今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、グリーンランドの人気ロックバンド“ナヌーク”のクリスチャンとフレデリックのエルスナー兄弟です。
今回は、サンタクロースの国グリーンランドのクリスマス! 先日来日したナヌークのクリスチャンとフレデリックのエルスナー兄弟に、暮らしぶりやクリスマスの過ごし方などをうかがいます。
※グリーンランドは大西洋と北極海に囲まれた、北極圏にある世界最大の島。面積は日本の約6倍ですが、その80パーセント以上が氷河や厚い氷に覆われています。デンマークの自治領で、人口は約5万6千人。住民は先住民のイヌイットとデンマーク人。寒冷地帯ですが、南の方ではジャガイモやキャベツなどを栽培。海にはサケやマス、タラなどの魚が豊富、陸にはホッキョクグマやジャコウウシ、ホッキョクギツネやホッキョクウサギなどが生息しています。
そんなグリーンランド、実はこの番組にはゆかりがあります。以前、出演してくださった犬ぞり北極探検家の山崎哲秀さんや、作家で探検家の角幡唯介さんは、世界最北の村シオラパルクを拠点に活動しています。さらにこの村には、世界で初めて犬ぞり単独行で北極点に到達した探検家の故植村直己さんも長期に渡り滞在。植村さんとの交流もあった大島育雄さんは、40年以上もシオラパルクで伝統的な暮らを営んでらっしゃいます。
そんなグリーンランドの人気ロックバンド、ナヌークのエルスナー兄弟に、ナヌークのバンド名の由来をうかがいました。
フレデリック「兄がこのバンド名を付けたんだけど、“ナヌーク”は子供のころに飼っていた犬の名前なんだよ。白熊みたいな大きくて白い犬だったよ
クリスチャン「後から分かったことなんだけど、“ナヌーク”は“THE GREATEST POLAR BEAR”という意味だということを、イヌイットの神話の中で知ったんですよ。その年に仕留めた白熊の中で一番大きなやつを“ナヌーク”と呼ぶんです。もちろん、その白熊を仕留めた人はリスペクトされるけど、大きな白熊に対する尊敬の念を込めて、その名前を付けることになっているようですよ」
●そういったイヌイットのスピリットも、2人の歌に込められていたりするんですか?
クリスチャン「それはすごくありますね。そういった精神性やグリーンランドの古い文化は、僕らにとっても非常に大事なことなんです」
●それはどんな文化なのか、改めて教えていただけますか?
クリスチャン「ここ3~40年の間で随分と変わってしまったんだけど、昔のことを忘れたくないので、僕らの歌に自然のことや、漁師がいたりハンターがいたときのような、変わりゆく前のグリーンランドの世界を描いているつもりなんです。“そのときの価値観を忘れずにいれば、今の世界にも活かすことができるはずだ”という想いを込めて、氷山やオーロラ、山といった言葉を、僕らの曲の中に盛り込んでいるんですよ
フレデリック「そんな理由から、僕らはグリーンランド語で歌うことにこだわっています。グリーンランドの文化であるこの言葉は、すごく大きな一部だから」
●グリーンランドといえば、1日中太陽が沈まない“白夜”と、1日中太陽が昇らない“極夜”があります。これは私たち日本人には想像できない世界ですが、地元の人でも戸惑ったりすることはないのでしょうか?
