今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、むらいさちさんです。
作品で幸せを届ける写真家・むらいさちさんは、水中から陸上まで色々なフィールドで撮影活動を続けてらっしゃいます。そんなむらいさんの最新の写真集は、海の中で撮ったファンタジーのような写真をまとめたもので、タイトルは“Fanta Sea”なんです。今回は7月18日の“海の日”を前に、この写真集に込めた思いや、海の魅力について語っていただきます。
●今回のゲストは、国内外の海をフィールドに活動されている写真家のむらいさちさんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします」
●むらいさんといえば、見ているだけで幸せになれるような海の写真をたくさん撮られていますが、最新の写真集“Fanta Sea”を出されるそうですね。タイトルですが“ファンタジー”じゃないんですね。
「海なので“Sea”にしてみました。水中写真ってリアルな魚の写真が多いと思いますが、そうではなく、ファンタジックな海の世界を紹介しているので、今までの水中写真集とは違うタイプのものになっていると思います」
●私も先ほど少し見させていただきましたが、色がすごく優しくて淡くて儚くてキレイですよね。
「僕の目と脳ではそう見えている世界を表現しています。僕は海に入っていると幸せな気持ちになるので、それをカメラを通じて表現しているので、こんな淡い感じになるんだと思います」
●むらいさんは海に潜ると、あんなステキな世界が見えているんですね!
「そうですね。だから、海ってすごく楽しいし、それが表現できるのが写真なので、それがすごく楽しいですね」
●どうやら、むらいさんにとっては、水中写真だけの写真集は初だそうですね?
「そうなんです。今まで水中と陸、または陸上のみの写真集は出しているんですが、今回は全て水中にこだわって作ってみました」
●それはなぜですか?
「前回“きせきのしま”という写真集を出しましたが、その後“次はどういう本を出したいか?”を考えたとき、“原点に戻った方がいい”と思ったんですね。僕の原点はダイビングであり水中写真なんですよ。それなのに、段々陸に上がってきている感じだったんですね(笑)。なので、一度足元を見つめ直して、“自分の水中写真ってどういうものなのか”を考え始めました」
●原点回帰をして、「自分が表現できる海の中はこういうものだ」と改めて思ったんですね。
「そうですね。すごくいい機会だったと思います。そのおかげで、水中写真に対してモチベーションが下がっていたのが、ファンタジックな目で見ていくことで世界が違って見えて、水中写真がまた楽しくなってきたんですね。そこから、今回の写真集が始まった感じでした」
●例えば、どんなものが見えてきましたか?
「今まで水中写真を撮るときに、魚をアップで撮るために近くに寄っていたんですが、それだけではなく、魚が住む環境もそうですし、他の方なら見逃してしまいそうな海草やサンゴもよく見たら、お花みたいですごくキレイなんですよ。そういうかわいいものからお魚の仕草、生活している場所なども含めて、一歩引いた目でモノが見れるようになったんですね」
●そうなると、海に対する考え方も変わりましたか?
「そうですね。海がただ好きだった昔のころに戻った感じで、今は楽しくて仕方ないですね!」
※むらいさんが一番好きな海を教えてもらいました。
「僕は元々沖縄でダイビングのガイドをしていましたし、キレイな海に潜ったのも慶良間諸島の海が最初だったので、そこが一番好きになりますね。そこの海って、女性みたいに優しいんですよ。激しい流れや大きな魚がいるわけではなく、白い砂にサンゴ礁がある優しい海なので、僕の色合いなどのベースはそこにありますし、今回の写真集もそれがベースになっています。自分の巣立った場所が好きなのと同じ感じだと思います」
●やはり、潜る海によって、色は違いますか?
「そうですね。火山がある島であれば、海の中は真っ黒で岩がゴツゴツしていますし、流れが強いです。それ以外にも大きな魚がいっぱい群れていたり、サンゴがキラキラしていて、色とりどりだったりと様々なので、それが楽しくて止められないですね。生きている間には全ての海を潜ることはできないと思いますが、できる限り色々な海に潜りたいなって思いますね。そのぐらい海には魅力があります」
●海の中の世界がどんな風になっているのか興味がある人は多いと思いますが、それほど色々な景色や生き物がいるんですね。
「そうですね。だって、地球の7割は海なんですよ。そうなると、僕らは海の中を潜らないと、地球の3割しか見ないってもったいないじゃないですか。当然それだけの割合の違いがあるので、それだけの魅力があると思うんですね」
●この海を日をキッカケに、海を感じられる場所に行ってもらいたいですよね!
「そうですね! 僕は“1度でいいから、海の中を覗いてほしい”ってよく言っているんですね。今回の写真集もその橋渡しになればいいなと思っています。僕の場合はマンタやサメなどを撮った水中写真になるので、恐かったりしてハードルが高く見えてしまうんですよ。そうではなくて、僕はその間に入って、『ダイビングをやりたい』とか『海の中で写真を撮ってみたい』と思っている人たちに対して1つの景色を提案して、それによって海に行く人が増えるんじゃないかと思って、今回の写真集を作っています」
●むらいさんの写真を見ると、海に行きたくなります! あんな夢のような世界が広がっているなら、損じゃないですか!
