2017年1月14日

里山も人も元気に!
~グリーンセイバーに密着取材!~

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンはNPO法人「樹木・環境ネットワーク協会」の認定資格“グリーンセイバー”の活動をご紹介します。植物や生態系に関する知識を身につけたグリーンセイバーは、現在4,000人以上。そんな精鋭が全国で活躍しています。ちなみに当番組のパーソナリティ長澤ゆきは3年半前に、グリーンセイバー・ベイシックの資格を取得しています。
 今回は、東京の郊外にある活動場所の1つ“町田・三輪里山フィールド”にお邪魔してお話をうかがってきました。

グリーンセイバー長澤、草刈り大作戦!?

※グリーンセイバーのみなさんが里山の再生活動を行なっている“町田・三輪里山フィールド”は、東京の中心から電車で約1時間。郊外の住宅街の奥にある起伏に富んだ里山の森なんです。まずは、どんなフィールドなのか“三輪里山クラブ”のリーダー久保重明さんに教えていただきました。

久保さん「落葉樹の森です。ここを人が散歩しながら自然観察をして楽しめるような明るい森にしようということで活動を始めました。ただ、それまで50年間、手入れをしてなかったので、“実際に手入れをしなかったらこうなる”ということを分かってもらうために、一部そのままにしています」

●明るい森の方には、どんな木が生えているんですか?

久保さん「主にクヌギやコナラです。あとはシデ類、サクラなどもたくさん生えています。そして、我々のクラブでは(ほだ木に)クヌギとコナラを使ってシイタケを栽培しています。また、この裏山にはタケノコもあります」

●小川や池もあったりするんですか?

久保さん「我々は“ホタルを飛ばしたい”と思って“ホタルの池”を作り始めたんですが、まだ完全には終わっていません。でも、いずれはホタルを飛ばしたいと思います」

●湧き水も出ているんですね。私も何か作業をさせていただければ嬉しいんですが、何かできることはありますか?

久保さん「ぜひお願いします!」

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※場所を移動して・・・。

●私もちょっとしたガーデニングを家でやっているんですが、きょうの作業は春先に向けて作業ですか?

久保さん「春先に向けて枝を集めたりしていますね」

●冬の方が間伐しやすかったりするんですか?

久保さん「木が休んでいるときに枝を切ったり肥料をやったりして手入れをするんです。春先に勢いよく花を咲かせたり、枝を伸ばしたりするために、冬の間に色々な手入れをしておくということですね」

●庭の手入れなどで季節ごとにやらないといけないことって、昔は親から教えてもらい、自然と覚えていたと思いますが、都会に住んでいると、そういうことがあまりないんですよね。

久保さん「そうですね。春先だとツツジなどが花を咲かせるじゃないですか。咲いたらすぐに手入れをしてあげるとか、枝を落としてあげるとかして、来年に向けての用意を始めます」

●そういった意味でも、里山に来て作業をすると、季節感を取り戻すのにすごく良さそうですね!

久保さん「感覚的に覚えるので、いいですよね」

※さらに森の中を先に進みます。

久保さん「ここは昔、柿の木を植えていたところなんです。この木が柿の木です」

●何メートルぐらいあるんでしょうか?

久保さん「7~8メートルぐらいありますね。ここはいわゆる“柿の木畑”だったんです」

●そうなんですか! でも、今は笹が結構生えていて鬱蒼としているので、柿の木畑だったとは想像できないですね。

久保さん「残っている木を見ると分かると思いますが、あれも柿の木なんです。周りの木がかなり茂ってきたんです。人が50年ぐらい放置したので、今刈ってもすぐにこういう風になってしまうんです。なので、一度でも里山に手を入れたら、繰り返し手を入れ続けないと、里山は保てません。そして、もう1つ説明しておきたいんですが、今いるところから左側は手を入れていません。“人が50年間、手を入れなかったら、こういう林になる”というのが、これを見ればよく分かります」

●手入れをしているところと、していないところでは、明るさが全然違いますね! そうなると、来る生き物や植生とかも変わってくるんじゃないですか?

久保さん「この辺ではあまり見たことがない植物とかが生えてきます。そういう意味では、手入れをすることは、植物の多様性に役立っているんじゃないかと思いますね」

●生き物はどうですか?

