですよね。だから、雑で中途半端な感じが、今の生き物の多様性を面白くしていると思うんですよね。そんな明日のことなんて分からない雑なところが好きなんです。
例えば、僕が鳥に近づいて飛んで逃げていってしまったとしますよね。その逃げた先の木の枝が気持ちいい枝で、その場でさえずったりするわけですよ。またはエサを一生懸命探してるところに僕が近づいてしまって、逃げないといけなくなったけど、その逃げた先にエサがあってその場で食べてもう逃げなくなったりするんですよね。ある鳥が水浴びを始めたとするじゃないですか。その様子を横で見ていた鳥が『俺もするか』といって、一緒に水浴びをするじゃないですか。するとさらにもう1羽増えて、もう1羽といった感じでどんどん増えていって、結果100羽ぐらいが水浴びしたりするわけですよ。そういう姿を見ると、ダチョウ倶楽部さんのあのお決まりのネタを思い出すんですよね(笑)。そういういい加減なところが面白くて好きなんですよね」
●そうやって見てみると、すごく楽しくなりそうですね!
「そうですね。鳥を見習いたいんですが、なかなかできないんですよ。あ、ハトの求愛行動も面白いですよ!」
●その話は後ほどたっぷりうかがいます。
※鳥たちはどんな求愛行動をするのでしょうか?
「鳥たちは毎日がバレンタインデーなんですよ。色々なパターンの求愛行動があるんですが、例えばハトは“最大のナンパ師”なんですよ。またツルやハクチョウは一度つがいになったら二度と別れないんですよね。
ハトはイネ科の植物の種子がエサで、みんなでそれを食べるんです。そのときにオスがメスを見つけたら胸を張ってアピールして鳴くんですよ。でもメスは無視してエサを食べるんですよね。それを3回ぐらい繰り返すと大体のメスは離れていってしまうんですよ。でも、すぐ傍に違うメスがいたら、またアピールするんですよね(笑)。『節操ねぇな~』って思うんですが、このアピールは胸を張ってお辞儀をする感じなので、見方を変えれば『お願いします! お願いします!』って言ってる感じがするんですね。
胸張ってる方じゃなく、お辞儀してお願いしている感じの見方を知ったら、もうそうとしか見えないですね(笑)。これを一番やる鳥は、5羽ぐらいのメスにいきますね。そこまでいくかと思いますが、やっぱり“数打てば当たる作戦”で、ひょんなことで交尾できちゃんですよ」
●実るもんなんですね。
「ハトはその1羽とつがいになったら子供を作って巣を作って育てるんですが、キジは全然違いますね。ハーレムなんですよ。見た目がよくて激しくて戦う能力もあるとなったら、メスを10羽ぐらい引き連れるわけですよ。逆に1羽も引き連れていないオスもいたりするわけですよ」
●そういうところに差が出てくるんですね。
「そして、タマシギという鳥がいるんですが、“タマ”は“玉の輿”のことなんですよ。さっきのキジとは逆にいいタマシギのメスはオスを何羽も従えるんですよね。一妻多夫の鳥なんです」
●そういう鳥がいるんですか!? 羨ましい。
「ですよね? メスはオスが一生懸命作った巣に卵をポンと産むだけなんですよ。休憩しているときも、オスが隣に2~3羽いたりするんですけど、機嫌が悪かったらそのオスを突っついたりしてるんですよね」
●強いんですね。
「強いし、何もしないし、子育てもオスがやります」
●鳥たちの求愛行動で私たちが参考にできるようなところってありますか?
「ジャングルにいる鳥はダンスをしたりするんです。ダンスには色々な意味があるんですよ。気を引くためのダンスというのもありますが、“好き”という気持ちをダンスにして伝えることもあるんですよ。そして、ダンスをすることで、相手に健康だということを伝えることもできるし、確認することができるんですよね。僕らもそういうものを作ったら、生活にハリが出てくるんじゃないでしょうか。そんな僕も独り者です(笑)」
※♪鳥くんにどんな鳥が好きかを聞いたところ、“地味な鳥”が好きだということでした。それはなぜなんでしょうか?
「日本の鳥って地味な鳥が多いじゃないですか。でも、昔の俳句には“ちょっとすれた赤い鳥”とか“完全に真っ青じゃない青い鳥”、“枯れ葉のような鳥”といったような鳥が出てきて、そんな鳥が好きですね。赤茶色と茶色の間の茶色とか、灰色と茶色の灰褐色というような色が分かってくると、すごく楽しいですよ。それをそういう色をしている鳥から養われていった気がします。
別のものに例えたら、アイドルだって派手な方ばかりじゃないですよね? 地味な子もいますし、元気な子だったりと色々な個性を持っているじゃないですか。それをそれぞれの鳥に見出している感じですね」
●同じスズメといっても、みんな微妙に違うんですね。
「そういうのを見ると楽しいですし、思わず行動や型にはまってない動きを見つけられたら、より楽しいので、そのために(観察するときは)静かにしたりしているんですよね」
●そういう風に身近な鳥を見てみようと思います。
「よく見かける“カワラバト”は求愛行動をよくやっているので、見てあげてください。暇さえあればナンパしてますから(笑)」
●それを知ると、ハトの見方が変わってきますね(笑)。
ダンスを踊ったり歌を歌ったりプレゼントを贈ったり、好きな相手のためにあの手この手で必死にアプローチするのは、人間も動物も同じなんですね。特にハトが生粋のナンパ師だったとは驚きました。これから春先に向けて鳥たちも恋の季節、彼らの恋模様を観察したら私も、バドレナリンがドバドバーっと出そうな気がします。
イーフェニックス/定価1,512円
♪鳥くんの新刊となるこの本は、関東地方にあるインコやオウム、フクロウなどがいるとりカフェを約30店紹介しているそうです。発売は2月28日(日)。現在Amazonで予約受付中。
新刊の発売日となる2月28日(日)に、ふなばし三番瀬海浜公園で“鳥くんと野鳥を探そう”という観察会が開催されます。
◎時間:午後1時~4時まで
◎定員:30名
◎参加費:100円
◎詳しい情報:ふなばし三番瀬海浜公園のホームページ
その他、♪鳥くんの詳しい情報は、オフィシャル・サイトをご覧ください。