フレデリック「そうなんだよね。あるとき、コメディアンの方と一緒に番組をやるということで、“ウナマック”というところに行ったことがあるんだけど、午前11時に入って、番組前に3時間寝て、起きたときに始めることになっていたんだけど、起きたら真っ暗だったので、“夜になってしまった!”と思ってビックリしたことがあったね。それは、極夜だったことをすっかり忘れていただけなんだけよね。地元の人でも混乱することがあるよ
クリスチャン「グリーンランドは縦に長い大きな国なので、南の方は冬でも6時間ぐらいは明るい時間があったりするだけど、北は24時間真っ暗なんだよ。だから、明るい時間をお祝いするということで、夏に一度、街全体の住民が集まって祝福するぐらい、太陽が昇ることが新鮮で、気持ちが明るくなるんだよね」
●それじゃあ、太陽に対しての想いが強いですね。
フレデリック「そういうところに住んでいると、経験した人じゃないと分からないと思うけど、暗闇の中から太陽が昇ってきたときの感覚は特別なんだよね。僕はアルバムの3曲目で、そのことを歌っているよ
クリスチャン「本当に寒い国なので、特に冬は太陽を必要としているんだよ。僕らは地元のミュージック・ストアでも働いているんだけど、朝出勤して夜帰るまでの間、ずっと暗いんだよね(笑)。冬の間はずっとそんな感じで、太陽を見ることがないんだよ。逆に、夏になると全く暗くならないので、闇のない生活になるよ」
※クリスマスといえばサンタクロースですが、サンタクロースは、彼らの国グリーンランドに住んでいます。これは“世界サンタクロース会議”で認められた事実なんです。この会議は毎年7月にデンマークの首都コペンハーゲンで開催されますが、世界中の公認サンタクロースが一同に介した数年前の会議で議論を重ねた結果、“本物のサンタクロースはグリーンランドに住んでいる”という結論になったそうです。ちなみに、公認サンタクロースになるためには、“グリーンランド国際サンタクロース協会”の試験に合格しないと認定されません。
そんなグリーンランドには、こんな言い伝えがあります。
家々を守り、幸せをもたらす小さな妖精ニッセ。普段は緑色の小さな帽子を被っていますが、12月になると赤い帽子をかぶってグリーンランドへ行き、サンタクロースのお手伝いをするそうです。いい子にしていると、ニッセがプレゼントをツリーの下に置いてくれるそうですよ!
ニッセは北欧で親しまれている妖精で、ノルウェーでは、今でもニッセのためにクリスマス・イブにドアの前におかゆを置いておくという習慣があるそうです。うっかり忘れると、ニッセが後でいたずらをするという言い伝えもあるそうです。
そんなグリーンランドのロックバンド・ナヌークのエルスナー兄弟に、グリーンランドのクリスマスの過ごし方をうかがいました。
フレデリック「クリスマスの時期はグリーンランドでも家族が集まったり、遠くの学校に通っている子供たちが帰ってきたりするぐらい大事な時期だよ。あと、グリーンランドにもサンタクロースはいるよ(笑)」
●(笑)。聞いたところによると、カードに“グリーンランド”と書いて送るとサンタクロースに届くと聞いたんですが、本当ですか?
フレデリック「そう、そう、届くよ(笑)。“イルリサット”というところに5メートルぐらいの大きなポストがあって、そこに世界中から送られてきたサンタさん宛の手紙があるんだよ。サンタさんは返事を出すって聞いたよ
クリスチャン「グリーンランドでは伝統的に色々なスタイルでクリスマスをお祝いするんだけど、教会に行く人が多くて、そこで合唱隊の美しい歌を聴いたり、サンタクロースが歩き回っていたりしているし、クリスマス・ソングはみんな好きだね。後はやっぱり食べ物だよ。アヒルや豚肉を食べるから、その時期は太っちゃうね(笑)」
*放送では最後にエルスナー兄弟にグリーンランド語で「メリー・クリスマス!」と言ってもらいました。
ナヌークのお二人がクリスマスの話をとても楽しそうに話して下さったのが、とても印象的でした。
サンタクロースの国「グリーンランド」のクリスマス、いつか現地に行って体験してみたいですね。
キングレコード/KICP-1806/本体価格2,300円
代表曲やライヴでよく演奏される曲を中心に構成されたベスト・アルバム。全18曲。彼らの音楽を知るのに最適な1枚!
彼らは2017年2月に“ICE STATION”というイベントに出演するために来日し、ライヴを行ないます。
◎開催:2月9日(木)と10日(金)
◎会場:渋谷WWW
◎チケット:前売り8,500円
いずれの情報も詳しくは彼らのオフィシャル・サイトをご覧ください。