久保さん「タヌキはよくいますよ。鳥も飛べるようなある程度の空間を作ってあげると来てくれます。ここを手入れしたことによって、オオタカも来たことがありますし、そこにエノキがたくさんあるので、オオムラサキが生育したりしています。今までいた貴重なものも保存できるようにしていこうと考えながらやっています」

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※いよいよ、長澤、作業を手伝います!

●今回、私も里山の手入れを手伝わせてください。ご指導をお願いします!

久保さん「頼もしくていいですね! カマで作業をしてもらいたいんですが、大ガマは普通の手ガマとは使い方が違います」

●今持っているカマは私の肩ぐらいまでありますが、これが大ガマなんですね。

久保さん「普通のカマはそんなに気にせず簡単に使えますが、このかを使うときは、右利きの人は右足を前にして、引っ張るように使います」

●前から自分の方に引っ張ってくる感じですね。今、草がどんどん刈れてますね! 私、このままだと何でも刈っちゃいそうなんですが、大丈夫ですか?

久保さん「ここは大丈夫です。何より“振り回さないこと”が大事です!」

●では、このままやっちゃって大丈夫ですね。

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林業関係の人は1人もいない!?

※今回作業に参加された、ほかのグリーンセイバーの方にもお話をうかがいました。
 その中から齋藤博之さんと広瀬攻(おさむ)さんにご登場いただきます。
 まずは斎藤さんです。

●齋藤さんは、今日なぜこちらで作業をされているんですか?

齋藤さん「家がすぐ傍なので、作業しにきました」

●こういう作業をしてみて、どうですか?

齋藤さん「清々しいですね。森の中でいるだけでも気持ちいいです」

●日頃の仕事のストレスとか色々あると思いますが、それも一緒に倒しちゃってるんですね!

※次は広瀬さんです。

●今、目の前に木のベンチがあるんですが、これは今作ったんですか?

広瀬さん「そうです。今朝来て作りました」

●こんなにすぐ作れるものなんですね!

広瀬さん「チェーンソーを使えば2、3分で作れます。木を倒すのが大変でしたが、それを含めても1時間かからないんじゃないでしょうか」

●なぜ今日、木を倒そうと思ったんですか?

広瀬さん「枯れて別の木にひっかかっていたからです。枯れてるからいずれ切らないといけないと思っていたんですが、ひっかかってるから、簡単には倒せませんでした」

●どうやって倒したんですか?

広瀬さん「ロープと滑車を使って4人ぐらいで引っ張ると、12人ぐらいで引っ張ったときの力と同じぐらいの力になるんです」

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●広瀬さんは林業関係のお仕事をされているんですか?

広瀬さん「林業関係の人は1人もいません」

●それなのに、そんなに上手くできるんですね!

広瀬さん「それは本を読んだりして勉強して、現場で色々試行錯誤しながらやってきた結果です」

●そういった作業は楽しいですか?

広瀬さん「楽しいですね。汗かくのがいいですね! 僕自身、段々と進化しています。3年前と今では、滑車の使い方が全然違います」

●最終的には、この里山をどんな風にしていきたいですか?

広瀬さん「ご存知かと思いますが、関東平野は放っておいたら、みんな常緑樹になるじゃないですか。それを50年放っているから“シラカシ”というのがたくさん生えているんです。今倒しているのは、ほとんどシラカシです。倒したおかげで、空がよく見えるようになったと喜んでいます。それまでは真っ暗で空が見えなかったんですから。木を倒していったら日に日に空が見えるようになって明るくなってきます。そうなると、植生も変わってきます。今まで暗くて我慢していた種が、春に芽を出すようになりました」

●今、明るくなった空を見たんですが、お日様の光がキラキラと入ってきますね!

広瀬さん「木を倒すと、(林冠に)丸い穴が開きます。これはやっていて見事ですね!」

●せっかくですから、出来立てのベンチに座って、空を見てもいいですか?

広瀬さん「どうぞ!」

●あ、いいですね! お尻に木の感触を感じます! 広瀬さんは、千葉の里山(「おぐらの森フィールド」)の手入れもされているんですよね?