「そう言ってくれると一番嬉しいです!」
●ちなみに、水中で撮影するときのコツってありますか?
「よく言うことなんですが、“スキューバダイビングのスキルを磨くことが一番”ですね。体のバランスが取りづらかったり、独特の動きがありますし、機材も背負わないといけないので、先に海の楽しさを知ってから写真を撮るようにした方が面白いと思うんですよね」
●上から撮影するときのコツはありますか?
「これからの時期は太陽がキラキラしていてすごくいいので、海の青を撮るのであれば、一番太陽が高い時間に撮影した方が海の青のキレイさがすごく出ると思いますし、ロマンチックな写真が撮りたいのであれば、朝と夕方に撮影した方がいい写真が撮れるんじゃないかと思います」
※むらいさんの今回の写真集で特に撮るのが難しかった写真はどんな写真なのかうかがいました。
「みんななかなか撮れない難しいものばかりでしたが、中でも“ケヤリ”という海藻は以前からずっと見たくて、写真集の中でも一番最後に撮影するぐらい印象的でした」
●今手元に写真集があるので見てみたいと思います。・・・これですね!
「お花みたいですよね」
●ブルーとグリーンと白の3色が混ざっているような美しくて、お花みたいですね! 実際はどのぐらいの大きさなんですか?
「1個は3~5ミリぐらいですね。この写真集はみんな小さいんですよ(笑)」
●それらをどこで見つけたんですか?
「撮ったのは八丈島と和歌山県の串本町っていうところで撮ったんですが、その2ヶ所はそれぞれで色味が違っていて、串本は淡い感じで、八丈島は色が濃い感じですが、海で見ている分には全く気づきません(笑)。ガイドさんに教えてもらって初めて分かるぐらいです(笑)。大きさが小さいのもありますが、水中だと色が失われていってしまうので、見ても黒い草としか思えないんですよね(笑)。写真はストロボを当てているので再現されていますが、ライトを当てないと色が分からないんですよ」
●それが撮れたときは、気持ちは高まりましたか?
「そうですね。感動して、翌日も同じポイントに行って、これだけを1時間半撮り続けました。でも、なかなか自分のイメージ通りの色が出なかったり、魚が来る瞬間を狙ったりして、時間をかけて撮ってました」
●この奇跡の1枚は是非皆さんに見ていただきたいですね!
「水中でこんなキレイなお花みたいなものがあるんだとビックリすると思います」
●むらいさんは現在、写真展を開催中だということですが、この写真展の見所はどういうところでしょうか?
「写真展も写真集と同じタイトルで開催していますが、“誰もが見たことのない水中の世界をお見せします”というキャッチフレーズでやっていまして、今までの水中写真や海の世界の概念が変わるんじゃないかと思います。淡くキレイに展示していますし、かわいいお魚ばかり揃えていますし、会場が広いので、壁一面に写真を貼り付けていますので、アリスの世界じゃないですが、自分が実際に“Fanta Sea”の中に入っている感じになると思います」
●龍宮城にも近いですよね?
「そうかもしれないですね。また、何も考えないで見てほしいんですね。今回の写真展は“心で感じる写真展”と言っているんですね。見ていると多分『これはどこで撮ったんだろう?』とか『どうやって撮ったんだろう?』って考えちゃうかと思いますが、そうではなく、頭を真っ白にして心で感じてもらえたら、伝わるんじゃないかと思っていますので、深く考えずにその世界に浸ってほしいと思います。もしかしたら、海に潜らない人の方が楽しめるかもしれないですね」
●海にはなかなか行けないという方には、この海の日に行くといいかもしれないですね。むらいさんは今後、行ってみたい海や撮ってみたい海はありますか?
「子供のころからの夢ですが、“南極”に行ってみたいですね。まだ行けていないので、いつか潜ってみたいなと思います」
※この他のむらいさちさんのトークもご覧下さい。
“地球の7割は海”と、むらいさんもおっしゃっていましたが、そう考えると、海の中の世界を知らないで生きていくのはなんだかちょっと損な気がします。私たちが見ている海面の下にはどんな世界が広がっているのか、今年の夏は海に潜って覗いてみてはいかがでしょうか。なかなか潜りに行けないという方はぜひむらいさんの写真展や写真集で、その世界を体験してみるというのもいいですね。
BUNKADO/本体価格1,800円
むらいさんの最新の写真集となるこの本は、海の中で撮ったファンタジーのような写真が満載。 露出オーバーにした写真はまさにファンタジック! 魚や珊瑚などが、淡いピンクやオレンジ、ブルーに輝き、水中写真とは思えない輝きを放っています。
この写真集の発売を記念して、写真展が開催されています。会場は東京メトロ銀座線・外苑前駅から徒歩2分の伊藤忠青山アートスクエア。開催は7月24日(日)までです。
むらいさんの最新情報などはオフィシャル・サイトをご覧ください。