広瀬さん「やらされてます(笑)」

●(笑)。どんな里山なんですか?

広瀬さん「そこは平らなところで山じゃないんですよ。昔は畑だったんじゃないかと思います。そこも50年以上放置されていて、今は(幹の太さが)30センチ以上の木をどんどん倒しています」

●そこがキレイになると、こういったキレイな植物が出てくるようになるんですね。

広瀬さん「そうですね。“キンラン”という希少種が毎年増えています」

●場所はどの辺りですか?

広瀬さん「千葉県千葉市若葉区小倉というところで、千葉都市モノレールの千城台北駅から徒歩10分ぐらいのところです」

●そこはリスナーの方が行ってもいいところなんですか?

広瀬さん「大丈夫です。幼稚園の子どもたちが散歩に来るようなところなので」

●私たちも今度お邪魔させていただきたいです!

広瀬さん「機会があれば是非お越しください」

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若い人に、もっと里山を!

●今回色々と見させていただきましたが、広いですね!

久保さん「広いでしょ?」

●はい。私たちは今、全体を見渡せるような場所に来ています。目の前に畑がありますが、その奥には森があるんですよね。これが“里山”ということですよね。

久保さん「これが典型的な“里山”という風景ですよね」

●昔の人たちは、畑の裏の山を自分たちの生活にうまく利用していたんですか?

久保さん「そうですね。さっき見たように、クヌギやコナラが何本かに枝分かれしているじゃないですか。それが昔の人たちが炭や薪などにして利用していた証拠ですよね。それを放っておいたからあれだけ太くなりましたが、本来は人が担げるぐらいの太さで切っていくんですよ」

●燃料になるものだったり、柿みたいな食べるもの、もちろん畑もあったりと、昔の生活の基盤が里山だったということがよく分かりました。久保さんは、里山の再生活動をされていて、一番感じるところはどういったところですか?

久保さん「こういうところに来ると、自分の小さい頃の想いがありますよね。そういうことを、今の若い人たちにも感じてほしいですね。この近くの小学校には最近、授業に組み込まれているんですが、学校の先生もこういうところで自然を感じてほしいということで、連れてきます。学校の先生方も同じような想いを持っているんじゃないでしょうか」

●今回、このフィールドを歩いて“昔は自然と仲良く一緒に暮らしていたんだろうな”と感じました。

久保さん「そういったことを小学生ぐらいの子たちにも感じてもらうのがいいんじゃないでしょうか」

●この里山がこれからどんな風になっていくのか楽しみです。私も今日、草刈りのやり方は習いましたので、草刈りが必要なときに呼んでいただければ、微力ながら協力させていただきます。あれで大丈夫ですよね?

久保さん「(苦笑)」

●今日は1日ありがとうございました。お疲れさまでした。

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YUKI'S MONOLOGUE ~ゆきちゃんのひと言~

 今回、グリーンセイバーの方々と一緒に里山再生(といっても草刈りですが(笑))を体験させていただいて、帰り道は本当になんだか清々しく爽快な気分でした。“自然の中で体を動かして、自然の恵みをいただく”。それだけでこんなに幸せな気持ちになれるのは、私たちの中に里山暮らしのDNAが眠っているからなのかもしれませんね。

INFORMATION

グリーンセイバー情報~検定試験

 自然が好きで、もっと深く知りたい方、将来、自然に関係する仕事や活動をしたい方、企業で社会貢献の業務に携わっている方、ぜひ、グリーンセイバーの資格にチャレンジしてみませんか?

 グリーンセイバーは“ベイシック”“アドバンス”“マスター”の3段階があり、まずは“ベイシック”からスタートです。

 検定試験は6月25日(日)。その前に3月にはガイダンス、4月にはセミナーがあります。
 セミナーはテキストをもとに、検定委員の先生がポイントをしっかり教えてくれます。

 詳しくは、樹木・環境ネットワーク協会のホームページをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. SUGAR BABY LOVE / THE RUBETTES

M2. GROOVIN' / THE YOUNG RASCALS

M3. JAMBALAYA / CARPENTERS

M4. CASTLE ON THE HILL / ED SHEERAN

M5. UP / SHANIA TWAIN

M6. A PLACE IN THE SUN / STEVIE WONDER

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」